ドン!ホロックスみーてぃんぐ!   作:ぴりもに

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ドン15話「バクアゲライブ!」

 

パチッ……パチッ……

 

あの喧嘩の翌日、ソウゴはリビングのソファに座りながら趣味のプラモ作りをしていた……しかし、その手は何度か止まっていた。

 

(過去よりも今、か……)

 

ソウゴは悩んでいた。自身の過去を追い求める方がいいのか、それとも過去を忘れて今を生きていく方がいいのか……その答えを求めていた。

 

(俺は、どうすれば……)

(ソウくん……)

 

それを考えてしまうと、趣味にも手がつかなかった。

そんなソウゴをクロヱは心配そうに見つめていた。

と、その時だった。

 

「みんな、大変だよ!!」

 

ルイが慌てた様子で扉を開けた。その手に雑誌が握られていた。

 

「みんなコレ見て!!」

『?』

 

ルイは雑誌を広げて皆に見せた。そこにはこの間のうたバトでホロックスが活躍した記事が書かれていた……が、それはホロックスのことを批判する記事だった。

記事には「歌番組ぶち壊し!」、「一発屋」、「色物集団」、「ヒーローショーの真似事」と酷いものばかりだった。

 

「なにこれ……」

「番組ぶち壊してないでござるよー!!」

「こんな書かれようってあるぅ?」

「まじかよ……腑に落ちねぇ〜……!」

「歌では手を抜いてないんだけどねぇ……」

「ヒーローショーの真似事だと……?」

 

当然、皆はこの記事の内容に納得していなかった。皆、不服そうに頬を膨らませたり、ため息をついたりしていた。

そんな時、ラプラスは声を上げた。

 

「……お前ら、聞け。この記事は、ホロックスにとって大問題だ。この記事が街中に出回ってるってことだろ?放っておいたらイメージダウンにつながって世界征服の妨げになる。それに、なにより我輩は……!」

 

次の瞬間、ラプラスはドン!と椅子の上に足を置いた。

 

「お前らがナメられてんのが許せねーーー!!だから、やんぞ!生ライブ!!自腹で無料ライブだ!!」

 

ラプラスは叫び、突拍子もないことを言い始めた。その発言にクロヱとソウゴは目を丸くした。

 

「ラプちゃん待って!そんな資金どこに……」

「資金ならあるだろ。歌番組の賞金、100万円!!それだけあれば……!」

「ちょっと待ったーーー!!」

 

その時、ドアがバン!と開かれ、男の叫び声がこだました。振り返ると、そこにいたのはグリムとかなただった。

 

「話は聞かせてもらったぜ。」

「グリムくん!かなたそ!」

 

いきなり現れた2人に困惑するクロヱ達に対し、ソウゴは顔を合わせづらいのか、視線を反らした。

そんなソウゴをよそに、グリムは本題に入った。

 

「わざわざ賞金を出す必要はないぜ。俺の知り合いにすげー奴がいんだよ!」

「知り合い?」

「もうそろそろ来る頃だな……」

 

その時、外からキキーッ!と車がブレーキをかける音が聞こえた。窓から外を見てみると、そこには高そうな赤いスポーツカーが止まっていた。

その中からジャケットを着た男と、ゴツい見た目をした車のようなロボットが出てきた。

 

「おっ、来たな!」

「誰?あの人……と、ロボット?」

「最近知り合った、俺の知り合い。」

 

そのジャケットを着た男とロボットは、上を見上げてグリムを見つけると、ニヤリと笑って事務所に入っていった。

 

「紹介するぜ。こちら、少し前に俺が知り合った……」

範道大也(はんどうたいや)だ。」

「俺はブンドリオ・ブンデラス!『ブンブン』って呼んでくれよな!」

 

2人は軽く自己紹介し、大也という男は懐から名刺を取り出し、代表者であるラプラスに手渡した。

 

「……届け屋?」

 

大也から手渡された名刺には、「届け屋」という聞き覚えのない職業が書かれていた。

 

