【第六章 全ては箱の中まで完結!】弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~ 作:初雪空
情報共有を終えて、いよいよ動く。
グループを仕切っている
「今から、捜査をするぞ? これだけ人数がいるんだ。分かれて、当たろう!」
男女の捜査員は、教職員に聞き込み。
俺たちは、生徒への聞き込み。
警察となれば、生徒は委縮するだけ。
同年代の俺たちが当たるのは、理にかなっている。
ゲストハウスを出たら、荘厳な建物たちがジロリと睨んできたような錯覚。
「
「はい! 1人にならないよう、気をつけます」
俺の返事に、征司は頷いた。
片手を上げつつ、俺たちに背中を見せる。
「では、どうされますか?」
アンジェラ・フォン・コルナーロに尋ねられて、考える。
「コトリバコを贈られて死亡した女子の現場は?」
「……立入禁止ですが、実況見分は終わっているようですから」
返答をしながら、スマホを弄る。
すぐに視線を戻したアンジェラは、首肯。
「荒らさないなら、良いと! 女子寮ですよ?」
「構わない!
「うん!」
「分かりました……」
――女子寮の殺人現場
2人部屋は、昔を思わせる内装だが、現代の家具を持ち込んでいた。
左右対称に配置されていて、複数の部屋を見た限り、ここの規則のようだ。
黄色と黒のバリケードテープを避けるように入ると、鑑識が残したと思しき白いラインやマークが残っている。
コトリバコはないはずだが、女子は緊張している様子。
勝手知ったる場所として歩くアンジェラは、フローリングの上に落ちている物体に気づく。
カシャッ!
スマホの撮影音が響き、アンジェラはスマホを仕舞う。
白い手袋で床の物体を拾い上げて、ビニール袋に入れた。
「それは?」
「ウチの制服につける学年章みたいなものです……。しかし、妙ですね? ウチの生徒がわざわざ入ってきた?」
アンジェラは、悩んでいる。
女子寮にいる生徒が気にしている気配に、俺は指示する。
「これで最後か? なら、いったんゲストハウスに戻るぞ」
「ええ……。戻りましょう」
◇
ゲストハウスの談話室に入ったら、捜査員の2人が悩んでいた。
俺たちに気づき、情報共有へ。
不知火征司は、ビニール袋に密封された学年章を受け取りつつ、結論から述べる。
「売春の線だが……。重要参考人が見つかった!」
「
疑問に思い、尋ねる。
「捜査一課が見逃した男に、まだ用があるんですか?」
要するに、そういうこと。
犯行が可能なら、そいつを別件で引っ張っているはず。
息を吐いた征司が、同意する。
「都合が良すぎるんだよな、どうにも!」
「……『はいどうぞ』とお出しされた感が、強いですね?」
梓も、納得できないようだ。
西園寺睦実が、今後を含めて、尋ねる。
「コトリバコを作るだけなら、そいつに不可能ではないよ? もう日が暮れるし、明日にする?」
征司は、椅子の背もたれに身を預ける。
「ここの奴らに指図されるのは、気に食わん。俺たちは装備があるから、帰る! 明日の朝からだ」
「あなた達は、ここに泊まっていいから! ゲスト扱いで、弁当なども注文していいとか……。氷室くん、浮気しちゃダメよ?」
悪戯っぽく告げた梓に、言い返す。
「婚約者の
「フフフッ! 冗談よ……。じゃ、また明日!」
――夜9時
明花女学院の女子たちは、寮に帰った。
ドミトリー形式であるものの、男子の俺は1つの大部屋を占領。
外線の電話機で、脇に置かれた出入り業者のメニュー表から注文。
楽しくお喋りする気分にならず、早めに解散した。
男女で暮らすことは前提としていないようで、キッチン、シャワーなどは共用設備。
ガランとした相部屋で、ベッドの1つに寝転がりつつ、考える。
(明花にいる犯人は、おそらく2つ……)
学内にいる教職員で、女子の売春を手引き、管理している
それと共犯であろう、コトリバコを作った人間。
言うまでもなく、女衒が主犯で、コトリバコを作った人間がそいつの手下。
(同一人物の可能性もあるが……。ここで怪しまれずに女子に売りをさせているなら、高い確率で女だ! となれば、コトリバコに近づきたくないはず)
明らかに下である人間に命じるほうが、自然。
問題は、明花でどれぐらいの立場であるのか?
(エロゲなら、学長や教頭クラスが黒幕で、自身も生徒を食い漁っている)
捜査一課も、そこは重点的に調べただろう。
たぶん、白だ。
(明日になったら、また考えるか……)
――深夜1時
ガチャッ キィイイッ
鍵を開ける音と、ドアの開く音。
足音を消しつつの入室で、逆再生のように内側から施錠。
暗闇だが、丸みを帯びたボディラインから女子だと分かる。
室内の一点を見つめるも、すぐに歩き出す。
氷室