《幻想郷:博麗神社》
「ふぅ……」
幻想郷と外界を隔てる博麗大結界。その麓に建てられている『博麗神社』。そこの巫女である『博麗霊夢』は、神社の縁側でお茶を飲んでのんびりしていた。
「異世界や阿求の件で大騒ぎしていた紫達が落ち着いてくれたお陰で、最近は静かでいいわ……」
「相変わらず平常運転みたいね、霊夢。」
するとそこに誰かがやって来る。『茨木華扇』。幻想郷の賢者の一人で、仙女である。
「華扇じゃない。何しに来たの?」
いつも通りの様子の霊夢に、華扇は少し呆れる。
「何しに来たのって……それ、冗談で言ってるんじゃないでしょうね?
分かってるでしょう?異世界とはまだ揉めてるって事。『時空融合現象』の事もまだ片付いてないし…」
「そうは言っても、独自で調査しても全然情報を得られないんだもの。だから、ここは作者の話に潔く乗ってやったのよ。
それに、あのウルトラワールドっていう異世界、案外幻想郷の妖怪たちにとっても案外快適みたいだし、(河童とか天狗とかはともかく)変な騒ぎ起こすようなやつも減ってるんだから別に良いじゃない。」
「良くないわよ!!そもそも――」
楽観的な霊夢に色々文句を言いたそうな華扇だったが、
「誰だっけ?ゲーム&ウォッチとかいう薄っぺらい黒いのに、見たことない美味しそーな甘い物で買収された仙女は。」
そう言われて何も言えなくなった。
「と、とにかく!!博麗の巫女としてせめてここ最近の調査はしたかしら!?あんまり面識のない人達に任せるわけにもいかないでしょう!?」
「調査?……まあ多少は調べてはいるけど……」
調べたかと聞かれて思い返す霊夢。すると1つ思い出す。
「そう言えば……最近、地底に見た事のない2人組が出入してるって言う噂があるわよ。」
「いっ……ち、地底に……その2人組って何なの?」
『地底』と言う単語を聞いて苦い顔をした華扇だったが、とりあえず聞く。
「これに関しては、私も魔理沙から聞いた話だから深くは知らないけど
……見た目ってなると、片方は学生服?みたいな服の女の子、もう片方は、女の子を見たらやけに目を輝かせていた変な女の子……らしいわ。あと、人間っぽくて人間じゃない感じだとも言ってたわね。」
そう説明した霊夢。華扇は少し考える。
「不可侵条約も緩和されているとはいえ、地底に入り込むなんて変わっているかと言えばある意味変わっているわね。迂闊な事すると面倒ごとが起こりかねないのに。
……どちらにせよ、何かあればすぐに片付くでしょう。」
そう思った華扇は、とりあえず博麗神社を後にした。
「・・・。
そうパパッと片付けられれば良いんでしょうけどね……」
霊夢は、ぼそっとそう言った。
*****
「はぁ……」
地霊殿。その主である『古明地さとり』は、少し疲れた様子で休んでいた。
『異世界』と言う存在関係で幻想郷に起きた騒ぎ、及びそれに便乗しようとした怨霊による、ちょっとだけながら起きたトラブル。そう言ったものの収束や後始末などを行う羽目になり、3か月くらい経ってようやくそれらが一通り終わったらしい。
そんな感じで、椅子に座って紅茶を飲む。
「異世界、ねぇ……興味はあるけど……」
異世界に興味は出ているものの、そもそも『心を読む程度の能力』を持つ彼女にとって、異世界に馴染めるか等を考えたりしてしまい躊躇っている模様。
「し、失礼しますさとり様……」
するとそこに、さとりが飼っているペットの内1匹である火車の『火焔猫燐』が、部屋に入って来た。
「お燐じゃない。何の用かしら?」
「いや……実は先程、庭で行き倒れを見つけたんですが……」
「行き倒れ?珍しいですね……それで、その行き倒れはどうしたんです?
