生徒会の切札   作:ニヒト

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ようやく特別編終了です…ここまで書くのに月が変わってしまった…

しかも気づいたら番外編の中で一番文字数多いし…

ほんとお待たせしてスイマセン…待ってる人なんていないか

ラストは唯一の原作キャラ、椎名真冬です

今回の話は今までの特別編の裏側という感じから始まります

ではどうぞ~


バレンタイン特別編 椎名真冬編

「はぁー……手が冷たいです。先輩はまだでしょうか……?」

 

 寒さで白くなった息を、両手に吹き掛けながら私、椎名真冬は碧陽学園の正門前で背をもたれそう呟く。

 今日はバレンタインデー、真冬はこの日のために真先輩へチョコを渡すのを模索していました。

 それが何故朝に渡そうとしているのか、それには理由があります。

 確かに生徒会室で渡せば手間もかからないですが……ただ、お姉ちゃん達他の生徒会メンバーに見られるのが嫌だったんで……。

 そのために寒い中早起きして正門前で待っているのに、登校時間の15分前になっても真先輩が来ません。

 

「遅いですね……まさか今日は休みですかね?」

「あ、真冬ちゃんおはよう」

 

 そう俯きながら考えていると真冬を呼ぶ声が聞こえてきたので、思わず顔を上げる。

 声の主はお目当ての真先輩……ではなく、同じく生徒会メンバーの杉崎先輩でした。

 

「あ、杉崎先輩でしたか……」

「え、なんで俺が声をかけただけでそんなテンション下がってるの」

「いえ何でもないですよ。決して、真先輩じゃなくて残念とか思っていませんから」

「全部口に出ちゃってるし!まぁ、大体予想は出来てたけどさ……」

 

 真冬が何も考えずに言った言葉で杉崎先輩がかなり凹んでいました。

 でもすぐに回復して再び真冬に話しかけて来ます。

 

「もしかして、真の事待ってるの?」

「はい。約束とかはしていませんが……」

「あー……非常に言いにくいんだけど、多分待っても真は当分来ないよ」

「!?どうしてですか?なんで来ないんですか!?」

 

 真冬が勢い良く喋りだしたためか、杉崎先輩は困惑しながら喋りだしました。

 

「えっと、実はさっきここに来る途中に真に会ったんだよ。そしたら、その……」

 

 そこまで喋ってから、杉崎先輩は口を濁し始める。

 でも真冬が鋭い眼光で見続けるので、再び喋りだしました。

 

「それがさ、七海先輩が風邪引いたらしくてさ、偶然会った真が家までおぶって送るらしくて」

「七海……確か陸上部の部長さんでしたよね」

「う、うん、その七海先輩」

 

 杉崎先輩が若干ひきつった顔をしながらこっちを見てくる。

 どうして杉崎先輩がなかなか言ってこなかったのか分かりました。

 理由は一つ、真先輩が七海先輩と一緒に居るから

 七海先輩は前に生徒会が行なったラジオで真先輩にラブレターを送ってた人です。

 簡単に言えば、真冬の敵です。

 なのにその七海先輩が真先輩に家まで送ってもらっている。しかも、おぶって……ふふ

 

「フフフ……」

「ちょ、真冬ちゃん、何そんな怪しい笑い方してるの?」

「そんな事無いですよ?……おにぃ」

「その呼び方はやめてって言ったじゃん!」

 

 杉崎先輩が怯えながらこっち見ていますが何故でしょうか……?

 結局、真冬は真先輩が来るのを待たずに教室に向かう事にしました。

 ちなみに杉崎先輩は顔を青ざめ、ブツブツ小言を言いながら教室に向かっていき、真先輩は結局1分ほど遅刻したそうです。

 

 

 

 

 時は進んでお昼の休憩時間になりました。

 いつものようにアリスちゃんとお昼を食べてます。

 

『では本日の特別企画、ゲストさんに恋愛話を語って頂きましょう』

『げ、マジですか。これ絶対に言わないと駄目です?』

『駄目です♪』

『そんな清々しい位の笑顔で言わなくても!』

 

 真先輩と放送部さんのラジオでの掛け合いを聞きながら……。

 学校に来てから昼休憩までの間に真先輩にチョコを渡そうと試みましたが、他の生徒さんに囲まれていた様だったので断念しました。

 それで昼休憩に渡そうとしたら、まさかのラジオ放送のゲストで渡せませんでした。

 

「はぁ、今日は本当に運が無いですね……」

「どしたのユッキー、いつも以上にネガティブな発言して」

 

 真冬が深いため息をつくと、真冬の目の前に座っているアリスちゃんが声をかけてくる。

 彩城(さいじょう)阿璃朱(アリス)ちゃんは真先輩を通じての友人で、今では唯一無二の親友です。

 

「いえ実は、朝から真先輩にチョコを渡そうとしているんですが」

「大体分かった、つまりはシン先輩にチョコを渡そうとするが毎回タイミングが悪くて渡せないと」

「そうです、全くその通りです」

 