「ああ。頼まれたものは何があろうが絶対に届ける……それが届け屋だ。」

「へぇ……じゃあ、届け屋は我輩達に何を届けてくれるんだ?」

 

ラプラスが問いかけると、大也はニヤリと笑った。

 

「最高の生ライブステージ……なんて言ったらどうする?」

 

そう言って大也が取り出したのは……なんと、ブラックカードだった。

 

「ブ、ブラックカード!?大也さん……もしかして滅茶苦茶お金持ち!?」

「すげぇだろコイツ!コイツに頼めばステージなんてちょちょいと用意してくれるぜ?」

 

大也が超がつくほどの金持ちだと分かると、皆ざわめくと同時に目をキラキラと輝かせた。

しかし、ラプラスは……

 

「悪いけど断る。」

「うん?」

「こいつは我輩達のステージだ。お前一人に全部やらせたら、その意味がなくなる……だから、ステージは我輩達が全力で用意する!宣伝も、機材も、場所も……我輩達が街のみんなに頭下げて準備してやらぁ!!」

 

ラプラスは自信満々にそう言って、自分の胸を叩いた。

 

「ラプラス……」

「確かに、金持ちの坊っちゃんにだけ任せて、自分達は何もしない……なんてわけにはいかないもんね!」

「その通りでござる!」

「こよ達の底力、見せちゃおうか!」

「う、うん!」

 

ラプラスの意見に同調し、他のメンバー達もやる気になっていた。そんなラプラス達を見て、大也はフッと笑った。

 

「フッ……オーライッ!」

「みんな最高にバクアゲだな!じゃあさじゃあさ!俺達にも何か手伝わせてくれよ!」

「この間の詫びに俺達も手伝うぜ!なんでも言ってくれ!」

 

かくして、大也達の協力も合わさり、生ライブの準備が行われていった。しかし、いまいち乗り気でない者が一人いた。それは、ソウゴだった。

 

(俺は何をしているんだ……こんなことしてる場合なのか……?)

 

頭の中に霧のようなモヤモヤが渦巻いていた。

呑気にステージの準備をしていていいのか、過去を追い求めた方がいいのではないか、いや……そんなことをして意味があるのか……

そんなことを考えていると、

 

「何か悩み事か?」

 

後ろから声が聞こえてきた。振り返るとそこにいたのは大也だった。

 

「届け屋か……なんの用だ。」

「みんなワクワクしながら作業をしてる中で、一人だけモヤモヤしてる様子だからな……気になってね。」

「放っておいてくれ。」

 

プイッと大也からそっぽを向くソウゴ。しかし、大也は構わず隣のベンチに腰掛けた。

 

「そうもいかないんだよな。なんせ、グリムからの依頼だからな。」

「なに?」

「昨日、グリムに頼まれてね……『20歳にもなってガキみたいにキレたことを詫びたい。その手伝いをしてほしい』……ってさ。

「あの男が……?」

 

大也から事情を聞き、ソウゴは目を丸くしキョトンとしていた。

まさか、あの大雑把そうなグリムがそんな気遣いをしてくるとは思わなかった。加えて言えば、謝るべきなのはどちらかと言えばソウゴの方……にも関わらずグリムの方が「詫びたい」と言っているのだ。

 

「それだけ君のことを気にかけてるってことだ。気にかけてると言えば……ホロックスの皆もそうだな。」

「なんだと?」

「さっき、クロヱと一緒に作業してたんだが……その時、彼女小さい声で、『ライブやったら、ソウくん元気出してくれるかな……』って言ってたぞ。」

 

それを聞いたソウゴは、自分を情けなく思い、俯いた。

 

「……俺は本当に不甲斐ない男だ。心配かけまいとしてきたのに、心配させていたとは……」

「当たり前だろ。仲間なんだから……」

「仲間……」

「そうそう!」

 

その時、2人の会話にブンドリオが割り込んできた。ブンドリオはソウゴの背中を優しく叩いてきた。

 

「仲間なんだから心配すんのは当たり前さ!甘えちゃっていいと思うぜ?」

「……」

 

