【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~ 作:初雪空
乾いた発砲音が、あらゆる方向で響く。
明るい山中は、突如として戦場になった。
(このままでは……あらゆる所属の殺し合いだ!)
歯を食いしばった俺は、刀を持ったままで、周りを感じとる。
犠牲者もさることながら、
刀の柄を握りしめつつ、俺は今後を憂う。
(ダメだ! すぐに止めなければ! こんなこと、やっちゃいけない!)
命は、大事なものだ。
かけがえのない――
「死ねぇええええっ!」
ババババという銃撃が四方から響き、俺の主観で時間が止まった。
(あ、これ死んだわ!)
普通の刀と言えるほどに伸ばした刀身のまま、無意識に背中から青い双翼が伸びる。
片手で握っていた脇差からは、青い光。
体の向きを変えながら、それを投げれば、回転しつつ、周りの敵をどんどん切り裂いていく。
一瞬で上空へ飛び上がった俺は、完全解放による
「
その一言で、背中の双翼と青いソードの色が変わる。
白い。
俺は、もう一度、繰り返す。
「これは、光の終わり……」
噴き出す白い光が激しくなり、地上にいる兵士や警官、低空のヘリまで注目する。
「撃て! あいつを撃てぇええええっ!」
三次元で撃たれるも、そのライフル弾や榴弾はことごとく白い光になるだけ。
ヴゥウウウウウッ!
ヘリの下部にある機関砲が火を噴き、凄まじい音と衝撃に襲われるも、同じ結果だ。
直進するだけのロケット弾が殺到して、俺は爆風に包まれた。
「や、やったか!?」
地上にいる誰かの声が、不思議と響き渡った。
けれど、何事もなかったように空中で立つ俺に、誰もが黙り込む。
さっきまで殺し合いだった奴らは、俺を見上げるばかり。
目を開けた俺は、静かに告げる。
「次だ……」
「あと1回で、お前らは消えるぞ?」
その時に、誰かが絶叫しつつも発砲。
俺は、最後のセーフティーを解除する。
「全ては、光の中へ――」
あふれるように、白い光が周りに満ちていく。
一瞬で、攻撃していた戦闘ヘリが消える。
キンキンと甲高い音が発生しつつ、その範囲はあっという間に広がっていく。
「た、助け――」
「嘘だ――」
一斉に撃ってきた装甲車の砲弾が消え去り、そのエネルギーがさらなる効果へ繋がる。
白の絵の具で塗り潰されるように、消える。
消えていく……。
――死にたくない!
――やめろ!
――この、人殺しがあああぁっ!
――化け物め!
気がつけば、俺が見下ろしている景色は、一帯が造成工事のように抉られたまま。
青色に戻った青いビームソードのような刀の柄を握りしめた。
そもそもの発端である男女。
しかし、さっきの白い光に呑み込まれたわけではない。
それぞれ、逃げたのだ。
「時間を与えた結果が、これか……」
フーッと息を吐いた後で、展望台のような山の景色でその一角を見据える。
◇
車を運転する、スーツ男。
黒田は、両手でハンドルを握りつつも、全身から汗をかいていた。
山をぐるりと回る、先が見えない車道。
そこを、サーキットのように高速で走っていく。
空へ飛び出しそうな景色から、先が見えないカーブの先へ。
「くそっ! くそっ! 綾千侍を説得できず、こんなザマとは!」
誰も座っていない助手席には、乱暴に放り出したセミオートマチックが一丁。
その形に切り取ったようなホルスターに収まったままだ。
咳き込むようなエンジン音と、アスファルトで削られて悲鳴を上げるタイヤ。
(市街地まで逃げて……姿を消そう! 顔と名前を変えるのが間に合うか……)
片手でハンドルを叩く。
「ちくしょおおおおっ!
無意識に、泣いていた。
ズボンの前もずぶ濡れで、足元まで気持ち悪い。
小なりとはいえ、軍の部隊がいたのだ。
それが、まさに一瞬で消え失せた。
存在して良い力ではなく、知らずに最終兵器のトリガーを引かされた気分。
「冗談じゃねえええっ! 冗談じゃ――」
円盤のように回転する青い物体が、前方から車を左右に分断するように近づいてきた。
皿を縦にしたようで、ギロチンに思える。
「ぐっ!?」
とっさに反応した黒田は、それでも空中へ飛び出すことを避け、山肌を固めた反対側にハンドルを切る。
車道を半分で区切るように削った死神を避けつつ、走っている車は助手席のほうが嫌な音を立てて、火花を散らしながら凹んでいく。
タイヤが破裂して、左半分が低くなった。
そのまま爆発するように思えた車だが、何とか停止。
ハンドルにかじりついていた黒田は、肩で息をする。
「た、助かった? とにかく、逃げないと――」
金属が溶断されるような、耳を塞ぎたくなる音。
同時に、車内が妙に明るくなった。
風切り音がするほうを見上げれば、車の屋根を切り裂いた張本人の姿。
低空に立っているのは、青少年。
青い円盤のように回転していた刀をキャッチした
ドスの利いた、低い声。
「黒田くぅ――ん? ちょっと、聞きたいことがあるんだけどね?」