都内某所にある、とある店……そこにソウゴとグリムはいた。
「おい……なんでこうなった。」
「なんでって……いや、親睦を深めるなら一緒に飯を食うのがベストだろ。」
「そうじゃない……!なんでこの店かってことだ!!」
2人が訪れた店……それは、
『いらっしゃいませ、ご主人様〜♪』
メイド喫茶だった。
「なんでメイド喫茶なんだ……!」
「俺、一回ここで飯食ってみたかったんだよ。メイド喫茶って飯美味いらしいし……それに、俺好みの女の子いそうだし。」
メニュー表に載っているメイド達の写真を品定めするような目で見るグリム。
「メイド喫茶に人妻がいると思ってんのか……」
「この際、ボインボインのお姉さんでいい……ここはチェキの時に指名すんのか……」
呆れるソウゴの向かい側で、興味津々に写真を眺めるグリム。そこに店員のメイドが2人の元に現れた。
「ご主人様、メニューはお決まりですか?」
「えーと、この『天使のあちゅあちゅトロトロおむらいちゅ』を……」
「大きい声でお願いしまーす。後、語尾に『ニャン』ってつけてくださいね♪」
「『天使のあちゅあちゅトロトロおむらいちゅ』くださいニャン!!」
(地獄だここは……!!)
恥も外聞もなく恥ずかしいメニュー名を大声で、変な語尾で言うグリムに、ソウゴは耐えられなくなり耳を塞いだ。
「そちらのご主人様は?」
「………カレー。」
「『小悪魔妹のざぁこざぁこ♡カレー』ですか?」
「ああ、そうだ……二度とメニュー名を言うな。」
メニューを聞き終えると、メイドはその場から離れていった。
「お前もメニュー名言えよな!俺だって恥を偲んで言ったんだぞ。」
「どこがだ……!成人男性が恥ずかしいメニュー名を言うなんて……罰ゲームでしかないぞ!もし、こんなところを知り合いに見られたら……」
もしこの場面をクロヱ達に見られたら収拾がつかない……そう思ったソウゴ……だったが、
「あれー?ソウきゅんじゃん。」
「何してんのー?」
なんと店の中にこよりとかなたの姿があった。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
『イヤァァァァァァァァァ!!!?』
見られたくない人物の一人に見られ、ソウゴは思わず雄叫びをあげてしまった。その雄叫びに驚いてこよりとかなたも叫び声を上げてしまった。
「なになになに!?」
「なんでお前らがここにいるんだ!?ここメイド喫茶だぞ!?」
「なんでって……今どき女の子でもメイド喫茶行くよ?」
ソウゴはメイド喫茶に女性客が来ていることに疑問を抱いているようだったが、こよりとかなたは平然としている。
「今は多様性の時代だぜ?鮫山、遅れてんな〜」
「これは多様性というのか……?」
そのまま4人は相席することになり、一緒に楽しもうということになった。
「おまたせしました〜♪『小悪魔妹のざぁこざぁこ♡カレー』と『天使のあちゅあちゅトロトロおむらいちゅ』、それから『ふわふわあまあまパンケーキ』、『ニャンニャン♪チャーハン』でーす♪」
ソウゴにはカレー、グリムにはオムライス、かなたにパンケーキ、こよりの前にチャーハンが置かれ、メイドはそのまま立ち去るかと思いきや、
「ご主人様、ご飯を食べる前に魔法をかけますね♪美味しくなーれ♪美味しくなーれ♪萌〜え〜萌えキュン♡」
メイドはおまじないを呟きながら両手でハートを作って料理の前に突き出した。
『萌〜え萌〜えキュン♪』
するとソウゴを除く3人は楽しげにメイドのマネをしてみせた。
その様子を見てソウゴは引いていた。
「……お前らよくできるな。」
呆れた様子で3人を見ながら、ソウゴはカレーを食べ始めた。
その時、外からドン!という音が聞こえてきた。
「?」
ふと窓の方に目を向けると、そこには……金髪のリーゼントをしたヤンキー風の男が窓に顔をくっつけてこちらを睨んでいた。
「うおっ!!?」
「見つけたぞ……スカポンタヌキ……」
ヤンキー風の男はこちらを睨んできたかと思うと、走って店の中に入ってきた。
「やっと見つけたぞ……このタコメンチ!!」
「あっ、ヤンマ!」
どうやらこのヤンキー風の男は、グリムの知り合いのようだった。ヤンマと呼ばれた男はグリムを見つけるなり、胸ぐらをつかんで無理矢理立ち上がらせた。
「なんだよいきなり……」
「なんだよじゃねぇだろうが!!てめぇ、俺が開発してやった『ワールドジャンパー』……ちゃんと持ってんだろうな!?」
「ワールド……ああ、あの時計みたいな奴か?それならアパートにあんぞ。」
ヤンマの質問に答えると、さっきまで怒っていたヤンマは、急にニコッと笑い始めた。
「なんだ、そうか!ちゃんとあるか!安心したぜ、あははははははは!!」
「はははっ」
