【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~   作:初雪空

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明らかになった、召喚儀式の実行犯。
今日、ベル女で召喚された存在によって世界が終わる。

4巻目は、ついにバトルへ!
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第三章 刀剣解放をできればカースト上位!?
第30話 全国防人剣術大会への道


 座っている俺の前に、大人の女がいる。

 

 ローテーブル越しで、ここは洋室だ。

 

 許嫁(いいなずけ)天賀原(あまがはら)香奈葉(かなは)をそのまま成長させたような……。

 

 それもそのはず、彼女は香奈葉の母親だ。

 大人の色気を漂わせている天賀原千春(ちはる)は、俺の隣に座っている香奈葉を見る。

 

「あなたは、どうしたいのですか? 香奈葉さん」

 

「現状でいいのでー!」

 

 ここで香奈葉が、初夜を済ませたい、と言えば、俺は東京に帰れず。

 

 正面で座り直した千春が、彼女に尋ねる。

 

「理由は?」

 

「御神刀を集中させれば、天賀原家が警戒されます。高校卒業までは、『ワンチャンあるかも!?』と思われるぐらいがちょうどいい」

 

 息を吐いた千春は、ジト目で俺のほうを見た。

 

駿矢(しゅんや)さんは、ご自分の立場をお分かりで?」

「はい」

 

「天女伝説の件で、地元の警察署に払った金額は少なくありません……。それも、ご自身が連行されたわけではなく、一緒に捜査していただけの他校の女子を助けるために」

 

 何も言えず。

 香奈葉が乱入しなければ、留置所で兵糧攻めだったろう。

 

 自分の前に置かれたコーヒーを飲んだ後で、千春は話を続ける。

 

「まあ、その女子とは行きずりだったようで……。(くだん)の警察署と話はついたし、向こうが『弱みを握ったから金蔓(かねづる)や出世の道具に』と勘違いするようなら署長と主だった幹部の首が飛ぶだけです」

 

 物理的に?

 

 それも聞けない。

 

 ゆっくりと息を吐いた後で、確認する。

 

「お義母さん? 愚痴を聞かせるために呼んだので?」

 

「……今回の件で、御神刀が注目されました」

 

 フォークで切った洋菓子を上品に食べる千春。

 

 食べ終わってから、口を開く。

 

防人(さきもり)の主だった名家が、動き始めています。香奈葉さんが駿矢さんを泳がせたままにすると言った以上……。私が強引に転校させるのは、筋違いでしょう? しかし、ウチが言われっぱなしは認められません。全国防人剣術大会で上位に入りなさい」

 

「俺の御神刀だと、完全解放しないとキツいんですけど?」

 

 微笑んだ千春は、当然のように命じる。

 

「もちろん、刀剣解放の部門ですよ? 香奈葉さんも」

「分かったのでー!」

 

 お前は、いいよな?

 最初の解放でも、ほぼ無敵だし……。

 

 こっちは、高枝切りバサミだぞ?

 

 心の中で突っ込むも、当の本人はニコニコしたままだ。

 

「京都でお会いましょうー!」

 

「俺、東京国武(こくぶ)高校で選手に選ばれる段階から始めるんだけど?」

 

 返事がない。

 

 アウェーだ……。

 

 構わずに、千春の発言。

 

「駿矢さん? 同じ国武にいる睦実(むつみ)さんですが……」

「はい」

 

「御神刀を持つ彼女が引き抜かれると、ウチの対処が増えます。くれぐれも、他の男子に目を移さないよう――」

「結局のところ、あいつは?」

 

 俺の質問に、千春は意味ありげに模範解答。

 

「幼馴染で同じ高校ゆえ、睦実さんがあなたの傍にいることを黙認しています。『どうするのか?』は、まだ流動的。あなた方が卒業したぐらいで判断させていただきます」

 

 今の時点で、御神刀の一振りがフラフラするのは困ります。

 

 そう締めくくった千春。

 

 話が終わったことで、俺は東京へ戻った。

 

 

 ◇

 

 

 東京国武高校では、ブランクが問題だ。。

 例の天女伝説で柳ヶ淵(りゅうがぶち)村にいたことで、授業を受けていない。

 

 けれど――

 

「ほら、お前がいなかった間の分だ!」

 

 1年3組のクラスメイトである男子が、俺の机にドサッと資料を置いた。

 

 パラパラと(めく)れば、黒板の写しなど。

 

「ありがとう……。助かった」

 

 相手の名前に困っていたら、水主(みずし)東一(とういち)と名乗られた。

 

 そいつは、言いにくそうに提案してくる。

 

「生徒会の指示だったし……。それより、氷室(ひむろ)は1組で主席の西園寺(さいおんじ)と仲がいいんだよな?」

 

「それがどうした?」

 

 慌てた東一は、片手を振った。

 

「あー、そういう意味じゃなくて……。教えて欲しいんだよ」

「何を?」

 

「刀剣解放のコツを! 俺たちは入ったばかりで、全く分からない」

 

 言われてみれば、高校入学で解放している奴は少ない。

 本来なら、それだけでスクールカースト上位のはず。

 

 俺はいきなり不良に絡まれた挙句に、風紀委員会と生徒会に睨まれたが……。

 

 ジッと見ている東一に、答える。

 

「言いたいことは分かった……。お前に?」

「実は、女子のほうでも西園寺に声をかけている」

 

 首をかしげた後で、確認する。

 

「要するに、男女のグループで自主練だか、勉強会をしたいのか?」

 

「ああ……。もうすぐ、全剣(ぜんけん)――全国防人剣術大会――の校内予選だし」

 

 最初に序列がつくと卒業まで、下手をすれば一生ものだ。

 

 刀剣解放が大きな目安である以上、どのルールで戦うにせよ、それを達成しておくのはセオリーか。

 

「どれぐらい集める気だ?」

 

「とりあえず、この3組と1組で考えている」

 

 ハイハイ。

 

 俺と西園寺睦実(むつみ)に恩を売ったことの繋がりでか……。

 

「別に、何の保証もしないぞ?」

 

「構わない! お前はここの不良5人を相手に無双したらしいし……。SNSで見たけど、犠牲者が出ていた天女伝説も解決したんだろ? 頼むよ!」

 

 考えてみれば、クラスメイトとの交流がなかった。

 

 悪目立ちしたし、ここらで挽回しておくのもいいだろう。

 

「こっちの都合でいいのなら……」




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