【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~   作:初雪空

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秘密の女子校で、1週間の滞在。
けれど、そこには世界を滅ぼす存在の召喚儀式があって……。

「異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件」の3巻目は、誰もが疑わしい!?
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第17話 ここを殺人事件の現場とする!

 早足で歩けば、追いついた相良(さがら)音々(ねね)が怒る。

 

「ねえ!? 2人だけで訳知り顔するの、本当にやめてよ!」

 

 仕方なく、渓谷のダイビングスポットへ向かいつつ、説明する。

 

「この柳ヶ淵(りゅうがぶち)村の天女伝説、ロッジの傍にある石碑を見ました?」

 

「あ、うん……。最後は人魚になったやつ?」

 

「ええ! あれ、昔にここを訪れた防人(さきもり)の女が村に捕らえられ、孕まされたあげくに殺されたって話です。死体はたぶん、ロッジにある沼の底」

「はぁあああっ!?」

 

 相変わらず、うるさい先輩だ。

 

「今、俺たちは危険なエリアにいます! いちいち騒ぐのなら、もう喋りません」

「……ご、ごめん! 続けて?」

 

「防人の風鳴(かざなり)学院を除いて……。村が全て敵! 以上」

 

 反射的に叫ぼうとした音々は、ハッと気づき、両手で口を押さえた。

 

(この任務に、一番向いていない人が来たな……)

 

 呆れつつ、立ち止まる。

 

 釣られて、女子2人も。

 

「1つずつ、説明しますね?」

 

 コクコクと頷く、音々。

 

 それを見ながら、解説する。

 

「村で言っていた『御供(ごくう)さん』は、人身御供のことです。『昔の防人の女が湖に住み着いた水龍を倒した』というくだりは、たぶん本当」

 

 しかし、それだけで終わらない。

 

「立ち去ろうとした女は、理由は不明ですが、村に住み着いた」

「村としては、水源をどうにかするため、だろうね?」

 

 西園寺(さいおんじ)睦実(むつみ)が突っ込んだ。

 

 首肯しつつ、現代の説明へ戻る。

 

「同じ防人なのに、俺を無視して……。というより、後回し! 対して、先輩と睦実には異常なまでの歓迎ぶりだった。その理由は、初代の天女と同じ目に遭わせるから。つまり、お供えだったわけです」

 

 ポカンと口を開けた、音々。

 

 我に返って、反論する。

 

「で、でも! 今は昔とは違うよ!? そんな馬鹿なこと――」

「先輩? この村を見て、どう思った?」

 

 睦実の指摘に、音々は黙り込んだ。

 

「昔みたいと思ったよね? そういうことだよ」

 

「でも! よ、呼び方だけで、大げさな……」

 

 睦実は、音々に向き直った。

 

「相良先輩……。そのセリフ、風鳴の人に言える? 地元でずっと事件解決を目指していて、女子3人が行方不明なんだよ?」

 

 頭を殴られたような感じの音々は、ショックを受けたまま。

 

 片手を頭に添えたまま、ボソリと呟く。

 

「じゃあ、行方が分からない水島(みずしま)って男子も? 警察を呼んだほうが……」

 

「残念ですが、この村に関わりたくない方針だそうで! 隣の佐木霜(さぎしも)村の駐在が言っていたよ。だから、風鳴の被害も、泣き寝入りだとさ」

 

 小さく震え出した音々は、思わず言う。

 

「う、嘘でしょ!? 現代の日本で、そんなことが……」

 

 パニックになりかけた彼女のため、要点を言う。

 

「県警を動かしたければ、死体が必須」

「すぐ見つかる場所とは思えないけど! 原型を留めていないだろうし」

 

 睦実が、あっさりと切り捨てた。

 

 落ち込んだ音々に、俺たちの覚悟を告げる。

 

「いいですか? 俺と睦実は、必要があれば、この村を消します」

 

 音々は、反論せず。

 

 凄みのある笑顔で、睦実も念押し。

 

「ボクと駿矢は、いざとなれば地形ごと潰すから! 先輩は巻き込まれないよう、隣村まで逃げてください。御神刀を完全解放した後は、そちらを気にする余裕がないから」

 

「……分かった」

 

 音々は、しょんぼり。

 

 睦実が、指摘する。

 

「先輩が『説明しろ』と言ったから」

 

「それね? ごめん! 私、ちょっと怖い……。怖いよお……」

 

 耐えきれなくなったようで、目を閉じたまま、深呼吸する音々。

 

 やがて、パンパンと自分の頬を叩いた。

 

「よしっ! 君たちは犯人も目星がついていそうだけど、これ以上は教えないで! 私、ぜったいに警戒しちゃうから……。今後も、氷室(ひむろ)くんがリーダー」

 

「了解……。先輩には、全てが終わり、国武(こくぶ)へ帰ってから」

 

「うん! そうして」

 

 緊張したまま、3人で歩きだす。

 

 

 やがて、見覚えのあるワンボックス2台。

 

 メガネをかけた男子が、機材が置かれた場所でチェアに座っている。

 

「やあ! こんな場所まで、どうしたの?」

 

 彼と話していた睦実が、答える。

 

「やっほー! 暇だから、ホラースポットの見学だよ」

 

 首をかしげた男子は、すぐに思いつく。

 

「ああ、銀山で働いていた鉱夫と遊女を始末したって……。僕は、同じサークルの人がピンチになった場合の備えだよ」

 

「よく、こんな狭くて暗い場所に潜るね?」

 

「そう言われたら、終わりだけどさ……。やっぱり、ロマンがあるんだよ」

 

 明るい雰囲気に、音々も加わる。

 

「どうやって、潜るんですか?」

 

「普通のスキューバダイビングの装備と、ライト……。それに、入口へ戻ってこられるように、水中のロープであるガイドラインを辿っていくか、繋ぐのさ!」

 

 俺たちが聞き入っていることで、勢いがついたのか、平べったい無線機を見せる。

 

 さらに、小さな装置も。

 

「これ、何だと思う? 水中通話だ! ダイバーは頭にこの装置をつけて、骨振動による通話さ! 従来の水中ヘルメットなしで使える。僕が見せた無線機からケーブルを伸ばして、こちらとも通話可能――」

『き、聞こえるか、平沢(ひらさわ)!?』

 

 鬼気迫った声が、いきなり飛び込んできた。

 

『みんな、殺された……。ちくしょう! ボボボ……。俺は何とか脱出でき……ザザザ ブクブクブク』

 

「おい! どうした!?」

 

『くそっ……。離せ、この……』




過去作は、こちらです!
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