笑うヤンマに釣られて、グリムも笑い始めた。しかし、ヤンマはすぐにスンッと無表情になりグリムに問いかける。
「ちゃんと全部あるんだろうな?」
「あー……」
その問いかけにはすぐ答えられず、グリムは目線を反らした。
「……他の奴に渡した。」
次の瞬間、ヤンマはまた胸ぐらを掴んだ。
「スカポンタヌキッ!!!俺言ったよなぁ……?他の世界の奴にポンポン渡すなって言っただろうが!!」
「だ、だって俺一人で探すの骨折れるし……」
「『だって』じゃねぇぇぇぇ!!」
暴れ出しそうになったヤンマだったが、ソウゴとグリムが必死に抑えたことでなんとか落ち着きを取り戻した。
椅子に座り、一息ついたところでヤンマは話をし始めた。
「……俺はンコソパ総長、ヤンマ・ガストだ。」
「ンコソパ……?」
「ウ◯コ?」
「二度とそれ口にすんじゃねぇぞ!!」
「ウ◯コ」と呼ばれたくないのか、ヤンマは声を荒げた。しかしすぐに落ち着き、話を続けた。
「俺は総長としてンコソパを治めていたんだが……ある日、急にこいつが現れた。」
ヤンマを話をしながらグリムを指差した。グリムは気にせずオムライスを食べていた。
「こいつが『他の世界に移動するための道具が欲しい』……って言うから、仕方なく作ってやったんだ。しかも“5個“。」
「5個って……なんでそんなに作ったの?」
「俺がいる世界にはンコソパの他にシュゴッダム、イシャバーナ、トウフ、ゴッカンって国があってな……他の国の王にこのワールドジャンパーを渡そうと思ってな。それをこいつは……」
ヤンマはチラリとグリムの方を流し見た。それに釣られて他の3人もグリムの方に注目した。
対するグリムは、冷や汗をかいていた。
「い、いや……あれは……」
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あれは不可抗力だったんだよ……
「へー、このボタンを押せば別の世界に行けるのか。」
「おう。まぁ、その探し人がどこにいるかわかんねぇからな……手あたり次第になるな。」
「サンキュー、借りるぜ。ん?」
その時俺は、ヤンマの後ろにある箱に気づいたんだ。
「この箱なんだ?」
俺は箱を手にとって蓋を開けた。中には俺がヤンマから借りたワールドジャンパーが3つ入ってた。
「それは他の国の王様に渡す奴だ。」
「ふーん……これ借りていいか?」
俺は他のワールドジャンパーも借りようと思った。こいつを他の世界の奴らに渡して、そいで人探しを手伝ってもらおうと思ったんだ。
なのにこいつが……
「は?!何言ってんだこのタコメンチ!!」
「少しの間でいいから!人手が欲しいんだよ!」
人手が欲しい俺と、装置を渡したくないヤンマとで揉め合いになって……
カチッ
『あっ』
俺はスイッチを押してしまい、他のワールドジャンパーを持ったまま他の世界に飛ばされた。
そんで別の世界で大也と出会って、また別の世界を巡って、人と出会って……そんでこの世界に来て、ようやく鮫山、お前と会えた。
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「そんで今に至るってわけだ。分かる?」
「いや、それ……」
「どう考えても……」
『お前が悪いじゃん?』
グリムの話を聞いて、皆は同じ結論に達した。その返答にヤンマはうんうんと頷き、グリムは「えーっ」と言いたげな顔を見せた。
「まったく、騒がしいのが増えた……ん?」
その時、ソウゴはメニュー表とは別にもう一つメニューがあることに気づいた。おそらく期間限定メニューだろう。ソウゴはそのメニュー表を手に取った。そのメニュー表には……
「こ、これは……!?タコ焼き!?」
期間限定メニューはなんとタコ焼きだった。
「な、なんということだ……!!板前歴30年のシェフが素材にこだわって作った一作『究極タコ焼き』だと!?……それがメイド喫茶で楽しめるだと!?」
これは食べねば、と思ったソウゴは思わず呼び鈴のボタンを押した。
「すいませーん!!追加注文ー!!」
「出た、タコ焼きフェチ。」
「……こいつがお前の探してた奴なのか?」
「まぁな……つーか、板前歴30年のシェフが、なんでメイド喫茶で働いてんだよ……」
皆がソウゴのタコ焼き好きに呆れる中、こよりはヤンマに声をかけてきた。
「ねぇ、そのワールドジャンパーって奴見せて?こより、興味津々!」
「あぁ?こいつは女子どもが扱っていい代物じゃ……」
「お願〜い♡こより、その装置見た〜い♡」
装置を見せることを拒否するヤンマ。しかしこよりはぶりっ子のような素振りを見せ、片目を閉じてウィンクをしてみせた。
「うっ……!」
(こ、こいつ、なかなかマブいじゃねぇか……!?)
