ふと、思い出した。
元気で、活発で感覚派な彼女。腰まで届く綺麗な白髪に宝石のように美しい碧の眼を持った彼女。
可愛い物に目がなく、危ない魔物でも可愛ければ嬉々として抱きつきにいく彼女。
・・・・・・。
急に彼女のことを思い出した。
「何故だろうか?」
そのまま思い出に浸りたいなと思いつつも疑問が口をついて出た。彼女がこの家を出てからすぐの頃は思い出が頭をよぎることはままあった。でもそれは、200年くらい経ってからは無くなっていた。
だからこそ疑問に思った。
もしかしたら彼女のことが恋しくなったのか?とも思ったけどなんだか違う気がした。
コンコン
思考に耽っていると家の窓を叩く音が聞こえた。
椅子から立ち上がり窓の方に向かうと一羽の鳥がいた。最近手紙の運搬を担っているという噂の伝書鳩だった。
窓を開け、鳩が咥えている封筒を受け取ると、すぐに鳩は飛び去っていった。
鳩が飛んでいた夕空をしばらく眺め、手元に視線を落とした。それは差出人の名前の書かれていない簡素な封筒だった。
紅茶を淹れ椅子に座ると、丁寧に封を切り、封筒の中を覗くと三つ折りにされた3枚の紙が入っていた。
1番上の方にあった紙を取り出し開くと、少し丸っこい可愛らしい字が紙一面をびっしり埋めて尽くしていた。
私はその手紙を紅茶を含みながらゆっくり読んでいった。___________
この料理が美味しい。この景色が綺麗など、手紙には彼女が旅に出てからのことがいろいろ書かれていたが、何よりも「この魔物が可愛くてモフモフだ!」というのが1番多く6割を占めるくらいは書かれていた。
「ふふっ、彼女らしいや。」
ランタンを灯し無くなった紅茶を入れ直し、既に黒くなった空を背にそのままの勢いで2枚目の紙を取り出し読み始めた。————————
彼女は小さい頃、森で迷子になっている所を人間に助けて貰ったことがある。力があり、魔物に負けることはなかった。しかし、不安が彼女の心を蝕み、動けなくなっていた。そんな時、当時の彼女と同じくらい小さな女の子が手を引っ張って森の外まで連れ出してくれた。
そして、彼女は人間が好きになった。弱いからこそ助け合い、力を合わせて立ち向かうそんな姿に彼女は影響された。
人間がほろびそうになった時彼女は「今度は私が助ける番」だと言って出ていった。
そして、人間を救った。その後もその後も何度も滅びそうになるたび救ったのだ。
それなのに……。
グシャッ!!
視界が赤で滲んでいく。
「誰ヲ咒エバ良イ??」