ソウゴは黙り込んだ。「仲間だから心配は当たり前」「それに甘えてもいい」……ブンドリオの言葉が刺さり、何も言えなくなった。

 

「それよりライブ!せっかくのライブなんだからさ、バーッと盛り上がろうぜ!屋台も何個か出すしさ!」

「ブンブンのカレー、期待してるぞ!」

「任せとけ!」

 

和気あいあいと話す大也とブンドリオをよそに、ソウゴは黙り込んだ。

こんな調子で大丈夫なのか、かえってクロヱ達の迷惑になるのではないか……そんな不安を抱えたまま、生ライブ当日を迎えた。

 

 

 

 

「はーい!よってらっしゃい見てらっしゃい!!ホロックスの生ライブだよー!!」

「損させないぜー!!一回見てってくれよー!!」

 

ライブは近所の大きな公園で行われた。入り口でブンドリオとグリムが大きな声で客引きをし、

 

「フランクフルトいかがですかー?」

「冷たいジュースもあるぞー!」

 

屋台で大也とソウゴが商品を売っている。

グリムとブンドリオのデカい声も相まって、見物客はなかなかの数だった。

と、その時、ステージ上にかなたの姿があった。

 

「レディース&ジェントルメン!おまたせしましたー!ホロックスラーイブ!!はーじまーるよー!!」

 

かなたの一声とともにステージに置かれたスピーカーからBGMが流れ、そのBGMとともにホロックスの5人が登場した。

 

『イエーイ!!秘密結社ホロックス〜〜〜!!』

 

マイク片手に、5人は意気揚々と雄叫びを上げる。そして、5人は同時に歌を歌い始めた……と思ったその時だった。

空が急に暗くなり、地面に落雷が落ちた。

 

「キャアッ!?」

「なんだ!?」

「フッフッフッフッ……」

 

落雷とともに低い笑い声が響く。その中から現れたのは、銀色の鎧に身を包んだ怪人……

 

「お前……ジャイアン!!」

「ザイガンだッッッ!!!」

 

またも名前を間違えたグリムにザイガンは怒鳴り声を上げた。

しかし、ザイガンはすぐに冷静になり不敵に笑った。

 

「フッ、前回は遅れを取ったが、今回はそうはいかんぞ!ゆけ、戦闘員達よ!」

 

ザイガンは前回同様、様々な戦闘員を大量に呼び出した。いきなり現れた戦闘員達に、観客達は悲鳴を上げ慌てふためいている。

 

「生ライブの邪魔はさせん!」

《ニンジャークソード!》

 

大量の戦闘員達に立ち向かうのは、飛んできたニンジャークソードを手にしたソウゴと、

 

「この前と同じにしてやるよ!」

 

拳の骨を鳴らし、ニヤリと笑うグリム。そして、2人の横に大也も並び立った。

 

「運び屋、お前も戦うのか?」

「ああっ!」

 

フッと笑いながら、大也はスピードメーターのような丸い装置「ブンブンチェンジャー」を取り出した。

大也はチェンジャーについているアクセルペダルのようなスイッチを押した。

 

《ブーン!!》

 

ブンドリオに似た声とともに、チェンジャーの頭の部分から青い炎が噴き出す。

 

《ブンブーン!!》

 

さらにもう一回、

 

《ブンブンブーン!!》

 

そしてさらにもう一回押した。

大也はチェンジャーを握ったまま円を描くように腕を振り、構える。

 

「ブンブンチェンジ!!」

 

大也は叫び、チェンジャーの下部についているタイヤのようなローラーを腕に擦り付け回転させた。

すると、大也の身体が赤い光に包まれた。

 

《バクアゲタイヤ!!ゴーゴーゴー!!》

 

白いレーシングスーツに身を包み、背中と両足にタイヤをつけ、顔にもタイヤのようなマスクを装着したヒーローへと変身した大也。

 

「タ、タイヤ人間!?」

「俺達も行くぞ!!迸れ!獣の魂!スピリット・オン!!」

 

グリムも左腕につけたブレスに黒いギアを装着し、勢いよく回転させてバットレンジャーへと変身した。

 