……あと、どうして部屋に入らないのですか?」
そう聞いたさとり。するとお燐はこう言って部屋に入る。
「とりあえず運ぼうとしたんですけど、その……
……触ったら手が凍傷になりました」
「ぶぉふぉっ!!?」
お燐が手を見せると、メッチャ分かりやすいくらいに凍っていた。妖怪なのでしばらくしたら治るからさほどの問題は無いが、想定外の返答に、さとりは飲んでた紅茶を思わず吹き出してしまう始末。
「ゲホッ、ゲホッ、ちょ、ちょっと待って?触ったら凍傷?いや、え?心を読んでも何言ってるのか良く分からない」
当然困惑するさとり。対するお燐も良く分かってない上に半泣き気味。
「と、とにかく、猫車で何とか運んできたのがコレなんですけど……」
随分と凍ってしまった猫車に乗せられていたのは、灰色のレディースコートを着た、(学生服と思しき)赤いブレザーと緑色のスカートの服装の人物。黄色っぽい髪色で、猫耳がついている。あと尻尾も。
「この子は妖怪?……にしては、それらしい気配が感じられないですが……」
「地底の暑さや瘴気にうなされてる様子も無いですし、暑さが関係ないかのように地面が凍りそうになってたので流石に運んできたんです。
(猫キャラが被ってるから運んであげるかどうしようか一瞬躊躇ったけど…;)」
「お燐、聞こえてますよ。」
心を読まれたので「おうっ;」となったお燐だがとりあえず続けて話す。
「どうするも何も、まずは起きてもらうに越したことはないですね。行き倒れと言う事なら、大方地上から来た方でしょうから。」
とりあえず起こそうと思ったその時だった。
ガタガタガタガタガタガタ
「ひゃっ!?」
「おうっ!?」
いきなり、その人物が結構な振動を起こしたので思いっきりビビるさとり&お燐。
「な、何なのいきなり――」
振動が止み終わったと思えば、その人物は右手を上に伸ばす、そしたら『パリィン!』と言う音と同時に、猫車と腕が大分凍ったお燐の手がコーティングが剥がれるかの如く元に戻った。
「も、戻った…良かったぁ……」
凍った箇所が戻ったので一安心したお燐だが、するとその人物が何か言葉を発し始めた。
「ぇ……た……え、ェ……」
「目が覚めたって事ね…今は何を言ったのかしら……」
そこでさとりが心を読んでみると……
「ぇ……ェ…え……た……
(た……食べ物を……)」
「・・・。
あー……」
*****
数十分後。
「いやがごめんごめん。定期的に食事をとってないと、能力のコントロールがやりづらくなるんだ。食料切らしたり色々あったりで3日は何も食べれてなかったから……」
「そ、そう、ですか……」
結構な量の食料を食べたその人物(今もまだちょっと食べてる)。気を取り直して、さとりは問いただそうとする。
「やたらと食べるのに夢中だったので少し待ってましたが……
……それで、貴方は一体何者なんですか?」
「え、俺?『
「いやいや名前ではなくて素性を聞いているのですよ。」
「すじょうぅ?餃子でも食べるの?」
「それ貴方が言おうとしているのは酢醤油ですよね?そっちでもなくて、貴方がどこから来て何で地霊殿で行き倒れていたかを聞きたいんですよ。わかるでしょう普通。」
何か掻い潜ろうとした、『黒須羽鈴夜』と言う人物に対して睨むさとり。
「わ、分かったよ。冗談が通じないな……
ざっくり言わせてもらうと、俺は『おろさん』っていう
とりあえずあっさりと答えた鈴夜。
「それで、あわよくば協力関係を結びたいと?」
さとりはまた睨みつつそう聞く。
「作者的にはそうしたいらしいけどねー。まあ俺的には、此処の人たちと仲良くしたいかなーとも。」
鈴夜はそこら辺も肯定する。さとりはそう聞いてため息をついた。
「はぁ……あのですね、そもそも地底の関係はかなり複雑なんですよ。地霊殿と協力を得たところでそう――」
「別に良いじゃん。妖怪達は異世界にも興味を持ち始めてる。君……ええと、さとりさんもそうなんでしょ?」
「それは……」
断るような言い回しをしようとしたものの、鈴夜に、自分も異世界に興味を抱いている事を当てられ黙るさとり。
「んまあそんなわけでさ。折角だから旧都を案内してくれない?」
「はい?」
その時、唐突に案内を頼まれる。
「え、何でそうなるんです?それならうちのペットに――」
「やだ。俺はさとりさんに案内してもらいたいんだよ。」
そんな感じで手を掴まれて、引っ張られる。
「ちょ、ちょちょちょ待ってください!!引っ張らないで」
「駄目?」
振り払おうとしたが、鈴夜は目をうるうるさせてさとりを見る。
「う……
……はぁ……分かりましたよ。意味を成すかどうかわかりませんが多少は付き合います。」
さとりは諦めて、案内をすることにした。
「やった!ありがとう!!
