おい!この"選択肢"おかしいぞ!何とかしろ! 作:一般通過先生
「──いやー、それにしてもその制服可愛いですね」
「セリカちゃーん、制服でバイト決めちゃうタイプ?」
「う、うるさい!ご注文は!?」
席へと案内され腰を落ち着かせる我ら御一行。
みんなからのからかいに顔を赤らめるセリカちゃん。ツンデレだ。これはいいものです。今はまだだが、この尊さはいずれ癌にも効くようになる。古事記にもそう書いてあった。
【きゃあああ!セリカちゃん可愛いよぉ!こっち見てぇ!】
【逆に考えるんだ。自分から見せつけにいけばいいのさ。半裸になり自慢の肉体美を披露する】
ここはラーメン屋だ!
公共の場で半裸になれるわけないだろいい加減にしろ!
もはやお前は癌にも勝る病原体だ。即刻駆逐されてしまえ。
「きゃあああ!セリカちゃん可愛いよぉ!こっち見てぇ!」
「フンッ!」ドゴッ
「……
渾身の右ストレート。
すごいなあ、銃だけじゃなくて拳の方も1級品だ。泣きたくなってくる。
「で、注文はどうするの?」
「んー、おすすめはなんでしょうか?」
「そうねー、やっぱり名物の柴関ラーメンかな」
ノノミちゃんの質問にそう答えたセリカちゃん。
柴関ラーメン。540円のリーズナブルなお値段の1杯。
「じゃあ私はそれでお願いします」
「私も」
「おじさんもそうしようかなー」
「あ、私もそれにします」
「りょーかい……で?アンタは?」
素っ気ない態度、冷たい視線。
セリカちゃんが俺に優しくない。当たり前なんだよなあ。
「俺もそれで。ネギとメンマを追加トッピングお願いしてもいい?」
「はいはい」
【後はセリカちゃんのスマイルをひとつ】
【後はセリカちゃんを食べたいなあ】
やめてくれぃ!
ノリがキツイってぇ…!
さっき顔面に拳貰ったんだけど。次は顔面だけじゃすまんて。
あと俺先生だから。生徒にセクハラしたらPTAが黙ってないんだって。生徒のケツ持ち怖いのよ。PTAがいちばん怖い。
……この世界PTAってあんのかな?
「後はセリカちゃんのスマイルをひとつ」
「……………」
やだ、ゴミを見る目。心にクリティカル攻撃。
うざいよね、ごめんね。
「ていうかみんなお金は大丈夫なの?またノノミ先輩に奢ってもらうつもりなの?」
「私はそれでも全然大丈夫ですよ」
セリカちゃんの疑問にノノミちゃんはそう言って取り出す金ピカのカード。
ま、眩しい…!まさかお嬢様だったのか…!?
「いやいや、またご馳走になるわけにはいかないよー。ま、ここには大人の人がいるし……ね?先生?」
「…………うぇ?」
【ここは大人の余裕を見せつける絶好のチャンス。快くみんなのラーメン代を奢ろう】
【生徒とはいえ甘やかすのは良くない。自分で払ってもらうように一人一人に喝(ビンタ)を入れ、あわよくば自分の分も奢ってもらおう】
ゴミクズが。これが教師としての姿ですか?
教師は教師でも反面教師だろこれ。甘やかすのは良くないまではまだいいよ。ビンタはいらないだろ。暴力に訴えるのは良くないです。やめましょう。その後の奢らせるはもはや大人の威厳も何も無いのよ。
いやまあ、奢るくらい良いけどね?別に。
とりあえず領収書は貰ってもいいかな?
……ユウカちゃんにまたどやされるかなあ。それはやだなあ。
「ふっ、お前らは財布を仕舞いな。ここは俺が出そう」
「「「「おぉ〜」」」」
「さすが大人。おじさん見直したよー」
「ん、先生ありがとう」
「ではお言葉に甘えましょうか」
「先生、ありがとうございます」
そうだろそうだろ。もっと感謝して。俺を褒めて。
「じゃあ、おじさんトッピング追加しようかなー」
………………え?
「ん、私もチャーシューもっと食べたいな」
「では私はメンマを」
「じ、じゃあ私も卵をお願いしてもよろしいでしょうか…?」
………すぅー……いやまあ育ち盛りだもんね。そうだよね。うんうん。
手持ちで間に合うかな…!
さて、翌日になった。
セリカちゃんが行方不明になった。
え?唐突だって?奇遇だな俺も同じこと思ってた。
………はわわわわわわ!ど、どうしよう!