「アバターチェンジ!!」

《ドンムラサメ!切り捨てソーリー!》

 

ソウゴも剣についているギアを高速回転させてドンムラサメへと変身した。

 

「ブーン!レッド!!」

 

大也は「ブンレッド」と名乗り、ポーズを決めた。

それを見て、バットレンジャーも……

 

「おっ、名乗りか……俺も!スピリット〜!レンジャー!!」

 

ブンレッドと同じような名乗りを上げ、同様に羽ばたくようなポーズを決めた。

すると、バットレンジャーはチラッとムラサメの方を見た。

 

「お、俺もやれと……?くっ……!ド、ドーン!ムラサメ!!」

 

軽く剣を振り、霞の構えで決めポーズを取るムラサメ。

 

「……プッ」

 

そんなムラサメを見て、バットレンジャーは何故か吹き出した。

その反応にムラサメは剣先を向けた。

 

「なぜ笑った?」

「いや……キャラに合わねえと思ってよぉ……!!プクク……」

(先にこいつを殺してやろうか……)

 

恥を偲んで名乗ったのに笑われたことに苛立ちを覚え、ムラサメはバットレンジャーに殺意を覚えた。

 

「先に行くぞ。」

《ブブブブブーン!!》

 

ブンレッドは左腕にセットしたチェンジャーのスイッチを長押しした。すると音声が鳴り響くとともにブンレッドは赤い残光を残して高速で敵陣の中へ突っ込んだ。

 

「速っ!?」

《ブンブンハンドル!》

「ハッ!」

 

敵陣の中に突撃したブンレッドは、ハンドルの形をした道具の先端を伸ばしてロッドモードへ変形させ、周りにいる戦闘員達を切り飛ばした。

 

「ええい、怯むな!やれっ!!」

「俺らを忘れんなよ!!アタタタタタタ!!」

 

空高く飛翔しながらバットレンジャーは上空から連続の蹴りを繰り出す。

 

「ハァァァァッ!!デヤァ!!」

 

ムラサメも雄叫びとともに次々と戦闘員を切り裂いていく。

敵は大量……しかし3人は強く、大量の敵をものともしない。そんな3人を見て、観客達は沸いていた。

 

「カッコいい!!」

「そこだ、やれやれー!!」

 

その状況を見て、かなたはニッと笑うと強くマイクを握った。

 

「みなさーん!!最強のヒーローがライブを守るために駆けつけてくれました!大きな声で応援しようね!せーの!」

『がんばれーーー!!!』

 

かなたはこの状況をライブとして利用した。そのおかげもあって活気も最高潮。

そして3人も……

 

「へっ、こういうの……なんかいいな!」

「ああ……バクアゲだな!」

「フッ……」

 

応援のおかげで士気もあがり、敵を倒す速度も心なしか上がっていた。

しかし、ザイガンは負けじと次の一手を投じてきた。

 

「戦闘員だけだと思うな!ゆけ、アコギグルマー!!」

「イエーイ!!今日は集まってくれてサンキュー!!」

 

どこからともなく、ポンチョを羽織りテンガロンハットを被った風貌の、アコースティックギターを手にした怪人が現れ、滅茶苦茶にギターをかき鳴らした。

 

「うわっ!?なんだこれ……ひでぇ演奏だ!?」

「なんて酷い音だ……!」

「ギターを撃ち落とせ!!」

 

ブンレッドはロッドの先を収納して銃に変形させた。

銃口から光弾を発射してアコギグルマーを攻撃する。

 

「ビックリピック!!」

 

すると、アコギグルマーは両手に大量のピックを集め、それを一斉に弾丸のように投げつけた。ピックは光弾を弾き飛ばし、そのままブンレッドに襲いかかる。

 

「フッ!」

 

しかし次の瞬間、ブンレッドはアコギグルマーに背を向けた。すると背中についているタイヤが赤いオーラとともに巨大化し、高速回転してピックを弾き飛ばした。

 

「なにっ!?」

「今だ!」

「スピリットチェンジ!」

 

