【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~   作:初雪空

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秘密の女子校で、1週間の滞在。
けれど、そこには世界を滅ぼす存在の召喚儀式があって……。

「異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件」の3巻目は、誰もが疑わしい!?
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第4話 御神刀は通りすがりのお姉さんにもらった

 トリガーを引くだけで、弾丸を発射する武器。

 火薬による銃は、人類の大きな進歩であり、同時に大量殺戮の始まりだった。

 

 俺は、自分の席で授業を受けつつ、ぼんやりと考えている。

 

(弾丸すら躱し、それより速く動けるなら、刀のほうがいい、か……)

 

 壇上の教師が、ちょうど御刀(おかたな)の説明をしている。

 

「理由はまだ不明であるものの、御刀と契約した者は超常的なパワーを発揮する! 防人(さきもり)と言われていても、一般人と同じ権利というのは不思議な話だ。ウチの中だから、言える話だけどな?」

 

 拳や蹴りだけで、一般人の体が吹き飛ぶわけだしなあ……。

 

「これには、いくつか理由がある!」

 

 第一に、定期的に発生する荒神を倒すための戦力だから。

 もっと言えば、外国から防衛する役目もある。

 

 第二に、この御刀がファンタジーだから。

 

「刀を失えば、その力が大きく下がることは、判明しているんだけどな?」

 

 人知を超えた由来となれば、政治的に叩くことにリスクが大きい。

 

 襲撃を防ぐことは不可能。

 

 おまけに、パフォーマンスで貶したら、御刀が消え失せましたとなれば――

 

(その党が丸ごと潰れるどころか、背信で命を奪われても、おかしくない)

 

 買収や誘惑もできず。

 

 それこそ、相手は天にいる神々だ。

 

「引退した防人は、その経験と残った力を活かして警察官や警備をするパターンが多い。お前らも、他人事じゃないぞ? 人生長いのだから、よーく考えておけ!」

 

 むろん、防人の側も、政治的に動いている。

 

 自分たちの権益を守りつつ、スクラムを組んでいるのだ。

 

 その1つが、俺の許嫁(いいなずけ)となった香奈葉(かなは)の実家である、天賀原(あまがはら)家だ。

 

 ちなみに、俺が選ばれた理由は――

 

「御刀を解放できれば、それぞれに特殊スキルを使える! これも、原理は不明だ。魔法のような物理的な干渉だけではなく、五感に働きかける場合も……。それとな? 御刀の中でも御神刀と呼ばれている、特別なものがある」

 

 教師が、俺のほうを見る。

 

 しかし、すぐに視線を外した。

 

(俺をつつけば、天賀原家が出てくるからなあ……)

 

 気を取り直した教師は、説明に戻る。

 

「そういうわけで……。正当な理由がない抜刀は、重大な処罰になりかねない! 質問は?」

 

「刀の解放条件と、その時の強さって?」

「個人差がある! 人によるんだ……」

 

「御神刀は、どこで手に入るんですか?」

「分からん! 氷室(ひむろ)はどうだった?」

 

 全員の視線が、俺に集まった。

 

 つーか、結局は振るんかい!

 

「小学生の時に、通りすがりのお姉さんにもらいました」

 

 香奈葉が許嫁になった理由は、この御神刀があるから。

 

「友達がいなくなって、大変でした。ハハハ……」

 

 教師が、かろうじて答える。

 

「そ、そうか……。悪かったな?」

 

「解放したけど、刀身が伸びるだけでした。高枝切りバサミと呼ばれていましたよ」

 

 脇差から普通の刀ぐらいに伸びる。

 

 そ・れ・だ・け♪

 

 たぶん、本物の高枝切りバサミのほうがリーチ長いわ。

 

 

 ◇

 

 

 学校の裏サイトを見ることなく、1週間ほどが過ぎた。

 

 どうせ、俺の高枝切りバサミの話題だ。

 いずれはバレるし、先に言った。

 

(エゴサしても、仕方ねえや……)

 

 授業が全て終わり、生徒会に連れて行こうとする西園寺(さいおんじ)睦実(むつみ)に捕まる前に――

 

 スマホの振動。

 

“体育館の裏にある倉庫前へ来てください”

 

 メッセージアプリで、学校の関係から……。

 

(発信者は、女子っぽい名前だが)

 

 タタタと足音がして、やっぱり睦実の姿。

 

 そちらに、スクールバッグを投げつけた。

 

 反射的に受け取る睦実。

 

「ちょっ、ちょっと!?」

 

「女子に呼ばれた! お前は来るなよ?」

 

「は?」

 

 目のハイライトをなくした睦実を置き去りに。

 

 

 ――倉庫前

 

 不自然に人がいない、空白地帯。

 

 まだ日は高く、立ち止まって見回す。

 

 死角から複数の足音。

 

 上の学年の男子が、俺を半包囲した。

 

 見えているだけで、5人……。

 

「何の用で?」

 

「お前、調子に乗っているんじゃねえぞ?」

「天賀原家の女子が許嫁で、御神刀を持っているだあ? 吹かすんじゃねえよ」

 

 ガラが悪い。

 

 抜刀の動きは、流石にないか。

 

「だいたい、高枝切りバサミって何だよwww」

「それ、ぜってーに御神刀じゃねえぞ!」

 

「1年主席の西園寺とベタベタしすぎ――」

 

 身体強化による踏み込みで、そいつの正面から近づき、驚いている奴に背中からぶつかりつつ、上半身を前へ折り畳む。

 

 宙を飛んだ奴は、投げっぱなしで、地面に叩きつけられた。

 

「ゴチャゴチャと五月蠅いんだよ、先輩たち? 陰口しか言えない女子か?」

 

「てめえっ!」

 

 殴りかかってきた奴をかわし、横をすれ違いつつ、足を払う。

 

 その後にも、常に一対一を心がけて、捌いていく。

 

(囲んだわりには、喧嘩慣れしていないな、こいつら?)

 

 不思議に思っていたら、1人がついに左手で(さや)を握る形を作り、右手を動かした。

 

 何もない空間から、刀が出現する。

 

 釣られて、全員が抜刀。

 

「そうか……。なら、こっちも抜くしかないな?」




過去作は、こちらです!
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