ドン!ホロックスみーてぃんぐ!   作:ぴりもに

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まだ心の整理がついてませんが……沙花叉クロヱさんの衝撃の発表……現実として受け入れます。
ずーっとホロライブにいるもんかと思ってたのに……




ドン20話「マッドなサイエンス」

 

喫茶どんぶら……グリムはそこで食事をしながら人を待っていた。

 

「いらっしゃい。」

「おっ、来たな。」

 

店のドアが開き、4人の男女がやってきた。

 

「相変わらずの大食漢だな。」

ブンレッド:範道大也……

 

「人を待ってる時に食事なんて……マナーがなってないんじゃない?」

「うるせー、腹減ってたの!」

キョウリュウグリーン:立風館ソウジ……

 

「その性根……鍛え直してあげましょうか?」

「つ、鶴姫姐さん……勘弁してくれよぉ……」

ニンジャホワイト:鶴姫……

 

「とりあえず話始めろや。集めたのはテメェだろ。」

トンボオージャー:ヤンマ・ガスト

 

人が集まったところで、グリムは食事を平らげ……本題に入った。

 

「俺等が戦ってる敵のことを……整理しようと思ってな。あのザイガンって奴と……まだ姿を見せてねぇダイダスって奴だ。」

「ダイダスのことなら、少し知ってるわ。」

 

ダイダスのことを知っているという鶴姫。鶴姫は自分の知るダイダスの情報を話し始めた。

 

「だいぶ前に戦ったことがあるの。その時は私達カクレンジャーと、ダイレンジャー、ジュウレンジャー、ジェットマン、ファイブマンの皆でアイツとその軍団を倒したわ。でも……」

 

鶴姫の言葉が詰まった。すると、話を続けるようにソウジが口を開く。

 

「奴は復活したんだ。そして、僕達キョウリュウジャーの前に現れた。」

 

ソウジは紅茶を一口飲み、話を続けた。

 

「鶴姫さん達に倒された後、奴は地球で眠っていたんだ。そして復活して僕らキョウリュウジャーの前に現れた。その時は僕達キョウリュウジャーと先輩達の力を借りて倒したんだ。それで終わったと思ったんだけど……」

 

ダイダスは倒された……そのはずだった。しかし、帝王ダイダスは生きていた……それは事実だった。

 

「ダイダスってヤロウは不死身なのか?」

「いや、生物である以上、不死身はありえねぇ。何かカラクリがあるはずだ。」

 

ヤンマのその一言に皆はうんと頷いた。すると、店のドアがまた開いた。

 

「その意見……同意するぜ。」

「お前……凱っ!!」

 

店に入ってきたのは、ブラックコンドルこと結城凱。凱は店に入るなり、グリム達が座ってる席の近くの椅子に腰掛けた。

 

「俺からも情報提供するぜ。グレイの奴から情報を貰った。」

「グレイから……?」

 

その名を聞いて、グリムはグレイの顔を思い浮かべた。確かに2人のやり取りを察するに、よき好敵手同士……といった印象だった。話すぐらいはするだろうとグリムは思い、そのまま話を聞いた。

 

────────────────────────

 

俺は海岸沿いで一休みしてた……そんな時、グレイの奴が現れた。

 

「また会ったな……結城凱。」

「グレイ。」

 

グレイは俺の顔を見るなり、銃を俺に向けて発砲してきた。

 

「クロス!チェンジャー!!」

 

俺は攻撃をよけながら変身した。すると奴は襲いかかってきた。

俺は奴の拳を受け止めた。

すると……

 

(俺と戦っているフリをしろ。)

 

攻撃を受け止めた俺にグレイが語りかけてきたんだ。

 

(なに?)

 

俺は困惑したが、ここはグレイの話に乗ることにした。俺はグレイと戦うフリをしながら話を聞いた。

 

(奴の……ダイダスの素顔を見た。)

(なにっ!?)

 

グレイの攻撃をかわしながら、俺は蹴りを繰り出した。するとグレイは俺の背後に回り込んで羽交い締めにしてきた。

 

(奴の正体は男だ。人間の男だ!)

(人間……?なんで分かるんだ?)

(奴と奴の部下は異空間を根城としている。その異空間の中で俺は見た……奴が鎧を脱ぐところを……!)

 

グレイがそう言ったのと同時に、俺はグレイを投げて地面に突き倒した。するとグレイはすぐに起き上がって向かってきた。

俺達は互いに取っ組み合いになって耳元に顔を近づけて、会話を続けた。

 

(奴は、お前達が戦ったダイダスとは違うかもしれん……)

(ダイダスの皮を被ってるってか?)

 

「そうだ」とグレイは静かに呟いた。

 

(それに、奴はある男の名を呟いていた。)

(名前?誰だ?)