次の瞬間、ブンレッドの影からムラサメとシャークレンジャーが飛び出した。

 

『ハァッ!!』

 

2人は一斉に剣を振るい、アコギグルマーのギターを斬り裂いた。

 

「ああっ!?俺様の魂のソウルが〜〜!!」

「一気に決めるぞ!!」

四鮫(よんシャーク)流鏑鮫(ヤブサメ)!!》

 

3人はトドメを刺すため、ムラサメはギアを4回転させて紫色のオーラを剣に纏い、シャークレンジャーも剣に水色のオーラを纏い、ブンレッドは持ち手のトリガーを長押ししながら円を描くように回転させる。

同時に、ムラサメとシャークレンジャーの背後にオーラでできた鮫が出現する。

 

『バクアゲシャークドライブ!!』

《バクアゲフィニッシュ!!》

 

ブンレッドはロッドを斜めに振って描いた円の上に斜めの線を入れて車両通行止めマークを描いた。

それを喰らったアコギグルマーの動きは止まり、そこに2匹のオーラの鮫が突進し、アコギグルマーを噛み砕いた。

 

「ぬおぉぉぉぉ!!お、俺の魂のライブ……終〜了〜〜!!」

 

アコギグルマーは断末魔の叫び声を上げて倒れ、爆発した。

 

「やった!」

「ま、まだまだだ!巨大化エキス!!」

 

ザイガンは懐から赤い液体が入った瓶を取り出し、倒れたアコギグルマーにかけ始めた。すると不思議なことが起こった。倒れたはずのアコギグルマーが起き上がり、どんどん巨大化していった。

 

「復活ライブだ〜〜〜!!」

「でかくなりやがった!」

「よーし、今度は俺の番だぜ!大也!」

「ああっ!」

 

ブンレッドはミニカーのような小さい車を取り出し、さらに左腕につけたチェンジャーを取り外し、その裏面にミニカーを挿し込んだ。

 

《ブンブンオフロード!》

 

青色のミニカーを挿し込むと空に穴が開き、虹色の空間が広がった。するとそこから巨大化したオフロードカーが出現した。

 

《ブンブンワゴン!》

 

さらにピンク色のワゴンカーを挿し込み、巨大なワゴンカーを呼び出した。

 

「よっしゃあ!ゲートモード!!」

 

ブンドリオも巨大化したかと思うと身体を変形させ、巨大なゲートに変わった。すると、そのゲートにオフロードとワゴンが通った。2台の車がゲートを通過した瞬間武器のような形に変形すると、ブンドリオは元のロボットの状態に再変形。

 

「ドライバーが足りないから、残りは自動操縦だな……」

「そこはしかたないな……爆上合体!!」

 

巨大化したブンドリオの右腕に巨大なドライバーに変形したオフロードが、左腕に巨大なクローに変形したワゴンが合体。ブンドリオの目つきもキリッと凛々しいものに変わり、大地に降り立った。

 

《ブンブンジャーロボ!ブンブン作りタイヤ!!》

 

巨大化し、合体したブンドリオを見て、ムラサメは驚きながらも顔をクロヱ達に向けた。

 

「俺達もいくぞ!」

『うん!!』

 

ムラサメの一声にクロヱ達は返事し、ムラサメの横に並んで左腕にブレスを装着した。

 

『アバターチェンジ!ロボタロウ!!』

 

6人は叫ぶと同時にギアを高速回転させた。6人はロボタロウモードへ変身し、さらに巨大化する。

 

「わおーん!!」

「シャチー!!」

 

こよりとクロヱは脚に変形し、ムラサメの脚と合体。

 

「ござるのパワー!!」

 

いろはも両腕に変形し、ムラサメのボディと合体。

 

「安定の肩〜!!」

 

ルイも変形し、腕となったいろはと合体して肩パーツになった。

 

「トリは我輩だ!ガッチャンコ!!」

 

ラプラスは兜に変形し、ムラサメの頭に被さり……完成。

 

『完成!!ドンホロマジン!!』

 

