【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~ 作:初雪空
第30話 全国防人剣術大会への道
座っている俺の前に、大人の女がいる。
ローテーブル越しで、ここは洋室だ。
それもそのはず、彼女は香奈葉の母親だ。
大人の色気を漂わせている天賀原
「あなたは、どうしたいのですか? 香奈葉さん」
「現状でいいのでー!」
ここで香奈葉が、初夜を済ませたい、と言えば、俺は東京に帰れず。
正面で座り直した千春が、彼女に尋ねる。
「理由は?」
「御神刀を集中させれば、天賀原家が警戒されます。高校卒業までは、『ワンチャンあるかも!?』と思われるぐらいがちょうどいい」
息を吐いた千春は、ジト目で俺のほうを見た。
「
「はい」
「天女伝説の件で、地元の警察署に払った金額は少なくありません……。それも、ご自身が連行されたわけではなく、一緒に捜査していただけの他校の女子を助けるために」
何も言えず。
香奈葉が乱入しなければ、留置所で兵糧攻めだったろう。
自分の前に置かれたコーヒーを飲んだ後で、千春は話を続ける。
「まあ、その女子とは行きずりだったようで……。
物理的に?
それも聞けない。
ゆっくりと息を吐いた後で、確認する。
「お義母さん? 愚痴を聞かせるために呼んだので?」
「……今回の件で、御神刀が注目されました」
フォークで切った洋菓子を上品に食べる千春。
食べ終わってから、口を開く。
「
「俺の御神刀だと、完全解放しないとキツいんですけど?」
微笑んだ千春は、当然のように命じる。
「もちろん、刀剣解放の部門ですよ? 香奈葉さんも」
「分かったのでー!」
お前は、いいよな?
最初の解放でも、ほぼ無敵だし……。
こっちは、高枝切りバサミだぞ?
心の中で突っ込むも、当の本人はニコニコしたままだ。
「京都でお会いましょうー!」
「俺、東京
返事がない。
アウェーだ……。
構わずに、千春の発言。
「駿矢さん? 同じ国武にいる
「はい」
「御神刀を持つ彼女が引き抜かれると、ウチの対処が増えます。くれぐれも、他の男子に目を移さないよう――」
「結局のところ、あいつは?」
俺の質問に、千春は意味ありげに模範解答。
「幼馴染で同じ高校ゆえ、睦実さんがあなたの傍にいることを黙認しています。『どうするのか?』は、まだ流動的。あなた方が卒業したぐらいで判断させていただきます」
今の時点で、御神刀の一振りがフラフラするのは困ります。
そう締めくくった千春。
話が終わったことで、俺は東京へ戻った。
◇
東京国武高校では、ブランクが問題だ。。
例の天女伝説で
けれど――
「ほら、お前がいなかった間の分だ!」
1年3組のクラスメイトである男子が、俺の机にドサッと資料を置いた。
パラパラと
「ありがとう……。助かった」
相手の名前に困っていたら、
そいつは、言いにくそうに提案してくる。
「生徒会の指示だったし……。それより、
「それがどうした?」
慌てた東一は、片手を振った。
「あー、そういう意味じゃなくて……。教えて欲しいんだよ」
「何を?」
「刀剣解放のコツを! 俺たちは入ったばかりで、全く分からない」
言われてみれば、高校入学で解放している奴は少ない。
本来なら、それだけでスクールカースト上位のはず。
俺はいきなり不良に絡まれた挙句に、風紀委員会と生徒会に睨まれたが……。
ジッと見ている東一に、答える。
「言いたいことは分かった……。お前に?」
「実は、女子のほうでも西園寺に声をかけている」
首をかしげた後で、確認する。
「要するに、男女のグループで自主練だか、勉強会をしたいのか?」
「ああ……。もうすぐ、
最初に序列がつくと卒業まで、下手をすれば一生ものだ。
刀剣解放が大きな目安である以上、どのルールで戦うにせよ、それを達成しておくのはセオリーか。
「どれぐらい集める気だ?」
「とりあえず、この3組と1組で考えている」
ハイハイ。
俺と西園寺
「別に、何の保証もしないぞ?」
「構わない! お前はここの不良5人を相手に無双したらしいし……。SNSで見たけど、犠牲者が出ていた天女伝説も解決したんだろ? 頼むよ!」
考えてみれば、クラスメイトとの交流がなかった。
悪目立ちしたし、ここらで挽回しておくのもいいだろう。
「こっちの都合でいいのなら……」