とある日のスマブラ屋敷に誰かがやって来る。
その姿は、青いメッシュが入った長い銀髪で、上下一体の青い服と、赤いリボンと模様入りの青い帽子を着用。
幻想郷の人里にて、寺子屋の教師を務めているワーハクタク『上白沢慧音』だ。
「スマブラ屋敷……ここにやたら阿求が連れて行かれているらしいな……」
どうやら阿求を連れ戻す目的で此処に来た模様。彼女も八雲紫と同様、異世界のアレコレに納得していないのだ。
「一応事情は聞いているとはいえだ。大事な役目を持っている彼女を、そう勝手に外部に連れ出されるわけにもいかないからな……悪いが連れ帰らせてもらうぞ。
ええと、たしかこのインターホンを押すんだったな……」
早速、インターホンを鳴らそうとする慧音。……なのだが、どう言うわけか鳴らない。
「何も反応が無いな……」
もう1度インターホンのボタンを押す。しかし鳴らない。
「・・・。」
またもう1度。でも鳴らない。
「・・・。」
鳴らないし、反応もないため連打する。
「せ め て 応 答 く ら い し――」
全く反応が無いためしびれを切らし、頭突きで強引に入ろうとする。すると……
「ハイストップ」
「ふぎゅっ!!?」
突然後ろから足をつかまれ、慧音は転倒した。
「い、いきなり何するんだ!!?」
「こっちのセリフなんだけど?歌の邪魔だし普通に器物損壊しようとしてたし」
いささかだらしない服装の、モップを持った、ボサボサな黒髪の少女。彼女に普通に正論を言われて何も言えなくなる慧音。
「で、何の用なのよ?セールスならお断りだけど。ちなみにそのインターホン、セールス対策の設計だから本当のボタンもう少し下よ。」
「え、そ、そうなのか?随分ややこしい対策だな……
……とにかく気を取り直して。私は上白沢慧音。幻想郷にある寺子屋で教員をしている。この施設に、知り合いがよく連れて行かれているなどと聞いて来てみたのだが。」
とりあえずそう答える慧音。すると、黒髪の少女は……
「阿求って子の事を言ってるなら、今日はまだ来てないわよ。」
「えっ?」
まだ阿求は来てないと言った。
「えーと、本当か?」
一応聞いてみると、
「そりゃ毎回連れて行くわけにもいかないし、そもそも気分じゃないそう言うのって。」
と言われた。慧音はほんのりと恥ずかしくなった。
「し、仕方がない。いないというなら日を改めて――」
「待って」
「ひでぶっ!?」
仕方ないので帰ろうとした時、また足を掴まれ転倒。すると黒髪の少女が1つ提案をする。
「この際だし、スマブラ屋敷に行って待ってみたらどう?なんかお姉さん、ここに良い印象持ってないっぽいから食わず嫌い直してもらおうかなーっても思うし。」
「それは……」
言われてみると、勝手に阿求を連れて行ったりしているのは作者という存在であり、この施設そのものを悪いように判断するのは流石に違うと判断する慧音。
「分かった。案内を頼めるか。」
「え?……まあ、ああいった手前やっておくわ。
……名乗ってなかったけど、私は『うた』。ポップンワールドの出身だけど、時々この世界に協力してる。」
*****
そして慧音は、『うた』という少女に連れられスマブラ屋敷に入った。
「(しかし、『アパート』という存在を見ること自体初めてだが、ここは比較的整っているな……)」
内装の良さに感心している慧音。
「元々ここは、『大乱闘』っていう大会のために作った選手村みたいな感じなの。結構有名な大会らしいから、選抜されて参戦した『ファイター』を寛がせたりする目的で徹底的に整えられてるの。
色々あったみたいで、今は普通のアパートになってるんだけど。……まあ名残は残ってるわね。」
内装についてうたが説明してくれた。
「どうせだから住人にも紹介するよ。みんな大体いい人だから。」
そして彼女は早速、部屋の一室の扉をノックする。そして、中にいる住人が扉を開ける。
「ん?誰もいないが……」
慧音は開いたドアの向こうを見るも、誰もいないと言う。
「ばっかお前、下だ下!!」
うたとも違う声が聞こえて来たので、言われた通り下を見て見ると、ネズミのような黄色い生物がいた。……知名度の高い電気ネズミのポケモンだ。
「何だ?妖怪……?」
「違う違うポケモンだ。俺は『ピカチュウ』。……何で喋れるとかは言及無しで」
「ポケモン?」
知らない単語を聞いた慧音。うた曰く、「それぞれに特殊な力を持った生物」だと言う。
「このピカチュウは、さっき言った『大乱闘』のファイターで、今もここに住んでる数少ない子ね。」
「そうなのか。そのファイターってのも気になるが、とりあえず個性的なんだろうな――」