君みたいな可愛い子に案内してもらうと何だかモチベーション上がるよー!」
この後、さとりの顔が思いっきり赤くなった事に対して驚いたのは言うまでもない。
「(あ、アイツまさか……)」
(猫の姿でソファに座ってた)お燐は、さとりの手を引っ張る鈴夜を追おうとした時……
「へっきゅしゅ!!」
「ふみゃっ!!?」
鈴夜がくしゃみをひとつ。……そのタイミングで能力がうっかり暴発して、お燐は凍った。
「だ、大丈夫ですか?」
「た、多分……さっきまでああなってたから冷えちゃったのかな……」
それに気づかず、地霊殿の外へ行った2名であった。
*****
一方、幻想郷の人里にて。
前回、滅んだ並行世界から『ゴルドダッシュ』を回収した作者。数日後修理が終わったようで、地底に送ったという人物にゴルドダッシュを送ろうという事になったのだが……
「オーライシャケー!」
「ああそっちじゃないのだ!もう少し右右!!」
「え?あ、ゴメンゴメン。」
スマブラ屋敷の住人らしい『サモーン・シャケキスタンチン』と言う者と、同じく(ある人物達と共に)部屋を借りている『ずんだもん』。2名の指示で、カービィが『ロボボアーマー』を動かす。
「ちょーっと待て待て待て待て!!何してんの!?人里のど真ん中で何してんの!?」
何だかんだで連れて来られた阿求は当然の反応をしている。
「慌てんなよ。そこら辺の連中の認識と記憶なんざ簡単に操作できる。」
さりげなくそう言う作者。
「そんなご都合主義且つ地味に恐ろしい事じゃなくて!!そもそも何でそんな荒業で行こうとするのよ!?あんた達はあんた達で何でそんな平然と!!」
「だって出番欲しかったし……(byずんだもん」
「バイトシャケ(byサモーン」
「なんとなく手伝おうかなって(byカービィ」
「意 味 が 分 か ら ん!!
……ああもう!!その地底に送ったって言う人物にこのゴルドダッシュを渡したら帰るって事で良いんでしょ!?」
「・・・。」
すると阿求を睨むゴルドダッシュ。
「え、何で?」
「もの扱いされて怒ってるんだろ」
「わけが分からないわ……」
ツッコむのも疲れて来た阿求である。
*****
そしてその頃。旧都から離れた場所にて。
「HAHAHA……準備が整ったデス……」
少女の姿をした、全体的にカラーリングが黒い存在。その黒い少女が、地面に剣を突き刺す。
「地底に閉じ込められし怨霊、それも相当悪事を起こしたタイプ……今こそ解き放ち、暴れさることが出来れば、確実に面白い事になるデス!!
さぁレッツラゴー!!極悪怨霊共ォ!!」
黒い少女が高笑いすると同時に、剣を突き刺した部分から……
続く。