「し、しかたねぇな……」
こよりの素振りを見て、ヤンマは顔を赤らめながら自分の腕につけている時計型の装置をこよりに手渡した。
(チョロい……)
アッサリ装置を渡したヤンマに「チョロい」と思いながら、ワールドジャンパーを調べ始めた。
(やっぱり、この世界にはない素材でできてる。ハッキングされないようにプロテクトも何重にかかってるし……動力源は何使ってるのかな……)
まじまじと装置を見つめるこよりをよそに、ソウゴが頼んだタコ焼きが運ばれてきた。
「おまたせしました〜♪『究極タコ焼き』でーす♪」
「こ、これが……!」
運ばれてきたタコ焼きは一見普通のタコ焼きだが、上に金箔がかかっており、神々しく輝いているように見えた。
「では……いただきま……!」
「全然ダメッ!!」
その時、少し離れた席の方から怒号が聞こえてきた。見ると、太めの体型の男が店員のメイドに対して怒っていた。
「お前さぁ!萌えってものが全く分かってねぇよ!!」
「は、はぁ……」
「萌えってのはさぁ!もっと胸に『キュン♡』って来なきゃダメなんだよ!!」
人目も憚らずに説教する男に、店員も周りの客も迷惑そうに顔をしかめていた。するとその時、
「お前、騒がしいぞ!!」
「むっ?」
騒がしくする男に対し、ソウゴは声を上げた。
「こっちは食事の……タコ焼きの最中なんだ。静かにしろ!」
「タ、タコ焼き?」
「タコ焼きを食う時というのはな……心静かに、穏やかに……なんというか、救われてなきゃダメなんだ……」
「何意味わかんねぇこと言ってんだ!!?俺はただ、萌えが欲しいんだよ!!萌え〜〜〜〜!!」
その時、男の身体が光に包まれ、イカやタコを合わせた海賊のような姿をした「海賊鬼」に変わった。
「鬼!」
メイドと客達が悲鳴を上げて逃げ惑う中、ソウゴ達は逃げず席から立ち上がった。
「死ねぇ!!」
すると海賊鬼は触手を勢いよく突き出して攻撃してきた。ソウゴ達はとっさに飛び退いて攻撃をかわした。触手はそのままテーブルに直撃した。
「あ」
ソウゴは声を上げた。触手がテーブルに直撃した……ということは、究極タコ焼きは……
ソウゴは絶望し、声をあげることすらできず、ただただその場に崩れ落ちた。
「究極」を自称タコ焼きを食べられなかったという絶望感と食べ物を粗末にした海賊鬼への怒りが、ソウゴを襲った……
「許さん……!許さんぞ……!!」
《ニンジャークソード!》
怒りの眼差しとともに、ソウゴは飛んできたニンジャークソードを手に取った。
「アバター……チェンジ……!!」
怒りで剣を強く握りしめ、鍔についたギアを回転させる。
《ドンムラサメ!切り捨てソーリー!!》
目の前の敵に容赦はいらない……全ては
「……なんだこの茶番。」
「タコ焼きで激怒する人、初めて見たんだけど……」
タコ焼きを台無しにされたことに激怒するソウゴを見て、他の仲間は少し冷ややかな顔で見ていた。
「じゃ、俺帰るわ。」
「待てや!」
この場にいることがバカらしいと思ったのか、ヤンマは早々に立ち去ろうとした。しかし、そうはさせまいとグリムはヤンマの腕を掴んだ。
「俺だけに骨折らせんのかよ!?終わった後、タコ焼きがなくなったことに鮫山の奴暴れるかもしれねぇだろうが!!」
「知るかっての!てめぇらでなんとかしろ!」
「………なら」
ならば、とグリムはヤンマの耳元に顔を近づけた。
(こよりちゃんの連絡先、教えてやってもいいぞ?)
