ドン!ホロックスみーてぃんぐ!   作:ぴりもに

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タグが戦隊名でゴチャゴチャになりそうなので、参戦作はあらすじに記載することにしました




ドン18話「こころはタマゴ」

 

ある日の夜、グリムとかなたは街を練り歩いていた。グリムは楽しそうに鼻歌を歌い、かなたはそれを横目に見ていた。

 

「ムッフッフッフッ……財布が重い!チンピラから金巻き上げた甲斐があったぜ♪」

 

つい先程、グリムはチンピラに金を巻き上げられようとしていたが、ボコボコに返り討ちにし、逆に金を巻き上げやったのだ。

 

「ひーふーみー……ざっと10万はあるな。」

「アパートの家賃は払ったし、今日は美味しいもの食べようよ!」

 

話しながら歩いていると、2人の鼻にかぐわしい香りが通っていった。香りがした方に顔を向けると、目の前には食べ放題の焼き肉屋があった。外からでも「ジュワ〜」という肉を焼く音が聞こえてくる。

2人は互いに顔を見合わせ、ニッと笑い、店に入った。

 

「ハフッハフッ……モグモグ……」

「ホフッ、ホフッ……ムシャムシャ……」

 

2人は店で一番高いコースを注文し、思うままに焼肉を堪能していた。

 

「やっぱ金ある時ぐらいいいモン食わないとな!ほら、かなたそ!カルビ焼けてんぞ!」

 

グリムはそう言って焼けた肉をかなたの方へ寄せていく。

寄せられた肉を取りながら、かなたはグリムをじっと見つめる。

 

「なんだよ?」

「グリ兄ってさ……食べ物独り占めしたりしないんだね。ネットでよくいう『食い尽くし系』みたいな……」

「俺をそんな意地汚い奴と一緒にすんな!分け合って食った方が美味いだろ?おっ、ハラミ焼けたな。」

 

グリムも焼けた肉を取り、口に運んだ。

 

「やっぱ焼肉は美味えなぁ〜♪」

「……変わった人。」

 

それから2人は食べ放題の時間が終わるまで、思う存分焼き肉を堪能したのだった。

 

「あー、食った食った。」

「最後の方で店長さんが『これ以上食べないで』って泣いてたね。」

 

100分間食べ放題の間、グリムは店中の食べ物を食べ尽くし店長を泣かせていた。

 

「さーて、これからどうする?」

「業務スーパー行こうよ。缶詰とかカップ麺買い溜めしなきゃ。」

「それもそうだな……ん?」

 

焼き肉屋から出てそのままスーパーへ行こうとした2人だったが、その時グリムは見覚えのある女性を見つけた。

 

「おっ……ルイ姉じゃん。」

「あ、2人とも!」

 

2人の視線の先にルイが歩いていた。向こうも2人に気づき手を振って駆け寄ってきた。

 

「珍しいな、アンタが一人で……買い物か?」

「ううん、今日は完全にオフ!他の皆は皆で用事あるみたいでね……今日は私一人。これからバーに行くとこなの。」

「バーか……俺達も行っていいか?俺、バーってあんま行ったことなくてさ……」

「あ、僕も僕も〜!」

「いいよ!雰囲気あるバー見つけたんだ!」

 

それから2人は、ルイの後についていき近所のバーへ赴いた。

 

「へぇ……バーってこんなんなのか……」

 

クラシック音楽がBGMとして静かに流れ、客は静かに酒を嗜み、マスターも静かに酒を振る舞っている。

 

「マスター、カルーアミルクちょうだい。」

「かしこまりました。」

 

ルイから注文を受けると、マスターはコーヒーリキュールと牛乳をステアしてあっという間にカクテルを作り上げた。

ルイは差し出されたそのカクテルを一口飲み、静かにため息を吐いた。

 

「ふぅ……美味し……」

「……大人っぽ〜い」

「前から思ってたけど……アンタいい女だよなぁ……おっぱいデケェし。揉みたいぐらいだぜ。」

 

グリムのその言葉に、気持ちよく酒を飲んでいたルイはしかめっ面を浮かべてグリムを睨んだ。

 

「あれ?揉みたいぐらいだぜ?」

「いや聞こえてるから。聞いた上でこんな顔してんの。」

「グリ兄サイテー」

 

かなたもグリムを軽蔑するような目で見ていた。グリムは弁解しようと慌てて声を上げた。

 

「いやいやいや!これは男の性ってもんでだな……」

「グリムくんねぇ……一応奥さんと子どもいるんだから、そんな浮気っぽいしちゃダメでしょ。」

「浮気なんかしねぇよ!!俺はロゼッタ一筋……」

 

