【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~   作:初雪空

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秘密の女子校で、1週間の滞在。
けれど、そこには世界を滅ぼす存在の召喚儀式があって……。

「異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件」の3巻目は、誰もが疑わしい!?
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第29話 ある意味では監禁エンド?

 御神刀を完全解放した俺は、天井を消した洞窟のホールで、床スレスレに浮かぶ。

 

 青空に照らされた、歪んだ天女伝説の成果を照らし出す。

 俺自身の和装からも、ジェット噴射のような双翼と光の剣を持つ。

 

 しかし、後ろの壁にもたれつつ、力なく座り込んだ田村(たむら)東助(とうすけ)は切り札を発動したばかり。

 

(消し飛ばしたいが、せっかく上半身と下半身に斬らなかったのだから)

 

 付き合ってやると、やがて東助は困惑する。

 

「な、なぜ? 水が入ってこない!?」

 

 切り札とやらは、人魚がいる沼の水を引き込むことだったようだ。

 

「それなら、消した」

「は!?」

 

 思わず聞き返した東助に、改めて説明する。

 

「あの沼の水は、全て消した。俺がな?」

 

 呆然と見つめていた東助は、やがて笑い出す。

 

「ハ……。ハハハハハ!」

 

 落ちていた自分のリボルバーを回収した三船(みふね)卓見(たくみ)は、腰につけたホルダーから手錠を取り出した。

 

「田村東助! 午後1時14分、殺人未遂、公務執行妨害、銃刀法違反の現行犯として逮捕する!」

 

 成すがままの片手にガシャリと、冷たい輝きを放つ手錠がはめられた。

 笑うだけの人形と化した男に、もはや抵抗する素振りはない。

 

 完全解放をやめた俺は、短い脇差を左腰に納刀した。

 

 無線で応援を呼び、俺のほうを向いた卓見が、これまでにない笑顔を向ける。

 

「ありがとう、氷室(ひむろ)さん……。彼女たちも、これで……」

 

 カプセルに眠る女子たちは、本来の伝承の通り、天へ帰るのだろう。

 

 

 ――翌日

 

 天賀原(あまがはら)香奈葉(かなは)が襲撃した警察署で、事情を聴かれた。

 ものすごく気を遣われ、ほぼ署名するだけ。

 

 対面の刑事がしきりに出入口のドアを気にしていたが、あいつは来ないぞ?

 たぶんな!

 

 ドライブスルー並みに早く、俺たちは合流する。

 今度は風鳴(かざなり)学院と同じ車に乗り、東京へ行ける主要駅まで送ってもらった。

 

 構内には、地元民と出張のビジネスマンぐらい。

 やっぱり田舎だ。

 

 風鳴学院の面々は、この車で学校へ帰るらしい。

 

 高荒(たかあら)まどかが礼を述べて、車へ乗り込んだ。

 残った久世(くぜ)果歩(かほ)は、ニコニコしたまま。

 

「お別れですね……」

「ああ」

 

 正面から距離を詰めてきた果歩は、切なそうな表情に。

 

「あなたに助けていただかなければ、私は……」

 

 顔を伏せたと思えば、さらに踏み込んできて――

 

 キスをしてきた。

 

 驚いているうちに、真っ赤な顔のままで後ずさる。

 

「もう会うことはないでしょう……。私、あなたのことを忘れません! さよなら!」

 

 果歩が待っていた車に乗り込めば、すぐに発進する。

 

 不意打ちを食らった西園寺(さいおんじ)睦実(むつみ)が、叫び出す。

 

「ほわぁあああああっ!」

「落ち着いて、睦実ちゃん!」

 

 先輩の相良(さがら)音々(ねね)が、慌てて(なだ)める。

 

「のわあ゛あ゛ああああ!」

「だから、落ち着いてって! 氷室くんも、何か言ってよ!?」

 

「先輩、任せました」

 

 呆れた俺は、1人で先に行く。

 

 

 ◇

 

 

『すみませんね! 教えておきたいことがありまして』

 

 刑事の三船卓見だ。

 

 耳に当てたスマホから聞こえてくる声は、後日談を語り出す。

 

『田村東助は全面的に罪状を認めて、あとは検察の仕事です。女子3人と風鳴学院の水島(みずしま)空太(くうた)の死体も、調査が終わりました! 柳ヶ淵(りゅうがぶち)村ですが……』

 

 説明された事実に、すっとんきょうな声を上げる。

 

「二階までの高さが、丸ごと水没した!? 急ですね?」

 

『ええ……。消防署とも連携しているんですが、あまりに突然で……』

 

 聞けば、隣の佐木霜(さぎしも)村には線を引いたように入らず。

 

『柳ヶ淵村の避難は、あらかた完了しています。水が引く気配はありませんが』

 

「俺の見解を聞きたいと?」

『率直に言えば』

 

 少し悩んだ後で、推測する。

 

「昔の防人(さきもり)が祟ったんじゃないですか?」

『天女伝説の?』

 

「はい……。あのカプセルを見る限り、ろくな目に遭っていないでしょうし」

『まったくですな!』

 

 気を取り直した卓見は、改めて説明する。

 

『氷室さんにどうこうじゃなく、「こんな結末になった」という報告です! ウチがずっと避けていた話だけに、マスコミには流れません』

 

 言葉を切った後で、ポツリと聞こえてくる。

 

『あの村には、まだ何かあったのでしょうね? 今となっては、事件から災害に変わりましたが』

 

「田村の他にも、共犯がいたと思いますけど?」

 

『同感ですが、もう無理です! 主犯の田村東助を検挙したのが、精一杯……』

 

 声音から、卓見も納得しないようだ。

 

 といっても、村で会っていた時のギラギラした感じはない。

 

『じゃ、お元気で! もう連絡することはありませんから』

「お疲れ様です」

 

 スマホの画面に触り、通話が切れたことで、あの村との因縁が終わった。

 

 東京にある自宅。

 2階の自室で、ベランダからの景色を見る。

 

「あの村には、まだ昔の防人がいるのだろうか……」

 

 左右から女子の声が聞こえてくる。

 

「また、他の女のことでー?」

「ちょっと目を離したら、すぐコレだよ……」

 

 視線を向ければ、天賀原香奈葉と西園寺睦実がいた。

 

 香奈葉に尋ねる。

 

「お前、授業は?」

「それどころじゃないので!」

 

 帰ってから、この女子2人に張りつかれたままだ。

 

 いつになったら、解放してくれるかな?




過去作は、こちらです!
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