【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~ 作:初雪空
カップル専用となったカフェの中で、俺は運ばれてきたパフェを見た。
なるほど、パフェだ。
しかし、その大きさは1人用にあらず。
さらに、同じようにドリンクのグラスも……。
ストローが2つ、ありますね!
分けるためのグラスは、ないです!!
ここで、俺の視線を見ていた
「お嫌でしたら、
「いや、これでいいよ」
というか、男女が楽しく味わうメニューしかないじゃん……。
こんな巨大なグラスを どん! どん! と置いたままで、俺だけ業務用レトルトのハンバーグランチでも頼む?
ええい、冗談ではない!
悪目立ちにも、程があるだろう!?
すると、向かいに座っている希が、ジッと見てきた。
「今だけ……恋人の振りをしてくれませんか? 駿矢さんの事情はお聞きしています。私は、あなたを奪いたいわけではなく……。
冷えた部分のグラスに触った希は、その指でテーブルをなぞる。
「離れた場所にいる
暗い店内でにっこりと微笑んだ希に、思わず脱力する。
「……分かった」
「嬉しいです! 今だけ、楽しみましょうか?」
笑顔の希は、カップル用のストローを差し出した。
◇
東京
「
「いきなり、何を言っているんですか……」
呆れた俺が返したら、咳払いをした生徒会長が話し出す。
「黒魔術のサークルがあった私立高校だけど、もう手遅れ! 最終手段をとったから、氷室くん達はもう気にする必要はないわ」
「……と言うと?」
「剣術部が、中途半端に処理したのよ! 表向きは主犯の女子が刺殺された結末で、これ以上はウチで介入できず! 魔術書と他人に成りすました黒幕を消すように、依頼済み」
「どこに?」
息を吐いた鈴音は、視線をそらした。
「氷室くんに頼むのは筋違いだし、
また息を吐いた鈴音は、俺の顔を見た。
「中学生への指導中に、刀剣解放が1人。さらに、異界での討伐……。確率論でもあるけど、驚くべき成果よ? これをもって、氷室くんを全国防人剣術大会の刀剣解放の部門で、新人の個人戦に出します!」
「俺1人の成果ではありません……。グループにいた他の者は?」
俺の質問に、鈴音はハッキリと告げる。
「剣術部の枠を削ってでも、考えます」
どうして、そこまで……。
俺の考えが伝わったのか、生徒会長は苦笑した。
「あの私立高校は……もう廃校になるわ。横取りした剣術部にも、責任をとってもらわないと」
◇
黒魔術サークルがあった私立高校は、飛び降りから殺人事件の余韻がなくなった。
けれど――
闇夜に包まれた敷地の、まさに
外に通じている入口から、制服を着た女子が1人。
コツコツと歩いてくる様子に、
くすんだ灰色のロングで、明るく薄い茶色の瞳。
清楚系の可愛いアイドル、といった感じだ。
警備をしていた男子も、一緒にいる。
「おい! なぜ、通した!? 見張っていないとダメだろ?」
「構わねーよ! これだけの女子は、うちにもいないしな? 人気者だった駿河沢は、あんなんだし……。いつでも抱ける」
その視線の先には、男に群がられている三花の姿。
十太は、視線をそらした。
「ともかく――」
「
女子の質問に、付き添いの男子が答える。
「何だ、
そちらを見た女子は、1人で歩き出す。
見覚えのない女子の登場に、警戒する人間も。
けれど、歩きながら制服を脱ぎ出したことで、包囲しかけた男どもが立ち止まる。
ニヤニヤしながら、女子のストリップを眺めた。
(確殺まで、あと30、20、10……)
パンツまで床に落ちたときに、歓声が上がった。
この時点で、粟島有加も気付く。
「そいつ――」
「
次の瞬間に、一糸まとわぬ
状況を把握する前の奴らを巻き込んでいき……。
私立高校の敷地の半分以上が、溶岩に呑まれたような惨状になった。
地面ごと抉られ、建物は更地へ。
高温から一気に冷やされ、いたるところで白い煙が立ち上り、新たに設立された黒魔術サークルは物理的に消滅。
原因となった魔術書を含めて……。
瞬間移動のように空中に立った和装の香奈葉は、完全解放をやめた
「出力の加減ができないのが、本当に面倒なのでー」
そのまま、シャッと消えた。