肉体年齢を操作できる病弱男子生徒が血反吐を吐きながらホシノを曇らせるお話   作:絶対正義=可愛い

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自己満足以外の何物でもない投稿。





救いようのない彼の物語
0話


「アビドス風紀委員会、風紀委員長の歴舟(れきふね)タツヤだ。よろしくするつもりはねぇ…。勝手にしやがれちんちくりん」

 

出会いは最悪だった。

 

いつだって傲岸不遜で上から目線。

 

私と同じ位の身長で、ブカブカのアビドスの制服の裾がいつも地面を引き摺っていた。

 

真っ白な髪は無造作に伸びていて、少年のようなあどけなさが残る顔立ちには似合わない鋭い翡翠の眼光。

 

ズボラ、いけ好かない、生意気、時々体格が変化するという妖怪みたいな要素もプラスα。

 

自治区をパトロールしていると大抵かち合い、火花を散らすような関係だった。

 

でも、腕はたしかだった。

 

彼の役職柄的に不良を共同で制圧することがあるのだが、私とは違って被弾0で敵を一撃で沈める戦い方は、癪だがとても効率の良い戦闘スタイルだった。

 

喧嘩になってドンパチすることも多々あった。

 

けど、お互い弾薬が無駄だから素手の殴り合いになる。

そういう時は決まってユメ先輩が間に入って私たちに雷を落とす。

 

「テメェのせいで怒られたじゃねぇかこのおっぱい星人!!」

 

「は、はぁ!?だれが…お、おっぱい星人ですか!?」

 

「知ってるぞ俺は!!おまえがいつもパイセンのパイオーツをこっそり見てることぐらい!!」

 

「は、はぁぁ!?私じゃなくてタツヤが見てるんでしょう!!このえっち!!スケベ!!おたんこなす!!」

 

「ちげぇし!!そもそも俺は巨乳派じゃなくて貧乳派だこのクソアホ毛ピンク!!」

 

「タツヤくん?ホシノちゃん?」

 

「「ごめんなさい」」

 

犬猿の仲だった。

 

ユメ先輩がいうには「喧嘩するほど仲が良い」とのことだが、そんなことはありえない。

 

本当に、水と油。

 

ただ、彼がアビドスを良くしたいと想っている事は、それなりの時間を過ごしていく内に理解していった。

 

だから、まあ……。

悪い奴ではない……と思う。

 

もちろん、そんな事を彼に言ったって頭沸いてんのか?とニヤニヤ顔で煽られるだろうが……。

 

ユメ先輩と出会って、彼と出会って、程なくして私は生徒会に入った。

 

そのときにはもう、気心知れた仲ではあった。

 

当時の私はそれでも気恥ずかしくて何かと突っかかってはユメ先輩に怒られる事を繰り返していたが……。

 

心の底から、彼を信用していたのだ。

 

そんな、毎日が楽しみでもあったんだ。

 

 

だから、あの日。

 

 

ユメ先輩の砂祭りのポスターを破り捨てた、あの日。

 

 

どうして、彼の……タツヤの言葉に従わなかったのか。

どうしてあの日、私は彼を追いかけなかったのか。

 

どうしてあの日……タツヤに酷い言葉を投げてしまったのか。

 

今でも、夢に見て後悔する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユメ先輩が失踪してから3日が経った。

 

流石に私もタツヤも焦り始めた。

周辺の人達から情報を探り、ユメ先輩の捜索活動が始まった。

 

 

15日が経った。

 

タツヤも失踪した。

最後に見たのはアビドス砂漠。

 

でも、あいつなら大丈夫。

ユメ先輩みたいに抜けてない。

 

それに、あの強さだ。

私と同じくらい、強い人だ。

 

きっと、今もユメ先輩を探している。

 

 

30日が経った。

 

タツヤが、ボロボロの姿で病院に搬送されたとの知らせが入った。

 

急いで病院に向かった。

 

ICU(集中治療室)の中には、普段の長い髪がボロボロに傷み、健康的だった頬は痩せこけ、目を瞑る彼がいた。

 

何本ものチューブのような機械が体中至るところに張り巡らされて、素人目で見ても重症というのがわかった。

 

