まぁ、色々混ぜたせいでグダグダですが
それと次回の話はオリジナル(笑)なので、期待せずに待っていてください
ではどうぞ
「ちょっと待ちなさい」
鍵の放った言葉に対し、会長が険しい表情で待ったをかける。
「なんですか?」
「なんですか?じゃないわよ!なによそれ!?妄想じゃないんでしょうね!?」
「失礼な。俺がそんな妄想をするような男に―」
「見えないわけないじゃない!」
「…まぁ、それはそうですよね…」
まぁいままでの鍵の言動や性格を考えてみればそう思うのが妥当だよな
「でもそうは言っても、事実は事実ですからねぇ…」
そう言いながら鍵は席に着席して、ふんぞり返る。
皆、そんな鍵を呆然と見ている。
混乱している会長に代わって、知弦先輩が溜息を吐きながら鍵に対し確認をとる。
「ええと…キー君 それは見得を張ろうとしてついた嘘…というよりジョークでは…ないの?」
「む、失礼な。俺はいつだって真面目ですよ?」
「そういう発言が信じられないんだけど…」
「信じてください知弦さん。俺の言葉は、政治家が選挙前に掲げるマニフェスト並みに信用できますよ?」
「逆に信じられなくなったんだけど…というより、ニュー君はこの事知っていたの?さっきから驚いた様子が見られないんだけど」
「ええ、中学の時に詳しくでは無いですけど、鍵本人の口から聞きました。…その時はこんな性格じゃなかったんで、信憑性ありましたけど」
知弦先輩が額に手をやりながら俺に聞いて来る。
あの時は、鍵もこんなにチャラチャラした性格じゃなかった。むしろこの件についてかなり悩んでいて、かなり荒れた状態だった。
どうやら知弦先輩は信じてくれたようだ。しかし今度は、深夏が鍵の顔を覗き込みながら発言する。
「そりゃおかしいだろ鍵」
「?いったい何がだ?」
「だって…そのことが事実だったとしたら、今更自分で努力することなく環境に…というより、女に恵まれてたんじゃねぇかよ。なんでハーレムなんかを目標とする必要があるんだよ」
「あー…それはそのー…」
「あ、分かったぞ。そうか、フラれたんだろ?その二人ともに」
「違うわ!好意バリバリだわ!少なくとも一人は妹だぞ!義理とは言え家族なのにフラれてたまるかってんだ!」
「ええー」
深夏に限らず、他の皆も全く信じられないような目をしている。
それに不満だったのか鍵が鼻を鳴らす。
「いい機会だから言っておこう!この生徒会のメンバーはどうも俺を舐めているフシがあるが、出るとこ出ればかなりモテるんだぞ!」
「オカ○バーとかでか?」
「そんな特殊環境限定の魅力じゃねーよ!」
「なるほど、熟年層か」
「理由が分からんわ!」
「千の風にでもなったのか?」
「私は死んでなどいません!」
「あ、分かった。真冬ちゃんの書いているBL小説だな?」
「ちょっと真先輩!それは言わないでください!///」
「よし、とりあえず後で真冬ちゃんとはきちんと話し合わないとな」
「…じゃあいったい誰にモテてるんだよ…」
「普通にモテるんだよ!同年代の女子に!」
「………」
深夏は目をパチクリとさせ、真冬ちゃんにいたってはかなり驚いた状態で呆然としていた。
「そ、その発想は無かったですね…」
「ないの!?普通一番最初に出てくる発想だよね!?」
「世の中には科学では解明できないものも存在するんですね…」
「だね。これを解明するには、まず銀河系の誕生から解明しないと難しいレベルだね」
「酷い!真冬ちゃんは相変わらずサラリとひでぇ!てか真!そんなに大げさな話にするんじゃない!」
鍵が全力全開で『自分がどれだけモテるのか』を、生徒会のメンバーに対して熱く語っている。
そんな鍵を見かねたのか、会長が話を元に戻す。
「それで?杉崎がモテるのは…100歩譲って良いとして。義理の妹と…もう一人との話はどうなったのよ」
「あ、すっかり忘れてました…ええと、なんでしたっけ?」
「そんな存在がいるんだったら、ハーレムだのなんだの言わなくて良いんじゃないのかって話よ
「ああ、そうでしたそうでした」
そこで鍵が一区切りを入れるために、生徒会室に備え付けてあるポットで番茶を淹れている。
鍵が皆に「飲む人ー」と聞いている。しかし、全員早く続きを聞きたいのか、誰もほしいとは言わない。とりあえず俺だけはもらっておく。
そして、淹れた番茶を鍵が一口飲んで話を再開させる。
「まー、確かに中学のころの俺はあんまり女に興味が無い…と言えば御幣がありますが、飛鳥と林檎…二股疑惑の幼馴染と義理の妹以外の女には殆ど眼中になかったですね」
「え?杉崎って中学時代からそんな感じじゃなかったの?」
