【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~   作:初雪空

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室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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第65話 防人の再就職先としての先係

 俺たちは、声がしたほうを見た。

 

 スーツの若い男は、ズカズカと入ってくる。

 

「時間が惜しい! すぐに話を――」

「先輩? ちゃんと説明したほうが……」

 

 斜め後ろにいる若い女が、提案した。

 

 立ち止まった若い男は、片手で後頭部をかく。

 

「面倒だな……。まあ、いい!」

 

 ゲストハウスの談話室にあるテーブルを囲む俺たちの前で立ち止まった若い男は、黒い手帳を片手でつまみ、慣れた動作で上下に開いた。

 

「警視庁、公安局の不知火(しらぬい)征司(せいじ)だ!」

「……同じく、百夜(ひゃくや)(あずさ)です」

 

 女物のスーツで長ズボンの女も、警察手帳を開いたままで提示。

 

 時間を与えたら、それぞれ無言でパタンと閉じて、ポケットに仕舞う。

 

「ま、そんなわけだ!」

「私たちも、座っていいでしょうか?」

 

 アンジェラ・フォン・コルナーロが、反応した。

 

「どうぞ、お掛けください! 紅茶と菓子の準備を」

「……はい」

 

 ほかの女子が数人、立ち上がった。

 

「こちらへ……。紅茶をご用意させていただきます。コーヒーのほうが?」

 

「コーヒーにしてくれ! 砂糖とクリームは、いらん」

「……私は、両方とも入れたコーヒーで」

 

「承知いたしました」

 

 刑事2人のために椅子を示してから、給湯スペースへ移動。

 

 ガタガタと座った男女は、俺たちを眺める。

 

 征司が、宣言。

 

「あの2人が戻ってきたら、お互いに自己紹介をしよう」

 

「はい」

 

 アンジェラが、穏やかに答えた。

 

 じきに、全員分の紅茶、お菓子が用意される。

 

 全員がテーブルについたことで、征司は咳払い。

 

「んんっ……。俺たちは、先係(さきがかり)だ! 防人(さきもり)だったが御刀(おかたな)との契約を切って、再就職したのさ! 言わば、お前らの先輩」

 

 目を丸くした神宮寺(じんぐうじ)(のぞみ)が、すっとんきょうな声を上げる。

 

「お二人は、東京国武(こくぶ)高校のOB、OGですか!?」

 

「まあな?」

「その制服も、懐かしいですね!」

 

 征司は気まずそうで、梓はニコニコしている。

 

「考えてみれば、国武を出てから5年ぐらいか! 早いもんだ――」

「先輩? 説明を済ませましょう」

 

 梓にカットインされて、征司が戻ってきた。

 

「正式には『防人係(さきもりがかり)』だが、言いにくい! だから、先係と呼んでいる……。俺たちは御刀を失ったことで弱体化したものの、常人よりは強い。だから、防人との連携や、オカルトに強いことを買われての抜擢だ」

 

 息を吐いた梓が、愚痴を言う。

 

「刑事にすることを嫌って、公安局という内局に押し込められただけですけど……」

 

 困惑した西園寺(さいおんじ)睦実(むつみ)が、尋ねる。

 

「んん? 2人とも、刑事じゃないの?」

 

 そちらを見た梓は、苦笑い。

 

「刑事と呼べるのは、刑事部か刑事課にいる警察官だけ! それ以外は、たとえ私服でいても、捜査員なの……」

 

 息を吐いた征司が、付け加える。

 

「現場に駆けつけることが多いのは機動捜査隊で、あいつらも刑事部に所属している! 市民には、どれも同じに見えるだろうよ」

 

 睦実は、さらに尋ねる。

 

「御刀がないんだよね? オカルトや同じ防人には、ボク達が戦うけど……。そっちは大丈夫?」

 

 座ったままで肩をすくめた征司が、答える。

 

「安心しろ! 国家権力だから、銃があるさ……。対防人のスペシャルだぞ? クイックドロウの初弾で、だいたい仕留められる」

 

「セミオートだけど、軽くて扱いやすい……。御刀を抜かれるか、オカルトが異能を発揮したら終わりだから、その前に倒すわけ! ここでは、見せないわよ? 日本警察だと、ホルスターから抜いただけで発砲とほぼ同じ扱いだから」

 

 梓が、最後に釘を刺した。

 

 一段落したことで、俺は本題に戻す。

 

「先輩たちに会えて、光栄です……。事件の捜査ですが、殺人なら捜査一課も担当していますよね? そちらの方は?」

 

 ため息をついた征司が、両手を上げた。

 

「刑事部の捜査一課にいる惣流(そうりゅう)は、俺たちに丸投げ! いいご身分だ……」

 

「惣流美夏(みか)さんは、次に犠牲者が出たら、来ると……。明花女学院(めいかじょがくいん)が嫌がったことで、敬遠している感じ」

 

 梓も、呆れた表情だ。

 

「高校生とはいえ、数人の防人が来れば、やりにくいんでしょうね?」

 

 苦笑したまま、梓が締めくくった。

 

 征司は、俺たちを見回す。

 

「んじゃ、捜査に入るぞ? 国武とここの代表者を決めてくれ!」

 

「俺です」

「基本的に、私へお願いします」

 

 俺とアンジェラが答えたら、征司は頷いた。

 

「よし! その2人は、俺と梓のSNSグループに入ってくれ! ただし、捜査情報をアップしないように」

 

「はい」

「分かりました……」

 

 それぞれのスマホを動かして、新しいグループを作った。

 

 紅茶やコーヒーを二杯目にしつつ、ようやく捜査本部へ……。

 

 征司は、リーダーらしい表情に。

 

「ここで発生している連続事件だが……。俺は、殺人事件だと踏んでいる」

 

 眉をひそめた睦実は、ツッコミを入れる。

 

「それは、オカルト、人為的のどちらの可能性も含めて?」

 

「ああ! その中心にあるのが、コトリバコ! 少なくとも、それを被害者に送った奴がいる……」

 

 征司の断言で、テーブルについた全員が考え込む。




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