【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~ 作:初雪空
東京
それゆえ、
前に風紀委員と決闘をしたように、霊的な守護がされた結界がある。
申請すれば、自由に使える施設。
今は全国防人剣術大会の校内予選を控えて、大賑わいだ。
刀剣解放のコツを教えてくれ、と頼んできたクラスメイトは、先輩あたりに聞いたらしく、手際よく押さえてくれた。
(まあ、利用者が少ない時間帯だけどな?)
靴を履いたままで立ち回れるほどの広い屋内。
要するに、板張りの武道場だ。
実戦形式で、全員がブレザーの制服を着たまま。
壁の時計を見れば、まだ早朝。
それも、日曜の……。
(高校生には、キツい時間だぜ!)
御神刀を左腰に差した和装のままで佇んでいたら、声をかけられる。
「
最初に提案してきた
同じクラスメイトの男子である、
「ひとまず、お互いに寸止めでやっているけど……」
どちらも、自分の刀を両手で正眼に構えたまま。
「あー、すまん! 見てなかった」
「何だよ……」
「アハハ! 日曜の朝だし、無理もないって」
気が抜けた2人は、相手を見たままで後ずさり。
相手を意識しながら、見えない
持っていた刀が消える。
お互いに礼をした後で、俺の傍に来た。
「やっぱり、御神刀と普通の刀は違うんだろうな?」
「自分や相手を切り殺すことが条件なら、解放できなくてもいいや」
軽口を叩いている友人たちを見た。
「こっちは、命のやり取りをしたからなあ……。水主たちは?」
「あるわけないだろ!」
「……それ、結界の中じゃなくて、現実での話だよね?」
ドン引きされてしまった。
「他の奴らが命懸けとは思えないし……。刀剣解放の条件ではないと思う」
「そう願うぜ!」
「剣術部の連中も、切った張ったは未経験だろうさ」
俺たちは、稽古している女子グループを見た。
同じく和装に御神刀を差した
人数は、あいつを含めて4人だ。
俺の視線を追った男子2人が言う。
「最初は、もっと多かったけどな?」
「仕方ないよ! 西園寺さん目当ての奴らもいたし!」
俺と睦実が指導役。
しかし、刀身が伸びるだけで入学早々にトラブルを起こした俺は、敬遠された。
必然的に、1年主席で親しみやすく、あの風紀委員会ですら一蹴した御神刀を持つ睦実へ集中したのだ。
「クラスメイトに少し教わったぐらいで実現するのなら、誰も苦労しないぜ!」
「数人の男子は、『男女別だから』と説明して氷室くんにつかせた途端にやめたよね?」
苦笑する烈火に、同意する。
「まあな……。刀剣解放は、たぶん自信を持てるかどうかだと思う」
半信半疑の男子たち。
「自信ね……」
「まあ、そう言われてみれば」
そろそろ、稽古を再開しようと思ったが――
「今度は、負けないぜ?」
「ハッ! 言ってろ」
ゾロゾロと、自信に満ちあふれた連中が入ってきた。
時計を見るも、まだ俺たちが押さえている時間帯のはず。
すると、先輩らしき男子がニヤニヤしながら、言ってくる。
「おい! 早く片づけをしろよ? 気が利かない――」
左腰から
状況を理解する間もなく、倒れ伏す男子。
「なっ!」
「お前、自分がやったことを――」
片手で切っ先を向けつつ、宣言する。
「今は、俺たちの時間だ! そこに無断で入り込んだ以上は、やられる覚悟があるってことだろ?」
「剣術部の俺らに舐めた真似を――」
「こっちのセリフだ! 今のでお相子だ、今後は順番を守れよ? 逆恨みして嫌がらせするようなら、この御神刀にかけて報復する」
完全解放の手前までの霊圧に高めたら、斬り捨てられた死体を除き、ニヤニヤしていた男子どもが残らず膝をついた。
「チクって停学や退学にすれば、仲間と一緒にバレないようにイジメをすれば、とは考えるなよ? そうしたら、お前らを殺すだけだ。場合によっては家族や親戚もだ。言い訳は聞かん」
片手で振れば、その軌跡で大きな亀裂。
そのままで、問いかける。
「で、剣術部の先輩方? やるのか、やらないのか?」
「くっ! 覚えていろ――」
刀を横に振れば、逃げようとした奴の首が飛んだ。
首なしが、力なく倒れる。
悲鳴を上げる馬鹿ども。
俺は、両手で構え直した。
「やるのか? 分かった。じゃあ――」
「
西園寺睦実の制止に、俺は切っ先を下げた。
周りを警戒しながら、納刀する。
「とにかく、帰れ!」
激高した剣術部の男子が、叫び出す。
「ふざけ……」
けれど、殺されたはずの男子2人は無傷。
深く刻まれたはずの亀裂もない。
どよめく周囲。
叫びかけた男子も、混乱したようだ。
いっぽう、俺は抜刀する姿勢のままで、抗議した男子へ向き合う。
「お、おい!?」
両手を向けて後ずさりするだけで言葉にならない馬鹿に、睦実が取り成す。
「次は、ボクも止めないからね?」
その断言で、乱入した剣術部は立ち上がった男子2人と共に逃げ出した。
捨て台詞を言わなかったのは、お利口だ。