ウルトラワールドの交叉譚   作:おろさん

9 / 32
前回、『黒須羽鈴夜』という人物に旧都を案内するような感じになった古明地さとり。何やら不穏な空気が別の所で漂っているが、これからどうなるのか。


サトリ妖怪と異世界の来訪者 02

「おおー、賑わってるねぇ。」

 

「(本当に外に出る事に……)」

 

 という事で、鈴夜に引っ張られて本当に旧都の方に出たさとり。

 

「(それにしても……)」

 

(本人曰く温度感覚が戻って来たらしいから)コートとブレザーを脱いで、白シャツの状態の鈴夜を見るさとり。

 

 

「(な、何気にすらっとしてて綺麗ね……見てると、何というか最近運動して無かったなぁと思うと同時に……)」

 

「いよーし!!早速何か買おう。

 

 

……後でちゃんと金額払うから貸してくれない?財布紛失しちゃったみたいで……」

 

「あ、ま、まあ……;」

 

 

*****

 

 

「繫華街なだけあって色々あった!!この1時間で色々買ったし色々食べた!!」

 

 かれこれ約1時間。大分満喫しているらしい鈴夜。

 

「ど、どれだけ買うんですか?借りてる事忘れないでくださいよ財布すっからかんじゃないですか……」

 

「・・・ゴメン;」

 

 

 そんなこんなで旧都を歩いていた時だった。

 

 

「ん?誰かと思ったら地霊殿のサトリ妖怪と……」

 

「あと、誰?」

 

 

 少女2人がこちらに近づいてくる。……鬼である『星熊勇儀』と、橋姫『水橋パルスィ』だ。

 

 

「勇儀さんとパルスィさんじゃありませんか。2人で飲みにでも行くのですか?」

 

 

「まあそんなところだ。……で。」

 

 

 さとりの質問を肯定した勇儀。パルスィ共々鈴夜の方を見る。

 

 

「こいつ、噂の異世界人かってやつか?」

 

「何か妖怪に近くてそうじゃない感じがするけど……まあ特殊な存在って事よね。妬ましい……」

 

 

「そ。黒須羽鈴夜。鈴夜でいいよ。」

 

 鈴夜が2人に名乗ると、勇儀が前に出る。

 

「そういえば、異世界は強い奴等も沢山いるって聞いてるんだが、お前はどうだ?異世界に遭ってみたらちょっと試してみたかったんだが。」

 

 

 要するに勝負を申し込もうとしている。

 

「どうだ?お前結構強いと私は思うね。折角なら早速――」

 

 

「ゴメンヤダ」

 

 

 あっさりと却下されてズッコケる3名。

 

 

「な、何だよつれねぇな。ちょっと一戦交えるだけだぞ?」

 

 

「悪いんだけど、こう言う場所で下手に全力出すわけにはいかないんだ。君も相当実力あるんだろうな手前尚更ねぇ。」

 

 

「周りの被害とかなんて言うなら別にいいだろ?」

 

 

「でも勇儀、貴方この前そこら辺の妖怪と揉めあってたら、うっかり閻魔に瓦礫ぶつけたことなかった?こっぴどく怒られたじゃない。」

 

 

「それに、3か月前の時空融合現象とやらの際に現れた者達と揉めて、うっかり重罪を犯した怨霊を何体化逃がしかたって聞きましたよ。」

 

 とにかく一戦交えたい勇儀だったが、パルスィとさとりが目を半目にしながらそんな事を言った。そんでもって勇儀は

 

「いっ……そ、その時はその時だろ?別に……」

 

 

「そもそもだけど。こいつ、信用できるやつなの?」

 

 するとパルスィが、鈴夜を怪しんでいる。

 

「そこらへんどうなのよ。古明地さとり」

 

 そしてさとりを名指し。

 

「え、わ、私!?」

 

「そりゃそうでしょ。心読める貴方ならコイツの本性くらいわかるでしょ。」

 

「そ、それは……」

 

 一応、彼女は何度も鈴夜の心を読んでいた。そしてさっきまでの鈴夜の行動及びその時考えていたことを思い返す。が……

 

 

 ほとんど、さとりを直視していた。そんでもって『可愛いなぁ』って考えていた。元々心を読む能力のせいで周囲に疎まれていた彼女にとっては完全に効きなれない単語故に物凄く困惑したり赤面したりした。

 

 

「い、一応大丈夫だとは……多分」

 

「何で曖昧な上に赤面してるの?」

 

 

 結果アテにならないと言うわけである。

 

「(だ、駄目よ古明地さとり。私はこの力のために人との関わりを拒んだサトリ妖怪……これくらいで動じてどうするの……で、でも前呼んだ恋愛小説みたいな……じゃなくて……!!)」

 

 

 

「まあ、どの道やるとしたらうちの『妹分』がいる時にしてくれない?」

 

 

 そこで鈴夜が『妹分』という人物がいるという趣旨の発言をした。

 

 

「い、妹がいるんですか?」

 

 

「うん、正確には妹分だけど。後始末とかしてもらう時に頼れるの。

 

あ、言って無かったけど、地霊殿とコンタクト取る以外でも地底に来た理由があったんだよね。

 

