【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~ 作:初雪空
中学校で、来年や再来年に入学してくる
無機質なコンクリや内装が、コールタールを塗りたくったような黒だ。
土足で踏み入れる体育館のような空間は、キルゾーンと化した。
どよめく中学生たちに、指導していた1人である
「これは……異界ですね?」
「ああ、そうだな……。さて、どうしたものか」
保護するべき中学生の男女がいるため、どうにも動きづらい。
この手の異界は、それを展開しているボスがいる。
ゲームみたいなものだ。
そいつを倒せば、解除されると……。
近くにいた女子の
「
「こ、これが異界……」
一緒にいる男子の
この2人は、刀剣解放しても刀身が伸びるだけの俺を選んでくれたんだ。
絶対に守る!
他の中学生たちは、別の奴らを選んだよ?
一番人気は、東京
次点で、美人のお姉さん系である希だ。
その時に、周りで殺気が増えていく。
大型犬のようだが、その牙は鋭い……。
数は、20を超えている。
唸りつつ包囲を狭めていく様子に、俺たちが中学生を庇うように前へ出たら――
「今回は、私がやりましょう……。会長が色々とご迷惑をおかけしたので」
穏やかに告げた希は、さらに前へ出ながらも、片手で持つ刀をヒュッと振った。
足を止めて、さらに喋る。
「舞え、
とたんに、希が持つ刀から冷気が流れ出した。
それは波紋のように広がっていき、周囲の温度を下げると同時に、無数の氷による物体が飛び立つ。
見ていた1人が呟く。
「蝶?」
氷でできた蝶は、花畑から飛び立つ群れのように、オオカミの化け物に突っ込んでいく。
触れた瞬間に、そこから凍り付いていく……。
希が持っている刀は、かき氷のように真っ白だ。
一瞬で消えて、踏み込みからの斬撃。
その延長線上へ氷が伸びていき、やはり触れた瞬間に凍り付く。
(式神タイプか!? あるいは、氷と形状変化のダブル?)
御神刀のように解放しているっぽいのも、気になる……。
俺たちが見惚れている間に、刀を使った
彼女が血振りのように鳴らせば、それらが砕け散る。
安堵する面々と、ギャラリーになっていた中学生たちの歓声。
日曜の朝に放送していそうだ。
しかし――
俺は和装のままで、動いた。
その勢いを利用しての振り抜き。
『ギャアアアッ!』
オオカミの1匹が、血を噴き出しながら、倒れ伏した。
ハッとした希が、こちらを見る。
(お前の攻撃は見栄えがするし、範囲攻撃にもなるが……)
まだ威力が低い。
それに、今は興奮して気づかないが、すでに息が上がっている。
雄たけびが周りを震わせ、巨大ロボットのように大きなゴリラが出現して――
一筋の紫電が走り、俺と同じ和装をした睦実が
『その程度で調子に乗る――』
奴は、ドスッと頭に刺さったまま感電したように震え続けた挙句に、全身から煙を出しつつ、壁のように倒れた。
グッバイ、名も知らぬ中ボス!
とたんに、元の景色へ……。
わっと群がった、中学生たち。
人が多いのは、もちろん芸術的だった女子。
「すごいです、神宮寺さん!」
「今のが刀剣解放ですか?」
「……まだまだ、未熟ですが」
苦笑した希は、納刀したあとで答えた。
二番目に人が多いのは、睦実ちゃんだ。
「西園寺さん、今の見えなかったんですけど!?」
「国武の首席は、やっぱり違いますね……」
「御神刀だけあって、すごい!」
「ああ、うん……。まあね」
希と睦実は、大人気だなー?
俺の
ちょっと、刀身が伸びるだけ。
もう1回、さっきの巨大ゴリラが出てこないかな?
俺が不貞腐れていたら、聞き覚えのある女子の声。
「あ、あの!」
見ると、百瀬桜佳だ。
「氷室さんも、凄かったです! どうして、あのオオカミが生きていたと?」
「ん? 西園寺の刀剣解放は派手だが、範囲を広げれば威力が下がる。あいつは発展途上だから、もっと強くなるだろう。完成した状態では、ほぼ初見殺し」
それにしても、御神刀とよく似ている。
優美で見応えがあるものの、あれだけの蝶々を具現化しつつの操作、自動的に動くかもしれないが、それとは別に自分も動くわけだ。
「やることが多すぎる……」
正直なところ、あの氷蝶々を使いこなすのは……難しいだろう。
ジッと希を見ていたら、クイクイと引っ張られた。
「せっかくの機会なので、指導をお願いします」
「お、お願いします!」
俺は桜佳と真斗に刀剣解放の指導をして、残った期間を終えた。
残念ながら、2人は達成できず。
他の中学生で、1人が刀剣解放をした。
どうやら、ウチの高校への推薦入学ができるらしい。
目の色を変えるはずだ。
「あ! 私の連絡先です。また、相談に乗ってください……」
なぜか、俺のスマホに百瀬桜佳のアドレスが増えた。
どうしよう……。