おい!この"選択肢"おかしいぞ!何とかしろ! 作:一般通過先生
でも、可愛い子が(´._.`)シュンってしてるよりヾ(*´∀`*)ノキャッキャしてる方が個人的には好きなんだよなあ。
「──暇だねえ」
『そうですね』
とある日の昼下がり。
俺がシャーレに来て、正式な先生となってから少し時が経った。
書類仕事も満足出来ない中、俺がこの世界に初降臨した日に出会った生徒の1人、"早瀬ユウカ"ちゃんに様子を見に来てもらい世話をしてもらう日々。
生徒に面倒を見てもらう先生か……うんうん、それもまたアイカツならぬ先生活動、先カツだね。
とはいえ……まあ暇だ。だってやることないもん。
リンちゃんさんにまとめてもらった書類に書かれたこの都市のことについての知識を頭に叩き込んだり、あとはソシャゲとかに使ったお金に関してユウカちゃんから怒られるくらいしかやることがないわけだ。
リンちゃんさんのとこに遊びに行く?いや、邪魔だな。迷惑はかけられまい。
助けを求めるお手紙は届くが、猫探しとかお店のお手伝いとかそれくらいしかないし、先生とはなんぞや?というこの現状。
何もないに越したことは無いんだが……そろそろちょっと先生として動きたい欲が…!
『あ、そういえばちょっと不穏な、こんな手紙がありまして……』
「お?」
そう言って、端末越しに会話していたアロナが一通のお手紙を画面に映し出した。
どれどれ、見せてもらおうじゃないか……と。
差出人は"アビドス高校の奥空アヤネ"ちゃんという人からだった。
書いてあった内容をまとめると──
"悪い人たちに暴力振るわれちゃってるよー。迎え撃つための物資も底つきそうで……ふえぇ、どうしよー、助けてー"
──ってな感じだ。
【ならば行くしかないだろう!助けに!】
【先生は忙しいのだ!こんなのは無視無視!】
珍しくまともな選択肢だ。
ここ最近出てきた選択肢なんて腹筋1万回とかスクワット10万回とか、暇だからどこかの学園にカチコミだとか、人知を越えさせて来るようなもの多かったからなあ。
まあ、選択肢の強制力で筋トレしてたから体は鍛えられたが、おかげで連日筋肉痛が取れなかったぜ…
さて、それにしても学校のお助けかあ。
忙しいって書いてるけど……暇なんだよなあ。しゅごくひま。
てなわけでお出かけ準備だ。さあ急げ!40秒で支度だ!
『あ、行くんですね』
「子供たちが困ってるなら助けるのが先生というものなのさ……あと暇だからな!」
『後半の方が本音って感じがしますね……』
やかましいぞ妹よ。
それにアビドス高校は行ったことないしちょうどいいしね。
さて、着替えるか。
黒のスラックスとワイシャツ。ジャケットは……暑いし別にいいか。ネクタイの付け方はよくわかんないからとりあえず適当に巻いといて腕まくりをすれば……うーむ、姿見に映る自分を見てみるがなんともまあ大人の風格も教師らしさもない。ただ身長伸びた学生感。
……ま、俺らしさと考えればええか!(ポジティブ思考)
『アビドス高等学校ですか……昔はとても大きな自治区でしたけど、気候の変化で街が厳しい状況になっていると聞きました。どれほど大きいかというと、街のど真ん中で道に迷って遭難する人がいるぐらいだそうです!』
「なにそれやば。方向音痴気味の俺は100%迷うじゃん」
『でも、流石に誇張だと思いますけどね。街の真ん中で遭難なんて……』
「まあまあ行ってみるしかないでしょ。道案内よろしくね」
『はい!任せてください!』
善は急げ、すぐに向かうぞアビドス高校。
そうして意気揚々とアビドスの自治区へとやってきたわけなんだが。
「……迷ったね」
風に乗って砂が体に当たり、太陽は真上から俺の体を焼いてくる。
痛いし暑い。しかもアロナは電波状況があれなのか通信が悪いし道案内も無くなった。オワタ\(^o^)/
それにしてもこの砂が多いなこの場所は。建物が砂に埋もれてるし見渡す限り砂漠だ。こりゃ人も住めんて。
