TS転生したらハーレム主人公の親友ポジだった 作:まよねえず
……べっ別に嬉しくなんかないんだからっ!(訳:めっちゃ嬉しい)
漫画やアニメの世界。学校の中で一番権力を持っている組織は何かと聞かれたら、迷わず生徒会だと答えるだろう。
少し憧れて入った事もあるが、実際は権力皆無でほぼほぼ雑用係みたいなものだった。
そこで頭が良い私は考えた。
男の敵みたいな藤井という男を生徒会に入れれば良いのではと。
普段良い思いしてる分ちゃんと働いてもらわなければいけない。
丁度生徒会には、先輩兼生徒会長兼完璧美女ヒロインの葉風泉さんがいるし、くっついてもらえば良い。
「藤井祐樹さん。是非生徒会へと入りませんか?私達は貴方を歓迎します」
「……遠慮しておきます」
この通り何とか騙して生徒会室へ連れて行くことには成功したが、本人にやる気がなかった。
大丈夫、予想範囲内だ。長く一緒に居る私は知っている。藤井という男は消極的なのだ。
二人で遊ぶ時は積極的なのに、学校とかだと消極的になってしまう。
やっぱり祐樹も気心の知れた親友の方が話しやすいのだろう。私も同じだからよく分かる。
話が少しズレたが、今の問題点は祐樹をどのようにして生徒会へと入れるかだ。
いきなり考えるのは難しいので、いくつか案を挙げてみよう。
1.無理矢理入れる。
後に復讐をされそうで怖いが、一番手っ取り早いだろう。
葉風さんに契約書を作ってもらって、祐樹が隙を見した瞬間にハンコを押させる。
他に何も思い浮かばなかったらこれで良いだろう。祐樹には人権すらないのだ。
2.説得する。
平和に終わる案だ。本当はこの案を実行したいが、本人の様子を見ていると無謀な挑戦だとしか思えない。
ハッキリ言って、不可能である。
アイツは一度決めたことは余程のことが無いと変えないのだ。
3.自分も生徒会に入る。
祐樹も仲間が入れば入りやすいだろう。自分が入れば祐樹も入ってくるというのは自意識過剰な気がするが、今までの中で一番可能性はある。
でも私が嫌なので却下だ。
……いい案が思い浮かばなかった。
やむを得ない、最終手段の無理矢理入れる作戦を実行するとしよう。
「先輩すみません。トイレ行きます」
「あぁ……はいどうぞ」
祐樹がトイレで抜けて、今は葉風さんと二人きり。
「ごめんなさい、確かに私が連れてくるよう頼んだのですが……何故桐原さんも……?」
「あぁ……私が一緒に居ないと連れてこれなかったんです」
「……なるほど」
「……はい」
そう、葉風さんに祐樹を連れてこいとの命令が私には下っていたのだ。
ついでに生徒会に入ってもらってそのままよろしくやっとけと思ったりした。
なんとか祐樹を連れてくることが出来たが、近くには私が居た。
しょうがなかったのだ。祐樹は生徒会室に近付くだけで嫌そうな顔をするから騙して連れてこなくてはいけなかった。
実際生徒会室に居ると気付いたら不機嫌そうな顔してたし。
「……」
「……」
気まずい。
私の勝手な推理だが祐樹はトイレではなく教室に居ることだろう。百パーセントだ、確実に。
別に祐樹だけでなく私もアイツの心を読むことぐらいできる。
だから放課後という今の時間でもハーレムの誰かとべちゃくちゃ喋っているのなんかお見通しだ。
……無性にイライラしてきた。
私も教室に帰って鉄拳制裁を食らわせてやろう。
◇
「……ズビビビビビビ」
「いや寝てるのかよ」
教室に帰ると予想通り祐樹は居たが、誰とも話してなかった。
机に突っ伏し寝息をたてながら寝ていた。
ハーレムの誰かと話してたりして無くて少しだけ好感を持てた。少しだけだが。
顔を覗いてみるといつもの間抜けな顔が更に間抜けになっていた。
パシャリ
写真を撮って祐樹の携帯に送っておく、勿論落書き付き。
……こうやって見ると祐樹は可愛く思える。
普段は変に大人ぶったり、モテても何も思っていないような痛い事をしているが、寝ている場合は本当の祐樹を見ることが出来る。
中一までなら無邪気だった。中二辺りから大人ぶったりしてるので、私はずっと祐樹が中二病に罹ってると思っている。
小学校低学年の頃から一緒にいるから保護者感覚が抜けていないのだ。
大丈夫だ祐樹。中二病を拗らせて私と同じ運命を辿ろうじゃないか(遠い目)。
「あっ桐原先輩、帰らないんですか?」
「……朱里ちゃん」
今の時間帯は放課後。それはもちろんみんなは帰っていてまだいる人は目立つだろう。
いつの間にか二年の教室にいる朱里ちゃんは見ても分かる通りまだ帰っていない。
理由はもちろんお分かり、
いまだ寝ている祐樹を恨みがましく睨みつける。
思えば、今日も私が目の前に居るのに他のヒロイン達と喋っていた。
うん、許されるべき存在ではないと思う。これは帰り道で説教しないといけないようだ。
「すみません先輩、質問良いですか?」
「どうしたの?」
顔を痛そうにしながら、でもどこか納得したような雰囲気を出して、朱里ちゃんは聞いてきた。
「先輩と藤井先輩って……」
「……?」
「付き合ってるんですか」
「──っごほごほ!」
「……やっぱり!」
「違う違う!まだ付き合ってない付き合ってないからね!?」
「……まだ?」
目がキラキラしている朱里ちゃんの誤解を解く。必死に絶対。
あらぬ疑いをかけられてしまった。ハーレムの子たちと違って私は祐樹が好きなわけではない。
loveじゃなくてlikeの方なら……………………ギリいけなくもないかもしれないが。
確かに、学校や放課後一緒に居ることは認める。……遊ぶ友達いないし。
でもそっか、祐樹は男で私は女だ。周りから見たらそう思われるのは当たり前かもしれない。私は断固として認めていないが。
「……まあそういうことにしておきます」
「本当に付き合ってないんだってば」
未だ誤解が解けていないけれど、これ以上何か言っても無駄になりそうなので何も言わないことにした。
私は諦めない、これからゆっくりと時間をかけて誤解を解いていけばいい話だ。
「よしっ!付き合ってないのなら私にもチャンスはあるはず」
「……がんばれ」
頬をぺしっと叩いた朱里ちゃんに応援する。がんばれ、祐樹は多分男じゃないから厳しい道だろうけど。
「藤井先輩も寝ているので私帰りますね。失礼します」
「あ、うんバイバイ」
朱里ちゃんがいなくなって静かだった教室はまた静かに戻った。時間を見るとそろそろいい時間だ。
早めに帰らないと親も心配するだろう。
「ほらほら、起きろ」
「……あい」
肩をゆすると、すぐに起きた。いつもの祐樹だったらもう数分掛かっているのに珍しい。
妙に顔が赤いが、発熱でもしたのだろうか。
普段祐樹にきつく当たっている私だが、流石に病人にまでそのようなことをするわけない。
さりげなく体を支える。顔が近くなり、良く見える。
……う~ん、先ほどよりも赤くなっている。
「だいじょぶ?顔赤いけど」
「っいや、なんもねーよ。ほら早く帰ろうぜ」
「……分かった」
本人がそういうならそれでいいだろう。なら私にできることは早く帰ってあげることだ。
いやあ、やっとハーレムの娘達全員出せましたね。
……あと一人いたような気もするんですが気の所為だと──っあ。