【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~ 作:初雪空
正門の前で突っ立っていれば、悪目立ちする。
それでなくても、全寮制の女子校だ……。
俺たちの案内を担当したと思われる女教師は、向かい合ったままで会釈。
「東京
「はい、よろしくお願いいたします」
俺が頭を下げたら、他の面々もならう。
女教師も頷き、俺たちを敷地の中へ入れてから、片耳のイヤホンをさわる。
「正門を閉じてください!」
モーター音が鳴り響き、ギギギと、重そうな音も。
ホラーゲームで退路を断つような雰囲気で、黒塗りの門扉がシャットアウト。
女教師は、敷地が隔離されたことを見届けた後で、背を向ける。
顔だけ、振り向いた。
「では、こちらへ……。男性も宿泊できるゲストハウスに、ご案内いたします」
オシャレな別荘を思わせる外観。
意外に近かったゲストハウスに入れば、談話室、給湯室などの共用設備もある、ドミトリーのような雰囲気。
その談話室に陣取り、女教師は改めて自己紹介。
「先に申し上げておきます! 当校で皆様を案内するのは、こちらのコルナーロさんと、数人の女子です。御用については、そちらへお願いします」
示されたコルナーロとやらが、座ったままで会釈。
けれど、何かを言う気配はない。
女教師は、さらに告げる。
「当校で被害者が出たことで、警視庁の刑事さんが捜査をしました。けれど、今は電話をするぐらい。あなた方の訪問と併せて、
「どなたが?」
俺が口を挟んだら、女教師は神経質そうに眉を上げた。
けれど、すぐに取り繕う。
「警視庁の方だそうで……。
以下、略。
他人にマウントを取りたがり、口答えを嫌うことは、よく分かった。
(コルナーロたちも、目を伏せたまま……。こいつらは、もう慣れているわけか!)
コンコンコン
『失礼します! 警視庁からの訪問者です!』
女子の声だ。
ようやく黙った女教師が、ドアのほうを見た。
「人数と、性別は?」
『……大人の男性1名、女性1名の合計2名です』
ガタッと立ち上がった女教師は、一方的に言う。
「コルナーロさん! 後は、お願いしますね?」
「……はい、先生」
作り笑顔のコルナーロは、初めて喋った。
いっぽう、女教師が俺以外に告げる。
「このような機会ではありますが、当校の見学はご自由に……」
俺をハブっている態度にイラついたのか、
「ありがとうございます、先生」
「あなたは、見込みがありますね……。当校に転入したくなったら、いつでも相談してください」
「恐れ入ります」
生徒会に入っただけあって、希はこの手の扱いに慣れているようだ。
満足した女教師は、談話室から出ていく。
女子の1人が見送りに行き、戻ってきた時点で、コルナーロたちの雰囲気が変わった。
「行きました!」
コルナーロは、息を吐く。
「失礼しました! アレは、外でやっていけないタイプでして……」
素の表情に戻ったコルナーロは、アンジェラ・フォン・コルナーロと名乗る。
俺たちも、改めて自己紹介へ。
「何なんだ、さっきの教師は?」
苦笑したアンジェラは、端的に答える。
「
ドライだ。
そして、クールな美人のわりに、感情豊か。
「今のような会話は、ここだけでお願い!」
「分かった……。白いマントがあるし、君は優等生?」
自分の肩を覆っている小さなマントを見たアンジェラは、すぐに向き直る。
「アウルムのこと? まあ、そんなところ……。私たちの赤いリボンは1年を示し、他の学年は色が違う。単なるローテーションだから、深い意味はないわ! ここにいる女子は私と同じグループで、派閥ってやつ。心配しないでいい」
同席している女子2人が、ペコリと、頭を下げた。
こちらも、会釈。
アンジェラは、息を吐く。
「警視庁から、新顔が来た! その人たちと顔合わせをしたうえで、情報共有と今後の方針を決めたい」
「別にいいが……。そいつらも、ここに泊まるのか?」
俺のツッコミに、アンジェラは肩をすくめる。
「さあ? 本人に聞いてよ……。それとも、警察が怖いから私の部屋に泊まりたいって誘い?」
肘をついての頬杖で、悪い顔のアンジェラ。
息を吐いた俺は、睦実と希の視線を感じつつ、即答する。
「冗談は、よせ! さっきの教師の言い方だと、刑事じゃない奴らが――」
「警視庁公安局、
若い男の声が、談話室に響いた。
そちらを見ると、ラフに着たスーツの上下で、荒事に慣れていそうな男。
横には、女物のスーツで長ズボンの若い女も。