肉体年齢を操作できる病弱男子生徒が血反吐を吐きながらホシノを曇らせるお話 作:絶対正義=可愛い
大事なのは経験ではなく選択。
「おいアホ毛ェ!!弾足りなくねぇか!?俺後5発しかねぇんだけど!?」
タツヤが屋上から狙撃し、戦車を一撃で破壊しながら叫ぶ。
「……ッタツヤは弾丸一発で危ないから、残り一発残して下がってて!!」
タツヤに退却を命じて、目の前にいるヘルメットを一人潰す。
去年潰したヘルメット団とは、また別のヘルメット団。
最近襲撃頻度が高くなり、どれだけ打ちのめしても次の日にはまたやってくる。
しかも大量に。
そのせいで弾薬の補給もままならない。
ざっと30は居るヘルメットの少女たち。
戦車もある。
制圧することは、出来る。
できるが……みんなを守りながらだと難しい。
「後は私たちで何とかします…イタっ…から!タツヤ先輩は下がっててください!!』
ノノミちゃんがマシンガンで牽制する。
「もう〜!!シロコ先輩まだぁ!?ちょ、このっ!いったいわねぇ!!」
セリカちゃんが最低限の攻撃でヒットアンドアウェイをしているが、数が数。
着々と被弾が増えてる。
『み、みなさん!支援物資が底をつきました!!このままでは……!』
アヤネちゃんからの通信越しの無慈悲な宣告。
「だぁぁぁ!!後輩に任せて逃げれるかアホンダラァ!!」
タツヤが屋上から飛び降りてくる。
木の枝を鉄棒のようにぐるりと回転し、衝撃を殺し私の隣に着地。
「っタツヤ!あんまり無茶しないで…!」
「今はそんなこと後だ!」
タツヤが狙撃銃を振り回し物理で殴る。
うなじに勢いよく当たった一撃で、そのヘルメットは沈む。
「〜〜〜〜っ!!タツヤは片側半面お願い!!!」
前線に立たせたくない。
だが、身体の弱さと継戦能力を抜きにすれば、タツヤは私の次に強い。
「おう!!……でも、一人で全部倒してしまってもいいんだろ……?」
「バカ言わないの!!そんな無茶しなくていいから!!」
私が相手のタゲをとって銃で殴る。
タツヤが攻撃全てを避けて、校舎を攻撃しようとする奴を狙撃して落とす。
ノノミちゃんが弾をばら撒いて牽制。
セリカちゃんがヒットアンドアウェイで遊撃。
アヤネちゃんが戦場をマッピングし、その情報を私たちに伝える。
戦陣としては限りなく最高に近いのに、物資と人手があまりにも足りない。
おまけにシロコちゃんがまだ来てない。
私はともかく、皆は徐々に体力を削られていく。
「っだらァ!!!クソッ!!!雑魚なのに、数だけはいやが……ガフッ!!!」
タツヤが血を吐く。
だめだ……戦線が、限界だ。
「「「「タツヤ/先輩!!!!」」」」
「ごめん……私行かないと!!」
「“待ってシロコ、私も連れて行って”」
「で、でも……」
「“支援物資はたんまり持ってきた。役に立つはずだよ”」
「………信じても…いい?」
「“もちろん。それに…私、指揮は得意なんだよ”」
「…っお願い!」
「“任せて”」
「………ん!」
“タブレットを取り出す”
“……我々は望む、ジェリコの嘆きを。”
“……我々は覚えている、七つの古則を。”
「“手伝ってくれるかい…
『―――――――――』
「“自己紹介が遅れてごめんね。私はシャーレの顧問先生。さっきは即興の指揮に従ってくれてありがとう。よろしくねみんな”」
シロコちゃんが連れてきた大人。
連邦捜査部シャーレに就任した大人で、アヤネちゃんが苦し紛れに出した救援要請が受理されて来たらしい。
やめて欲しい。
反吐が出る。
一体どれほど見て見ぬふりをし続けたと思っているんだ連邦生徒会は。
あまりの腹立たしさに、思わず銃で撃ち殺しそうになった。
でも、その衝動を貼り付けた仮面の下に押し込む。
助けてくれたことに、変わりはない。
その思惑は、分からないけど……。
そんな内面はおくびにも出さず、みんなにバレないよう、チラリとタツヤを見る。
椅子に座って頬杖をついて、片目を開けて探るような視線をその大人に向けるタツヤ。
翡翠色の瞳と目が合う。
小さく、微かに頷いたタツヤに相槌を返し、内心を気取られないようにその大人に向かって挨拶をする。
できるだけ自然に、笑顔を貼り付けて。
「さっきはありがとね〜先生。私は小鳥遊ホシノっていうんだ〜」
この大人が私の後輩を、大切な人を傷つけるというのであれば、容赦はしない。
二度と、同じ過ちは繰り返さない。
タツヤがそっと立ち上がる。
私の隣に自然な流れでやってくる。
「シャーレの先公!!俺はタツヤ。さっきはサンキューな?後輩たちと仲良くしてやってくれよ!」
タツヤもまた、笑顔を貼り付ける。
口だけの言葉を吐き出して、その真意を見定める。
何が目的かは分からないけど……。
この大人の目的を必ず暴いて、徹底的に利用してやる。
ザ…
ザザ……
ザザザザ……
ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザァァァァァ…………!!!!!!
