「夏休みは九州の旅は楽しみだよ」
と、千歌は言った。
「今回は、観光列車はやとの風にも乗れるなんて夢見たいだよ」
「わくわくしてくよな」
「うん」
千歌たちの夏休みの九州旅行の日程は次の通りである。
1日目 新幹線と特急に乗り継いで鹿児島を観光
2日目 鹿児島中央から観光列車はやとの風に乗って霧島へ
3日目 鹿児島中央から特急きりしまに乗り大分から九州横断特急に乗って阿蘇へ向かう
その後、阿蘇を観光し、熊本へ
4日目 熊本を観光して特急と新幹線に乗り継いで帰郷
博多駅にて
11時10分、歩夢たちが乗った特急リレーつばめ9号は博多を発車した。
ファーン!!
特急リレーつばめの車両は1992年7月に運転開始され、東京から西鹿児島へ結ぶ特急つばめとして運転開始された。リレーつばめは、かつてJR九州が博多駅~新八代駅間で運行していた特急列車です。2004年の九州新幹線(新八代~鹿児島中央間)部分開業に伴い、新幹線と在来線をスムーズにつなぐ連絡特急として登場し、新八代駅では新幹線つばめと同一ホームで対面乗り換えができる画期的なシステムを採用していました。車両は787系で運転されている。
「わくわくしてくるね」
「うん」
「でも、千歌ちゃんたちと一緒に旅行へ行けれるのは久しぶりだね」
と侑は言った。
「今回は九州新幹線に乗って鹿児島へ行けれるんだから」
「そうだよね」
「鹿児島へ行ったら霧島温泉だよ」
「それにはやとの風にも乗れるんだから」
「ルビィちゃん、一度は乗ってみたかったんだよね」
「うん、ルビィも一度は乗ってみたかったんだよ。わくわくしてきたよ」
とルビィは言った。
「私も一度は乗ってみたかったんだよ」
「うん、本当だね」
「ルビィ、鹿児島と熊本、楽しみになってきたよ」
「わくわくしてきたわよ」
そんななか、曜が戻ってきた、こんな風に言いながら。
「千歌ちゃん、ルビィちゃん、南さんから連絡がきたよ!!」
「えっ、本当!!」
「なんか、幻の駅弁を予約したって!!」
「うわっ、なんかうれしいな!!」
と千歌、ルビィ、ともに喜びだした。ここに出てくる南とは千歌たちの友達であり、鉄道公安隊東京公安局公安特捜班公安主任という警察みたいな人である。その南も千歌たちの旅行に同調してか、鹿児島まで来ていたのである。
そんな千歌たちに対し侑と歩夢はこんなことを言ってきた。
「あの幻の駅弁が食べれるなんてなんかうれしい」
「どんな駅弁なのかな?」
楽しみながら話していると曜がこんなことを言ってきたのである。
「そういえば今日は金曜日だよね」
「たしかにそうだけど・・・」
「たしか、今日もはやとの風は運行しているよね」
「うん、そうだよ」
今は夏休み、そのこともあり、通常なら土日祝日限定運行のはやとの風も毎日運行していたのである。
その後、新八代駅に到着した千歌たちはホームの向かい側に止まっていた。新幹線つばめに乗り換えたのである、こう言いながら。
「なんか2列+2列の席の配置って新幹線でも珍しいよね」
「まぁ、これが日本でも一番新しい新幹線だもんね」
「日よけが竹のすだれなんて珍しい~」
「たしかにそうかも」
今から乗る九州新幹線は800系といい、通常の新幹線(普通車)は2列+3列とシート配置のところ、2列+2列の配置になっているのである。また、窓に設置されている日よけ(ブラインド)も木製を採用するなど和をメインとした内装でも注目を集めていた。ただし、このときの九州新幹線は新八代~鹿児島中央だったこともあり、長時間乗ることもなかった。約45分後には鹿児島中央に到着するものであった。あまりに短時間ということもあり、グリーン車は未設置だった。
とはいえ、新幹線ということもあり、千歌はこんなことを言った。
「在来線よりもはやく到着するからあっというまだったよ」
九州新幹線が開通する前、在来線の特急つばめは八代~西鹿児島間を2時間ぐらいで走破していた。それと比べてみても新幹線効果は素晴らしいといえるだろう。
そんなこともあり、千歌たちはこんなことを言っていたのである。
「とても速かったから、この列車の凄さを感じるには速かったよ」