(!?)
(こよりちゃんメカニックだからなぁ〜、異世界の技術とか興味津々だと思うけどな〜〜〜〜)
グリムはヤンマに対して交渉しようとした。しかもこよりを交渉の材料に使い始めた。
すると、ヤンマはフッと笑った。
「ケッ、しかたねぇな……このタコメンチ野郎の好きにさせておくのもシャクだからな。この喧嘩乗ってやるよ!!」
(マジでチョロ〜い……後でこよりちゃんに謝っとくか……)
こよりに申し訳ないと思いつつ、グリムもヤンマとともに敵の前に出る。
ヤンマは腰に下げた剣を抜き、グリムは左腕につけたブレスに黒いギアを装着した。
「迸れ、獣の魂!スピリット・オン!!」
グリムはギアを高速回転させ、スピリットレンジャー、バットレンジャーへと変身した。
続けて、ヤンマは剣についているトンボの尻尾のようなレバーを下げた。
《トンボ!》
「王鎧武装!」
壮大な曲が剣から流れるとともに、クワガタの顎を模した赤いレバーを引いた。
《You are the King.You are the,You are the King.》
《トンボ・オージャー!!》
音声とともにヤンマの身体が光り輝く琥珀に包まれた。身体に青いスーツに青いプロテクターとマント、顔にはトンボのような仮面がついたマスクが装着された。
「叡智の王、ヤンマ・ガスト!俺がテッペンだ!」
トンボオージャーとなったヤンマは、剣先を海賊鬼に向けた。
すると次の瞬間、海賊鬼を取り囲むようにアノーニ達が出現し、ドンムラサメ達に槍先を向けてきた。
「邪魔だ……どけっ!!」
「大暴れすっぞ!!」
「どきやがれ!!」
敵意を向けてくるアノーニ達と海賊鬼に、同じく敵意を向けながらドンムラサメ達は突進していく。
「オラッ!!」
トンボオージャーは剣を振るい、さらにチンピラのような蹴りでアノーニ達を蹴散らす。
背後からアノーニの一人が槍を振るってくるが、トンボオージャーは盾のような武器を取り出し、攻撃を防いだ。さらに攻撃を防ぎながら盾を銃へと変形させ、光弾を発射してアノーニを撃ち抜いた。
「ハイッ!アタタタタタタタッ!!ハイィィィ!!」
バットレンジャーは連続の掌底をアノーニに叩き込み、さらにゲキファンを取り出し、ブーメランのように投げて周りのアノーニを吹き飛ばした。
「鬼めぇぇぇぇぇ!!」
ムラサメは目の前のアノーニを斬り伏せながら、海賊鬼に斬りかかる。
海賊鬼は金棒で攻撃を防ぎつつ、触手を差し向けた。触手はムラサメの左腕に巻き付け、動きを封じようとした。
「お前もグチャグチャにしてやる……!!」
「グチャグチャだと……?それは、タコ焼きのことか……タコ焼きのことかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
海賊鬼はムラサメの逆鱗に触れた。怒りで力を増したムラサメは、腕に巻き付いた触手を引きちぎってしまった。
そして、剣のギアを一回転させる。
《
剣を地面に突き立て、ムラサメは地面の中に潜り込む。
「消えた!?」
「よそ見してんじゃねぇぞ!」
ムラサメが消えたことに戸惑う海賊鬼に、トンボオージャーは銃で乱れ撃つ。
そして次の瞬間、ムラサメは地面から飛び出し海賊鬼に斬撃を食らわせた。
「スピリットチェンジ!!」
バットレンジャーはエレファントレンジャーに姿を変え、ゲキハンマーを取り出す。
「伸びろ!!」
ハンマーを振り回し、鎖を伸ばして海賊鬼に巻きつけた。
《
それと同時に、ムラサメもギアを2回転させ、剣先から光のアンカーを発射して海賊鬼に巻きつけた。
「よーし、そのまま押さえてろ!!」
《オージャチャージ!!》
トンボオージャーは剣についているトリガーを長押しし、さらにトンボの尻尾を模したレバーを3回連続で下げた。
「オラァッ!!」
《オージャフィニッシュ!!》
剣が青い光に包まれ、青く輝く一太刀を海賊鬼に浴びせた。
さらに……
「激獣エレファント拳・ゲキワザ!弾弾丸《だんだんがん》!!」
