魔法使いの幼馴染を助けたら俺も魔法使いになってしまった件について   作:ひざぎ

28 / 71
1-EX2 尾行しようよ♡

 

「いやあ、面白い話になってきたじゃないか」

 

「立花先生にとっては他人事ですもんね」

 

 僕がそう悪態をつくと、立花先生は「そうでもないさ」と言葉を続ける。

 

「ほら、クラスメイトの仲を取り持つ、っていうのも教師の仕事として大事だろう?だから、君たちがそうやって仲を育んでくれる分には、こちらとしては嬉しいし面白いって感じなんだよ」

 

「はあ」

 

 それを言うのならば魔法教室後のアフターケアを気にしてほしいのだけれど、といかそれのせいでそんな事になっているのだけれど。そんな思いを言葉に吐き出すのはやめておいた。というか話すことに体力を持っていきたくはなかった。

 

「……というか、こんな炎天下の日になんですか?僕、買い物行ったのでさっさと帰りたいんですけど」

 

「そんな邪険にしてくれるなよ。僕は君たちが仲良くしてくれるのが嬉しいし、面白い。でも、それが更に面白くなれば、それでいいというか、それがいいというか」

 

「……はあ、そうなんですね」

 

 こんなに暑い日差しだというのに、立花先生はいつも通りに長袖の白衣を着て、そうして佇んでいる。見ているだけでも暑苦しい気分だ。

 

 まともにやりあうだけ無駄だろう。適当な相槌を返してしまう。目上の人ではあるけれど、僕なりにこの人の対処方法についてはわかってきた。そこまで本気に相手をしない。それが、この人と関わる上での大事なことだと、僕はしっかり理解したのだ。

 

「というわけで、今から天原くん尾行しない?」

 

「なんで?!」

 

 

 

 

「ほら、君たち最近会話はしてはいるけれど、それって上辺だけじゃない?相手のことを真に知って仲良くするためには、相手の裏側の方も知っておかなければいけないと思うんだよ。だから、尾行しようよ♡」

 

「猫撫で声で何を言っているんですか……。僕、もう帰りますから」

 

 これ以上相手にして時間を無駄に、……というか太陽に体力を奪われたくない。

 

「おいおいおいつれないなぁ。君ならのってくれるものだと僕は信じていたのに」

 

「のるわけないでしょう……普通に犯罪じゃないですか」

 

「いいや犯罪なんかじゃないよ。それなら探偵業とか興信所なんか犯罪のオンパレードじゃないか。だから尾行は犯罪じゃない、リピートアフターミー?」

 

「言いませんよ……」

 

「……はあ、入校したての君は素直だったのに、どうしてこんなにノリの悪い人間になってしまったんだ……。やっぱり友達がいない人間ってノリが悪いんだな……」

 

「──なんですって?」 

 

「や っ ぱ り 友 達 が い な い 人 間 っ て ノ リ が 悪 い ん だ な ぁ ! !」 

 

 あからさまに、大声で、誰かに聞こえるように、挑発するように。

 

 ……なんかだんだんイライラしてきた。

 

 別にあれだから。友達がいないことを馬鹿にされて、それで怒っている訳ではないから。単純にこの人の性格が僕に苛立ちを覚えさせているだけだから。

 

「──そこまで言うならやってやろうじゃないですか」

 

「もういいよ。どうせノリ悪いし」

 

「やるって言ってるでしょ!!」

 

 割と本気の怒声を僕から引き出したところで、立花先生はニヤッと笑う。

 

 クソ、きっとこれは負け以上のなにものでもないのだろうな。

 

 

 

 

「というかそもそも尾行するには、天原の位置を把握していなければならないのでは?」

 

 僕が当然の疑問を口にすると、先生は指を振りながらちっちっちと声に出して挑発する。実際これを人にやられると、結構イラつく。

 

「僕に抜かりはないさ」

 

 これを見てみなさい、と立花先生から渡される──スマートフォン。

 

「……これがどうかしたんですか?」

 

「……使い方わからないの?」

 

「持っていないので……」

 

「……そうかい」

 

 なんでだろう。立花先生は憐れみの目で僕のことを見てくる。気のせいだと思いたい。

 

 先生は手早くスマートフォンを操作して、そして一つの画面を僕に見せつける。地図のようなものと、そして赤い点。

 

「彼に発信器つけておいたんだ」

 

「普通にやっていることヤバいでしょ」

 

「大丈夫!絶対バレないから安心してくれたまえ!」

 

「僕が言いたいのはそういうことじゃないんですよ……」

 

 ……ツッコむのも疲れてきた。

 

 とりあえず促されるままに、その地図の画面を見てみる。

 

「割と近い位置にいるようだね。行ってみよっか」

 

 このペースに巻き込まれるのは精神的な苦痛を催すけれど仕方がない。僕は我慢しながら先生と一緒に歩いて行った。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。