TS転生したらハーレム主人公の親友ポジだった 作:まよねえず
TSってT(超可愛い)S(少女)っていう意味なんだって。
いや、自分でも何言ってるかわかりませんが。
「こういう部分では便利なんだよな」
「たしかに」
季節は夏、最近の夏は暑い。地球温暖化やらの影響で気温が上昇しているのだ。
どこかで聞いた話によると気温35度越えは当たり前だか何だか。
そんなクソ暑い世界だが、なぜか私たちの通う高校には冷房が付いていないのだ。生徒の事情を何も考えていないことがお見通しである。
そこでしょうがなく祐樹のコネの葉風さんのコネを使いこの生徒会室に居るのだ。
なんと年中無休で冷房をつけ放題。おかげで今も涼しく過ごせているのだ。
葉風さんも生徒会室でそうくつろぐ私たちを見てニコニコ笑っている。どうやら祐樹を生徒会に連れてくるのは諦めたようだ。賢明な判断である。
ここにいるだけでお茶とお茶請けを出してもらえてVIP待遇。間違いなく学校の中で一番居心地の良い空間だ。
「あーそういやもうすぐ夏季休業だな。何かする?」
「普通に夏休みっていえばいいでしょ。私はどっちでもいいけど、お任せで」
「それ一番困る返答って言われてるのご存じない?」
「知ったうえで任せてる」
祐樹の言う通りもうそろそろ夏休みだ。一年の中でも最長の休み期間を誇る、かの夏休みである。
私たち学生にとって大切な遊ぶ期間だ。
何もしないよりは遊んだほうがいいということで、遊ぶ内容とかは祐樹にすべて任せた。
ほら、親は子供の意見を聞いてあげるべきじゃん?
「馬鹿にされた気分がしたんだが」
「気の所為」
妙に察しのよい祐樹は困る。私の頭の中を読んでくるし。
「じゃあさ」
祐樹はそう一拍置いて言った。
「……プールとか」
◇
思いもしなかった、祐樹からプールなどという単語が出てくることが。
そんな子供っぽいとこ……とか言って達観していたあの祐樹が自分から誘うようになったのだ。これは何か裏があると見て違いないだろう。
やっぱりヒロインたちか?流石にハーレムの娘全員連れて『うっひゃー!俺モテモテだぜ!』とか言ったら冗談抜きに殴りかかるが。
あんな祐樹でもそんなことはしないと信じている。……しないよな?
気を取り直して、私は今ある問題に直面している。
水着がない問題だ。今世においてプールというのは親に連れられて行ったことぐらいだ。
中学校までは水泳の授業もあったが、それもいつの間にかなくなっていた。あったとしてもスクール水着は着なかっただろうが。
というわけで水着がないのだ。いや着れる水着がないのだ。
前世が男の私でもおしゃれぐらいはしてもいいだろう。女子高生だし。
是非とも自分に合う水着を選んでいきたいのだが、意見を求める相手がいないのだ。客観的な意見が必要としている今、その意見をくれる相手がいない。
今世では私も女子だ。流石に男の祐樹に意見を求めるのは違うような気がする。
特に仲の良い女友達がいない私にとって大きすぎる問題であった。
最終的には自分で選ぶことになるだろうが、他人の意見もやはり欲しい。
別に女友達ではなくても、母などの頼れる大人に聞いてみるのもいいのも分かっている。
でも高校生になって母に選んでもらうのは……な。親不孝者になるつもりはないが、周りの目を気にしてしまう。
「はあ……」
ため息を吐く。やはりこのまま自分の意見のみで決めていくしかないのだろうか。
じゃあまずはお店に行ってどんどんと試着していかないと。
「どうかしましたか?桐原さん」
「葉風さん」
昼休み祐樹を置いて生徒会室にいて悩み事をしていたわけだが、そのところ葉風さんに見つかってしまった。
葉風さんの姿を見ると私の頭にアイデアが思いついた。
葉風さんは悩んでいる人が居たら真摯に相談を受け、解決へと導いてくれるという噂を聞いたことがある。
たとえそれがどんな内容でも……は流石に盛り過ぎだと思うが、解決へと導いてくれるには違いないだろう。
「私祐樹とプールに行くことになったんですよ」
「……はい」
「プールがとても楽しみなんですけど」
「…………はい」
「水着がないんです」
「それは大変ですね」
途中少し顔が怖くなった時もあったが、無事に話すことは出来た。
が、私が話したのは問題だけだ。葉風さんに協力してもらって解決へと進んでいきたいのだ。
葉風さんには問題を解決してくれる噂がある。本人の見た目も一切気を抜いていなく、完璧な美少女、かつ頭もキレる。これ以上の適任がどこにいるというのだろうか。
「……水着を選んでもらいたいなぁ……なんて」
「……」
言ってしまってから気づいたが、葉風さんだって暇なわけではない。むしろ生徒会などの仕事で忙しいはずだ。
……水着を選んでもらうのではなく、アドバイス程度にしてもらおう。アドバイスだけでも一人で選ぶよりかはよくなるはずだ。
「すいませんアドバイスだけでも──」
「分かりました。私が選びます」
「……へ?」
口から変な声が漏れ出た。本気で。
まさか本当にこちらの願いを聞き入れてくれるとは思っていなかった。相手も忙しいと思っていなかったので余計だ。
「あ……ありがとうございます」
「いえいえ。これも可愛い後輩のためですから」
隙の無い圧倒的な先輩。葉風さんが完璧美少女である点はこういうところが大きい。
他人を気遣う優しい心、叱るところはしっかりと叱ってくれる。
祐樹はこんな葉風さんを何とも思っていないっていうのだから驚きだ。
このことが学校のみんなにバレてしまったらどうなるのだろう。一つ分かるのはこれからの学校生活が平穏ではなくなることだ。
「時間っていつ空いてますか?そちらの都合に任せます」
「……言ったはいいもののこれから一週間ぐらい忙しくなるんです。今日で大丈夫ですか?」
「あ、はい」
葉風さんに時間などを決めてもらうと今日ということだった。
夏休み前は調整などで生徒会は忙しくなる。それは私も分かっていた。
葉風さんに相談してしまったのが少し申し訳ない。
とはいえ、私も今日は何の予定もなかったので良かった。
祐樹にサクッと携帯で今日は先に帰っててと言って終わりだ。
祐樹には申し訳ないが、こちらには都合があるのだ。これぐらいは許してほしいものである。
「……桐原さんと祐樹さんっていつも一緒に帰ってるんですか?」
「まあそうです」
「……はあ」
私と祐樹は一緒に帰っている。それはいつもの事だ。どうせ小学校のころからそうなのだから特別なことは何もないのだが。
「私が気づかせるしか……」
「何か言いました?」
「あ、いえ何も」
葉風さんが何を言ったと思ったら間違えていたらしい。でも確かに聞こえていたような気もするんだけど。
「では今日は校門前で待ってます」
「了解しました」
まあ気のせいだろう。変にずっと気にしてたらよくもない気がするし。
ところで水着って何円ぐらいするんだっけな。
女性用ってまあまあ高かった……いや、ここぞというところにお金を使わないでどうする。
夏休みを満喫するために、ここは一肌脱ぐとしようじゃないか。
というわけで自称親友ポジには水着を選んであげましょう。
自称親友ポジはなぜおしゃれをしたくなったのか、真相は闇の中に……。
次回『TSっ娘が同級生とか友達とかにいじられるのっていいよね』
乞うご期待!