時空融合現象編のまさにエピソード0をご覧あれ。
《木組みの街:ラビットハウス》
「・・・。」
「・・・。」
『阿求とちょっと話してみたい』等という理由で、大地の姉である『祷ナリト』からの誘いを受けて(待ち合わせ場所として)ラビットハウスに訪れた大地と阿求。
「来ないわね……アンタのお姉さん。」
「来ねぇな……」
が、肝心のナリトが来ない。
「まーたすっぽかしやがったな……まあ、ぶっちゃけ姉ちゃんのいつも通りの行動だし。ちょっと探してくるわ。」
大地はため息をつきながら、座ったばかりの椅子から立ち上がってラビットハウスを出る。
「遅くなった……あれっ」
と、その約20秒くらい後にうたが来店。
「あ、うた。大地だったら、さっきナリトさん探しに行ったわよ。」
「そう……またこのパターン、か。」
うたは、表情を変えずにそう言って、席に座るかと思いきや何処かに行く。
「えっ、そこ待つとかじゃないの!?ええ……;;」
それを見て(思わず立ち上がって)困惑した阿求だったが、ため息をついた後に座った。
「あはは……何だかこの光景も相変わらずかなぁ……あ、ご注文のホットココアです。」
と、(一部始終を見ていたラビットハウス店員3人の内の1名)ココアがそう言いながら、阿求が頼んでいたホットココアをテーブルに。
「……大地の発言の時点で何となく分かってたけど、何度もあったの?今みたいなの」
「ええ、ナリトさんがうちの店で会う約束をしたのに、ナリトさん本人が来ないという事がしょっちゅうありました。それで大地さんが探しに行って、遅れて来たうたさんが大地さんを探すというのも。」
チノが肯定する発言をする。それを聞いて阿求は余計困惑。
「まあ、でも最初の時よりはまだ良い方だと思うよ?」
「最初?」
すると、ココアがそう言ったのに対して阿求が首を傾げる。
「ああ、その辺りの事は聞いていなかったのか。……かなり前、ナリトさんから約束を受けて、あの2人が此処に来た時があったんだ。その時は大地さんもうたも一緒のタイミングで来ていた。」
対して、リゼが補足。
「かなり前って……まさか」
「はい、時空融合現象のいざこざに私達が巻き込まれた時です。というか、真っ最中の時ですね。」
阿求の言葉に、チノはまた肯定。続けてこう話す。
「前からナリトさんはうちの店の常連だったのですが、異変が起き始めていたのを把握していたようで……細かい事は流石に分かりませんが、あの人は前々からウルトラワールドと協力関係だったそうです。だからなのか、大地さんにも知って欲しかったんだと思います。」
「って事は、大地がウルトラワールドに協力するきっかけでもあったって事ね。前に同じ事アイツ本人が言ってたけど。……でも、よく協力したわよねぇ。いきなりそんな話を聞いても流石に頓珍漢だと思うけど。」
それを聞いて、阿求はちょっぴり苦笑いをする。
「まあ普通はそうだよなぁ。私達も最初作者に教えられた時は良く分からなかったし。……けど、大地さんは話を聞いて結構納得していたな。」
対し、そう言うリゼ。
「え、そうなの?ポップンワールドとかも結構摩訶不思議な世界だとは言うけど……」
「それが、大地さんの奥さんがウルトラワールドの関係者だから……らしいよ。」
ココアが、『へー』と言う感じの表情をする阿求に対しそう言った。
「奥さん?……アイツの?まあ子供いる時点で有り得る話だけど……そう言えばアイツの妻って見た事なかったような。ウルトラワールドの出身って言うなら顔くらい見せると思ってたけど……」
「え、聞いてないのですか?……奥さんは7年くらい前に亡くなったらしいですが……」
「そうなの!?うえ、本人の前でそこら辺の無神経な事言ってなくて良かったわ……」
大地の妻の事をチノから聞いて、阿求は驚く。
「そこら辺把握した上で話を戻すが……その時の大地さんとうたは、ぎこちないというか、気力が抜けているというか、そんな感じだったんだ。」
