そのため短めです。
今後も出来るだけ投稿しようとは思っています。
それとこれまで書いていた存在しえない○○は文字数制限のため省略となります。
そのため書く予定だった内容を今回の冒頭に記載しています。
変身する生徒会①
「先生、提出プリント集めてきました」
「あら委員長、ありがとう。仕事早いわね」
「いえ、それが仕事ですから……あれ、何見てるんですか?」
「ん?あぁ、これ?姉妹校との国内留学用のパンフレットよ」
「国内留学?そんな制度ありましたっけ」
「学園長が思い付きで始めたのよ。今のところ希望者はゼロだけどね」
「なるほど……ちょっと見せてもらってもいいですか?」
「いいよ。興味あったら応募してみる?一年のあなたがいきなり学校離れるのはどうかとも思うけど」
「確かにそうですね。興味はありますけど遠慮し……」
「ん?どうかした?」
「……あっ、いえ、なんでもありません」
「そう、そろそろ授業始まるから教室に戻りなさい」
「はい、失礼します……先生」
「なに?」
「放課後、国内留学に関しての説明を受けてもいいですか」
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「団結力というものは、時に全ての悪を打破するのよ!」
会長がいつものように小さな体を精一杯使って、なにかの本の受け売りを偉そうに語っていた。
いつものように、とは言ってもかなり久しぶりな気が――うん、気のせいだろう。
「おお、その通りだぜ会長さん!正義の絆は、何よりも強い!」
会長の言葉に対して、俺の左隣に座っていた深夏がノリノリで応じる。
おそらく『正義の絆』というフレーズが深夏の琴線に触れてしまったのだろう。
それに対し我らが会長様は満足気に頷いている。
早速脱線気味だが大丈夫なのだろうか?
そんな俺の心配を読み取ったのかは分からないが、深夏と会長の間に座っている鍵が軌道修正にかかった。
「えっと、今日はたしか……夏休み前の全校集会でやる『出し物』の話し合いでしたよね。毎年恒例、生徒会役員による寸劇でしたっけ?」
「そうそれ!!」
大きく叫んだ後、会長は背伸びをしながらホワイトボードに勢いよく"出し物について"と書いていた。
あー……そういやそんなのもあったなぁ。
そんな集中して見るものじゃないからそこまで覚えてなかったわ。
一人で納得していると、右隣に座っている真冬ちゃんが控えめに質問をしてきた。
「あの、どうして生徒会による寸劇が毎年恒例なんですか?」
「うーん……詳しい理由は分からないけど、うちの生徒会が特殊だからじゃないかな」
「特殊というと?」
「ほら、うちの生徒会って人気投票でしょ?そうなると真冬ちゃん達みたいな可愛い子達をステージで見たいって気持ちがあるんじゃないかな」
"今年は俺と鍵って例外がいるけどね"と補足すると、真冬ちゃんはあまり納得出来てなさそうな表情をする。
「まぁそれもあるらしいけど、元々は夏休み前に堅い挨拶も芸がないってことで昔の生徒会がちょっとしたイベントとしてやったのがキッカケらしいぞ」
「え、そうなのか。そういう話は初めて聞いたな」
「あたしも人づてで聞いたから真偽は分からないけどな。んで、前の代がやったことは大体次の代もマネするから」
「気づいたら伝統になってしまった、と。面倒くさいしてくれたなぁ歴代の生徒会……」
「まぁそう言うなよ。別にやらなくても問題はないけど、あたし達の代で終わらすのはなんか嫌じゃないか?」
「うーん、そういうもんか?」
「何を言う!」
俺と深夏が話していたことを聞いていたのか、鍵が勢いよく立ち上がる
「美少女達がステージで脚光を浴びる絶好の機会!やらなくて問題ないわけがない!」
「お前去年は注目してなかったじゃねーか」
「去年の今頃は色々余裕がなかったからな!しかし今年は別!俺のハーレムメンバーがスポットライトを浴びる……その機会を逃してたまるか!」
「……俺も壇上に上ることになるはずだけどメンバーに入ってるわけないよな?」
「大丈夫だ!真は脳内でいないこととして処理するからな!」
「ひでーなおい」
鍵は全力で主張するが、俺を含めた生徒会メンバー全員から冷たい視線と沈黙を浴びせられる。
そして少しの間があってから会長が呟いた。
「……今年は杉崎も出る側だけど?」
「…………」
「つまり、観客視点でゆっくり会長達を鑑賞しているひまなど無いと」
「な、ナニィィィィィィ!?」
叫ぶと同時に真っ白になり項垂れる鍵。
「あのさぁ、さっき俺が壇上に上がるかもって言った時にお前も上がる可能性は考えなかったのかよ」
「全く考えてなかった……真は去年も出てたし……」
「俺は手伝いでなぜか駆り出されただけだって」
「生徒会に在籍しているばかりに、生徒会が主催するイベントを素直に楽しめないとは……なんというジレンマ!」
「杉崎は無駄に叫ばない。とにかく、今回の演目について話し合うわよ」
そう言いながら会長が淡々と会議を進め、鍵も諦めたのかしぶしぶ会議に加わった。
……何か考えてそうだが、大丈夫だろうか。弥生辺りに監視してもらうか。
「差し当たっては演目を決めようと思うのだけど」
「あれ、会長いつもみたいに『これやるわよ!』ってこないんですか」
「たしかに、いつもは大体何やりたいか出してから議論はじめるのに」
「ううん……特にやりたいことないっていうか……」
鍵や俺の疑問に対してしかめっ面で唸る会長。
ハッキリしない会長を見かねた知弦さんが補足してきた。
「アカちゃんも私と同じであんまり乗り気じゃないのよ。去年、アカちゃんは台本おぼえるのに苦労したからね」
「ああ、なるほど」
「そういえば去年かなり悪戦苦闘してましたね。アドバイス求められましたけど」
「え、なんてアドバイスしたんだよ」
「ひたすら長時間音読して覚えろって言ったけど」
「出たよ、ショートスリーパーだからこその積み込み……それ他の人じゃマネできないから」
「多分それも原因の一端よニュー君」
「良いんだけどなぁ……積み込み法」
そんな会話をしていると会長が気持ちに全員に呼びかけた。