【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~   作:初雪空

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室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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第40話 『もっと悪い知らせ』の比較的マシなほう!

『対象は、ヒルズを通りすぎた! SDRTの各隊、いつでも出られるようにな?』

 

 警察無線が、ラフに現状を教えた。

 

 バタバタと飛んでいるのは、警察ヘリ。

 

 下を歩いている人物をサーチしつつ、警察無線が続く。

 

綾千侍(あやせんじ)(さき)については、身柄確保を優先するも、不可能なら射殺せよ! 対象は封賀秋灯(ふうがしゅうとう)なる神器を持っているとの情報! 最悪でも、それを回収できればいい! 相手は防人(さきもり)だ。トリガーを引くことを躊躇うな! マガジンが空になるまで撃ち込め! 以上』

 

 ブウウンと、警察ヘリが高度を上げて、離れていく。

 

 片手をかざしつつ地上から見上げている紫の瞳が、それを見送った。

 

 顔を戻した女子高生は、長い黒髪だが、大人びた顔と雰囲気から昔の姫をイメージする。

 

 どこかのセーラー服を着ている女子は、近くにある大きな建物。

 

 都立のセントラル図書館に入っていく。

 

 周りの車道に停まっている、5人ぐらいが乗れそうなバン。

 

 それは数台ほどあり、パトカーや覆面パトカーも多い。

 

 

 ◇

 

 

 衝撃的な話を聞いた俺は、着替えてからセントラル図書館へ行った。

 

 高校生は、勉強が本分だ!

 

 いつになく予習復習が捗り、実に満足した。

 

(この調子でいけば、次の定期試験は自己ベストを更新だな?)

 

 余裕のあまり、本棚を物色する。

 

(なんて、知的な時間……。有名大学に合格したら、どうしよう?)

 

 今までにない、静かで満ち足りた空気。

 

 ポケットからスマホを出せば、一緒に小さな水晶球が落ちて、コロコロと転がる。

 

「おっと!」

 

 片膝をつき、本棚の下を覗き込む。

 

 その先には、2本の足と魅惑的な白色があった。

 

 俺の視線を感じたのか、両手でバッと布を下ろした人物も、本棚の下を覗き込んだ。

 

 セーラー服の女子高生で、紫の瞳と目が合う。

 

 思わず、言い訳をする。

 

「すみません! 水晶球が転がってしまって……」

 

 自分の足元を見た女子は、息を吐いた。

 

「ああ……。これね?」

 

 それを拾った女子は、立ち上がる。

 

 俺も同じ視点になれば、伸ばされた手で渡される。

 

「はい」

 

「ありがとうございます……。本当に、失礼しました」

 

 目をそらした女子は、大人びている。

 

「もう、いいわ……。悪気はなかったようだし。それに……」

 

 ――あまり、目立ちたくないの

 

 ぼそりと呟いたセーラー服の女子は、あっさりと背を向けた。

 

 俺も、警察に通報されないうちに現場を去る。

 

 急いで席へ戻り、スクールバッグに教材を突っ込み、正面玄関から出た。

 

(何てことだ……。周りに、警察が多い!)

 

 意識すると、急に視線を感じる。

 

(やはり、さっきの女子が通報した!?)

 

 事態を打開するために自分の御神刀を完全解放してこの区を丸ごと消そうとするも、ギリギリで踏みとどまった。

 

(ふうっ……。さっきまで、平穏だったのに!)

 

 立ち止まり、冷や汗をかいていたら、警官に話しかけられた。

 

「君? 今、何をしているんだい?」

 

「自分の真の力を解放しようと、考えていました」

 

 引き気味の警官は、頷いた。

 

「そ、そうか……。気をつけて、帰りなさい」

 

「はい」

 

 理解のある警官で良かった。

 

 そう思いつつ、歩き出す。

 

(自宅に帰って、ゆっくりするか……)

 

 さっきのことは、忘れよう。

 

 だが、その前にコンビニで買い物だ。

 

(新商品のスナックと、ジュースでも買うか!)

 

 軽快な電子音と共に、唯一の出入口である自動ドアが横へ動いた。

 

「っしゃーせー!」

 

 喧嘩を売っているような声を聞くも、外に面したガラス壁にマガジンラックはない。

 

 店員の前にある狭い通路に、ギッチギチに梱包されたままで積まれている。

 ともあれ、ぐるりと回れば、自然に一通りを買えるレイアウトだ。

 

 スマホのタッチ決済で済ませて、店の外に出れば、1人の女子が立っていた。

 

 日が暮れる。

 

 コンビニからの光で、陰影のあるシルエットに。

 

 構わずに通り過ぎようとするも、腕をつかまれる。

 

「さっきぶりね? 私、今晩の宿に困っているの……。泊めてくれない?」

 

 よく見れば、図書館で会った女子だ。

 

 いつの間にか、セーラー服から着替えている。

 

「つけていたのか?」

「……偶然よ! で、どうなの? さっきの貸しもあるけど」

 

 自宅に連れ込んだら、女子2人が殺しに来るだろう。

 

 この女子か、俺を含めてかは知らんけど。

 

「俺には、婚約者と幼馴染がいる」

「……私を泊められない?」

 

 理解した女子は、哀しそうな顔。

 

 俺は、追撃する。

 

「生徒会にいる同じ学年の女子には、『私で練習してください』と言われている」

「……あなた、そのうち刺されるわよ?」

 

 首肯した俺は、真剣な表情で答える。

 

「ああ、生徒会長にも言われた」

「……女子と遊んでいるってことね? 私を抱かせろと?」

 

 暗闇に、回転する赤ランプが見えた。

 

 俺の正気度が、少し減る。

 

 けれど、傍に立っている女子も、緊張した雰囲気に。

 

「現金がないの! あなたの自宅でなくていいから! こっちへ!」

 

 腕を取られた俺は、引っ張られるままに走り出す。

 

 人が多い通りを歩き、とある建物へと入っていく。

 

 自動案内によって部屋を選び、男女2人で泊まっても不自然ではない宿泊施設。

 

 広い部屋に入ってから、スマホで名前を調べると、こう表示された。

 

 “ラブホテル”




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