リゼが、さっき言った発言の続きを言う。
「それが、大地の奥さんが亡くなった事とある程度関係があったと?」
「みたいです。ショックが大きすぎて未だ立ち直りきれてなかったようで……」
「7年くらいもの間落ち込んでたって……よく今みたいなテンションになるまで立ち直ったわな……」
チノが言ったのを聞いて、阿求は興味が出る。
「あっ、いらっしゃいませー!」
と、店の扉がまた開く(それと同時にココアが挨拶)。一瞬大地かと思ったが、どうやら違う。執事のような服装をする青髪の青年と、低身長の金髪2つ結びの少女。『綾崎ハヤテ』と『三千院ナギ』だ(2名は『江戸の街のアリス』にて登場してます)。
「お邪魔します……あっ、阿求さん。来ていたんですね。」
「あら、確かハヤテとナギだったかしら。」
「ちょっと立て込んでいて機会がなかったが、しばらくの間はこうして手伝うがてら此処やスマブラ屋敷に来るつもりだったからな。一応と思った。」
「あら、そうなの?」
「はい、これからは、マリアさん達にも手伝ってもらいながら後方支援もさせていただきます。」
何でか「ふんす」と鼻息を立てながら椅子に座りつつ、ナギが言った言葉に対しての阿求に、ハヤテがそう言う。
「それはそれは。心強くて良いわねぇ。
(そういえばこの2人、この世界との融合現象の時に関わったっていう……大地が初めて関わった時の、時空癒合現象か……)」
感心していた阿求だが、ふとこう聞き始める。
「……ねぇ、覚えている程度で良いから聞かせてくれない?貴方達が巻き込まれた時の時空融合現象の事。」
*****
「ったく、毎度の事ながら、誘ってきておいて自分ですっぽかしやがって……」
イライラ気味なのを抑えつつ、街をすたすたと歩きナリトを探す大地。
「木組みの街の、喫茶店『ラビットハウス』か……そういや、俺やうたが今みたいな状況下になったのも、あの時姉ちゃんに誘われたのが発端だったな……」
途中で街の風景を見てそう思いながら歩いていた。
作者に協力している、やけに強い人間の男性(子持ち)『祷大地』。
彼は何故協力するのか。そして、どのように異世界との関わりを持ち始めたのか。
そういった、ハッキリしていなかった部分が、今回明らかになる。
―――――
妻と出会ったのは、高校生の頃からだった。
昔から暇さえあれば通っていたポプの宮神社、その鳥居のふもとで、誰だかよくわからないキツネ面の少女を追おうとしている人物を見つけた。
それが、後の婚約者となる『有亜』。俺の通っていたラピストリア学園の同級生で、顔自体は把握してたから誰かはすぐに分かった。というか、アイツは容姿もいい方(さらさらした黒髪と水色の瞳が特に定評あり)でそんで文武両道、歌もかなり上手かったから、当時は学園内でかなり有名だった。
有亜は階段を上ってきた俺を見るや否や、突然俺に話しかけてきた。……なんだか地味に馴れ馴れしい感じはしたが、これが素なのだろう。
(テンコって名前らしい)キツネ面の少女は、俺をパッと見た後にどっかに行ったが、『有亜は色々しつこいけど、面白い話をしてくれる』だなんて去り際に言っていた。
実際、興味のある話だったかといえばそうだ。曰く、有亜は『ラピストリアともポップンワールドとも違う別の世界』の出身らしく、様々な世界の事を知っているという『ウルトラワールド』の住人だそう。
ポップンワールドでも、(ラピストリアが実際そうだし)前々から別の世界の存在はある程度知られている。ウルトラワールドは、ポケモンやらデュエマクリーチャーやら様々な存在がいたり、色々入り組んでいて面白い世界なんだそう。
そして有亜の祖父は、そのウルトラワールドの管理を務める一族の長だなんて言っていた。普通そういう話を聞くと流石に嘘だと思うが、俺は割と信じた。異世界の存在に元から興味を抱いていたのも理由の1つだし、自分からすると相手の目を見れば嘘をついてるかどうかなんて分かったし、何より祖父母の話をしていた有亜の目はすごく輝いていたから。