「んーまあそうですね。今の俺からエロ要素と妙なテンションの高さを抜いたら、中学時代の俺になる感じですね」
「え、なにその理想の杉崎。高校に入って以降メキメキ堕落していっているのね」
会長の言葉に対して少しムッとした表情を見せる鍵。
まぁ間違ってはいないんだろうけど、発端を作った人には言われたくは無いんだろうな。
会長はそんな鍵の様子には気にせず訊ねて来る。
「それで、自称カッコイイ杉崎は幼馴染と義理の妹に二股をかけて失敗したっていう話でいいの?」
「なんか引っかかるような言い方ですが…まぁそういうことになりますね」
「で、フラれたショックでエロゲに逃避して、今現在は新たなハーレムを形成しようと張り切っていると」
「はい、その通りです」
「…典型的な駄目男じゃない!」
「…………おおっ!」
「今気づいたの!?」
「今気づきました」
「どこまで堕落すれば気が済むのよ!あんたは!」
「いやぁ事実を省略して俯瞰してみると、俺ってなかなかに最低人間ですね」
「なにをヘラヘラと!副会長が最低人間なんてどうするのよ!」
「懐の深いこの生徒会に、乾杯」
「最低人間が、何をカッコつけてるのよ!しかも、その中身番茶でしょうが!」
シリアスな話の展開だったはずなのに、いつものやり取りにように鍵が会長に責められていた。
周りを見てみれば、俺を除いたメンバー全員も鍵に対してドン引きしていた。好感度がガンガン下がっていることだろう。
さすがにまずいと思ったのか、鍵が少し補足の説明をする。
「実際問題、俺は確かに最低なやつだったんですよ。なにせ…自分の命よりも大切な二人を、傷つけたんですから…」
『………』
鍵の言葉で会長はおろか、俺を含めた生徒会メンバー全員が静まり返る。そんな中、真冬ちゃんが最初に口を開く。
「で、でも、あの、その!真冬は…真冬は、杉崎先輩がそんな酷い人間だなんて、思いません!」
「真冬ちゃん?」
「それは、その、確かに真先輩と比べると杉崎先輩は女の子にだらしがないですけど……。でもでも、だからこそ、女の子を傷つけるようなことは絶対しない人だって、真冬は、思います!」
「…ありがとう、真冬ちゃん。でもね…傷つけたのは、事実だから」
「先輩…」
真冬ちゃんが悲しそうに鍵を眺めている。鍵も少し苦しい表情を浮かべつつ、話を続ける。
「まぁ、その…俺にとって二人ともとても大切で…両親以上の大事な二人でね。家族、って言うよりも…家族の中でも特に大事な人…みたいなカテゴリでさ。そんな二人だったからこそ…俺が傷つけたっていう事実は、忘れちゃ…いけないんだよ」
「先輩…。で、でも!」
真冬ちゃんがさらに何か言おうとするが、次の言葉がなかなか出てこない。そんな真冬ちゃんを見かねて、深夏が助け舟を出す。
「鍵。あたしも真冬の意見に賛成だ。あたしは…男子っていうのを信用はしていないし、お前のいい加減さも充分知っているけど、それでも、鍵が不真面目な気持ちで理由も無く女を傷つけるような下種じゃないって事だけは、確信しているからさ」
「深夏…」
「別に事細やかな理由を話せとは言わないけどさ…。多少の言い訳くらいは…しようぜ。少なくともここのメンバーは、お前の気持ちを汲み取ってやれるやつらだぜ?真にいたってはそう思ったからこそ、その事を話したんだろ?」
深夏の言葉にここにいる全員が、コクリと頷く。
鍵もそんな皆の対応に微笑み…口を開く。
「俺にとってはさ、その二人は…何よりも大事だったんだ。世界で一番愛している二人だった、と言っても過言じゃないくらいでさ。で、ある時に俺は幼馴染…飛鳥から告白されたんだ。俺も彼女のことを好きだったから、当然のように付き合うことになったんだ。でも妹は…義理の妹はそれが許せなかったようで、ちょっと事件が起きてしまったんだ」
「じ、事件?」
「すいません。詳しいことは、ちょっと勘弁してください」
「あ、え、えと、ごめん」
「いえ。ともかく色々とありまして…妹は、少し精神的に不安定になってしまいまして。入院生活を余儀なくされるほどに…」
「………」
「俺にとって妹もすごく大切な子だったから…林檎に付きっ切りの看病をするようになったんだ…彼女になったはずの、飛鳥を差し置いてすら…ね」
「それが二股って…周囲には言われるわけね?」
「はい、ご名答です」
「…なによ…それ…」
会長が鍵の説明を聞いて憤慨した様子で立ち上がり、鍵に言い放つ。
「なんなのよそれ!そんなの、二股でも何でもないじゃない!」
「いえ、二股ですよ」
「どこがよ!だって、だって杉崎は、入院中の妹を心配していただけであって…」
