魔法使いの幼馴染を助けたら俺も魔法使いになってしまった件について   作:ひざぎ

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第二章 天使時間の歯車
2-1 変化と停滞


 世界は、いつまでも落ちている。

 

 

 

 天使であったはずの物体は、永劫に、果てなく落ち続ける。

 

 

 

 落ちなければ、きっと時間など生まれない。

 

 

 

 落ちなければ、彼はまだ天使のままでいることができたのかもしれない。

 

 

 

 彼には翼がない。

 

 

 

 だから、彼には落ちることしかできない。

 

 

 

 それ以上のことはなにもない。

 

 

 

 彼が落ち続ける意味も、もう存在しないのかもしれない。

 

 

 

 時間は流れ続けている。

 

 

 

 天使の時間はとうに消失をして、そうして彼は落ちて、落ちて、落ちて、そうして落ちることをずっと望んでいる。

 

 

 

 ──それは、彼の願望だったのだろうか。

 

 

 

 それは、彼の願望だったはずだ。

 

 

 

 それが果てしないひとつの願望だと知っていて、彼は虚に飛び降りたのだ。

 

 

 

 天使であった世界は、彼は落ち続ける。

 

 

 

 それが彼の答えなのだから。

 

 

 

 いつか、終わりにたどり着くために。

 

 

 

 ──今も、彼は落ち続けている。

 

 

 

 ◇

 

 夏休みは呆気がないほど簡単に終わってしまった。特に思い出を見出すことができないほどに、寂しい夏休みをいつも以上に送った気がする。

 

 毎年、夏休みが終わると、昨年と比べて自分はどんな変化をしたのだろう、と相違点を探している。

 

 特にかかわりがあるわけでもない周囲の人間を見れば、もともと白かった肌を小麦色に変えているものだったり、もともと黒髪であった彼が少し茶髪のようになっていたり、もしくは以前と変わらずに孤独に過ごそうとするはぐれものだったり、多々存在する。

 

 でも、そのどれもが変化の一部なのだろう。例え変わっていなかったとしても、停滞をすることができた人間は、それはそれで素晴らしいと、なんとなくそう思える。

 

 停滞は、必ずしも悪いことではない。

 

 ある人は停滞を選択することで自分の世界を守っているのかもしれない。変化をするということは、過去の何かを壊すことにもなりえるから、そうして停滞を選ぶということをしたのかもしれない。

 

 もしくは停滞をするしかなかった人もいるのかもしれない。変化を求めようとしても、変化をするには何かを壊さなければいけないのだから、破壊することができずに停滞した人間もいるのかもしれない。

 

 ──それならば、僕はどうだろう。

 

 停滞を選択したわけでもなく、変化を選んでいたはずなのに、僕は停滞をしている。破壊することを躊躇うこともなく、前向きだとそれを信じて、あらゆることを為したはずの僕は、なぜここまで変化がないのだろうか。

 

 周囲は喧噪にまみれている。その変化を各々で味わうように。

 

 僕は、そんな空気がいつだって嫌いだ。

 

 ──そこにいつまでたっても交じることができない灰色だから、僕は世界が嫌いなのだ。

 

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