その時、グリムの言葉が止まった。同時にグリムは顔を俯けた。

 

「……いや、微妙かもな。」

『?』

 

グリムのその言葉に、2人は首を傾げた。グリムはそのまま話を続けた。

 

「……俺には、初恋の人がいてな。すっげえ美人だったよ……黒髪がキレイで、胸がデカくてスタイル良くて、優しくて……大好きだった。でも、その人結婚してたし、子どももいたんだよ。」

 

グリムはそう言うと苦笑いを浮かべた。その笑みはどこか嬉しそうで、どこか苦しそうだった。

2人は口を挟まず、黙って話を聞いていた。

 

「あの人を想うだけで胸が苦しくて……そんで思い切って告白したんだ。そしたら……俺を抱きしめて、キスしてくれて……自分の旦那と同じくらい好きって……言ってくれて……」

 

その瞬間、グリムは顔が真っ赤になった。おそらく、その初恋の女性とキスした時のことを思い出したのだろう。

グリムは誤魔化すように手で自分の顔を仰いだ。

 

「あ、あっちぃなぁ……」

(こんなグリ兄、初めて見たかも……)

「こちら、よければどうぞ……」

 

すると、マスターは顔を真っ赤にするグリムにオレンジ色のカクテルを差し出してきた。

 

「あ……?」

「カンパリオレンジ……『初恋』という意味が込められたカクテルです。」

「初恋……ね。」

 

グリムは差し出されたそのカクテルを手に取り、クイッと飲んだ。口の中にオレンジの甘みと酸っぱさ、酒特有の苦味が広がり、喉を通っていく。

 

「……沁みるなぁ……」

「なるほどね……グリ兄の人妻好きはそこから来たワケね……」

「でも、それでその初恋の人の家庭をぶち壊さなかったのは立派!」

「へへっ、だろ?マスター、もう一杯いいか?」

「かしこまりました。」

 

グリムから注文を受け、マスターはカクテルを作り始めた。

その時、後ろから声が聞こえてきた。

 

「へぇ……この店はガキも入っていいんだな。」

「あ?」

 

後ろを振り向くと、そこには見覚えのない男が立っていた。その男はチンピラというにはあまりにも端正な顔立ちをしており、ハードボイルドな雰囲気を醸し出していた。

その男は何故かルイの隣の席に座ってきた。

 

「いい女だねぇ……こんなガキと一緒といるなんて勿体ないねぇ。」

「おい……」

「マスター、俺と彼女にオーロラを。」

 

男は睨んでくるグリムを無視し、自分とルイに「偶然の出会い」を意味するカクテルを注文した。カクテルが出されると、グラスの片方をルイに差し出した。

 

「2人の偶然の出会いに……乾杯。」

 

男はルイをナンパしている……それは傍目から見ても明らかだった。ルイが困惑していると、横からグリムが手を出し、ルイのグラスを奪ってカクテルを飲み干した。

 

「てめぇ……何すんだ!」

「ケッ、俺はこの通り酒だって飲めんだ!どこがガキだって!?」

「フッ……そうやってムキになるとこがガキなんだよ。」

 

グリムと男……2人は同時に席を立ち、互いに睨み合った。

 

「けっこう端正な顔してんなぁ……その顔じゃ、殴られたことないんじゃねぇの?」

「へっ、喧嘩は負け知らずだ。逆にお前の顔を歪めてやる。」

「ち、ちょっとお客様!喧嘩なら外で……!」

 

一触即発の空気が流れる中、静止も聞かずに2人は互いに拳を繰り出し、喧嘩を始めようとした。

しかし次の瞬間、

 

「騒がしいぞ!」

 

店の奥のカウンター席に座る、黒いローブを纏った男が叫んだ。

 

『あ?』

「クラシックが聞こえん。やるなら外でやれ。」

「あぁ?見ず知らずの奴に指図される筋合いねぇんだよ!!てめぇ誰だ!?」

 

男はフーッとため息を吐くと、タバコを取り出して口に咥えた。そしてライターで火を……と思いきや、ライターではなく自分の人差し指をタバコの前に向けた。すると指から炎が灯り、タバコに火をつけた。

 

「お前、まさか……!?」

「久しいな、結城凱。」

 

男は纏っているローブを掴むと一気にそれを脱ぎ捨てた。その下に隠れていたのは機械の身体、そして機械の顔……男の正体は全身真っ黒のロボットだった。

 

