【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~   作:初雪空

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室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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第39話 殺すのに特化した奴らが、次々にエントリー!?

 他校の制服を着ている天賀原(あまがはら)香奈葉(かなは)を眺める。

 

「お前……。本当に、京都が健在なら東京が滅んでも大丈夫だと思っているのか?」

 

「そ、そうなので……」

 

 隣の席から俺を見つめる香奈葉。

 

(こ、こいつ……)

 

 なんて曇りなき、純真な瞳をしているんだ!?

 

(嫌みですらなく、心の底から信じている輝き……)

 

 俺の視線に、頬を赤らめつつ、オドオドし始めた香奈葉。

 

 息を吐いた俺は、目を閉じた。

 

(歴史的に、いつもそうだな? 東京のことを何だと?)

 

 心の中で突っ込んだ俺は、生徒会室の全員に見られたまま、目を開けた。

 

「説明を続けてくれ……」

 

「わ、分かったのでー! まず、カクリヨ神社に安置されていた神器が奪われ、警備と関係者が皆殺しにされました。その中に高校1年生の綾千侍(あやせんじ)(さき)がいたことで、ひじょーに面倒になったのです」

 

 引っかかった俺が、呟く。

 

「綾千侍、綾千侍……。何だっけ?」

 

 呆れたように息を吐いた香奈葉が、指摘する。

 

防人(さきもり)の名家! 神社系の元締めで、うちも敵に回したくない相手です」

 

「ああ、それか! ん? 全員が死んだのでは?」

 

「そこなのでー! 悪い知らせは、その咲を東京で確認したこと」

 

 香奈葉の発言に、ツッコミを入れる。

 

「良いニュースだろ?」

 

「カクリヨ神社で、彼女の血痕も見つけました。いくら女子が出血に慣れていても、さすがに耐えられない量で……。もっと言えば、致死量」

 

 生徒会室の空気が、ピリピリした。

 

 それを感じた俺は、当然の疑問をぶつける。

 

「他人の空似では?」

 

「神社から奪われた封賀秋灯(ふうがしゅうとう)を持っています!」

 

 さあ、どんどん面倒になってきたぞ!

 

「ゾンビになった?」

 

「ランクSSSの荒神になったと考えるほうが、自然なので……」

 

 香奈葉の推理に、全員が息を吐いた。

 

 俺が、全員の気持ちを代弁する。

 

「名家の女子が殺されたうえ、神器を持っていて、最強の荒神かあ……」

「まだ、推測なので」

 

 釘を刺した香奈葉だが、その否定は弱々しい。

 

 ここで、東京国武(こくぶ)高校の生徒会長である伊花(いばな)鈴音(すずね)が口をはさむ。

 

「東京の話だから、うちが矢面に立たされるわ! 御神刀を持っている氷室(ひむろ)くんと西園寺(さいおんじ)さんだけが、頼りよ! お願い!」

 

 すかさず、同じ国武にいる風紀委員長、櫛田(くしだ)悠史(ゆうし)が付け加える。

 

「風紀委員会も臨戦態勢だ! ウチの警備も、実弾に切り替えた! ランクSSSが相手では、気休めだがな? どうせ、一発も当たらん」

 

 悠史は、座って腕組みのまま、ため息をついた。

 

 首肯した俺は、香奈葉を見る。

 

「なぜ、綾千侍が封賀秋灯を持っている? そもそも、カクリヨ神社が襲撃されたのは?」

 

「おそらく、綾千侍が誰かを入れての惨劇! なので、その誰かが神社を襲撃したと思われますが……。そいつが封賀秋灯を持たせて綾千侍を暴走させたか、あるいは、逆に彼女が吹っ切れたか」

 

 自分の緑茶を飲んだ香奈葉は、俺を見つめた。

 

駿矢(しゅんや)? わたくしは立場があるうえ、手加減できません。そして、睦実(むつみ)の刀剣解放は便利すぎるから、遊撃戦力にしたい」

 

 ため息をついた俺が、結論を述べる。

 

「消去法で、俺が当たれと……。相手は?」

 

「もっと悪い知らせです! 警察、日本軍のどちらも、防人を仕留められる特殊部隊を展開しています」

 

 警視庁からは、対テロ部隊から新設された、特殊災害救助隊。

 

 日本軍からは、非合法の対荒神特対群(たいあらがみとくたいぐん)

 

 どちらも、正規の部隊とは桁違いの重武装と訓練を受けている。

 

 表向きの理由はともかく、実際は御刀(おかたな)を持つ防人と、尋常ではない荒神への対策だ。

 

 ターゲットへ向けた銃のトリガーは、この上なく軽い……。

 

「犠牲を出さずには、無理だぞ?」

 

「天賀原家の名代として、駿矢に告げます! 警察や軍にどれだけ犠牲が出ても、構いません! 証拠がなければ突っぱねるので、アレを使ってください。睦実も、出し惜しみはしないように!」

 

 香奈葉の宣言に、俺と西園寺睦実は考え込む。

 

「分かった」

「うーん……」

 

 鈴音が、おずおずと尋ねる。

 

「アレって?」

 

 笑顔の香奈葉が、すぐに答える。

 

「この場で知ったら、その人間を消す必要があるのでー!」

 

「そ、そう……」

 

 顔を引きつらせた鈴音は、黙り込んだ。

 

 俺は、香奈葉に聞く。

 

「警察と日本軍がこれだけ動く理由は?」

 

「綾千侍咲に警官や軍人、無実の市民を殺傷させて、防人の立場を悪くしたい……。もしくは、防人同士で殺し合わせ、その危険性を周知させる。娘を殺された綾千侍家が他の防人と険悪になっても、一定の成果でしょう。言わば、政治的な駆け引き」

 

 睦実が、聞き返す。

 

「誰の?」

 

「綾千侍咲が内通者とした場合、彼女はある男に好意を持っていた可能性があるので! こちらの調査で、その男はカクリヨ神社へ行ける距離にいて、戦闘部隊の動きも……。他の勢力の反応から、表向きの所属がある内閣治安維持局のエージェントでしょう」

 

 睦実は、自分の感想へ。

 

「政府のスパイか……。え? 東京が壊滅しそうなんだけど?」

 

「たぶん、彼にとっても予想外! 逆に言えば、綾千侍はその彼に復讐するか、会うために上京したのだと思われ」

 

 痴情のもつれで、東京が滅びるんかい!




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