おい!この"選択肢"おかしいぞ!何とかしろ!   作:一般通過先生

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やっとチュートリアルが終わる。
長いね、ほんと。


今日から先生始めます

 

 

上を見れば空は青く、横を見れば青く輝く海。

綺麗だね。それで?なんでこの教室は壊れてるんでしょう。

 

天井も壁もぶっ壊れた教室。

そこに並べられたいくつもの机。

その一つで眠っている少女を発見。

 

………うお、誰かいたのか。ビビったわ。

 

「……くぅぅ…Zzzz………カステラにはぁ………いちごミルクより……バナナミルクの方が……むにゃ……」

 

食いしん坊さんかな?夢で美味しいもの食べるってテンプレがすぎると思います。可愛いね。

 

それにしてもカステラかぁ……俺は抹茶ラテがいいなあ。

 

 

 

【プロテインだ!プロテインを飲め!】

【ここは炭酸抜きコーラだ!大したものですねぇ!!】

 

 

 

お前の好みは聞いてないんだよなあ。

何が"大したものですねぇ"だよ。知らんがな。

 

 

「プロテインだ!プロテインを飲め!」

 

「ひゃあっ!!」

 

 

あ、起きた。起こしてごめんね。

胸を抑え当たりをキョロキョロしている少女。こちらと目が合うとその動きを止め、じっと見つめてくる。

 

「……あ、あれ?……え?あれれれれ?……こ、この空間に入ってきたということは、まさか先生…!?」

 

 

 

【そうです、私が変な先生です】

【いいえ、先生ではありません。ただの変人です】

 

 

 

変人にしてるのは選択肢(お前)なんだよなあ。

 

「そうです。私が変な先生です」

「う、うわあああ!そ、そうですね!……って、もうこんな時間!?」

 

あわあわしてる幼女。

頭の上に浮かんだ天使の輪っかの色が何度も変化して立ち上がる。

 

落ち着いてー。そんな慌てないでー。

 

「えーとえーと、落ち着いて落ち着いて……そ、そうだ、まずは自己紹介から…!」

「よしきた」

「私はアロナ!こんにちアロナです!この"シッテムの箱"のシステム管理者であり、メインOS……先生のアシストをする……秘書です!!」

「なるほど…」

 

あーね、完璧に理解したわ(分かってない)

まあいいや、わちゃわちゃしてる姿がかわちいし(ほっこり)

 

「やっと、やっと会うことができました…!私は、ここで先生を、ずっと…ずーっと待っていました!」

 

そうなのね。待たせてごめんね。

……で?結局俺は何をすればいいのだろうか。

 

「あ、そうだ!ではまず、形式的ではありますが生体認証を行います♪」

「あ、はい」

「うぅ……少し恥ずかしいですが、手続きだから仕方ないんです。こちらの方に来てください」

「ここでいい?」

「はい、そこで大丈夫です。さぁ、この私の指に先生の指を当ててください!」

 

そう言って突き出された人差し指。

それに向けてこちらも人差し指を──

 

 

 

【そのまま指を掴み、反対方向へへし折る】

【E〜T〜】

 

 

 

人の心はどこぞ?

指折るとか怖。なんか恨みでもある?

 

精神病んでるの?大丈夫?話聞こか?

 

「E〜T〜」(ダミ声)

「むっ誰が宇宙人ですか」

 

お顔膨らませて可愛いね。ヨシヨシしたい。ヨシヨシして甘やかしてやりたい。母性ならぬ兄性が出てきてしまう。こりゃ魔性の幼女やで。

 

「それで、これにはなんの意味が?」

「これで生体情報の指紋を確認するんです!画面に残った指紋を目視で確認するのですが……すぐ終わります!こう見えて目は良いので!」

 

そっかぁ(*´ω`*)

頑張ってねー。

 

「どれどれ?………う、うーん……」

「…………」

 

唸るアロナ。

首を傾げたり、角度を変えて見て見たり……そして、1回納得したように頷いた。

 

「はい!確認終わりました♪」

「……なんかちょっと適当じゃなかった?」

「え!?……き、気のせいですよ?あはは……」

 

 

 

【嘘つけ、絶対適当だったゾ】

【ま、まああんた程の人がそう言うんなら……】

 

 

 

「嘘つけ、絶対適当だったゾ」

「て、適当じゃないですよ!適当するわけありません!」

 

そっかあ。じゃあそういうことにしておこう。

 

「そ、そんなことより!先生、今の状況を教えてください!」

「あ、うーん……いいけど俺もあんまり詳しくは知らないんだよなあ」

 

なんか、さ、サンクスタワー?だかなんだかの制御権を取り戻したいんだっけ?