「グレイ……お前だったのか。」

「お前とまた会えたこと、嬉しく思うぞ……」

 

結城凱という男と、グレイという男は知り合いだったらしく、2人はフッと笑い合った。そこに割って入るようにグリムが声を上げた。

 

「ロボットがタバコかよ……人間気取りか鉄くず!」

「どきな、お坊ちゃん。」

 

グリムが叫ぶと、凱は押しのけるようにグリムの前に出た。

 

「こいつの狙いは俺のはずだ……それにこいつには聞きたいこともあるしな……」

 

凱はそう言うと、右腕を掲げるように上げた。その腕には五角形の形をした赤いパネルがついていた。

 

「クロス!チェンジャー!!」

 

凱は叫び、左手でパネルを押した。するとパネルから鳥のような赤い羽と頭が飛び出した。それと同時に凱の身体が光に包まれ、スーツが装着されていく。さらに頭にも鳥のようなマスクが装着され、黒い戦士へと姿を変えた。

 

「なっ……!?アンタも……“戦士“だったのか!?」

「ブラックコンドル!!」

 

変身した凱……ブラックコンドルは名乗りとポーズを取ると、ホルスターから剣を抜いた。

 

「たぁっ!!」

 

ブラックコンドルは剣を振りかざし、グレイに襲いかかった。グレイは攻撃を片腕だけで防いだ。

 

「どけ、ブラックコンドル!貴様との勝負はすでに終わっている!貴様に用はないっ!」

「なにっ!?うわっ!」

 

グレイはブラックコンドルの腕を掴み投げ飛ばした。投げ飛ばされたブラックコンドルは窓を突き破って外に出た。

 

「う、うちの店が……!」

「すまないなマスター……喧嘩は外でやる。」

 

グレイはカウンターに詫びの印に一万円の束を置くと、グリムの方を睨みつけてきた。

 

「小僧……貴様も戦士だな。表へ出ろ!」

「っ!」

 

その言葉に、グレイは自分との戦いを所望していると気づいたグリム。するとグリムはニヤリと笑みを浮かべ、舌で唇を舐めた。

 

「へぇ……そういうクチかよ……ロボットの癖に喧嘩売ってくるなんてな……」

 

喧嘩を売られたのは久しぶりだった。しかも相手は未知の敵……いやでも闘争心をくすぐられる。

それを見て、ルイとかなたはため息をついていた。

 

「男ってみんなこうなのね……」

「喧嘩っ早いんだから……」

 

2人は互いに睨み合うと、軽くジャンプするとともに外へ飛び出した。

そしてグリムは、近くにあった配電盤をガシッと掴んだ。

 

「フンッ……!!ぬあぁぁぁ……!!」

 

全身の力を込め、配電盤を引っ張るグリム。すると、配電盤がブチッと引き抜かれ、グリムはそれを上に持ち上げてグレイに投げつけた。

グレイはそれを片手で弾き飛ばす。

 

「スピリット・オン!」

 

その隙にグリムはバットレンジャーに変身し、両手に鉄扇を装備する。

対し、グレイは背中に背負った銃火器「グレイキャノン」を向け、バットレンジャーに向けて発射した。

バットレンジャーは空中を浮遊して攻撃をよけ、鉄扇を構えながら突進する。

 

「猪突猛進か……甘いっ!」

 

近づいてきた瞬間、グレイは腕に内蔵されたショットガン「ハンドグレイザー」を発射し、バットレンジャーを吹き飛ばした。

 

「なっ……ぐあっ!!」

「フフフフ……飛んでる相手は得意なのでな。」

「それは俺のことか?グレイ!」

 

その時、ブラックコンドルが翼を広げて空中を浮遊しながらグレイに突進してきた。そして突進とともに剣を突き出した。

 

「ブラックコンドル!貴様に用はないと言ったはずだ!」

 

グレイは攻撃を左腕で防ぎ、右の拳で殴りかかった。

しかし、ブラックコンドルはその攻撃を受け止めた。

 

「てめぇには聞きたいことがあるって言ったろ!お前……なんで生きてんだ!?お前は、俺が……!!」

 

その時、ブラックコンドルの脳裏にある光景が浮かぶ。自身の突き出した剣が、グレイの腹に突き刺さる瞬間だった。

あの時、グレイはブラックコンドルによって倒されたはずだった。それが何故生きているのか……疑問が残る中、戦う2人の顔面に拳が叩きつけられた。

 

「むぅっ!」

「うわっ!」

 

2人を殴り飛ばしたのはバットレンジャーだった。

 