 アリスちゃんが言った事を聞きながら、真冬の臆病さに少し自己嫌悪を陥る。

 そんな考えを読んでか、アリスちゃんが優しい笑顔を見せながら話しかける。

 

「ユッキー、タイミングなんて関係ないよ。そんなもの考えてたら渡せる物の渡せないよ?」

 

 そう喋った上で、今度は小悪魔の様な表情を見せながら囁いてくる。

 

「ユッキーはシン先輩が好きなんでしょ?」

「!?な、なななななな」

「良いよ良いよ、みなまで言わない。そんなに好きなら分かるでしょ、シン先輩がタイミングなんて気にしないって事。恥ずかしがらずに渡しちゃいなよ」

「……そう、ですよね」

 

 そうですよね、タイミングなんて関係ないです!

 こうなったら恥ずかしがらずに生徒会室で渡してやるです!

 それに気づかせてくれたアリスちゃんにはお礼を言わないと!

 

「アリスちゃん、ありがとうございま―」

「ちなみにあたしはとっくに渡しておいた」

「アリスちゃんのバカアアアア!!!!!」

「あ、ちょ、ユッキーィィィィ!」

 

 アリスちゃんも今日のイベントの敵だったのですね、そうだったのです!

 でも、アドバイスはありがたくいただきます!

 

 

 

 そして、待ちに待った放課後の生徒会室で、来てすぐに渡すつもりだったんですが……。

 

「え、真先輩は今日は欠席ですか?」

「そうだよ~、今日は映研に顔出すんだってさ~」

 

 ほ、本当に今日は運が無いですね……なんでこうもタイミングを逃すのでしょうか?

 動揺しすぎて思わず会長さんの肩を掴みかかる。

 

「なんで、なんで今日に限って止めなかったんですか!?」

「ちょ、真冬ちゃん落ち着いて!止めるもなにも、昨日から今日は来れないって言ってたでしょ~」

 

 あ、そういえば昨日オンラインゲームのチャットでも言ってましたね。

 うぅ……完全に失念していました。

 このままだと渡すことが出来ません……真先輩のお家を知りませんし。

 ……いや、今日は確かゲームの発売日でしたよね?

 もし予約しているとしたら、真先輩のバイト先に行くかもしれませんね。

 ならこの後に行ってみるのもアリかもです!

 

 

 

 

 という訳で、生徒会が終わって一度映研に行ってからゲームショップに来ました。

 そして今は外から店舗の中を確認すると、真先輩の特徴的な金髪を簡単に見つかりました。

 しかし真先輩は何処かで見たような女の子と喋っていました。

 

『ばぁか、ゲームってのは発売日に購入して、その日の内にクリアするもんなんだよ』

『馬鹿はお前だ、ばぁか』

「楽しそう、ですね……」

 

 二人の会話を聞きながら、真冬は少し頬を膨らませる。

 真先輩は真冬と話すときは優しく話してくれてはいますが、今みたいなふざけあう様な感じで話してくれた事は無いのでちょっとジェラシーです。

 ……ここで待ってましょうか。楽しそうに話してますし。

 ……うん、そうしましょう。

 そう心の中で自分を納得させ、そこを離れ――

 

「HEYHEYカーノジョー」

「きゃっ!な、なんですか!」

「いーや?ただ暇そうな君に声をかけただけだよ☆」

「フフフ、び、美少女、フフフ」

 

 ようとすると突然に三人組に声をかけられました。

 服を見ると、見覚えのある音吹高校の制服でしょうか?

 それにしても気持ち悪いですね、こんなのは無視しておくのが一番です。

 

「すいません、真冬用事があるので失礼します」

 

 ガシッ

 逃げようとすると、一番最初に声をかけてきた変態さんが真冬の腕を掴んできました。

 

「いーじゃーん、ちょっとお茶しよっていってるだけだっTE」

「いや!離してください!」

 

 真冬は声をあげますが、周りの通行人は見てみぬふりで誰もこっちを見てくれません。

 恐い……恐いです、助けて……!

 

「セイヤァァァァ!!!!!」

「イェァァァァァ!?」

 

 そんな掛け声が聞こえると、真冬の前を金色が通りすぎて真冬を囲んでいた一人を吹き飛ばしました。

 そんな事をして”金色”が該当するのは……

 

「ヤッホー、真冬ちゃんおはよう。いや、時間的には”こんばんわ”かな」

「ま、真先輩!」

 

 そんなやり取りをしている内に吹き飛ばされた変態が真先輩を睨みながら立ち上がりました。

 

「HEYHEY、やってくれんじゃねぇか!ナイト気取りとかふざけんじゃねぇZO!」

「……ここに取り出したるは何の変哲もない100円玉」

 

 真先輩はそう言いながらポケットから小銭を取り出す。

 そしてそれを真上に弾き、落ちてくる硬貨を人差し指と中指で挟みがら

 

「さて、この100円玉に力をこめると……そぉい!」

 

 力をこめると真先輩が持っていた硬貨が、半分に曲がる。

 