慧音が、ピカチュウの頬に触れる。……電気が含まれてるので……
「あべらっ!!!?」
当然感電した。
「ピカチュウは電気の力を持ってて、頬には電気が溜まってるから触れたらそりゃ感電するわよ……」
「そ、そうなのか……」
やらかした慧音を見て、かなり呆れたうたであった。
「あー、ところでなんだが、今日ボルメテウス達とゲームする約束があるんだ。折角だしお前らも来るか?」
するとピカチュウが、何か誘おうとする。
「じゃあ慧音さん、どうせだし言ってみよ。」
「あ、ああ……いいが……」
まだ痺れてる慧音を引っ張りながら、ピカチュウに連れられその『ボルメテウス』という住人の部屋へ向かううたであった。
*****
「ボルメテウス、来たぞー!!」
ボルメテウスがいるという部屋に到着。早速ピカチュウがノックする。そして扉が開くと……
「おお来たかピカチュウ!準備が出来たからすぐ遊べるぞ。」
それなりに大きなサイズのドラゴンが、そこにいた。当然ながら慧音は唖然する。
「え、え、あ、りゅ、龍?」
「ん?うたもいるのか。それと……誰だ?」
「え、あ、わ、私は『上白沢慧音』だ。教師をやっている。」
何とか我に返って自己紹介をする。
「ああ、幻想郷の住人だな。俺は『ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン』。クリーチャーだ。よろしくな。」
「あ、ああ……
……なあ、彼もれっきとしたスマブラ屋敷の住人なんだよな?どうやって外に出たりしているんだ?」
反応に困って、一応うたに確認をする。
「ちゃんとここの住人だよ。出入りに関しては割と何とか出来るからアレとかアレとかアレとか」
「アレって何だ……」
「とりあえず、一緒にゲームするんだってんなら入れよ。コットンもあしゅらも待ってる。」
ボルメテウスにそう言われて、彼の部屋へ入る。
「あ、ようやく来たのだわ。」
「遅いぞ。何をやっていたんだ?」
室内には、既に2人住人が待っていた。片方は、白いローブを着た桃色髪の少女、もう片方は、男と女の顔が半分でくっつけられたような、紫色のローブを着た人物。
「紹介するわ。白い方が『コットン』で、紫の方が『あしゅら男爵』。
……一応言うとこの2人、ちょっと特殊な立場にいる身だから。変な深追いは止めてあげておいて。」
うたは『予言のイザナイ コットン』と『あしゅら男爵』の事を紹介した後、小声でそう慧音に伝えた。
慧音はその発言の意味をこの時よく分かっていなかったが、一応「分かった」とは言った。
「しかし、ゲーム……要するに遊びという事だが、仮にも子供に学びを教える身である私がやっていいのか?」
早速始めようと一同がコントローラーをそれぞれ持つ時、教師でもある慧音はそう言う心配をし始める。
「別に気にする必要ないんじゃないかしら?今時は大人が遊んでも問題ない時代なのだわ。」
「仕様上、幻想郷では古い考えのままなんだろうが、大人でも楽しめる遊びはざらにある。」
「そ、そういうものなのか……」
コットンとあしゅらにそう言われて、慧音は現代のカルチャーに感心しながら、コントローラーを受け取った。
そして数十分後。
「あう……」
6名で『大乱闘スマッシュブラザーズ』をやっていたが、慣れていない慧音はとことん叩きのめされてっボロ負け。
「流石に手加減しなさ過ぎたな……だ、大丈夫か?」
ピカチュウが声をかけるが、燃え尽きたように真っ白な慧音。
「はぁ……仕方ないなぁ……」
そこでうたが。
「そらぁっ!!!」
何故か慧音の足を掴み、慧音自身を壁にめり込ませた。
「どう?正気に戻った?」
そう尋ねるうた。
「いや、おま……他に方法あるだろ……」
「ヤダ」
「意 味 が 分 か ら ん!!」
我に返ったと言えばそうだが、何で初っ端から強硬手段に出たのか微塵も分からなかった慧音であった。
*****
「(『直ったよ』と言っている)」
数分後。部屋の壁を、Maincraftの住人及びスマブラ参戦者である『スティーブ』に直してもらった。
「やっぱりこういう時はアイツに頼むのに限るなぁ。結構良い感じに直してくれるし」
その様子を見て、ボルメテウスは感心した。……ちなみにスティーブもまた、スマブラ屋敷の部屋を借りている身である。
「しかし、ああいうのも異世界とやらにはいるのか……」
スティーブの姿を見て、慧音はそう呟く。
「ん?そう言えばうたはどうしたんだ?」
偶然後ろを見ていたが、うたの姿が見えない。ピカチュウに聞くと、「屋根の上で歌ってるぞ」……とのこと。
