【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~   作:初雪空

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室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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第43話 大会で勝ち上がる、女子の告白現場を覗く、両方をやるしかない

(さて、どうしたものか?)

 

 綾千侍(あやせんじ)(さき)と、少女のような人形、封賀秋灯(ふうがしゅうとう)の2人と向き合ったまま、考える。

 

 勝てるか? と言われれば、勝てる。

 

 ただし、この東京でどれだけ被害が出るのか、不明だ。

 

 天賀原(あまがはら)香奈葉(かなは)が指摘した奥の手を使えば――

 

(少なくとも、市の1つは消え失せるだろう)

 

 時間はない。

 

 和装のまま、両手で構えた切っ先を下げる。

 

 夜の都市部にある雑居ビルの屋上。

 欲望を具現化したような明かりに照らされつつ、結論を出す。

 

「猶予を与える! 次に会ったら、殺す」

 

 咲は、身構えたままで、フッと笑う。

 

「助かるわ!」

 

 それでも、俺を見据えている。

 

 構わずに、右手で刀を下げたまま、床を蹴った。

 

 瞬間的に視界が変わり、空中や屋上、床を蹴りつつの高速移動へ。

 

(あいつとは、斬り合うことになるだろう……)

 

 不思議と、そんな予感がした。

 

 翌日の朝には、警察に大きな被害が出たことが、ラブホの画像を背景にニュース。

 

 モザイクがかけられているものの、すぐに特定できるレベルだ。

 

 香奈葉に調査を依頼しつつ、俺は全国防人剣術大会に備える。

 

 

 ◇

 

 

 刀剣解放ありの部門で、俺は試合に出た。

 

 初めての東京開催ゆえ、広い会場を押さえつつ、急いで結界を張っての手探り。

 

 東京国武(こくぶ)高校は、地元とあって優勝候補。

 元々、選手層が厚く、スポンサーが多いことから練習経験も豊富。

 

 俺たちが割り込み、へまをした剣術部が出場枠を減らされた。

 

 けれど、名家の女子がランクSSSの荒神になったうえ、東京が滅びるかもしれない。

 

 学校の名誉もかかっており、さすがに絡んでこない。

 

『国武1年、氷室(ひむろ)くん!』

 

 広い会場に響き渡ったアナウンスで、和装の俺は立ち上がった。

 

 付き添っている西園寺(さいおんじ)睦実(むつみ)神宮寺(じんぐうじ)(のぞみ)が応援する。

 

「頑張れ、駿矢(しゅんや)!」

「ご武運を……」

 

「ああ……」

 

 お前らも、自分の試合があるだろ? という言葉を呑み込んだ。

 

 ワァアアアッ! という声援が高まり、主に対戦相手の名前を呼ぶ。

 

(嫌われたもんだねー! まあ、女子2人を侍らせて、香奈葉が婚約者だしな?)

 

 おまけに、御神刀を持っていると……。

 

 左腰のある平凪(ひらなぎ)の鞘に手を添えつつ、剣道の試合でよく見かけるマークを目指した。

 

 正面で向き合いつつ、アナウンスによる指示で抜刀。

 

 お互いに正眼の構えだが――

 

「プッ! 本当に脇差かよ!? 今のうちに降参したほうがいいんじゃねえか? ハーレム君?」

 

「お前にかけている時間はない」

 

 短い刀身で、両手による構え。

 

 ビ――ッ!

 

『始めっ!』

 

「つぁああああっ!」

 

 大上段に構えた奴が、そのまま踏み込んできた。

 

 右手だけで平凪を握り直しつつ、前へ踏み込みつつの半身。

 

 進路を譲るような構図で、相手の刀が下へ振り抜かれた。

 

 一連の動きのまま、踊るように右手でなぞって斬る。

 

「ぐあっ!? このっ!」

 

 浅く斬られた奴は、激高しながら横へ薙いだ。

 

 その時に、俺は相手を見たままで下がっている。

 

 顔を真っ赤にした奴が、いよいよ刀剣解放。

 

「舐めるなよ? 月まで届け、遠槍(とおやり)!」

 

 刀から長い槍へ変化するも、刀身を伸ばした俺の突きが正面から突き刺さった。

 

 両手持ちで弾かれにくく、刃を上にしている。

 

 ご自慢の槍を両手で持っている奴は、穂先を横にしたまま。

 

「あっ……」

 

 痛みよりも、驚きのほうが勝っているようだ。

 

 魚を捌くように、俺は両手で握っている柄を背負うように上へ振り抜く。

 

 胸から頭に至るまで縦に切り裂かれた奴は、言葉もなく倒れ伏す。

 

 ガランガランと、遠槍が落ちた音。

 

 ビ――ッ!

 

『それまで! 氷室選手の勝利!』

 

 バシュッと、結界の中がリセットされた。

 

 俺は元の刀身に縮め、鞘に納める。

 

 開始位置に戻って、礼。

 

 相手の顔を見ずに、背中を向けた。

 

 

 五感を奪ってくるスキル。

 

 炎や氷で攻撃してくる選手。

 

 それらを倒しつつ、いよいよ決勝リーグへ。

 

 ここからは、総当たりだ。

 

 さすがに、刀身が伸びるだけではキツくなってきた。

 

(最低限のノルマは、こなしたけどな?)

 

 香奈葉の母親、天賀原千春(ちはる)にペナルティを食らうことはない。

 

(国武は、新人部門とはいえ3位以内が欲しいか……)

 

 ところが、好事魔多し。

 

 裏で進行していた、綾千侍咲が男と会う日時が決まったのだ。

 

 俺は、そちらへ顔を出さなければならない。

 

 生徒会長の伊花(いばな)鈴音(すずね)に言って、その現場へ向かう。

 

 低空をハイスピードで走れば、警察と軍の特殊部隊が取り囲んでいた。

 

 外周には一般の部隊が配置されて、警察のパトカーも目立つ。

 

(警察と軍が一緒にいると、違和感がすごいな?)

 

 裏で、どんな話し合いになっているんだか。

 

 ともあれ、メインイベントになった咲の話し合いへ。

 

 和装のまま、空いているスペースへ突っ込んだ。

 

 殺気と視線が向けられるも、困惑した様子。

 

 あまりに混在しているため、明らかに敵でなければ撃てないようだ。

 

(今は……だな?)

 

 混戦になれば、自分たち以外を撃つに違いない。

 

 状況を整理している中で、開けた部分にスーツを着た男が1人、やってきた。

 

 ドラマは、今から撮影開始のようだ。

 

 どういうジャンルかは、知らんけど……。




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