両親が事故で他界して、祖父母の元で育てられた彼女は、その背中を見て育った。自然とあこがれを持つのも当然だろう。かくいう俺も、とんでもなく強かった祖母に憧れを持ってたし。
それ以来、有亜はポプの宮神社に来るたびに、何かと話しかけてくれた。時々学園内でも話しかけてくることもあった。
話の内容は、ドウガトピアやバーチャルトピアと条約を結んだとか、『滅亡した
そういった、傍から見れば中二病臭い気もするような話でも、有亜はその真っ直ぐな輝いた目で真剣に話していた(他人に話して大丈夫なのか?な内容の話もいくつかあったが)。
それでも。当時、両親との摩擦でやさぐれ気味だった上、生まれつきのパワー(?)の加減がしづらかったせいで周囲から距離をとられ気味だった(ただし、やり返されるのを恐れて馬鹿がちょっかいかける事がないってメリットも一応あった)俺にとって、フレンドリーに話しかけてくれる有亜といるのは楽しかった。
話をしている有亜本人も、自分の素を隠さずに、このときめきみたいなのを共有出来る相手が見つかって嬉しそうだった。
長期休暇の頃に、実際に『ウルトラワールド』に連れて行ってもらったりもした。東北三姉妹やブロリーMADの奴等とも多少親しくなったのも、(最終的にドドゲザンに進化させた)『コマタナ』ってポケモンを捕まえたのもその時だ。
祖父母の事を紹介された時は色々と驚いたものだ。前々から話を聞いてそれを信じていたといえど、実際に見るとまさか本当にいるとはって思うし、『
ただまあ、実際は有亜みたいにフレンドリーな感じで、割と接しやすい人物だった。あとちょっぴり冷やかされた
そんな感じで、時間が経つ度に有亜との仲が深まっていくにつれ、交際、そして婚約にたどり着くのは自然なものだっただろう。
また時が経ち、やがて俺と有亜の間には子供が生まれた。有亜はその娘に『うた』と言う名前を授けた。
うたは元気に育っていった。その内、有亜のように明るく、歌う事が好きな娘になっていた。
2人のためなら、俺は仕事を頑張れた。そして、幸せだった。
……だけど、世の中は残酷だった。
うたが生まれてざっと9年後。有亜が死んだ。なんてことのない、信号無視とスピード超過のトラックにはねられての即死だった。
アイツが祖父から『
その時のショックは、相当なものだった。俺はあまりにも仕事が回らなくなった。周囲はあからさまにおかしくなっていた俺に気遣ってはくれたが、流石にお荷物になるとマズいし、就いていた大手企業を辞めるしかなかった。
うたは、歌う事は止めなかった。そうしていると、有亜の事を忘れずにいられるのだろう。……ただし、歌う事以外の物事に一切の興味を持たなくなってしまった。
金銭の方だと、有亜の保険金と、何とか就けた工場での労働、あと従兄弟の外科医からの仕送りとかのお陰で生活自体は出来た。……時間が経てば、俺はある程度は気力を取り戻したものの、うたは……そうはいかなかった。
色々とリスクが伴いそうな重大そうな役割であろうと、世界に対する祖父母の思いを引き継ぎたかった有亜。あんなにも、キラキラなままの夢を持ち続けていた有亜。そんな彼女が、理不尽に死んだ。
あの時のショックで夢も希望も意味を成さないと感じてしまったせいか、それともその結果行きついた、歌うこと以外に無頓着でストイックな性格が確立した結果か。うたはあまり人と関わろうとしていなかった。俺との会話も、控えめに言ってぎこちない。
それと、有亜が亡くなってから、ウルトラワールドとかそういう異世界関係の話も耳に入らない。……有亜の祖父が老衰で亡くなって、外部から誰かが後釜になったという話くらいは聞いた事はあったが。
折角出来た別世界の友人とも疎遠気味になったし、有亜が死んだ今、俺は一体どうするべきなのだろうか。
