【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~   作:初雪空

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室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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第66話 コトリバコの中身

 ゲストハウスの談話室で、空気が張り詰めた。

 

 テーブルについている不知火(しらぬい)征司(せいじ)が、主張する。

 

「コトリバコを追っていけば、必ず犯人にたどり着く!」

「……逆に言えば、オカルトを抜きにしたら詰むの! 捜査一課の惣流(そうりゅう)さんも、それで投了した」

 

 同じ警察官である百夜(ひゃくや)(あずさ)が、すかさずフォロー。

 

 首肯した西園寺(さいおんじ)睦実(むつみ)による指摘。

 

「分かったけど……。捜査一課が調べ尽くした後でしょ?」

 

「だから、引き継いだ資料をここで検討する! あなた達の意見が欲しいの!」

 

 梓の発言に、俺は心の中で嘆息した。

 

(まさかの、安楽椅子探偵とは!)

 

 説明した男女2人は、ガサゴソと準備する。

 

 ロックを外した後で、テーブルの上にタブレットを置く。

 紙の資料も、いくつか。

 

 全員で覗き込めば、タブレットに触った指の動きが、とある写真を――

 

「言い忘れたが、刺激が強い話だ! お前たちは警官じゃないから、無理に見る必要はないぞ?」

 

 征司が警告するも、席を立つ人間はいない。

 

 息を吐いた彼は、無言で頷く。

 

「じゃ、始めるぞ? コトリバコは犠牲者の恨みをターゲットにぶつける、一種の呪詛だ! その中身は、遺体の一部……。『子取り箱』とも言われていて、その名の通り、子供と女にしか効かない。贈られた相手だけではなく、箱の周りを含めて内蔵を腐らせていき、死に至る! まあ、都市伝説でしかないがな?」

 

 梓が、タブレットで写真を表示した。

 

「しかし、犠牲者が続いたことは事実……。科学捜査も行われて、野生の毒草、ガスを含めて、『そのような物質は検出されなかった』という結論」

 

 俺も、自分の意見を述べる。

 

防人(さきもり)御刀(おかたな)があるんだ……。警察の上層部は、『防人のスキルじゃないか?』と疑っているので?」

 

「そうだ! 儀式的な呪術という線もあるが……」

 

 肩をすくめた征司は、座ったままで腕組み。

 

 いっぽう、アシスタントの梓が、タブレットを操作する。

 

「コトリバコを作るためには、最終的に開けられない木組みの箱と、中に入れる遺体の一部が必要不可欠です! 回収できた箱は壊すしかなく、へその緒や指がそれぞれ5人分――」

 ガタタッ!

 

 乱暴に椅子を後ろにズラした女子の1人が、片手で口を押さえたまま、廊下へ走っていく。

 

 征司が、すかさず叫ぶ。

 

「トイレだ! 洗面所だと、詰まる!!」

 

 ゆっくり息を吐いた後で、見回す。

 

明花女学院(めいかじょがくいん)の女子は、いったん戻れ……。必要なときに連絡するから」

 

 アンジェラ・フォン・コルナーロが、指示する。

 

「ラウンジで待機するか、寮に戻ってください。……私は、最後まで伺います」

 

「「「はい……」」」

 

 取り巻きの女子たちも、気分が悪そうに立ち上がった。

 

 会釈をして、フラフラと、廊下へ。

 

 

 気まずい空気の中で、征司が俺を見た。

 

「お前は、どう思う?」

「……コトリバコに入れる遺体のパーツは、その年齢に応じて変わるんですよね?」

 

「そうだ!」

 

 征司が肯定したことで、ズバリ指摘する。

 

「へその緒は、おそらく胎児です……。病院のほうの潰しこみは、やりましたよね?」

 

 梓の指でタブレットの画面が切り替わりつつ、声も。

 

「捜査一課が、都内全域どころか、主要道路や駅近くの遠方までローラー済み! 該当はありません」

 

 全員、息を吐く。

 

「現代の日本では、遺体を入手することが難しい……。胎児であれば、話は別」

 

 俺の言葉に、全員がこちらを向いた。

 

「何が言いたい、氷室(ひむろ)?」

 

「ここで、調達したんじゃないですか? 捜査一課も、明花に逆恨みされたくないから俺たちに投げた!」

 

 反論しそうな気配もあったが、ひたすらに悩むだけ。

 

 梓は、征司を見た。

 

「……ありそうですね?」

 

 ため息をついた征司が、しぶしぶ認める。

 

「そんな事だろうと、思ったぜ! 壁をかじってでも食いつく捜査一課が、抱えた事件を諦めるわけがない」

 

 ダラーンとした様子で、座っている椅子に崩れ落ちる。

 

 聞いていたアンジェラが、はっきり言う。

 

「うちで、中絶が行われていると?」

「……気を悪くしないでね? 可能性の1つだから」

 

 梓の謝罪に、アンジェラは平然と続ける。

 

「ウチの生徒じゃないですか? 全寮制の敷地に部外者が出入りしたら、どれだけ隠しても目立ちます」

 

 その発言で、談話室は静まり返った。

 

 神宮寺(じんぐうじ)(のぞみ)が、仕切り直す。

 

「お二人は、どうしたいんですか? アンジーさんの発言を信じるなら、2つ以上の事件が絡み合ってます」

 

 うんざりしたように息を吐いた男女は、それぞれに呟く。

 

「二桁の胎児……。どう考えても、売春じゃねえか!」

生安(せいあん)(生活安全課)の話まで」

 

 らちが明かないので、発言する。

 

「捜査一課が放り出したのは、『コトリバコの呪い』があったからでしょう? 俺たちは、コトリバコを作った奴か、作成した場所を突き止めて、再発防止をすればいい! あとは、捜査一課の仕事」

 

 高校生でしかない俺は、付き合いきれん。

 

 うなずいた征司が、同意する。

 

「そうだな! しかし、ここで組織的な売春となれば……」

 

「教職員に内通者というか、女子に斡旋している奴がいますね?」

 

 梓の指摘に、再び空気が張り詰めた。




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