サムライ風の合体ロボに変わったムラサメ達はブンブンジャーロボと並んだ。

 

「いくぜ!ドリャ!!」

 

ブンブンジャーロボは果敢に突進し、右腕のドライバーで攻撃する。さらに続けて左腕のクローで殴り飛ばす。

 

「俺達も続くぞ!」

 

それに続くようにドンホロマジンも両手に持った剣で斬りかかる。しかし次の瞬間、

 

「イエーイ!!魂のギターも復活だぜー!!」

 

巨大化と同時に復活したギターをかき鳴らし、アコギグルマーは超音波を発生させた。

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!?」

「音がひどすぎる……!!」

「このまま鼓膜破壊してやるぜメーン!!」

 

アコギグルマーは超音波を強化しようとさらにギターをかき鳴らそうとした。だがその時だった。

 

「キィィィィィィィ!!」

「がっ!?ぬあぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

甲高い奇声が鳴り響き、アコギグルマーは悶え苦しんだ。

振り向くと、そこには巨大な青黒いコウモリが宙を舞っていた。そして、その頭の上にはバットレンジャーが乗っていた。

 

「グリム!」

「これぞ、ゲキワザ・来々獣だ!さらに……鮫山、ホロックス!合体だ!!」

『合体?』

「獣拳武装!!」

 

ホロックス達の有無を介さず、バットレンジャーは叫んだ。すると、巨大なコウモリ……ゲキバットは翼を大きく広げると、そのままドンホロマジンの背中に合体した。

 

「な、なんだこれは!?」

「完成!えーっと……ドンホロマジン・バット!!」

 

巨大な翼を得たドンホロマジンは、空へ舞い上がり剣を構えた。

 

「おっ、やるじゃねぇかホロックス!俺達も負けてらんねぇぜ!」

「一気に決めるぞ!!」

 

運転席にいるブンレッドは、ハンドルについているチェンジャーのスイッチを押した。

 

《ブーン!》

《ブンブーン!》

《ブンブンブーン!》

 

チェンジャーから響く音声とともに、ブンブンジャーロボの両腕が輝き、巨大化する。

同時に、ドンホロマジンも両手の剣にオーラを纏わせる。

 

「同時にいくぞ!」

『ドンホロブンブンフィニッシュ!!!』

 

雄叫びとともに、まずブンブンジャーロボが突進して二つの武器で切り裂き、続けてドンホロマジンが空から高速で突進してアコギグルマーを真っ二つに斬り裂いた。

 

「ま、またしても〜〜!ライブならず〜〜〜!!!」

「おのれスーパー戦隊……!次こそ必ず……!」

 

アコギグルマーは倒れ、爆発した。それを見て、ザイガンは悔しそうに拳を握り姿を消した。

 

「大勝利!!」

「刮目せよ!!」

『Yes.My Dark!!』

 

────────────────────────

 

戦いは終わり、ライブは継続された。先ほどの戦いのおかげで野次馬が増え、それが観客の増加につながった。

結果としてライブは大成功だった。

 

「ふぅ……おつかれさん。」

 

フッとため息をつくソウゴに、後ろからグリムと大也が声をかけてきた。

 

「どうだった?初めてのライブは。」

「……悪くない。」

 

ソウゴは2人と顔を合わせずに返答した。すると、少し黙り込んだ後、口を開いた。

 

「………グリム、だったな。」

「あん?」

「……すまなかった。お前を……罵倒してしまって……」

 

なんと、ソウゴはグリムに対して謝罪した。突然のことに動揺したグリムはただただ目を丸くしていた。

すると、グリムも……

 

「まぁ……その、俺も悪かったよ。ガキみてぇに怒ってよ……」

 

悪いと思っていたのはグリムも同じだった。そう思い、グリムもソウゴに謝った。

すると、ライブ会場の方からブンドリオの声が聞こえてきた。

 

「歌は心!バクアゲで届けます!俺が歌います、『コツコツ-PON-PON feat.ホロックス』!!」

 

なんと、ブンドリオはマイクを握って歌を歌い始めていた。

 