ヒュッ…と冗談抜きにそんな声が漏れた。

 

腰が抜けて、力なく地面に座りこけ、顔を真っ青にした。

 

数秒か、数分か、数時間か……。

 

そこら辺のことは曖昧だ。

 

酷く、酷く長い間そうしていたような気だった。

 

 

いつの間にか私の傍にやってきた医者が「重要な話がある」と言った。

 

やっと我に返った私はフラフラと立ち上がりその医者の背中についていった。

 

 

「っと……彼のことだがね。砂漠の入口で倒れていたところを住民の方が()()()()見つけてくださって運ばれたらしいんだよね」

 

「重度の脱水、栄養失調、過労、まあその他にも色々と無視できない項目がいくつかあるんだけど……」

 

「彼がここに運ばれた時、衰弱死寸前だったよ」

 

「全く……一体どのくらい砂漠で彷徨っていたらこうなるのか……」

 

「それで……、まあ言いにくいことなんだけどね」

 

「……端的に言うと、()()()()()()

 

「まあ、これがまた酷くてね」

 

「まず体の………」

 

 

医者の言葉は、途中から全く耳に入らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その3日後、ユメ先輩を見つけた。

 

 

「ここに居たんですね。ユメ先輩……」

 

 

そしてその日、タツヤが目を覚ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして、どうして助けられなかったんですか!!!だって、その話が本当なら、あなたはユメ先輩を見つけたんじゃないですか!!!どうして、どうしてそのとき助けられなかったんですか!!!!」

 

今思うと、ただの子どもの癇癪だった。

 

「うるせぇよ!!!!化け物みたいな機械に追い回されて逃げるのもやっとだったんだよ!!!満身創痍だったんだよ!!!!意識失うのも、しょうがねぇだろ!!」

 

それを、自分のせいじゃない。

お前のせいだと責任を擦り付けあって。

 

「そんなの言い訳じゃないですか!!!私ならそんなもの叩きのめしてユメ先輩を助けられました!!!!!」

 

馬鹿みたいなことを言って、IF(もしも)を語る。

 

「っああ、そうかい!!!!なら、俺じゃなくて先輩を見つけられたのがお前だったらよかったな!!!そのお前が!!!先輩を見つけたときにはもうお陀仏だったみたいだが!!!」

 

本当に、醜い口論だった。

 

「……っお前ェ!!!!!」

 

いや、口論なんかじゃない。

それはもう、八つ当たりだった。

 

「……上等だぁ!!お前とはガチで喧嘩したことはなかったが……やるか?ええ!!!?」

 

いつも喧嘩を仲裁するユメ先輩は、もう居ない。

 

「……ぶっ飛ばす!!」

 

ただ、私はこの時、ちゃんと理解するべきだった。

いや、していたはずなのに、愚かにも忘れていたんだ。

 

タツヤの体のことを……。

 

「ハンッ!!寝言は寝て……ガフッ

 

突如、何もしていないのにタツヤの口から赤いものが吹き出た。

 

「……?」

 

理解できずに、ただ呆然と眺めるしかなかった。

 

「ゲホッ、ゲホゲホッ、ガハッ!!」

 

咳を抑えるように口元を手で押さえるが、止まらない。

 

やっと離れた手には、ドス黒い真っ赤な染み。

ようやく動き出した体でタツヤの下に駆け寄る。

 

「だ、駄目です……、そんな、だって、あなたまで居なくなったら、私…私………!!!」

 

さっきまでの威勢が嘘のように消え、顔面を青白くさせたタツヤが、睨みつけるようにして私に言う。

 

「安心しろよ……はぁ、はぁ。俺は……死なねぇ。ちょっと、体の調子が悪いだけ…だ。お前を…ボコすくらいは、余裕だ…」

 

そんな調子でフラフラと立ちながら銃を構えるタツヤの目は、明らかに無理をしていた。

 

「そ、そんな体で…出来るわけないじゃないですか!!!」

 

そんな痛々しい姿に思わず叫んでしまう。

違う、違う違う違う!!

私はあなたと戦いたいわけじゃない!!

傷つけたいわけじゃないんだ!!