「てめぇら俺のこと無視してんじゃねぇぞ!!スピリットチェンジ!!」

 

バットレンジャーはエレファントレンジャーへと姿を変え、持ち前のパワーで2人に掴みかかった。

 

「お前こそ邪魔だ!俺はこいつに用があるんだ!」

「邪魔は貴様だ、ブラックコンドル!!」

 

3人は互いに互いの目当ての敵に向かって拳を振るい、顔面に叩きつける。

 

「もうバイラムはねぇんだぞ!だったら、お前が戦う理由なんてねぇだろ!」

「甘いな、結城凱!俺は戦士だ!戦うことこそ、俺の宿命だ!それに、俺はもうバイラムの戦士では……」

 

その時、グレイの腕に鎖が巻き付いた。

 

「むっ!?」

 

エレファントレンジャーはゲキハンマーの鎖を使ってグレイの動きを封じようとしていた。

 

「細かい話はどうだっていいんだよ!お前が喧嘩を売って、俺が勝った!それで話は終わりだ!!」

「フフフッ……その通りだ!」

 

グレイは笑うと、逆にその鎖をつかんでエレファントレンジャーを振り回し、電柱に叩きつけた。

すると、そこにルイとかなたが飛び出し、戦う3人に向かって大声を上げた。

 

「ちょっとやめなさい、アンタ達!」

「黒い人とロボットの方は知り合いなんでしょ!?じゃあ話し合えばいいじゃん!!」

 

2人は3人に喧嘩をやめるように呼びかけるも、3人はやめる気配がなかった。

 

「男の喧嘩に……口挟むんじゃねぇ!!」

「これは男と男の……戦士と戦士の問題だ!!」

「そういうこった……!!」

 

3人は睨み合い、3人は同時に駆け出した。

 

『うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』

 

そして3人は雄叫びとともに拳を突き出した。

しかし次の瞬間、小型のミサイルが3人に向かって飛んできた。

 

『!!?』

 

3人はとっさに身構えたが爆風に吹き飛ばされ、地面に転がった。

 

「なんだ!?」

「あれは……!」

「次元獣!」

「グガァァァァァァァ!!」

 

雄叫びとともに現れたのは、戦闘機に化け物のような手足がついた怪人だった。

 

「ファイタージゲン……ということは……」

「グレイ!!!」

 

グレイを呼ぶ声が聞こえ上の方を向くと、建物の屋上にザイガンの姿があった。

 

「ザイガン……!」

「グレイ、貴様何をしている?貴様の役目はスーパー戦隊の殲滅のはずだ!」

 

ザイガンはグレイを睨みつけるが、グレイはそっぽを向いた。その2人をやり取りを見て、グリムはなんとなく事情を察していた。

 

「アンタ……ダイダス側だったのか……」

「俺は俺のやり方でスーパー戦隊を殲滅する。邪魔をするな。」

「そうはいかん!やれ、ファイタージゲン!」

 

ザイガンが命令すると、ファイタージゲンは身体についた武器を乱射する。

 

「うおっ!めちゃくちゃに撃ってきやがった!ルイ姉、かなたそ!みんなを避難させてくれ!」

「わかった!」

「みんな逃げて!!」

 

ルイとかなたは言われた通り、店のマスターや客、周りにいる野次馬達を逃がせ始めた。

 

「バードブラスター!」

 

ブラックコンドルはホルスターから鳥の形をした銃を抜き、ファイタージゲンに向けて発射した。銃から放たれる光線はファイタージゲンの身体を撃ち抜き、動きを止めた。

 

「面倒な喧嘩は後だ!手ぇ貸せ小僧!」

「誰が小僧だ!俺はグリムだっ!!」

 

エレファントレンジャーはハンマーを振り回しながらファイタージゲンに突進する。ファイタージゲンは機銃で攻撃するが、回転するハンマーで弾丸は弾かれ、エレファントレンジャーは懐に入り込んで鉄球で殴りつける。

 

「オラッ!!」

 

鉄球の根元をつかんでグローブのような使い方で鉄球を叩きつける一方、ファイタージゲンは成すすべもなく攻撃を受けていた。

 

「こう近づいたら銃は使えねぇな!」

「そのまま抑えてろよ!」

 

エレファントレンジャーが抑えている間に、ブラックコンドルは空から奇襲をかける。

 

「コンドルスラッシュ!!」

 

上空から剣を振りかざし、ファイタージゲンを一刀両断。そこに続けて、エレファントレンジャーはハンマーに象のような緑色のオーラを纏う。

 