「だめ、モモトークも既読がつかない」
「昨日からですよね…」
「んー、電話も出ないねー」
「ど、どうしよう…!俺のこと嫌いすぎて不登校になったとか…!」
そ、そんなにウザかったかな!?土下座しなきゃ!
「先生は一旦落ち着いてください!」
「……」( ˙-˙ )
「うわぁ!いきなり落ち着かないでください!」
いやしかし、ふざけてる場合じゃない。生徒が行方不明なんて嫌な予感ビンビンだ。
もしかして……、
「……誘拐された、とか?」
「ん、有り得なくは無い」
「そうなったら、犯人はヘルメット団あたりかなあ」
「せめてどこにいるか分かればいいんですが……」
どこにいるか……皆目検討がつかんね。
さてさて俺がとるべき行動はなにか。
【知ってる連絡先全てに連絡を取りセリカちゃんの捜索を始める。先生としての人脈をフルに使うのだ】
【こういう時こそラブリーマイシスターの出番。アロナに相談しセリカちゃんの居場所を突き止める】
おぉー、珍しくまともだ。これだよ、これこそ選択肢だ。
さてどちらがいいか。連絡しまくるのは悪くないが……まあ出来ることならこの場にいる人達でことを片付けるのが最善だろう。
となればアロナに相談か。
「──てなわけで愛する妹よ。セリカちゃんがどこにいるのか分かるかね」
「え、あ、は、はい!セリカさんの居場所ですね!すぐに見つけてみせます!」
あの透き通った教室へとやって来た俺は早速アロナへご相談。
にしてもこの子、俺の妹呼びにここまで適応するとはな……俺はやはりお兄ちゃんだったか。
にしても、
「……そんなすぐに分かるもんなの?」
「セントラルネットワークにアクセスしてセリカさんの端末の場所を突き止めるんです」
「へー、そんなことできるんだ」
GPS的なね。
まあ、そのセントラルネットワークってのはよくわからんけど。とりあえず……凄そうだなあ(小並感)
「まあいいことでは無いのでリンさんとかにバレちゃったら先生怒られると思いますけど」
「………え」
怒られ……いやまあしょうがない!セリカちゃんを助けるためだ大丈夫!
……ううう、今から考えても怖い。どうかバレないで…!
「……………あ!見つけました!砂漠化が進んでる市街地の端っこの方にいます!何故こんなとこにいるんでしょうか」
「でかした!よくやった!さすがアロナ!可愛くて有能!もう最強だね!」
「え……えへへー、そ、そんな、こんなのお茶の子さいさいですよー///」
何照れてんだよ、可愛いなおい。
「場所がわかったぞ!」
教室に戻ると開口一番、そんな声を上げた。
「どこですか!?」
「えーとね………………砂漠だっけ?あれ、市街地の方か…?」
「「「「……………」」」」
「あーそうだ思い出した!端っこの方だ!」
「「「「どこの!?」」」」
「え?……あー、砂漠化が進んでる市街地の端っこですね、はい」
くそ、慌てたりテンパったりするとすぐ忘れちゃう。俺のよくないところだな。情けない先生ですまん…!
「では急いでいきましょう!」
「ここからそれなりの距離ありますよね?」
「ガレージに使われてないバギーとかあったよね?」
「ん、誰か運転出来る人──」
……ん?あれ?皆こっちみてる?
運転?俺が?いやまあ免許はあるけどさ、ペーパードライバーなんだけど。
……ええい!そんなこと言ってる暇じゃない!やってやんよ!
【でも俺運転したら人格変わるんだよねー(ヤンキー)】
【でも俺運転したら人格変わるんだよねー(無邪気)】
うわぁ、これはなんの違いがあるんだ…!?
ヤンキーは分かる、何となく。オラオラしちゃうんでしょ?
無邪気って何…!?怖い…!いやでも、オラオラしてるとこみんなに見られたくないよなあ…!え?先生そんな人だったの?とか思われたくない…!
ここは怖いが、無邪気を選んでみるか…!?
「よし!先生に任せろ!ただ俺は運転したら人格変わるからね!」
「問題ないです!行きましょう!」
「さ、急ぐよ」
そうしてガレージに移動すると、そこには立派なオフロード車が。
かっくいー。運転こえー。
そんな俺の気持ちはお構い無しにみんなが乗り込む。
そうして俺も運転席に乗り、シートベルトを締め、エンジンをかけると──
「うわぁぶっぶーだぶっぶー!ぶうーん!」
「「「「えぇ…?」」」」
えぇ…?(困惑)
無邪気ってそう言う……。
いやもう行くしかねえだろうがッ!!(やけくそ)
先生は選択肢が無くてもただの馬鹿なのかもしれない。
ま、まあやる時はやってくれるさ。多分。