「やる時はやる俺なんだぜ♪頼りにしろよ♪」

 

歌いながら踊るブンドリオの後ろで、ホロックスの5人も踊っていた。

 

「懲りないんだぜ♪絶対めげないんだぜ♪おととい来やがれだ♪」

『ヘイヘイヘイ!』

 

踊りだけでなく、合いの手もいれるクロヱ達。

 

「空気読めないってか空気読まない♪空気は入れるもの♪どこまでだって、未来膨らむぜ♪」

『はー、どっこい!』

 

ブンドリオ達のライブを見ていると、かなたが3人のもとに駆け寄ってきた。

 

「グリ兄達、何してんの?そろそろサビ始まっちゃうよ!みんなで踊ろうよ!」

「おう!踊るか!鮫山も来いよ!」

「お、俺も踊るのか!?お、俺は踊ったことなんて……」

「いいからいくぞ!」

 

かなたと一緒に3人もステージ会場に飛び出し、みんなで一緒に踊り始めた。ソウゴもぎこちないながらも必死に踊り出す。

 

「みんな!用意はいいか!?バクアゲでいくぜ!!」

『オーライッ!!』

 

そして曲はサビに突入する。

するとクロヱ達はマイクを握りしめ、口元に持っていった。

 

『PON-PON-コツでいいじゃないか♪』

『ポンポン!!』

『PON-PON-コツロード爆走だ♪』

『ポンポン!!』

 

クロヱ達もブンドリオと一緒に歌い出し、かなたとソウゴ達男陣が合いの手を入れる。

 

『空回れるほどの元気♪へっちゃらへっちゃらへっちゃらへっちゃら最高じゃん♪』

『それそれそれそれ!!』

 

歌の盛り上がりは最高潮に達し、観客達の盛り上がりも最高まで達していた。

 

『PON-PON-コツの登場だ♪』

『ポンポン!!』

『PON-PON-コツロードいざ進め♪』

『ポンポン!!』

『そしていつかはチャンピオンだ♪』

 

曲はクライマックスへ進む。ブンドリオとクロヱ達は歌いながら観客達に向けて両手を広げた。

 

『あなたもあなたも♪あなたも笑って♪』

 

さらにそこから全員で手拍子し……

 

『その手を拝借♪ご一緒に♪さぁ〜〜〜〜♪』

『ブンブン♪』

 

全員で親指、人差し指、中指を立て、それを上に突き上げてフィニッシュを飾った。

 

────────────────────────

 

後日、このライブのことが雑誌で特集された。しかし、今度はバッシング記事ではなく、ちゃんと正当に評価されたまっとうなものだった。

 

「大成功じゃね?金持ちの届け屋とパイプ作れたし。」

「そうだね、困ったことがあったら呼んでくれって言ってたし。」

 

記事を見ながら皆が楽しそうに話しているのを見て、ソウゴはフッと笑った。

すると、クロヱがソウゴの肩を叩いた。

 

「ソウくん……元気出た?」

「沙花叉……俺は決めた。過去を求めるのは変わらない……だが、今を楽しめるように努力してみるつもりだ。」

「ふーん……手伝えそうなことがあったら、言ってね。」

「ああ……」

 

ソウゴとクロヱは互いに顔を見合わせ、微笑みあった。

すると、ラプラスが声をかけてきた。

 

「おーい、そこの2人ー!なにイチャイチャシーンしてんだ?」

「し、してないから!!」

「そうだ、していない。」

「へぇ〜♪」

「笑うなー!!」

 

またこうして日常が過ぎていく……ソウゴはこの日常を、今を楽しみながら、過去を探し求めていく……

 

 

 

 

 





ソウゴ「じかーいじかい。俺はタコ焼きが大好きだ。タコ焼きのためなら、俺はどこへだって行ける!!なに!?この俺が食べたことのない幻のタコ焼きがあるだと!?ならば……必ず食いにいってやる!!ドン16話『タコやき・タコやろう・タコメンチ』というお話。」
???「このタコメンチ!!!」

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