ドン!ホロックスみーてぃんぐ!   作:ぴりもに

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本日より新連載スタート!ホロライブ好きの方も、戦隊ファンよ方も楽しめる内容にしたいと思っていますので、温かい目で見守っていただけると嬉しいです!


ドン1話「シャチとサメ」

読者(あなた)の地球より、人類以外の種族がちょっとだけ多い地球──

舞台は◯△(マルヤマ)市、西◯△(マルヤマ)駅。俗に言うベッドタウンで、とりわけ平和な街───

この街に”秘密結社”のアジトがあることは、この街の住民を除いて、まだ誰も知らない

 

「……秘密の意味分かってなくない?」

 

黒い洋服に身を包んだ銀髪の少女は声を上げた。

彼女の目の前にある雑居ビルの3階……その窓に、「秘密結社ホロックス」と堂々と書かれていたのだ。

 

「変な会社来ちゃったかなぁ……」

 

その時、少女の後ろでドシャ!という音が聞こえた。

振り返ってみると、そこには転んで持っていたアイスを落としてしまった子どもがいた。子どもは転んだことよりも、アイスを落としてしまったことにワンワン泣いていた。

 

「はい、怪我はない?」

 

少女は泣いている子どもの前でかがみ、鞄からポテチを取り出した。

 

「お姉ちゃんのお菓子あげるから、元気だしなぁ〜?」

 

少女はニコニコ笑いながら、子どもにお菓子を渡した。

お菓子を受け取った子どもは、すっかり泣き止んでいた。

子どもは手を振りながら、母親と一緒に少女と別れたのだった。

 

「バイバーイ♪」

 

彼女の名は沙花叉(さかまた)クロヱ。秘密結社ホロックス内定者。

就職活動に失敗した彼女の下にある日届いたのは、”採用通知”。応募もしていない(・・・・・・・・)会社からの採用に訝しんだが、年収300万〜2兆円、週休3日という待遇の良さに、クロヱは心を掴まれた。

クロヱはいざ、ビルの中に入ろうと足を進めた。しかし、次の瞬間、

 

「うっ……!」

 

どこからかうめき声が聞こえてきた。何事かと思ったクロヱは、ビルの周りをうろうろと見回った。

ビルの影、ゴミ箱で見えなかったが、そこには男が壁を背もたれにして地面に座り込んでいた。

 

「あの……大丈夫……!?」

 

クロヱは自分の目を疑った。座り込んでいる男をよく見てみると、男は腹痛なのか腹を抑えて苦しんでいた。

 

「大丈夫ですか!?救急車呼ばなきゃ……!」

 

すぐにスマホで救急車を呼ぼうとするクロヱ。その時、カチャリと何かが地面に落ちた。

見てみると、男の胸ポケットから紫色のサングラスが落ちていた。

 

「何これ……?サングラス?なんかめちょカッコいいじゃん!」

 

サングラスのデザインに惹かれたクロヱは、思わずそのサングラスをかけ、街の方を見た。

しかし、そこで見えた光景は、普通の街並みではなかった。

 

「へっ?」

 

クロヱは声を上げ、何度かサングラスをつけたり外したりした。サングラスをつけると、街の景色が変っていたのだ。

街…というより地面や電柱、空に至るまで、サイケデリックな配色になっていた。まるで、電脳空間のような……

 

「ぽえぽえぽえ〜〜?」

 

あまりに突拍子もない光景に、クロヱは間抜けな声を上げた。その時、ふと視線を感じた。

そこに目を向けると、そこにいたのは、サイケデリックな空間によく似た、サイケデリックな配色の怪人だった。

クロヱはまたサングラスをつけたり外したりした。なんと、驚いたことに街の住人の何人かが、謎の怪人に変わっていた。否、怪人が街の住人に化けていると言った方がいいだろうか……

 

「アイツ、見えテるのか……?」

「対処シなければ……」

 

怪人達は、クロヱが自分達の正体に気づいたと思っているようだった。その瞬間、クロヱは全身に冷や汗をかいた。少なくとも今は危ない状況なのは間違いない。

 

「逃げないと……!」

 

クロヱは座り込んでいる男の手を引き、その場から逃げ始めた。

 

「お、重い〜〜〜!!ちょっとだけでいいから動いてよ〜〜!!」

「す…すまな、い……!」

 