その時その妹分と一緒に来て、ちょっと比較的冷えてる場所にいたんだけど……5日くらい前、良く分からない大地震のせいではぐれちゃった。」

 

 

「大地震?それって……」

 

 

 勇儀の方を見るさとりとパルスィ。

 

 

「いやいやいや!?私その時暴れた覚え無いから!!」

 

 ほぼ日ごろの行いで疑われた勇儀であった。

 

 

 

「それはそうと、妹とはぐれたというなら探した方がいいんじゃ……」

 

 とりあえずその妹分の事で心配しなくて良いのかというさとり。

 

 

「問題ないよ。アイツあの程度で何かあるようなやつじゃないし。

 

……それにアイツ、君らみたいな女の子見るととんでもないくらいはしゃいでトラブル起こすから、一旦こういう時間が欲しかったというかね……」

 

 

「どんな妹ですか……」

 

 

 話を聞いてほんのりと困惑するさとりだったが、その時……

 

 

「ひゃっ!?」

 

 一瞬、地響きが。

 

 

 

「っ!!」

 

 

 そこで鈴夜が、何かを察知する。

 

 

「鈴夜さん?」

 

「この感じ……!!」

 

 そして、何処かへ走り出す。

 

「ま、待ってください!?」

 

 さとりも追いかけていく。

 

 

 

*****

 

 

 旧都から離れた場所。鈴夜はそこでしゃがみ込み、地面に手を付けた。

 

「(この気配、この流れ……アイツじゃないだろうし、まさか……!!)」

 

 

「鈴夜さん……っ!一体……全体……どういう、事……ですか!?つい……追いかけて、しまいましたが……これは……?」

 

 

 つい追いかけて、かなり疲労気味のさとり。

 

 

「さとりさん……とりあえず、きついのに馴れてないなら心を読まない方が良いと思うよ。」

 

 

「え……?」

 

 さとりは状況を良く分かっていなかったが、

 

 

「とりあえず……さっさと出てこいっ!!」

 

 

 鈴夜は、もう一度地面に手を付けたかと思うと、その手が冷気を纏い、地面が凍りはじめ、植物の根のように奥深くまで凍って行く。

 

「そこかっ!!」

 

 何かを察知したらしく、そしたら氷の刃が地中から出す。するとそれを避けるかのように誰かが、ゴーストポケモンのソレの如く同じく地中から出てきた。

 

 

「おおっと……見つかっちゃいマシタ?」

 

 

 その姿は、とある英国出身の金髪少女と外見が似ていたが、全体的にカラーリングが黒い。

 

 

「どす黒いカラーリングで青色の目……作者が言ってた『ジルコン獣』か!!」

 

 

 そのどす黒い少女の心を読もうとするが、見えたのは、その少女と同じどす黒い黒。何を考えてるのかすらも分からない。そこはまだ良いのだが、問題はその『黒』。

 

 

「(何……何なの?こいしとは全く勝手が違う方で心が読めないのも驚きだけど、それ以前に……!)

 

鈴夜さん……あの『存在』は一体…?」

 

 

「俺も、作者からちょっと説明されただけであんまり知らないけど……さっき俺が言ってた、別件で追ってたやつだよ。しかしこう目にしてみると中々嫌な気配が漂ってるなぁ……!!」

 

 

 

 すると、どす黒い少女がこう発言し始める。

 

「黒……明かりのない、地下深くの濁りのない黒……

 

 

……それは、我ら極めて歪な黒さえ、いとも簡単に、そしてかなり都合よく覆い隠してくれるのデス……

 

ケド……お前達は……違いマス!!」

 

 

 どす黒い少女が跳び上がると、どう言うわけかバレーのスパイクを決めて魔法弾をぶつけようとする。

 

 

「早速か!!」

 

 鈴夜が、手に触れたものを凍らせるその能力でその魔法弾を砕いたのだが、黒い少女の姿が見えない。

 

「消えた!?……っ!!?」

 

 

 咄嗟に読心能力を使ったさとりは、さっきと同じ『どす黒い』のを感じ取る。

 

 

「隙ありぃ!!」

 

 

 それは、さとりの背後だ。突然背後に出て来てさとりを奇襲しようとする。

 

 

「そこかっ!!」

 

 剣の攻撃が届く前に、鈴夜が氷の針を飛ばす。

 

 

「おっと!!」

 

 黒い少女は、咄嗟に剣で針を防ぐ。そして地面に着地したかと思えば、何とゴーストポケモンのように地中に潜りこんだ。

 

「地面に溶け込んだ…?」

 

「不意を打つんだったらそうはいかないよ!猫は暗闇でも目が見えるし結構察知能力長けてるんだからね!!