とりあえず話しておけば理解してくれるかな?有能なシステムなんだもんね?いけるいける。

 

 

──かくかくしかじかまるまるうまうま

 

 

「──なるほど!先生の事情は分かりました!連邦生徒会長が行方不明になって、そのせいでサンクトゥムタワーを制御する手段がなくなっちゃったわけですね」

「……多分それで合ってる!」

 

自信ないけど。

それにしても俺の分かりづらい説明でここまで理解してくれるとは、さすがだ。

 

「任せてください。サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すくらいちょちょいのちょいです」

「よ!さすが!その有能さはこの都市1だね!」

「う、うへへ、そんなぁ……///」

 

何照れてんだよ、可愛いかよ。

 

「サンクトゥムタワーのadmin権限を取得完了……先生、サンクトゥムタワーの制御権を無事獲得できました。制御権は今、私の統制下にあります。今のキヴォトスは、先生の支配下にあるも当然です!」

 

マジかよ、すげえなアロナ。

にしても俺の支配下だって?

 

 

 

【世界征服するか!】

【ならばこの世界を滅ぼそう!】

 

 

 

魔王ムーブするの?マジ?

俺はまさかこの世界の敵だった?討伐対象になっちゃう。

 

「世界征服するか!」

「だ、ダメですよ危ないことは!」

「大丈夫、冗談だよ」(*´ ꒳ `*)

 

プリプリ怒る姿も可愛いね。

俺は先生じゃなくてアロナのお兄ちゃんです。異論は認めない。

 

「ま、じゃあその制御権はリンちゃんさんの方に渡せる?」

「リンちゃんさん……ああ、生徒会の方ですね。そちらに移管すればいいんですか?」

「おう、頼んだ。俺もってても意味ないし」

「分かりました……はい!無事に出来ました!」

 

うわぁ、お仕事早い。俺とは大違い。

妹に有能さで負ける兄か。うんうん、それもまたいいね。兄として鼻が高いよ。

 

 

 

【そろそろ現実世界に戻ろう。愛しのリンちゃんが君を待ってる!】

【まだアロナとイチャコラしたい。兄妹のスキンシップはもっと取るべきだ!】

 

 

 

うおおお…!これは究極の2択だ…!今までで1番頭を悩ませる選択肢を出してきやがった…!

 

リンちゃんさんを取るかアロナを取るか……これは悩ましい。

いや、しかしまだ俺はなんかやってる途中だしな。何をやってるのかまだよくわかんないけど。

 

とりあえず、リンちゃんさんの元に行くか。うんそうだな。"戻ってくんのおっせえなアイツ"とか思われてたらヤダもんね。

 

「よし、んじゃ俺は一旦帰るね」

「あ、はい!ちなみに画面越しでも私と会えるのでこれからは気軽に呼んでくださいね!」

「もう絶対呼ぶ。嫌と言っても呼ぶ」

「嫌なんてそんなことある訳ありませんよ、先生」

 

そう言ってニッコリ笑うアロナ。

うっ…!(絶命)

 

笑顔が眩しいなマイラブリーシスターよ…。

 

「じゃ、またね」

「はい!また会いましょうね」

「…………」

「…………」

「………あ、これどうやって戻るの?」

「あ、戻れ〜って念じてもらえれば…」

「あ、ああ、すみませんね。ほんと」

「いえいえ……」

 

……うーむ、締まらんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺!参上!!」

 

ポーズを決め現実世界に帰ると薄暗かった室内に電気が着いており、リンちゃんさんは誰かと電話をしていた。

 

「はい……あ、先生が戻られました。一旦切ります」

「……あ、電話終わった?」

「はい。サンクトゥムタワーの制御権の確保が確認できました。これからは連邦生徒会長がいた頃と同じように、行政管理を進められますね……先生。キヴォトスの混乱を防いでくれたことに、連邦生徒会を代表者して深く感謝したします。ここを攻撃した不良たちと停学中の生徒たちについてはこれから追跡して討伐いたしますのでご心配なく」

 

それなら良かった。

俺はよくわからんが助けられたのなら、まあいっか。

 

「では、私はこれで……あ、そうでした」

 

出ていこうとするリンちゃんさんは足を止めてなにかに気づいたように動きを止めた。

 

「すみません、もう1つ紹介することがありました。着いてきて下さい。ここ"シャーレ"の案内をします」

「ほう……」

 