ここで男は初めて喋った。青い髪に紫色の瞳をした男……さらにいえば、かなりのイケメンでもあったが、今はそんなことを気にしている場合ではない。

クロヱは近くにあった扉を開け、建物の中に逃げようとした。

しかし、扉を開けたその先は、空の上だった。

 

「……へっ?」

 

2人はそのまま真っ逆さまに下に落ちていく。

 

「へぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?どうなってんのぉぉぉぉぉ!!?」

 

このままでは二人とも地面に追突する……そう思った次の瞬間、落ちていく2人の前に扉が現れ、その中へ飛び込んだ。

 

「わっ!」

 

扉の先はビルの屋上だった。何が何やら分からず、クロヱは混乱してしまう。

 

「アノーニ……」

「アノーニ……」

 

そこに、先ほどのサイケデリックな色合いの化け物が出てきた。

 

「うわっ、来ちゃった……!!」

 

徐々に迫ってくるアノーニという怪物を見て、急いで逃げようとするクロヱ。しかし、もう扉はどこにもなく、ビルから飛び降りるわけにもいかない。

まさに、絶体絶命だった。

 

「ウソ……!」

『アノーニ!!』

「キャアァァァァァァ!!」

 

次の瞬間、アノーニ達は一斉にクロヱに襲いかかった。しかし、それと同時にアノーニ達は殴り飛ばされた。

 

「え……?」

 

呆然とするクロヱの前に立っていたのは、今の今までグロッキーになっていた、あの男だった。

先ほどまでの衰弱ぶりはどこへやら、両足で大地を踏みしめてしっかりと立ち、紫色の瞳はギラリと光り、アノーニ達を睨みつけている。

 

「え、君……もう大丈夫……?」

 

クロヱの声が聞こえているのかいないのか、男はクロヱの顔に手を近づけ、サングラスを取り上げた。

そして自分の顔にサングラスをかけ、アノーニ達を再び睨みつける。

と、その時だった。

 

《ニンジャークソード!》

 

どこからともなく、何かが飛来し、男の前に突き刺さった。

それは剣だった。マゼンタに近い刀身にシアン色の刃を持つ忍者刀……外側には鮫の歯を思わせる鋭く小さな刃が無数に生えている。さらに鍔の部分には青色のギアがセットされている。

男は剣を引き抜き、逆手に持ってギターのように構えると、鍔についたギアを激しく回転させた。

 

「アバターチェンジ!!」

《what's up!?》

 

その一声とともに、男の身体が紫色の渦に飲まれていった。すると、男の身体に紫色のスーツが装着され、さらにその上にサメと忍者を合わせたような鎧とマスクが装着された。

 

《ドンムラサメ!!》

《切り捨てソーリー!!》

 

ドンムラサメ……そう呼ばれる戦士へと男は姿を変えた。

 

「へ、変身した……!?」

「ムラサメ……!?」

「ムラサメだと……!?」

 

男が変身したことに、クロヱだけでなく、アノーニ達も驚いている。さらにいえば、アノーニ達はムラサメが何か知っているようにも見える。

 

「ムラサメ……参るッ!!」

 

ムラサメは両手で剣を持ち、構えた。ムラサメが取った構えは”霞の構え”という日本剣術に伝わる構え方だった。

ムラサメは威風堂々とした剣幕を放ち、アノーニ達を震え上がらせた。しかし、アノーニ達は持っているハンマーを振りかざし、ムラサメに襲いかかった。

 

「フンッ!セイッ!」

 

力強く、それでいて華麗な剣捌き……まるで、時代劇でみる殺陣のようだった。相手の攻撃を捌き、確実に一撃を入れる……クロヱは剣の素人だったが、素人目にもムラサメの強さがわかった。

 

一鮫(いちシャーク)斬鮫(キリサメ)!》

 

ムラサメはギアを一回転させてトリガーを押し、剣を地面に突き立てた。

すると、ムラサメの身体がまるで潜水するかの如く地中に潜り込んだ。

アノーニ達は動揺していると、足元が水面のようにゆらりと揺れた……かと思うと、そこからムラサメが飛び出し、アノーニ達を空中へ打ち上げた。

 

「ハァァァァァァァッ!!」

『ア…アノーニィィィィィ!!』

 