―――――
半年以上前の頃。祷宅。
ある日の日曜日。電話が鳴った。大地は受話器を手に取ると……
『もしもし?久しぶりだねぇ大地。』
相手は、大地の姉である『祷ナリト』だった。ナリトは、高校生くらいの年齢の時に両親の実家を家出しているらしく、大地からすれば声を聞くのも滅茶苦茶久しぶりだった。
「んあ……?誰かと思ったがまさかねーちゃんか?久しいと言えばそうだけどどこほっつき歩いてたんだよ。親父と母さんに嫌気がさしたのは分かるが13年も連絡も無しに……あとどうやってケータイの電話番号知ったんだ」
『まあそこに関してはまた後で。それはそれとして、何となく噂を耳にしているよ。結婚相手が交通事故で亡くなって、それ以降何かぎこちない事になってるらしいじゃん。』
本当にどこで耳をしたのかその事実を、どうも興味無さそうな言い回しをしているナリト。大地はそれに対しイラッとしたが、その感情を表に出さないようにした。
「それより、今更ながら急に何の用なんだよ。何か変な事でも企んでんのか?」
『そう言うわけじゃないんだけどなぁ。……会わせたい人がいるんだ。今日、『木組みの街』と言う街が存在する世界の、『ラビットハウス』って言う喫茶店に来てくれないかな?場所は後で送るから。』
「は?……って事は今異世界にいんの?」
『そだよ。放浪がてら色々面白い体験が出来た。……まあ、とにかくそう言うわけでさ。娘さんも連れて来てくれないかな?言っておくけど、行くって言うまでしつこく連絡するからね。』
と言う感じで、催促するようにナリトはそう言って来る。大地はため息をつきながら、
「……ったく、こっちの事も知らないでよく言うわな……まあ分かったよ。どっちみちこうなると引き下がらないだろうし。」
そう言った。
『オッケー。じゃあ数時間後に。それでも来なかったら以下同文なんで。』
そしてその言葉を最後に、電話が切られた。
「何の話してたの?」
大地がもう一度ため息をついていた時、後ろから声をかけられる。うただ。
「お、おう、うたか……その、何というかね……
……久々に、遠出する事になった。お前と一緒に。」
そう言うわけで、大地は久々に、と言うか、ほぼ初めて、自ら全く知らない異世界へ行く事となる。
そしてこれが、今に繋がる『きっかけ』だった。
一旦区切り、次回へ続く。
作品・キャラ
『ハヤテのごとく!』
週刊少年サンデーで掲載されていた、ブラック・コメディ寄りのギャグ漫画。ひょんなことから執事をする事になった薄幸な青年『綾崎ハヤテ』が、お嬢様『三千院ナギ』に振り回されたり、彼女の手引きで入学する事になった学園での生活を送ったり、周囲の人物と関わっていったりなど様々な事が起きる。原作だと途中からアクション要素がかなり増えたらしいが、ウルトラワールドでは原作8巻前後の時間軸となっている。
・『綾崎ハヤテ』
極めて薄幸な高校生の青年。ありえないくらい性格が終わってる両親のせいで毎日バイト漬けの日々を送っていた(その影響で色々哀れ)。そんなある日のクリスマスの夜、逃げた両親が負った多額の借金を押し付けられた上にヤクザに売り飛ばされそうになって逃げて、路頭に迷っていた所を、偶然にも自販機に佇む少女を見つけ……
何だかんだあり、ナギの執事として人生を送る事に。途中から技を得たりしてる。
・『三千院ナギ』
大富豪『三千院家』のちょっぴりワガママな令嬢。ひねくれているだけで根が悪いわけでは無い多分。
自作漫画を描こうとしたりするくらいにはオタクな面もある。友達も何かといる(たまに特殊なのがいる)。
クリスマスの夜、パーティから抜け出し、自販機の使い方が分からず立ち尽くしていたところをハヤテと出会い、ハヤテの言ったあるややこしい言動のせいで一目惚れしてしまい、その後誘拐犯から劇的に助けられたなどの経緯もあってハヤテを執事として雇う事となる。