微睡む。
――アビドス風紀委員会、風紀委員長の歴舟タツヤだ。よろしくするつもりはねぇ。
――俺たち、絶対いい先輩になろうな。
――そんじゃ、またなホシノ。
――ったく、起き抜けにガキのお守りとか、俺はベビーシッターになったつもりはねぇぞアホ毛。
――ゲームしようぜ?
――そんな泣くなよシロコ。お前のせいじゃねぇんだから。これは俺のせいだ。いいな?よし、よろしい。
――新入生のお二人さん!!アビドス高等学校へようこそ!!歓迎するぜぇ!
――……なんか、アヤネって俺と会った事ある?…やっぱねぇよなぁ……。なんだろうな、親近感が湧くんだよ。性格全然ちげぇのに。
――セリカラーメン一つおかわり頼む!
――泣きべそかいてんじゃねぇよ、俺らがセリカを裏切ったなんて、思うわけねぇだろ?
――便利屋ぁ?ファイナルファンタジアⅦかよ…。
――……?あれ、お前あのときの赤髮眼鏡か!?
――銀行強盗……。マジかぁ…、一応俺風紀委員長なんだけど……。
――俺だけ留守番とか……。砂漠に近づけたくねぇのは分かるけどよ……。
――なぁアホ毛。俺、あの大人は悪ぃやつじゃねぇと思って来ちまってよ。
――おい、どこ行くつもりなんだアホ毛。
――っあの日交わした約束は、何だったんだよホシノ!!!!
――……よーし、よく聞け後輩達。最終目標は、アイツを連れ戻して一発ずつ殴ること。いいな…?
ぐるぐると回り続ける記憶が、
認識する。
『シャーレの先生が重体になってから、75日が経過しました』
ひっでぇ
どうしようもないくらい、救いようのねぇふざけた
『あの事件以降、破壊されたシャーレの建物では───蘇生の可能性について数々の議論が行われ───各医療従事者は───』
脳裏に刻々と呼び覚まされる
『───そ、速報です!!』
何がいけなかった……?
何処で間違えた?
『先生の意識が戻らなくなってから、100日が経過した本日───病院より緊急発表がありました───』
セリカは行方不明。
『世論はこのことに関して───』
アヤネは自らその生命を絶った。
『医療関係者は先生の回復は見込めないと判断───蘇生は不可能と───』
ノノミは連れ去られて、
『これ以上の延命は無意味であると───』
ホシノは…………………………………。
「なぁ、先公……。俺はあの時の選択を間違えちまったのか…?」
「俺は……弱いなぁ」
「……………」
「……先輩」
「……起きたか、シロコ」
「………もう…頑張らなくて…いいかな」
「………そう…だな、頑張らなくて……いいよ」
「……出かけるね」
「…………なら、俺も行くよ」
「………うん」
「…………ははっ…一番弱ぇ奴が、最後まで生き残ってんだから……皮肉だな」
「…………行こ、先輩」
“目を開ける”
“身体を起こす”
“(うまく口が動かない)”
“(前がよく見えない)”
“(身体がなんだか重い)”
“身体についている装置を外す”
“口を開く”
“ベッド横のシッテムの箱と、大事な物を手に取る”
“シッテムの箱の電源を入れる”
“やるべきことを伝える”
「先生、ごめんなさい……私のせいで」
「すまねぇ……先公。オレはもう……無理だよ……」
「私が間違ったせいで」
「オレが選択肢を誤ったから……」
「……わたし、が、いきて、いるから……」
「……………オレが…守れなかったから……」
これは、救いようのない話。
どう足掻いても、何をしようとも、変わることはなかった結末。
……初めから、
だから、
だから………。
――私のミスでした。
何処かで、そんな声が聞こえる。
曇らせのない、いわゆる日常回的なものを挟んでも良い?
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良き
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ダメ
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好きにしやがれ