「これが博多までくればとても速いんだよな」
「もうしばらくこの列車を堪能したいよ」
千歌たちはこの列車を十分といえないくらい堪能したくなるような気持ちになったのかもしれない。それくらいこの列車の速さはとても速かったのである。
千歌たちはその後、維新ふるさと館を見学していた。この博物館は明治維新と中心に薩摩藩や日本の歴史についての展示をしているところである。目玉の展示はロボットを用いた劇である。
そんな展示を見ていた歩夢たちはこんなことを言った。
「まるで本物がいるかのような劇だったね」
「たしかにそうかも」
「もっと見ていたかったね」
そんななか、千歌はルビィと曜に向かってこんなことを言っていた。
「あともう少しで南さんと合流できるね」
「なんか南さんと会うのって久しぶり!!」
「ルビィ、とても楽しみにしているよ」
そんななか、
ルルル
という千歌のケータイの着信音が鳴った。これには、千歌、
「はい、千歌ですけど」
と言うと、ケータイから南の声が聞こえてきた。
「千歌、大変すまん。事件が起きてしまった」
これには、千歌、
「えっ、そうなの」
と答えると南はこんなことを言ってきたのである。
「あぁ、ちょっとはやとの風で事件が起きた。毒殺未遂事件だ」
これには、千歌、
「ふへ~、そうなの」
と言うと南はこんなことを言った。
「そのため、俺は今から事件現場に行かない。そのため、合流するのは難しいだろう」
これには、千歌、
「わかった。それじゃ合流できるようになったら教えてね」
と言い残すとその電話を切ろうとしていた。
だが、そのとき、南のある言葉で千歌は絶句してしまう。
「あと、幻の駅弁は食べれないかもしれない」
「えっ、うそ・・・」
夜、南は事件現場から千歌たちが泊まるホテルに直行、千歌たちは事件のあらましを言っていたのである。
「実はな、幻の駅弁といえる嘉例川弁当のなかに毒が盛られたんだ」
これには、千歌、
「えっ、うそでしょ!!」
とこれまた絶句していた。嘉例川弁当、それは(はやとの風も停車する)肥薩線嘉例川駅で販売されている駅弁である。九州新幹線開通に伴うはやとの風が誕生したことを記念して作られた駅弁である。九州の多くの駅弁が競い合う駅弁グランプリにおいても3年連続1位を獲得するくらいとても有名な駅弁であった。ただし、1日当たり100食しかつくられないため、駅弁通のあいだでも幻の駅弁といえるくらいのものだった。そんなこともあり、はやとの風に乗車してくれる乗客であれば乗車の2日前までに予約することが可能だったのだ。
まぁ、嘉例川弁当の紹介はさておいて、南の報告は続く。
「ある夫妻の緒方幹夫さんの妻である風子さんが嘉例川弁当を食べたのだけど、そのとき、具合が悪くしてしまったんだ。そのため、すぐに病院に直行したおかげもあり、命に別状はなかったのだけど、あまりに苦しそうになったために風子さんが食べた嘉例川弁当を調べたんだ。すると、そのなかから毒が検出されたんだ」
これには、曜、尋ねる。
「風子さんが助かったのはよかったけど、どうしてそれが嘉例川弁当を食べられないことにつながるわけ?」
これには、南、こう答えた。
「嘉例川弁当に毒が入っていたんだ。これはもしかするとテロになるかもしれない。その予防的処置として保健所や警察から営業停止をもらう可能性があるんだ」
その南の言葉に、ルビィ、こう答えた、悲しそうに。
「ルビィ、それ、とても悲しいよ。あの幻の駅弁を食べる機会なんてもうないのに・・・」
だが、そういっても状況は変わらない。そのため、南はこんなことを言った。
「俺も嘉例川弁当を食べれるようにしたいが一捜査員の力じゃなぁ~」
これには歩夢と侑も悲しそうに言った。
「どうしたら食べれるの?」
「なにか策はないのかな」
この2人の言葉に南はこんなことを言った。
「毒の入手経路さえ分かればなぁ」
すると、千歌がこんなことを言ってきた。
「ならば、千歌がこの事件を解決してみせる!!」
これには、曜、ルビィからも、
「たしかに私たちならいけるかも!!」
「がんばルビィ!!」