 

「ほら……構えろよ、小鳥遊ホシノ。……喧嘩だ」

 

ゴホゴホと咳き込みながら啖呵を切ったタツヤが私を真っ直ぐ射抜く。

 

「やだ…だって、また私は……」

 

ギリッ!!とタツヤの歯がなる。

 

「……ふざけんじゃねぇ。先輩が死んで悲しいのが、お前だけだと思うな小鳥遊ホシノ!!俺だって、俺だって辛いさ!!!なのに、なのにお前ってやつは…………ッ!!」

 

ズダァンッ!!!!!

 

私の頭に衝撃が、物理的に走る。

 

その直後。

 

ズダァンッ!!!!!!

 

再度銃声が響く。

だが、衝撃は来なかった。

 

 

「……冷静になったか……ゲホッ……ボケナス」

 

 

頭から血を流すタツヤを見て、理解する。

自ら頭を撃ったのだ。

 

それも、この泥沼の言い合いに終わりをつけるために。

 

一瞬にして、冷静になる。

酷い事を言ったと、自覚する。

 

罪悪感と、申し訳無さと、自罰感が私を襲う。

 

ほんとうに、このときの私はバカだった。

 

「………ごめん…なさい」

 

小さく呟かれた謝罪は、涙とともに吐き出された。

 

「……くそっ……。…俺も…言い過ぎた。……すまん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからのことは、あまり覚えてない。

 

二人でわんわん泣いて、泣いて、泣いて……。

涙が枯れるまで泣き合って、いつの間にか校舎に戻っていた。

 

 

 

ただ一つだけ、約束をしたのは覚えてる。

 

 

「……ホシノ」

 

「ん…なに?」

 

「……俺たち…いい先輩になろうな」

 

「うへ……後輩…できますかね……」

 

「……できる。絶対できるさ」

 

「……うん」

 

「だから、その後輩達残して、居なくなるような先輩には、なっちゃいけねぇよな」

 

「……っうん」

 

「だから…だから……!!」

 

「もう…いいよ」

 

「……グスッ…絶対、居なくなるなよ」

 

「うん、約束」

 

「絶対だぞ。もう二度と、あんな思いしたかねぇから……」

 

「絶対に、約束です」

 

――指切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさか、その約束を約2年後に私が破ることになるとは、このときの私には、知る由もない。




主人公
歴舟(れきふね) タツヤ
イニシャルはT.R。つまり時間回帰(time regression)

高校一年生(15歳)のときにアビドスの風紀委員会に所属するも、委員数0だったため必然的に風紀委員長に。

アビドスで騒ぎを起こすバカを問答無用で捕まえる治安維持に尽力。

その過程で捕まえた賞金首などを学校の借金返済に当てていた。

最後まで()()()()()()()()()()風紀委員会として活動してはいたが、生徒会と仲は良かった。

ユメ先輩の失踪を受けて砂漠に単身乗り込んで10日間ほど砂漠を彷徨い、その過程でビナーと戦闘。ズタボロになりながらもユメ先輩を見つける。(その時生存していたかどうかはわからない)

その安心で緊張の糸が切れてばったりと倒れ伏した。

()()()()通りすがった()()()()()が救う。


特異な神秘によって自身の肉体的年齢を自由自在に操れる。
より幼い身体の方が燃費が良い。しかし、純粋な身体能力が低下する。
成熟した身体は燃費が悪いがあらゆる能力にバフがかかって強くなる。

通常時(17歳)は170cmだが、基本的にこの形態になることはない。
省エネ時(11歳)は145cm。この形態で常日頃過ごしている。通称ショタモード。
本気モード(22歳)は172cm。本編では殆ど登場させないつもり。






主人公の負った後遺症。

「1日の活動時間」
→だいたい3時間〜5時間位。尚、日常生活で全く戦闘しないと考えた場合。全力戦闘有りだと1時間活動できるかどうか………。

「神秘の不循環」
→単純な肉体の耐久度が低下。銃弾1発で容易く血が流れる。

「身体機能&免疫機能の低下」
→身体能力が低下し、風邪になりやすい。

etc……。

曇らせのない、いわゆる日常回的なものを挟んでも良い?

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