前を歩くリンちゃんさんの背中を追う。

それにしても広い建物だあ。俺が一人暮らしで住んでたアパートの何倍だ?とんでもないな。

 

「ここがシャーレのメインロビーです。長い間空っぽでしたけどようやく主人を迎えることになりましたね」

「……あ、主人てもしかして俺の事?」

「はい、これからはこの建物は先生のものになりますね。生活もこちらで送ってもらえれば……」

 

やったぜ(コロンビア)

でもこんだけ広いと管理が大変そう。家政婦とか雇うべき?あ、でも俺金ねえや。

 

「そしてここがシャーレの部室です」

 

そう言って開ける1つのドア。

中に入ると一面ガラス張りの小綺麗なオフィスのようなお部屋。

 

あれだね、清潔感漂う近未来的なレイアウトって感じ。

 

……めちゃくちゃ俺と不釣り合い。こんな俺に使われるとかこの場所もかわいそう。

 

「これからはここで先生としての業務をこなしてください」

「お仕事かあ……何すればいいの?」

「……シャーレは権限だけはありますが目標がない組織ですので、特に何かをやらなきゃいけない、と言う強制力は存在しません。キヴォトスのどんな学園の自治区にも自由に出入りでき、所属に関係なく、先生が希望する生徒たちを部員として加入させることも可能です……」

「へー仕事は自分で見つける感じなわけだ」

「はい、端的に言えばそれで合ってます……面白いですよね。捜査部とは呼んでいますが、その部分に関しては、連邦生徒会長も特に触れていませんでした。つまり、何でも先生がやりたいことをやって良い……ということですね」

 

うーむ、何でもしていいってのは逆に困るね。

 

あれだ、"お昼何食べる?"って聞けば"なんでもいい"って言われたから自分の好きなものを食べようとすれば"これの気分じゃなかった"とか言われるアレなことが起こる可能性があるわけだ。

 

しんどいぜ…。

 

「……本人に聞いてみたくとも、連邦生徒会長は相変わらず行方不明のまま。私たちは彼女を探すのに全力を尽くしているため、キヴォトスのあちこちで起きる問題に対応できるほどの余力がありません……今も連邦生徒会に寄せられてくるあらゆる苦情……支援物資に要請、環境改善、落第生への特別授業、部の支援要請など……もしかしたら、時間が余ってる"シャーレ"ならこの面倒な苦情の数々を解決できるかもしれませんね」

「そんな大層なこと俺に出来るかねぇ」

 

不安だ。不安しかない。つまり、この都市にあるいくつもの学園の先生を兼任する的な感じでしょ。

教師って激務ってよく聞くんだけど、俺過労死する可能性ない?

 

「その辺りに関する書類は、先生の机の上にたくさんおいておきました。気が向いたらお読みください」

 

そう言われ机を見るとドサリと積み上げられた紙の束が目に入った。

……すぅー……わぁお……。

 

「それではごゆっくり。必要な時にはまたご連絡します」

 

そう言って出て行こうと──

 

「リンちゃんさん」

「はい、なんでしょう」

「"頑張りすぎる"のは良くないからね」

「………っ」

「リンちゃんさんはリンちゃんさんのペースでやればいいんだよ。"誰かに成り代わろう"とするのはしんどいからね」

「……肝に銘じておきます」

 

疲れが見えた。

多分会長さんが行方不明になってずっと張り詰めてたんだろう。だが肩の力は抜いておかないとぶっ倒れる時は唐突だ。

 

ま、少し笑顔が見えたし、俺の言葉が無くとも大丈夫そうだったかな。

さて、俺はこのあと何を──

 

 

 

【ソファへとダイブする!フカフカを堪能だ!】

【キャスター付きの椅子で部屋を爆走する!】

 

 

 

ほう、なるほど。

学生の頃、パソコン室とかにあった椅子で教室で遊んでたら先生に怒られたからなあ。

部屋で爆走は小さき頃からの夢!ならば叶えるだろう!今!ここで!

 

「いやっふぅぅぅぅうッ!」

 

「っ!?」

 

気兼ねなくできるというのはなんて清々しいのだろうか。

 

………それにしてもわけも分からずこの世界に来ていきなり先生やることになるとはな。人生何があるか分からん。

まだ理解も出来てない。それでも、どんな場所でも俺は笑って楽しく過ごしてやる。

 

それに教師って職には興味あったしね。

子供を導く大人、か。

 

 

 

 

 

カッチョイイ先生に、俺はなる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生、くれぐれも備品は壊さないように」

「あ、はい」

 




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