と千歌の後押しをしてしまった。これには、南、
「たしかにそれはそうなんだけど・・・」
とちょっと落ち着こうと3人を諭そうとしていた。
千歌たち3人の動きは速かった。千歌はすぐに南と一緒に来ていたのもの事件現場の近くの警察に待機していた梶山に連絡。
「なにか分かったことなんてないのかな?」
これには、梶山、こう答えた。
「今のところ、犯人は見つかっていません。ただし、被害者の風子さんの夫、幹夫さんが嘉例川付近の出身であったことは分かっています」
この言葉に対し曜はあることを尋ねてきた。
「幹夫さんと風子さんの仲ってどうなの?」
これには梶山はこう答えた。
「う~ん、たしか、そこまで仲良し夫婦ということはありませんでしたが・・・」
これには、ルビィ、こう尋ねた。
「それじゃ、今回の夫婦の旅の目的ってなんだったのかな?」
これには、梶山、こう答えた。
「たしか、2人とも最近まで仲違いをしていたのですが、夫の幹夫さんが仲直りをしたいからって2人で里帰りしたみたいなんです。それでとても人気のある列車があるからって嘉例川弁当を幹夫さんが予約してはやとの風に乗車されたと言っています」
これには、千歌、こう答えた。
「なんか幹夫さんが怪しくなったよね」
だが、これには、南、こう答えた。
「たしかに幹夫さんは怪しいけど、嘉例川弁当に毒を入れることなんて難しいことだぞ。嘉例川弁当はちゃんとした会社が作っているのだからな」
たしかに嘉例川弁当はちゃんとした駅弁を作っている会社が製造していたのである。そのため、駅弁の時に一緒に買うお茶とは違い、すぐに弁当のなかに毒を盛ることなんてできなかったのである。
ただ、これで止まらないのが千歌たちであった。
「それだったら嘉例川弁当を製造している駅弁屋に電話しよう」
この千歌の言葉に、南、
「おいおい、ただでさえ大変な時なのに今電話したらあちらに迷惑だろうが」
と言おうとしているなか、曜とルビィは千歌のケータイを使い、
「今から嘉例川弁当を作っている駅弁屋に電話します」
「なんか分かるかもね」
と嘉例川弁当を製造している駅弁屋に電話してしまった。これには、南、
「おいおい」
と呆れ顔をしていた。
すると、千歌のケータイからこんな声が聞こえてきた。
「はい、〇〇屋です」
この駅弁屋のスタッフの声がした後、曜はこんなことを尋ねてしまった。
「今日、そちらで作られている嘉例川弁当で毒物事件が起きたのですが、それって本当ですか?」
これに駅弁屋のスタッフはこう答えた。
「たしかに毒物事件が起きましたがこちらとしても困っているのですよ。だって・・・、〇〇と〇〇しか・・・」
この言葉に曜とルビィは絶句する。
「えっ、それって本当ですか」
これには、駅弁屋のスタッフ、
「たしかにその通りです」
と答えるとすぐに千歌のもとに言った。その曜とルビィが千歌に対し、
「千歌ちゃん、この事件、すぐに解決できるかも。だって・・・」
とある事実を伝えると、千歌、すぐに泊っているホテルのロビーに行き、ホテルのフロントマンに対しこう言ったのである。
「フロントマンさん、申し訳ないけど、パソコンを貸して・・・」
この言葉にフロントマンはすぐに、
「はい、分かりました。すぐにパソコンのところにご案内します」
と言ってパソコンのあるところまで千歌たちと南を連れて行ったのである。
そして、パソコンがあるところに到着するなり、千歌はすぐに梶山に電話であることをお願いしたのである。
「梶山さん、すぐに事件に使われた嘉例川弁当と本物の嘉例川弁当の写真を今から指定するアドレスに送ってくれないかな」
これには、梶山、
「なにかわかったのですね。分かりました!!」
とすぐに2枚の写真を送ったのである。
この2つの写真はすぐにホテルのパソコンに届いた。この2枚の写真を見て千歌はこう答えたのである。
「たしかに2つの写真は似ているけどちょっと違うね。もしかすると犯人もわかったかも」
これには、南、
「えっ、それって本当なのか」
と言うと、曜、ルビィともに、
「これで事件解決だね」
「がんばルビィしたもんね」
と答えていた。