【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~ 作:初雪空
俺たちは、声がしたほうを見た。
スーツの若い男は、ズカズカと入ってくる。
「時間が惜しい! すぐに話を――」
「先輩? ちゃんと説明したほうが……」
斜め後ろにいる若い女が、提案した。
立ち止まった若い男は、片手で後頭部をかく。
「面倒だな……。まあ、いい!」
ゲストハウスの談話室にあるテーブルを囲む俺たちの前で立ち止まった若い男は、黒い手帳を片手でつまみ、慣れた動作で上下に開いた。
「警視庁、公安局の
「……同じく、
女物のスーツで長ズボンの女も、警察手帳を開いたままで提示。
時間を与えたら、それぞれ無言でパタンと閉じて、ポケットに仕舞う。
「ま、そんなわけだ!」
「私たちも、座っていいでしょうか?」
アンジェラ・フォン・コルナーロが、反応した。
「どうぞ、お掛けください! 紅茶と菓子の準備を」
「……はい」
ほかの女子が数人、立ち上がった。
「こちらへ……。紅茶をご用意させていただきます。コーヒーのほうが?」
「コーヒーにしてくれ! 砂糖とクリームは、いらん」
「……私は、両方とも入れたコーヒーで」
「承知いたしました」
刑事2人のために椅子を示してから、給湯スペースへ移動。
ガタガタと座った男女は、俺たちを眺める。
征司が、宣言。
「あの2人が戻ってきたら、お互いに自己紹介をしよう」
「はい」
アンジェラが、穏やかに答えた。
じきに、全員分の紅茶、お菓子が用意される。
全員がテーブルについたことで、征司は咳払い。
「んんっ……。俺たちは、
目を丸くした
「お二人は、東京
「まあな?」
「その制服も、懐かしいですね!」
征司は気まずそうで、梓はニコニコしている。
「考えてみれば、国武を出てから5年ぐらいか! 早いもんだ――」
「先輩? 説明を済ませましょう」
梓にカットインされて、征司が戻ってきた。
「正式には『
息を吐いた梓が、愚痴を言う。
「刑事にすることを嫌って、公安局という内局に押し込められただけですけど……」
困惑した
「んん? 2人とも、刑事じゃないの?」
そちらを見た梓は、苦笑い。
「刑事と呼べるのは、刑事部か刑事課にいる警察官だけ! それ以外は、たとえ私服でいても、捜査員なの……」
息を吐いた征司が、付け加える。
「現場に駆けつけることが多いのは機動捜査隊で、あいつらも刑事部に所属している! 市民には、どれも同じに見えるだろうよ」
睦実は、さらに尋ねる。
「御刀がないんだよね? オカルトや同じ防人には、ボク達が戦うけど……。そっちは大丈夫?」
座ったままで肩をすくめた征司が、答える。
「安心しろ! 国家権力だから、銃があるさ……。対防人のスペシャルだぞ? クイックドロウの初弾で、だいたい仕留められる」
「セミオートだけど、軽くて扱いやすい……。御刀を抜かれるか、オカルトが異能を発揮したら終わりだから、その前に倒すわけ! ここでは、見せないわよ? 日本警察だと、ホルスターから抜いただけで発砲とほぼ同じ扱いだから」
梓が、最後に釘を刺した。
一段落したことで、俺は本題に戻す。
「先輩たちに会えて、光栄です……。事件の捜査ですが、殺人なら捜査一課も担当していますよね? そちらの方は?」
ため息をついた征司が、両手を上げた。
「刑事部の捜査一課にいる
「惣流
梓も、呆れた表情だ。
「高校生とはいえ、数人の防人が来れば、やりにくいんでしょうね?」
苦笑したまま、梓が締めくくった。
征司は、俺たちを見回す。
「んじゃ、捜査に入るぞ? 国武とここの代表者を決めてくれ!」
「俺です」
「基本的に、私へお願いします」
俺とアンジェラが答えたら、征司は頷いた。
「よし! その2人は、俺と梓のSNSグループに入ってくれ! ただし、捜査情報をアップしないように」
「はい」
「分かりました……」
それぞれのスマホを動かして、新しいグループを作った。
紅茶やコーヒーを二杯目にしつつ、ようやく捜査本部へ……。
征司は、リーダーらしい表情に。
「ここで発生している連続事件だが……。俺は、殺人事件だと踏んでいる」
眉をひそめた睦実は、ツッコミを入れる。
「それは、オカルト、人為的のどちらの可能性も含めて?」
「ああ! その中心にあるのが、コトリバコ! 少なくとも、それを被害者に送った奴がいる……」
征司の断言で、テーブルについた全員が考え込む。