「たとえ行動的にはそうだったとしても、俺の心は…その頃、確かに分割されていましたから。飛鳥と林檎…二人の女の子を同時に大事にしようとして、破綻してましたから。それはやっぱり、二股って言うんだと思います」
「そんな…」
鍵の頑固とした主張に会長がシュンとなる。
そんな微妙な空気の中、知弦先輩が気を遣って話を進める。
「それで?結局キー君達はどうなったの?」
「…簡単ですよ。典型的な浮気男の末路です。『あっちを立てればこっちが立たず』っていう状況に翻弄されて、大事なものの順番をつれられずに、結果…」
その言葉を聞いて、知弦先輩さえも黙り込んでしまう。そんな状況でも鍵は、苦笑しながら、告げる。
「つまりは俺、杉崎鍵を主人公としたラブコメは一度、壮絶なバッドエンドを迎えたことがある…ってだけの話です。はい、以上で俺の過去話第一部、しゅうりょ~」
鍵 side
『………』
「うっ…」
な、なんか、生徒会室全体の空気が「ドヨ~ン」としている。前に少しこの事を話した真でさえ、いつもの笑顔ではなく深く沈んだ表情になっている…。
「あ、安心しろ!俺と飛鳥は付き合っていたとはいえ、手を繋ぐ段階までしか進んでいないからな!結局は、幼馴染以上の関係にはなっていないな!うん!」
「いや、そこに関しては誰も気にしていないから」
会長が淡々とツッコミを返してくる。それでもめげずに、俺は続ける。
「あ、それにほら、この事件を通して、今の俺になる決意を固めたんですから!だから、その、いい教訓になったと言うか
「なんなのよ、教訓って…」
あきれたような声を出す会長に対して、俺は少しだけ真面目な表情で、言葉を返す。
「もう大事な人間に無理に順番なんて付けようとしないって。いくら苦しくて、辛くても。大事なものは、全部この両手に抱えられるような男になってやるって…決意したんです」
真以外の皆がハッとした様子でこちらを見てくる。
「杉崎、まさか貴方、だからハーレムだなんて…」
「えっ、あー、いやー、その…」
なんだか、まずいこと言っちゃったなぁ…。こういうのは言ってしまうのはカッコ悪いじゃないか…。
ううう…、えーい!こうなったら話題を強制的に変えてしまえ!
「杉崎鍵物語、第二部!生徒会メンバー邂逅編、スタート!」
「はぁ?」
会長は状況についていけないのか、キョトンとした表情を俺に見せる。数秒考えた結果、話題に追いついたのか再び会長が話し始める。
「ちょっと待ちなさい、杉崎。邂逅編もなにも、皆との出会いって、今年の春に生徒会室で顔合わせしただけじゃない」
「いやいや、自分は中学の頃から鍵と知り合ってますから」
「あ、そ、そうだったわね…てことは、豹堂を除いたメンバーに関しては邂逅なんて―」
「いや、あたしは一年前の…初夏くらいだったか?とにかく、一年の時に鍵にあっているぞ。確かにあの頃の鍵は、今ほどエロスの塊じゃなかったな、うん」
「え!?そうだったの!?」
「私も、去年の秋に一度会っているわね…保健室で」
「ほ、保健室?」
「えぇ。…そこで私がキー君を…大人の男にしてあげたのよ」
「え、ええ!?///」
会長が知弦さんの発言に対して、顔を一気に朱色にする。
でも知弦さん…保健室であったのは事実ですが、そんな嬉しい経験をした覚えがないんですが…。
反応が追いつかない会長に対して、真冬ちゃんも追い討ちをかける。
「ここでは言ってませんでしたが、真冬も高校に入る前…中学3年の冬の頃に杉崎先輩と会っています」
「ま、真冬ちゃんまで…」
「はい、あの時杉崎先輩は…公園でコテリと倒れていました」
「何その出会い方!激しく気になるんだけど!てか、皆の出会いも気になる!なんで話さないのよおおおおおおおおおお!」
会長が自分だけ除け者にされていじけている。…そうは言ってもなぁ…。
「会長、会長」
「なによ!」
「うわぁ!あの…この状況でとても言いにくいんですが…」
「だからなに!これ以上に衝撃的なことなんて、なかなか―」
「あの、会長と俺も出会ってるんですよ以前に。あ、その頃は会長じゃなくて副会長でしたけど」
「ふぇ?」
「しかも、去年の春。つまり、真を除いたここのメンバーの誰よりも早く邂逅してます」
「え………。ええええええええええええええええええええええ?!」
会長の声が生徒会室を超え、推測だが廊下の隅まで聞こえる。
そうか…あの時この人、俺の顔をちゃんと見ていなかったな。
「ちょっと、どういうことよ!それ!」
「や!やめてください会長!気持ちが悪くなりますから!時系列順に話していきますから!落ち着いてください!」
会長が俺の襟首を掴んでぶらんぶらんと揺らしてくる。
とりあえず、会長が襟首から手を離してから俺は一つ嘆息して、最初の大きな出会い…真との邂逅を話す事にした。