【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~ 作:初雪空
けれど、そこには世界を滅ぼす存在の召喚儀式があって……。
「異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件」の3巻目は、誰もが疑わしい!?
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御神刀を完全解放した俺は、天井を消した洞窟のホールで、床スレスレに浮かぶ。
青空に照らされた、歪んだ天女伝説の成果を照らし出す。
俺自身の和装からも、ジェット噴射のような双翼と光の剣を持つ。
しかし、後ろの壁にもたれつつ、力なく座り込んだ
(消し飛ばしたいが、せっかく上半身と下半身に斬らなかったのだから)
付き合ってやると、やがて東助は困惑する。
「な、なぜ? 水が入ってこない!?」
切り札とやらは、人魚がいる沼の水を引き込むことだったようだ。
「それなら、消した」
「は!?」
思わず聞き返した東助に、改めて説明する。
「あの沼の水は、全て消した。俺がな?」
呆然と見つめていた東助は、やがて笑い出す。
「ハ……。ハハハハハ!」
落ちていた自分のリボルバーを回収した
「田村東助! 午後1時14分、殺人未遂、公務執行妨害、銃刀法違反の現行犯として逮捕する!」
成すがままの片手にガシャリと、冷たい輝きを放つ手錠がはめられた。
笑うだけの人形と化した男に、もはや抵抗する素振りはない。
完全解放をやめた俺は、短い脇差を左腰に納刀した。
無線で応援を呼び、俺のほうを向いた卓見が、これまでにない笑顔を向ける。
「ありがとう、
カプセルに眠る女子たちは、本来の伝承の通り、天へ帰るのだろう。
――翌日
ものすごく気を遣われ、ほぼ署名するだけ。
対面の刑事がしきりに出入口のドアを気にしていたが、あいつは来ないぞ?
たぶんな!
ドライブスルー並みに早く、俺たちは合流する。
今度は
構内には、地元民と出張のビジネスマンぐらい。
やっぱり田舎だ。
風鳴学院の面々は、この車で学校へ帰るらしい。
残った
「お別れですね……」
「ああ」
正面から距離を詰めてきた果歩は、切なそうな表情に。
「あなたに助けていただかなければ、私は……」
顔を伏せたと思えば、さらに踏み込んできて――
キスをしてきた。
驚いているうちに、真っ赤な顔のままで後ずさる。
「もう会うことはないでしょう……。私、あなたのことを忘れません! さよなら!」
果歩が待っていた車に乗り込めば、すぐに発進する。
不意打ちを食らった
「ほわぁあああああっ!」
「落ち着いて、睦実ちゃん!」
先輩の
「のわあ゛あ゛ああああ!」
「だから、落ち着いてって! 氷室くんも、何か言ってよ!?」
「先輩、任せました」
呆れた俺は、1人で先に行く。
◇
『すみませんね! 教えておきたいことがありまして』
刑事の三船卓見だ。
耳に当てたスマホから聞こえてくる声は、後日談を語り出す。
『田村東助は全面的に罪状を認めて、あとは検察の仕事です。女子3人と風鳴学院の
説明された事実に、すっとんきょうな声を上げる。
「二階までの高さが、丸ごと水没した!? 急ですね?」
『ええ……。消防署とも連携しているんですが、あまりに突然で……』
聞けば、隣の
『柳ヶ淵村の避難は、あらかた完了しています。水が引く気配はありませんが』
「俺の見解を聞きたいと?」
『率直に言えば』
少し悩んだ後で、推測する。
「昔の
『天女伝説の?』
「はい……。あのカプセルを見る限り、ろくな目に遭っていないでしょうし」
『まったくですな!』
気を取り直した卓見は、改めて説明する。
『氷室さんにどうこうじゃなく、「こんな結末になった」という報告です! ウチがずっと避けていた話だけに、マスコミには流れません』
言葉を切った後で、ポツリと聞こえてくる。
『あの村には、まだ何かあったのでしょうね? 今となっては、事件から災害に変わりましたが』
「田村の他にも、共犯がいたと思いますけど?」
『同感ですが、もう無理です! 主犯の田村東助を検挙したのが、精一杯……』
声音から、卓見も納得しないようだ。
といっても、村で会っていた時のギラギラした感じはない。
『じゃ、お元気で! もう連絡することはありませんから』
「お疲れ様です」
スマホの画面に触り、通話が切れたことで、あの村との因縁が終わった。
東京にある自宅。
2階の自室で、ベランダからの景色を見る。
「あの村には、まだ昔の防人がいるのだろうか……」
左右から女子の声が聞こえてくる。
「また、他の女のことでー?」
「ちょっと目を離したら、すぐコレだよ……」
視線を向ければ、天賀原香奈葉と西園寺睦実がいた。
香奈葉に尋ねる。
「お前、授業は?」
「それどころじゃないので!」
帰ってから、この女子2人に張りつかれたままだ。
いつになったら、解放してくれるかな?