『!?』

「ふぅ……さてお前ら、こうなりたくないなら……さっさと失せやがれ!」

 

 普段は温厚な真先輩の口から怒号が響く。

 そして一瞬体がビリビリするほどの声に、真冬を囲んでいた変態さん達は身体が震えている。

 

『す、すいませんでしたあああああ!!!!』

 

 そう言葉を残すと、三人とも走って逃げ出し、先輩はそれを見送りながらため息つく。

 

「はぁ……あいつら音吹の生徒か?あいつが会長になってから大人しくなってたはずなんだけど……」

 

 そこまで喋ってから、真冬が呆然としているのに気付いた様で心配そうに見つめてくる。

 そんな真先輩を見てると、少し目がうるうるしてきます。

 

「あ、真冬ちゃん大丈夫?もうちょっと早く気づいてあげればよか、イィ!」

「……」

 

 お、思わず抱きついてしまいました……どうしましょう?

 先輩も真冬が抱きついたのに面食らったようで変な声をあげます。

 

「ま、真冬ちゃ、あの、ちちち、近いよよよよよよ?」

「……かった……」

「ど、どうした、の?」

「怖かった……です」

「……そうだよね、怖かったよね?」

 

 真冬が小さくそう言うと、先輩が頭を撫でて落ち着かせてくれました……。

 

 

 

 

 

 その後、先輩と一緒に近くの公園のベンチに移動しました

 この公園は一年程前に倒れた杉崎先輩を助けた場所でもあります

 あの時はその少し前に出会った金髪さんの様になりたいという思いが強かったです。

 その金髪さんが真先輩だと知って、知り合えて……嬉しかったです。

 嬉しかったですけど、まだ真先輩は真冬に心を開いたようには思えません。

 さっきみたいに普段とは違う、荒々しい面を見せてはくれませんが、どうしてなんでしょう?

 そんな事を考えていると真先輩が腕に提げてた袋を見せながら話しかけてきました。

 

「あ、そういえばバイト先に来たって事は、これ買いに来たの?」

「いえ、違いますよ。目的は……」

 

 そこまで言うと、朝から先輩に会えなかった苛立ちと、さっき思わず抱きついた恥ずかしさとで頭が混乱して悪戯っぽい口調で喋り始めてしまいます。

 

「本当だったら朝から先輩に用事が有ったんですけどね~」

「え、マジで?」

「そうですよ~……なのに先輩は、朝から他の先輩にかまって遅刻して、お昼は公衆の面前でイチャイチャして、放課後は放課後で生徒会すっぽかして―」

「ごめん、なんか恥ずかしくなってくるからやめて下さい何でもしますから」

「何でも……ですか?」

 

 そう言うと先輩が苦虫を潰したような顔をしながら「あ、やべ」と呟くのを、真冬は聞き逃しませんでした。

 なら、周りに誰も居ませんし少しだけ積極的にならせてもらいます。

 

「だったら、もう一度真冬を抱き締めてください」

「え、い、いやなんで?さっきのは混乱してたからだし、第一真冬ちゃん男苦手でしょ?」

「えぇそうです、今先輩の横に居るだけでも震えが出てきてしまいそうです」

「だ、だったら……」

 

 一瞬先輩が喜んだ様な表情を見せる。

 でもそんな表情を見せる先輩にムッとしながら、言葉を続ける。

 

「でも、さっき先輩に抱きついた時は凄く落ち着けたんです!だから!」

 

 そう言いながら、真冬は先輩を見ながら手を広げる。

 先輩は顔を真っ赤にしてますが、多分、真冬の顔も真っ赤です。

 でも、こんな形でも良いから先輩を感じていたい。

 真冬が動かないのを見て、先輩も心を決めたのか少しずつ近づいて囁いてくる。

 

「そ、それじゃ、いくよ……?」

「は、はい……」

 

 ギュッ

 さっきみたいな衝動からではなく、自分からだからか心臓が凄くドキドキします

 でも耳元から聞こえてくる先輩の胸も、かなりドキドキしてます

 抱き付いたのはほんの数秒でしたが、真冬にも、おそらく先輩にもかなり長いように感じられました。

 お互いに顔は真っ赤ですが、今日の目的はこれじゃないです。

 鞄を焦って探りながら、目的の物を探し出し取り出す。

 

「先輩、抱きつくのも嬉しいですけどこれが本命です。一応手作りですけど……チョコ、どうぞ」




はい、というわけで特別編が終了しました

今回の特別編、企画し始めたのがバレンタイン直前だったのもあってストックがない上にバイトが異常に忙しかったのもあって読者の皆様に大変ご迷惑をおかけしました、ほんとに申し訳ございません

またいつか企画をするときはきちんと計画を立ててからにします…

次回の投稿に関してなんですが、本編に限りなく近い番外編を投稿します

ただ次は過去に他のサイトで公開したものをそのまま投稿するので、若干原作とは違う設定が出てくると思いますので、その辺はご了承ください
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