【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~   作:初雪空

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秘密の女子校で、1週間の滞在。
けれど、そこには世界を滅ぼす存在の召喚儀式があって……。

「異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件」の3巻目は、誰もが疑わしい!?
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第28話 全てを消す光

 俺は、ロッジ竜宮(りゅうぐう)の傍にある湖畔(こはん)で立った。

 

 明るい光に満ちていて、静かだ。

 

 動きやすい和装に変わった後で、ゆっくりと左腰から短い刀身を抜いた。

 傍目には、脇差。

 

「終わりにしよう……。蒼穹光々翼(そうきゅうこうこうよく)

 

 その瞬間に俺の霊圧が跳ね上がり、背中に双翼が噴き出す。

 西園寺(さいおんじ)睦実(むつみ)の完全解放と比べて、攻撃的な形状だ。

 

 右手に持つ脇差は、青い光となって長く伸びた。

 

 両膝を軽く曲げ、大空へ飛翔する。

 

 

 ◇

 

 

 沼の底から侵入する施設では、被弾した田村(たむら)東助(とうすけ)(うずくま)りつつ、低く笑っていた。

 

 リボルバーの銃口を向けている三船(みふね)卓見(たくみ)は、埒が明かないと判断して、摺り足で前へ詰める。

 

 けれど、東助が顔を上げたことで、立ち止まった。

 

「ここの出入口は、君たちが通ってきた水中だけ! ついでに言えば、流水系のスキルによる操作だ!! 同じスキルを持つ水島(みずしま)くんには、早々に退場してもらったよ!」

 

 それを聞いた久世(くぜ)果歩(かほ)は、自分がリビングで喋ったことが原因だと悟った。

 

 いっぽう、卓見はすぐに反論する。

 

「協力しておいたほうが、罪が軽くなりますけどねえ? 私1人だけと、お思いで?」

 

「出入口の鉄扉を閉めたかな? クク……。その度胸はないか! 他に出入口がなかったら、応援が来るまでに酸欠だからなあ!?」

 

 東助は、相手にダイビングの装備もないと見て取り、ニヤニヤした。

 

「呼吸するためのタンクは置いていないよ? 地下で無線が通じるはずもないし、県警がダース単位で来ても、前と同じ話だ。開きっぱなしの鉄扉から沼の水が押し寄せてきたら、どうなると思う?」

 

 焦りを覚えた卓見は、問いかける。

 

「あんた、死ぬつもりか!? 大事なカプセルも壊れるぞ?」

 

「機材なら、また集めればいい……。神事を途絶えさせるほうが禁忌だよ。そして時間切れ」

 

 その瞬間に、果歩から妙な音。

 

『おうふぶぶぶっ!』

 

 驚いた卓見が視線を向ければ、彼女の頭を覆った水の塊。

 

 果歩は両手で外そうとするも、水をつかむことはできない。

 

 東助は、ニタァッと笑う。

 

「時間稼ぎをしたかったのは、私も同じだ! このスキルで水中呼吸もできる。水の塊を操作することもね? 銃を捨てろ! 数分で、そいつが死ぬぞ?」

 

 苦々しげに東助を見た卓見は、ガシャンと、拳銃を落とした。

 

「こっちに届くよう、蹴ってくれ! くれぐれも、妙な動きをするなよ?」

 

 卓見がサッカーボールのように蹴れば、シャアアアッと、すれる音。

 

 2人を見たまま、東助はリボルバーを拾った。

 

 片手で銃口を向け、もう片方の手を添える。

 

「トリガーを引けば撃てることは、さすがに知ってますよ?」

「彼女は、もういいだろう!?」

 

「ああ、そうでしたな! いけない」

 

 倒れていた果歩は、頭を解放され、ガハッと咳き込む。

 

「ゴホッ! ゲホゲホッ!!」

 

 涙と鼻水、口から吐き出した水が混じり合い、ひどい状態。

 

 意識はあるものの、精神的なショックも相まって、上体を起こすのがやっと。

 荒い呼吸だ。

 

「大丈夫ですか?」

「……ハイ」

 

 彼女の防人(さきもり)としての力で、逆転したかった。

 

 そう思う卓見は、打つ手なし。

 

 東助は、淡々と告げる。

 

「今みたいに溺れたくなかったら、もう余計なことはしないでくれ」

「ヒィッ!」

 

 小さな悲鳴を上げた、果歩。

 床に倒れたままで、戦う気力は微塵もない。

 

 それを見た卓見は、水責めを受けた直後では無理だ、と判断する。

 

 溺れさせる拷問は簡単で、最も効果的。

 世界中の組織が採用している。

 

 どこから水の塊が飛んでくるか不明となれば、果歩はもう立ち上がれない。

 いわゆる、序列がついた状態。

 今も、薄暗いホールに視線をさまよわせ、オドオドしている。

 

 すると、東助は明るい声を出す。

 

「そうだ! 彼女に、そこの刑事を殺してもらおう! 共犯にすれば、今までみたいに反抗されないし、戻る場所もない」

 

 決定的な事態になる前に動こうとした卓見は、パンッ! チュンッ! という音で固まった。

 発砲と、それに伴う跳弾だ。

 

「動くなよ?」

 

 東助は、銃口から小さな煙をたなびかせているリボルバーを向けたままで、言い切った。

 

 しかし、上からドリルとも言えない音が続き、ホールのような空間の天井が全て消える。

 

 3人が見上げれば、そこには青空と、空中で背中の双翼のような青い物体を放射している氷室(ひむろ)駿矢(しゅんや)がいた。

 

 右手に大刀のような、青いビームソードを持ちながら……。

 

「お前――」

 

 その瞬間、残像を残すように駿矢が急降下する。

 

 刀を構えた東助に対して、そのビームソードで横に()ごうと――

 

 相手に触れる部分をズラし、体を回転させた勢いで蹴った。

 

 落下によるスピードが合わさったベクトルは、東助を後ろの壁まで叩きつける。

 

「ぐはっ!」

 

 ドサリと床に落ちた東助は、口から血を吐いた。

 

 けれど、その目はまだ諦めていない。

 

「こ、こうなったら、お前らも道連れだ……」

 

 どうやら、まだ切り札があるらしい。

 

 スッと床に降り立った駿矢は、完全解放のままで(たたず)んだ。




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