「獣拳エレファント拳……ゲキワザ!弾弾丸(だんだんがん)!!」

 

鉄球に力を込め、弾丸のように一気に撃ち出し、ファイタージゲンの身体を貫いた。

 

「グギャァァァァァァ!!」

 

ファイタージゲンは断末魔とともに倒れ、爆発して消滅した。

 

「くっ……またしても……!!」

「雑魚ばっか呼んでも意味ねーんじゃねぇの?ザンギ野郎!」

「ザイガンだ!覚えてろ……スピリットレンジャー!」

 

ザイガンは捨て台詞を吐き、姿を消した。それを見て、グレイはフッと鼻で笑った。

 

「三下め……」

 

ただ一言呟き、グレイはそのまま立ち去ろうとした。そこに変身解除した凱が呼び止めた。

 

「待てよ!お前、これからどうするんだ……?本当に俺達スーパー戦隊を潰す気か?」

 

グレイは足を止めたが、返事をしなかった。その代わりにあるものを凱に向かって投げた。

凱は手を出してそれを受け取った。投げられたものは、1枚の折り畳まれた紙だった。

 

「また会おう……結城凱。」

 

グレイは凱に別れを告げ、続けてグリムの方に顔を向けた。

 

「……お前の名は?」

「……グリム・ハワード。スピリットレンジャーだ。」

「グリム……か。覚えておくぞ……」

 

グレイは静かに呟き、グリム達から背を向けて立ち去っていった。

 

「……ったく、読めねぇな。アイツは……」

 

グレイから渡された紙切れを見て、凱はフッと笑い、その紙をポケットにしまった。

 

「なんて書いてあったんだ?」

「お前には関係ねぇよ、クソガキ。」

「あぁ?誰がクソガキだ……もう20歳なんだよ俺は!」

「ムキになるとこがガキっぽいな……じゃあな。」

 

凱もまたグリム達に背を向けて、手を振りながら去っていった。

 

「クッソ……いけすかねぇ野郎だな……でも……」

(ワールドジャンパーを渡した奴らの中に、アイツはいなかったな……)

 

グリムはこの世界に来るためにヤンマから「ワールドジャンパー」という装置を受け取り、さらにその装置を3人の戦士に渡した。しかしその3人の中に結城凱は入っていなかった。

 

(どうなってんだ……?まぁ、後で考えればいいか……)

 

 

 

─────────────────────────

 

真夜中の埠頭……船の汽笛が聞こえる中、凱はタバコをふかしながら先ほどグレイから受け取った紙を見ていた。

その紙にはグレイからのメッセージが書かれていた。

 

『結城凱……俺はダイダスによって蘇った存在だ。だが、俺の意志は……戦士の誇りは死んでいない。俺はいつかダイダスを裏切る。その時は手伝ってほしい。頼んだぞ、結城凱……』

 

その手紙を読み終えた凱は、再び折り畳んで懐に入れた。そしてフッと笑った。

 

「へっ……『頼んだ』か……嬉しいねぇ、アンタから頼られるなんてな……」

 

凱は笑いながらタバコの火を始末しようとタバコをつまんだ。その時、凱は目を見開いた。タバコをつまんだ自分の手が透明になり、消えかかっていたのだ。

 

「……!!」

 

しかし、その現象はあっという間になくなり、手は元の状態に戻っていた。

 

(……あんまり時間はねぇってことかよ……)

 

凱はその手を強く握りしめた。自分にはあまり時間が残されていない……凱は使命感を帯びたような顔をしながら、埠頭を去っていった………

 

 

 

 




おまけ「人間やめてる奴ら」

かなた「グリ兄……変身してない状態で配電盤引っこ抜いたけど……人間やめてない?」
グリム「は?別に普通だろ。それに元の世界にいた時、俺の周りにいた奴らの方がすげぇよ。えーっと……変装得意なイケメンスパイとか、殺し屋で車に轢かれても平気な女とか、人の心読める超能力者の小学生とか、姉のポイズン料理食っても平気なタフネスバカとか、腕から触手生やして相手拘束するショタコン教師とか、改造人間のジジイとか、灰色の狼に変身する猫舌男とか、スター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズとか……」
かなた「グリ兄の周りどうなってんの……?アベンジャーズかなんか?」
ルイ「というか最後の何?」

───────────────────────

クロヱ「じかーいじかい。学校に潜入調査!今度は若者をターゲットにするんだって!あれ?なんか不思議な先生がいる……って、忍者!?なんで学校にいんの!?ドン19話『まっしろニンジャ』というお話し!」



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