そのままムラサメは雄叫びとともに、打ち上げられたアノーニ達を次々と切り裂いた。

その瞬間、アノーニ達は断末魔を上げて爆散していった。

 

「ス、スッゴイ……」

 

呆気に取られているクロヱをよそに、ムラサメはスタッと地面に着地した。それと同時に、ムラサメの変身が解け、剣はどこかへ飛んでいってしまった。

飛んでいった剣を見届けながら、男はクロヱの元に歩み寄った。

 

「……大丈夫か?」

「う、うん……ね、ねえ、君いったい何者なの?」

 

クロヱは気になっていることを男にぶつけた。しかし、男は真顔のまま、一瞬黙り込んだ。そして、こう答えた。

 

「……わからない。」

「えっ?」

「俺は自分のことがわからない。あの剣のことも、俺の名前すらも……」

 

男のその一言に、クロヱはキョトンと目を丸くした。しかし、すぐに目をかっ開いて叫んだ。

 

「いやそれ、記憶喪失じゃん!!?」

「うん、そうらしいな。」

「『うん、そうらしいな』……じゃなくて!!」

 

声真似をしながらもノリツッコミをするクロヱ。それもそのはず、目の前にいるこの男は、自分が記憶喪失であるにも関わらず、特段慌てている様子がないのだ。普通なら取り乱しているところだ。

 

「なにかないの!?身元とか、名前が分かるものとか!」

「身元か……なにか、なにか……ん?」

 

何か身元が分かるものはないか探していると、男はポケットに何か入っていることに気がついた。

それは薄汚れた封筒だった。中には何も入っていない……しかし、裏側に名前が書いてある。

 

《鮫山 ソウゴ》

 

「鮫山……ソウゴ……俺の名前か?」

 

封筒は普通、表側に相手の名前、裏側に自分の名前を書く。「鮫山ソウゴ」という名前が裏側に書いてあるということは、自分の名前ということになるが……

 

「よし、俺は鮫山ソウゴを名乗る。」

「えっ!?いいの!?」

 

クロヱは思わず突っ込んだ。いくら封筒の裏側に書いてあるとはいえ、それが本当に自分の名前とは限らない。しかし、男は淡々とした口調で言った。

 

「この先名前がないと不便だ。しばらく借りるだけだ。」

「あ、そう……」

 

「変なとこ大雑把だな」と思いながら、クロヱは改めて自己紹介をすることにした。

 

「わ……私、沙花叉クロヱ。さっきは助けてくれてありがと!」

「沙花叉か……俺は鮫山ソウゴだ。怪我がなくてよかっ……うぐっ!?」

 

その瞬間、ソウゴはいきなり腹を抑えてうめき声を上げた。それを見て、クロヱはハッと気がついた。

 

「あっ!そういえば具合悪かったんだっけ!?今、救急車……」

 

咄嗟にクロヱがスマホを取り出し、電話をかけようとしたその瞬間、ソウゴの腹がぐぅ~っと鳴った。

 

「へっ?」

「……俺の腹の音だな。」

「は……腹が減ってただけかーーーいっ!!!」

「すまない……」

 

さんざん人を心配させといてそれか!……と思いながら、クロヱは叫んだのだった。

この2人の出会いが、後に巻き起こるドタバタ劇の始まりであることを──

2人はまだ知らない───

 

 

 

 





「じかーいじかい!フッフッフッ……ついに我輩の出番が来たな……皆の者!刮目せよ!我こそはラプラ……あ”ーっ!?時間切れ!?ドン2話『ガキンチョそうすい』というお話し!」

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ついに始まりました、「ドン!ホロックスみーてぃんぐ!」。
何故、ホロと戦隊を合わせたのかといえば、両方とも好きだから……というのもあるのですが、「ホロ×戦隊」の組み合わせがあまり見かけなかったので、増えるきっかけを作りたいなぁと思って作ることに。
前作「SPY×AGITΩ」よりもギャグ多めで、かつドンブラザーズみたいな「なんだこれ」と思ってしまうような展開を多く作る予定です!
次回もお楽しみに!

新連載スタート!今作ではどんなことを期待しますか?

  • レジェンド達のゲスト参戦
  • ホロックスメンバーとの恋愛要素
  • ギャグ展開
  • ドンブラザーズらしい展開
  • ホロメンのカワイイところ
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