エレファントレンジャーは背後に巨大な象のオーラを纏いながら、ハンマーを振り回して海賊鬼を殴り飛ばした。
殴り飛ばされた海賊鬼は、そのまま窓を突き破って外へ叩き出された。
そこに、ムラサメが追撃に入る。
《
「
鮫のオーラとともに突進し、オーラが海賊鬼に噛みつくと同時にムラサメが剣で切り刻む。そして最後に剣による一閃で海賊鬼を真っ二つに斬り裂いた。
「も、萌えが足りなかったのは……俺の方だったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
「消え去れ……」
海賊鬼は爆発し、男は元の姿に戻って倒れた。
────────────────────────
「はぁ……」
戦いは終わり、ソウゴ達は帰路についていた……が、ソウゴはタコ焼きを食べられなかったことをまだ引きずっているようだった。
「いつまで引きずってんだよ、お前……」
「引きずってないんだが……」
「どこがだよ。」
ため息をつきながら、足を引きずるように歩くソウゴ。そんな時、
「あ、あの!」
ソウゴ達を呼び止める声があった。振り向くと、そこにいたのは先ほどのメイド喫茶のメイドだった。
「お前は……」
「先ほどは、助けていただきありがとうございます……これ、よかったら……」
メイドの手にはビニール袋を下げていた。その袋をソウゴに手渡した。
ソウゴはそれを受け取り、中を見た。そこに入っていたのは……
「こ、これは……!!」
そこには、食べたくて食べたくて恋焦がれた究極タコ焼きがあった。
「お客様、そのタコ焼き食べたそうにしていたから……感謝の印です。」
「……ありがとう……!!」
感無量のソウゴは、ただただお礼を言うのが精一杯だった。メイドはペコリと一礼するとその場から去っていった。
「お、おお……これが究極のタコ焼き……タコは兵庫の明石産、小麦は北海道、上にかかっている鰹節は鹿児島、ソースとマヨネーズは一級品……いざ、いただきます!」
味の期待を抱き、ソウゴはパクリとタコ焼きを一つ食べた。
「…………ん?」
「ソウきゅん、どうしたの?」
ソウゴは味に感動することなく、ただただ真顔になっていた。
「………これ、別に究極じゃない……普通のタコ焼きに金箔をかけただけだ……中のタコも冷凍だし……」
ソウゴの反応に、他の皆は「だろうな」と言いたげな顔を見せた。
「そりゃそうだろ。だってこれ一つ800円だろ?その値段で高級品なんて使えるわけねーよ。」
「………そうだな。冷静に考えればそうだよな……」
グリムの冷静な意見に、ソウゴはようやく熱が冷めたようだ。気持ちしょんぼりしたような顔で俯いた。
その時、ヤンマはため息を吐いた。
「俺は帰る。」
「え、帰るって……」
「しばらくはこっちにいる。お前から装置回収するまではな!」
ヤンマは眉間に皺を寄せるとグリムを睨みつけた。
「あ、まだ覚えてたのね。」
「当たり前だろうが!!」
ヤンマは捨て台詞を残して去っていった。ソウゴとこより、グリムとかなたもその場で別れて家に戻っていった。
「ただい……」
「あ、ソウくん!はい、これ!」
帰ってくるなり、クロヱはあるものを渡してきた。
「こ、これは、タコ焼き……?」
「今日はみんなでタコパするの!今できたばかりだから、ソウくんにあげる!」
今はほんの少しだけタコ焼きのことは忘れたかったが、他ならぬクロヱからの差し出し……拒否するわけにはいかず、ソウゴはそのタコ焼きを食べ始めた。
「ん……?美味い……」
不思議なことに、先ほど食べた究極タコ焼きよりも美味しかった。
(何故だ……?)
自分でも不思議に感じていた。先ほど食べたタコ焼きよりもグレードは低いはずなのに、不思議とそのタコ焼きは美味しかった。不思議に思いながらも、ソウゴはその味を噛み締めたのだった……
ラプラス「じかーいじかい。なんと……あのいろはにボーイフレンドが出来やがった!!いったいどこのどいつだ……!?見つけたらただじゃおかないぜ!!ドン17話『バモラなけんし』というお話。」
《バモラムーチョ!!》