 

 

……って言いたいところだったけど……!!」

 

 

 鈴夜が真下の方を見ると……

 

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 

 そこには、大量の怨霊、それもかなりどす黒いオーラを纏ったものが大量に沸き上がっていた。

 

 

「おっと!?」

 

「ひゃっ!!?」

 

 

 すぐに鈴夜がさとりを(お姫様抱っこで)抱きかかえ、迫って来る怨霊を避ける。そして、旧都の方に行かないように、氷で通路を塞ぎ、ついでに怨霊たちを覆った。

 

 

「これって、地下深くの監獄に閉じ込めていた怨霊達じゃなんですか……!!」

 

「あの黒いのが解放したみたいだね……!!」

 

 

 

 

「さっさと降りてくるデス……」

 

 

 剣を向ける黒い少女。

 

 

 

「あ、あの、もう大丈夫なので一旦降ろしてくれませんか?私一応飛べますから…(それにこの状態、実際にやられると結構恥ずかしい…;)」

 

「…いや、迂闊に離れると駄目だ。

 

 

怨霊は、人間にも妖怪にとってもかなりタチが悪い且つ消滅させたら都合が悪い存在なんでしょ?それくらい知ってるよ俺も。それに……」

 

 

「なら、実力行使デス!!」

 

 痺れを切らしたのか、どす黒い少女はタロットカードらしきものを取り出し、こちらに投げつける。

 

 するとカードからは無数の弾幕やレーザーが放たれ、鈴夜はそれを避けたり能力で凍らせたりし続ける。

 

 

「あの黒いのが、今みたいに的確に攻撃してくるだろうからね……!」

 

「確かにそうですね……ところで鈴夜さんはどうやって浮いて……」

 

 いまだお姫様抱っこ状態のさとり。上の方を見てみると、鈴夜の背中に蜘蛛の足のようなものが8本くらい生えており、天井に張り付いているのだ。

 

「え、えっと……(今は見なかったことにしておきましょう……;)」

 

 しかし、かなり苦戦していると見れる鈴夜。

 

「(このままだとジリ貧だ……『あの手』を使うにも、状況的に……!!)」

 

 

 

「HAHAHA!苦戦しちゃってェ!とっとと諦めるのが身のためデ――」

 

 

 その瞬間、天井が割れ、岩石と共に何か大きめの物体が落下。ちょうど真上にいたどす黒い少女に直撃した。

 

 

 そのタイミングで落下しそうになった鈴夜とさとりだったが、今度は黒いウジャウジャした物体が出て来て、足場のように形を変えて2人を受け止めた。

 

 

「オオオオオオオオオオオ!!」

 

 

「隙だらけ……今だ!!」

 

 

 そしてその穴に向かおうとした怨霊達を、鈴夜が一気に凍らせて動きを止めたのだ。

 

 

「な、何とかなったけど、これは……?」

 

 

 さとりは何が何だか分からず困惑するが、すると……

 

 

 

「全く……はぐれた妹を探さないで何やってたんだかー。まあかわゆき少女を見つけてるみたいだから良いけど」

 

 

 足場となったウジャウジャする物体の中、その一部から、人の形を作るように誰かが出てきた。黄土色のショートヘアで、身長はそんなに高くないメガネ少女。彼女は……

 

 

「ごめんって。こっちも色々あったんだよ。……まあそれはそうとして。サンキューねセンリツ。」

 

「鈴夜さん、彼女がもしかして……」

 

 

 さとりは、その少女が何者なのかを悟る。

 

 

「そう、あの子が俺の妹分。」

 

 

「その通り!!私は『黒須羽センリツ』、鈴にぃこと黒須羽鈴夜の妹でーっす!」

 

 

 そう、彼女が鈴夜の妹分『黒須羽センリツ』なのだ。

 

 

「彼女がセンリツ……しかし、この黒いのは一体……

 

 

 

……ん?ちょっと待って、『鈴にぃ』?……ん?『姉さん』とか『ねぇ』とかじゃなくて、『にぃ』?」

 

 

 センリツが鈴夜を『鈴にぃ』と呼んだ事に引っ掛かるさとり。

 

 

「え?……あー、そう言えば性別言って無かったね。

 

 

 

……女の子の格好してるけど、俺『男』なんだよ。」

 

 

「え。」

 

 

 さとりは、(今まで鈴夜が女性だと思ってた故に)固まった。

 

 

 

 

 

 

「ぐ……一体全体なんデスカ――」

 

 

 瓦礫を破壊して、立ち上がるどす黒い少女。

 

 

「ダァァァァァァァァッシュ!!!」

 

 

 そのタイミングで、さっき空いた穴から何かが飛び降りて、どす黒い少女の頭部にまた直撃。

 

 

「どぎゃっ!!!?」

 

 そして思いっきり吹っ飛んだ。

 

 

「ん?今何かぶっ飛ばした?」

 

 

 降りて来たのは、ゴルドダッシュに乗った作者と、乗せられた阿求だった。

 

 

「あれ……あそこにいるのはサトリ妖怪と……誰と誰?」

 

「お、丁度いい。アイツらと早々に合流できるとは。」

 

 作者は、阿求が見ている方向にいる、鈴夜とセンリツ線の姿を見て「おおっ」というような表情をしていた。

 

「え、じゃあもしかしてあの2人が……」

 

「ああ。アイツらは黒須羽兄妹。兄の鈴夜と妹のセンリツ……

 

 

 

 

 

 

何かしらの生物と混ぜ合わされた、所謂合成獣(キメラ)だ。」




次回へ続く。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。