それにしても、喉も渇いてきたしこっからどうするか。
【水が出てくるまで地面を掘る(手作業)】
【助けが来るまで砂のお城を作る(手作業)】
どっちも手作業なのにその難易度の差はとんでもねえな。
あと疲れるんだから助けを求めるなら日影でゆっくりしてない?無駄に体力を使わせないでほしいものである。
まあ、お城だよね。普通に。
……普通にってのもよく分からんけど。
"彼女"はいつものように通学路を自転車で進んでいた。
何も変わらぬ風景。空は快晴が広がり平和な日常。
舗装された道路に砂が少しばかり覆いかぶさってるが、それを器用に避けつつ進む。
砂に埋もれた建物、広がる砂漠、倒れた電柱、ドデカい砂のお城、砂に埋まって顔だけ出した男──
「……………………?」
──ブレーキを掴み自転車を止める。
そのまま後ろへと戻って戻って戻っていけば……、
「……何してるの?」
「……打首ごっこ」
「楽しい?」
「別に」
「……そっか」
そう言って立ち去ろうとする彼女。
自転車にまたがりペダルを漕ごうとして、
「あ、そうだ」
「……なに?」
「"アビドス高校"ってしってる?」
「そこ、私が通ってる学校」
「まじ?案内してくれない?」
「……ん、分かった」
こうして、先生と"砂狼シロコ"は出会いを果たした。
「──ぷはぁ!」
自転車少女、シロコちゃんの案内の元、アビドス高校へやってきた俺氏。
出されたコップに入った水。こんなに喉が渇いてればただの水もこんなに美味くなるものなんだなあ。
【びゃあぁぁ〜、美味いぃ〜(マスオ)】
【プロテインだ!プロテインを持ってこい!】
そんなにプロテインは好きじゃねえんだよ。やたらとプロテイン勧めてくるなお前。お前の好みを俺に押し付けないでくれません?
まあ、ここは上だろう……けど、普通に言えないの?なんでこう毎回余計な要素を一足しするんですか?
「びゃあぁぁ〜、美味いぃ〜」
「ん、良かった」
そう言ってもう一杯コップに注がれる水。
シロコちゃん、あんた優しいね。こんな変人助けて水を注いでくれるなんて。後でお小遣いをやろうね。
「えーと、それでシロコちゃんコチラの方は…?」
「来客の予定はありませんでしたよねぇ?」
「こんな場所に来るなんて物好きにも程があるでしょ……」
おっとこの流れは自己紹介か。
……は!まずい!この流れは……来るっ!
【お控えなすってお控えなすって……手前、生国と発しまするはキヴォトスの外の生まれ。所属はシャーレ顧問、人呼んで先生と申します】
【控えい控えおろう!この教員証が目に入らぬか!この俺をどなたと心得える!この俺こそシャーレの顧問、先生であらせられるぞ!頭が高い!控えおろう!】
ぬぐあぁぁぁぁぁぁ!テンション上がってんなぁ!
しんどい!初対面でこのノリはキツイ!
お前、高校とかに入学してクラスメイトと初顔合わせの自己紹介の時に気をてらった自己紹介して距離置かれるタイプだろ!俺を巻き込むなよ!
くっそぅ…!上か下か……もうほぼどっちも同じだろ…!
ちくしょうめぇッ!!(閣下)
コップを置き、椅子から立ち上がりポーズをとる。
そして──
「お控えなすってお控えなすって……手前、生国と発しまするはキヴォトスの外の生まれ。所属はシャーレ顧問、人呼んで先生と申します」
「「「…………」」」
「…………」
あ、無言だ。まずい、気まずい空気が流れ──
「「「…………お」」」
「お?」
「「「おぉぉぉ〜」」」パチパチ
「………ん」サムズアップ
なんかご好評っぽい。なんでぇ?
みんな優しいんだね。先生感激で涙が止まんねえや。
そんな時だった。
背後にある教室の扉、そこから聞こえてきた声。
「いやぁ、なんだか面白い人が来たんだねぇ〜」
振り返るとそこに居たのはピンク色の長い髪の小柄な少女だった。
待ってね、一気に人が増えたから頭追いついてないかも。5分くらい時間ちょうだい?
モチベが欲しい(切実な願い)