そう言われて慧音は、ピカチュウに連れられて屋根に辿り着く。
「~~~♪」
屋根の縁辺りで、確かにうたは、歌っていた。何の曲かは慧音には分からなかったが、いい曲であるのは確かだった。
「良い曲だな。」
一通り歌い終わったのを確認すると、慧音はうたの元へ。
「いつもここで歌ってるのか?」
「ううん、いつもは学校の屋上で歌ってる。時々近くの神社でも歌ってるけど。
……前に色々あってここに来るようになってから、たまにここでも歌うの。世界に向けて。」
「世界に……?」
うたの発言に、慧音は少し首を傾げる。
「具体的な理由があるわけじゃない。でも、意味はあるよ。
……でもまあ、私の歌、届いてるといいな。そうも思うよ。」
「え……?」
何やら含みのある言い方をしていたうた。慧音はどういう事かと聞こうと思った時……
「あ、誰か来た。」
そんな時、誰かがスマブラ屋敷に近づいて行くのが見えた。その姿を見て見ると……
「しかし珍しいもんだな。自分からこの世界に来るなんて。」
「まあ、なんだより一層楽しくなっちゃってね。」
それは、大地と阿求だった。
「阿求!?というか、隣の男は確か幻想郷に現れた――」
阿求を見つけて驚いた慧音だったが、突然うたに足を掴まれる。……そして、屋根上から飛び降りる。
「えっ、待っ――ふぎゅっ!!」
うたはきれいに着地。途中から手を放したようで慧音は地面に直撃。
「え、急にどちら様――って、今の慧音さん!?」
「あ、阿求!!やっと会えたと言うべきかそれともか――」
「そい」
「なずぇっ!!?」
慧音はすぐさま立ち上がったが大地が頭部を掴んでまた地面に叩きつけた。
「慧音さーん!!?」
「お父さん、この人別に何か企んでるわけじゃないよ。」
問答無用で叩きつけられた慧音を見て驚く阿求。そこでうたが大地に対してそう言った。
「あ、そうなの?悪い。」
「悪いで済むと思ってるのか――
……『お父さん』?」
慧音はすぐ立ち上がってキレそうになったが、今のうたの発言に引っ掛かる。
「あ、もしかして、この子が前言ってた……」
阿求は、うたが何者なのかを察する。そして大地は、彼女の事を紹介した。
「こいつは『うた』。……俺の、娘だ。」
「よろしく」
「え」
慧音はまた唖然とする。……3か月前の時空融合未遂での大地の行動はそれなりに知れ渡っていたらしく、慧音もある程度彼の事を知っている。
そして、さっきまでのうたの行動、所々の理不尽気味な行動、そして物理法則を無視してると言っても過言では無さそうな力強さ。彼女は、完全に察した。
「お、お……
親子だとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!?」
「え、どういう事?」
この時、慧音の声が街中に響いた。……阿求は何がどうして慧音がそんな反応をするのか、あんまり分からなかった。
「……フフッ」
その様子を見て、うたは少しだけ笑っていた。
「何というか、より一層騒がしくなりそうだな。」
「まあ、そーなりそうだな。」
屋根の上に移動していたらしいボルメテウスと共に、ピカチュウは苦笑いしながら今の光景を見ていたようだ。
*補足
祷大地→オリキャラ
うた→ポップンミュージックのキャラ
・作品・キャラ
『ポップンミュージック』
コナミのBEMANIシリーズの第2弾としている音ゲー。
『ポップ君』をタイミング良く、9つのカラフルなボタンで叩いてステージクリアを目指す。
様々なジャンルの音楽を取り入れており、キャラクターも多彩(増えすぎたのか最近はあまり増えないけれど)。
・『うた』
ポップンミュージックのキャラの1人で、21作目『SunnyPark』で初登場。
歌うこと以外に興味を持たない人物で、服装もだらしない。
作者が大分気に入ったキャラで、ウルトラワールドにおいてはオリキャラ『祷大地』の娘と言う扱いになっている。
『ポケットモンスター』
株式会社ポケモンから発売されているゲームソフトシリーズ。及び、同作品に登場する生物の総称、それらを題材にしたアニメなどのメディアミックス作品群。
主人公はポケモントレーナーとしてデビューし、ポケモンをモンスターボールで捕まえる事でのポケモン図鑑の完成や、ポケモンバトルでチャンピオンとなる事などを目標として旅に出る。
・『ピカチュウ』
ポケモンを代表するキャラクター。分類は『ねずみポケモン』。
電気系の技を得意とする。
ウルトラワールドに登場している、スマブラ屋敷に住む個体は『スマブラファイター』の扱いで、マサラタウンの少年と関係があるかは不明。何故か言葉を喋るが不問。