【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~   作:初雪空

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秘密の女子校で、1週間の滞在。
けれど、そこには世界を滅ぼす存在の召喚儀式があって……。

「異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件」の3巻目は、誰もが疑わしい!?
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第19話 「もう、終わりにしてくれませんかね?」(後編)

 慟哭(どうこく)した三船(みふね)卓見(たくみ)は、改めて言う。

 

「もう、終わりにしてくれませんかね? このクソッたれな惨劇を」

 

 俺は、後部座席から振り返ったままの卓見を見た。

 

「そもそも、どうして俺に?」

 

「ここに人が来るのは、すぐ噂になります。そういうわけで、調べました! 職権乱用と言われれば、ごもっともですが」

 

「俺の高枝切りバサミに、何ができるって?」

 

 低く笑った卓見は、自分の意見を述べる。

 

「あの天賀原(あまがはら)家が、許嫁(いいなずけ)にした……。それを鵜吞みにするほど、若くないですよ? あなたに会ってみて、それを確信できた」

 

 真剣な表情になった卓見が、ストレートに尋ねてくる。

 

氷室(ひむろ)さん、あなた……。人を殺したことがありますね?」

 

 思い出したくない記憶だ。

 

 無意識に左手を腰に当てつつ、釘を刺す。

 

「余罪の追及が、本題か?」

 

 慌てたように、作り笑顔で手を振る卓見。

 

「いえいえ! まいったな、どうにも職業病で……。私が言いたいのは、『あなたほど肝が据わっていなければ、解決できない』ということです。間違いなく、血を見る話だ」

 

「俺としても、同じ高校の連れがいる。あんたと仲がいい風鳴(かざなり)学院に言わないのか?」

 

「定期的に犠牲者が出ているため、犯人か内通者を疑っています。無自覚な協力者や、スマホでの情報拡散を含め」

 

 不思議に思い、すぐに尋ねる。

 

「とっくに、卒業しているんじゃないか?」

 

 卓見は、分かりやすく説明する。

 

「同じ犯人が殺し続けているとは、限りません……。動機としても、家族や先輩後輩と、色々ありますよ? 私の感触では、どうにも思想犯っぽく」

 

 ふと気づいて、確認する。

 

「風鳴で行方不明の、水島(みずしま)空太(くうた)については?」

 

「個人的には、白だと思いますが……。現状で、重要参考人という名の被疑者! かなりマズいです」

 

「見かけたら、教えます。……この柳ヶ淵(りゅうがぶち)村に駐在を置かなくなった理由は?」

 

「目敏いですねえ……。実は、当時の駐在が殺されました」

 

 運転席から外を見回した卓見が、小さな声で教える。

 

「日本刀のようなもので、バラされましてね? それも、複数による犯行……」

 

「ニュースになったか?」

 

「いえ、隠されました! 防人(さきもり)の仕業としか思えなくて……。村の外には出てこないようで、とりあえず駐在所を隣村へ移した次第」

 

「それで、風鳴学院を疑っているわけか」

「はい」

 

 即答した卓見に、はっきりと言う。

 

「縄張り意識が強いロストナンバーで、風鳴との関係は薄い……。どうして、村を検挙しないんだ?」

 

「これは、私の推測ですが……。どうも、ここの村人たち。正確にはその一部が、防人のようで」

 

 その発言で、俺は考え込む。

 

 単独犯と考えていたが、いくら油断している高校生でも、村の外に出さずに防人を始末するのは難しい。

 

 しかし、裏切る心配のない協力者がいれば――

 

「詰んでいるな?」

 

(おっしゃ)る通りで……。むろん、正式に国土守護府へ要請して腕利きの防人をチームで出してもらえば、討伐することは可能です」

 

 言いながらも、卓見は憂鬱そうだ。

 

 俺は、その理由を口にする。

 

「現状で村がほぼ共犯という証拠はなく、ロストナンバーを同じ防人に殺させれば、差別のほうでも炎上する」

 

「ついでに、我々のメンツも丸潰れです」

 

 卓見が、締めくくった。

 

 2人で暗い顔をしても、意味はない。

 

「過去の事件で、捜査は?」

 

「駐在が殺された事件と1回目の風鳴の女子が行方不明では、うちの威信をかけて徹底的にやりましたよ……。そう、徹底的にね?」

 

 運転席から外を眺めている、卓見。

 

 その様子を見ながら、尋ねる。

 

「何も……出なかったと?」

 

「ええ……。少なくとも、検挙につながる物は」

 

 この失態により、県警は柳ヶ淵村に強く言えず。

 

 以後は、駐在所を撤収したことも合わさり、その隣村とのラインを防波堤の代わりに。

 

「村の建物はもちろん、地下……。山狩りまで」

 

「あの湖だか、沼は?」

 

 運転席から振り返った卓見は、苦笑した。

 

「県警のダイバーを呼んで、潜らせましたよ! 遺留品、死体の一部もなし、と」

 

 その言い方から、人魚になった天女がいるはずの沼の調査は通り一遍だろうと感じた。

 

(こっちの情報を教えてやる義理もないか……)

 

 そもそも、俺は警察官じゃない。

 

 どれだけ超常的なパワー、装備を持っていようと、ただの高校生。

 

(俺の過去を知っている。動かすだけ動かして、そっちで引っ張る恐れも!)

 

 けれど、今はまだ敵じゃない。

 

「俺たちは俺たちで、調べますよ! 今後の予定は?」

 

「水中洞窟で大学生たちが溺れたのは、事実です。救助要請もあった……。レスキューの水難救助隊とうちのダイバーが張りつき、入口を見張ることを兼ねての封鎖。要するに、犯人がいずれ出てくれば、確保するわけです」

 

「どれぐらい?」

 

 両手を組んだ卓見は、少し考えてから答える。

 

「数日でしょうな? 常識的に考えて、中の人の生存が見込めるのは……。臨時の指揮所として、村で唯一の宿泊施設であるロッジ竜宮に滞在すると思います」




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