(あまり聞き取れなかったが……ダイダスはその男のことを「私を2度も殺した男」と言っていた。)

 

ダイダスは偽物の可能性があって、しかもソイツは特定の人物のことを恨んでいる……グレイの言ってることはそういうことだ。

 

(……ところで、なんで戦いを仕掛けてきたんだ?別に俺達はもう敵同士じゃ……)

(監視されているんだ。)

 

その声を聞いて、俺はチラッと辺りを見回した。最初は気づかなかったが、ザイガンの部下っぽい怪人が俺らを覗いてやがった。

監視されてるってのは間違いないらしい……

 

(……なるほどな。)

「ハッ!」

「フンッ!」

 

俺達は同時に拳を繰り出し、ぶつけ合った。するとグレイは後ろに飛び退いた。

 

「さすがはブラックコンドル……次はこうはいかんぞ!」

 

そう言ってグレイは俺の前から去った……

 

────────────────────────

 

「……ったく、おちおちグレイと話もできなかったぜ……」

「でも、大きな情報だな。」

 

凱が得た情報を聞き、大也は腕を組みながら呟いた。それに同調するように鶴姫も呟いた。

 

「そうね。偽者がダイダスを名乗っているなら説明がつくわ。」

「でも、ダイダスを名乗ってるその男は何者なんだ……?」

 

ソウジの一言に皆は唸った。

何故、その男はダイダスを名乗っているのか、恨みを持っている男はいったい何者なのか……その時、グリムは声を上げた。

 

「……まさか……」

「なんだスカポンタヌキ。なんか心当たりでもあんのか?」

「……別に。」

 

グリムは嘘をついた。本当は心当たりがあった。その男のことを……昔、その男とは戦ったことがあった。グリムのクソみたいな昔馴染みを陥れた男……

 

(まさか、な……アイツは死んだはずだ。)

 

その男は死んだはずの男。また蘇ってくることはないはずだとグリムはそう思いながら、席から立ち上がった。

 

「……俺、用事思い出したから帰るわ。」

「もしかしてソウゴと関係あるのか?」

 

大也の一言に、グリムの足が止まった。図星だった。大也の言う通り、その男はソウゴの過去に深く関係しているからだ。

だが同時に、グリムはソウゴとその男を会わせる危険性を危惧していた。

 

「……別に、関係ねぇよ。」

 

そう言って、グリムは喫茶どんぶらから出ていった。

 

(……奴とソウゴを会わせるわけにはいかない……もし会っちまったら……アイツは壊れちまう……)

 

────────────────────────

 

その頃、

 

「ごめんねー、ソウくん。買い物付き合ってもらっちゃって……」

「かまわんさ。」

 

クロヱとソウゴは街に買い物へ出ていた。

 

「今日は何を買うんだ?」

「冬物を何個か買うつもり。もう12月になるし……」

 

外はもうすっかり寒くなり、今にも雪が降りそうなほど空が少し薄暗くなっていた。「はぁ」と息を吐けば、その息は白くなっていた。

 

「もう12月なのか……」

 

ソウゴは改めてこれまでのことを思い返した。

クロヱと出会ったのは、まだ暑さが残っている季節の時だった。クロヱは見ず知らずの男、ソウゴを拾ってくれた。その後2人はholoxに入社し、今に至る……

 

「……けっこう経ってるんだな。」

「フフッ、そうだね。そろそろお昼だけど、何食べる?」

「そうだな……ん?」

 

昼に何を食べるか迷っていると、視線の先に屋台が見えた。

暖簾には「おでん」と書かれていた。

 

「おでんの屋台があるな……そういえば、おでんは食べたことないな……」

「そうだっけ?じゃあここにしようよ!寒い時に食べるおでんは美味しいよ!」

 

ソウゴはうんと頷き、2人は目の前にある屋台の暖簾をくぐった。

 

「らっしゃい!」

 

店主の一声を聞きながら、2人は隣り合って座った。そしておでん鍋を覗きながら何を食べるか選んだ。

 

「えーっと、沙花叉は大根と玉子とはんぺん!」

「俺は……こんにゃくと竹輪と……がんもを。」

「はいよ!」

 

注文を受けると、店主は手早く注文された具材を皿に移し、2人に差し出した。

2人は受け取り、「ハフッ、ホフッ」とおでんを食べていく。

 

「うん……美味い。」

「ねっ、美味しいでしょ?」

「ああ。」

 

屋台とはいえ、味は良かった。竹輪やはんぺんなどの練り物から出汁が出ているため、それが他の具材に染みて良い味わいになっている。

 

「まったく……おでんは格別だ……そう思いませんか?」

 

2人がおでんを食べていると、隅の席から男の声が聞こえてきた。その男は2人に声をかけてきた。

 

「ああ……初めて食べたが、なかなか美味い。」

「そうでしょう?店や地方ごとに味が違って……」

 

その時、ソウゴとその男は互いに顔を見合わせた。

 

『あ……』

 

2人は同時に声を上げた。2人は、互いの顔に見覚えがあった。なぜなら、以前敵として戦ったことがあるからだ。

ソウゴの目の前にいるのは……ソノイだった。

 

『ここであったが100年目!覚悟っ!!』

 

2人は互いの姿を認識すらなり、席から立ち上がって身構えた。

 

「ち、ちょっとお客さん!?」

「ソウくんどうしたの!?」

 

いきなり立ち上がって今にも喧嘩を始めそうな2人に、店主とクロヱは慌てふためいた。

 

「こいつ……前にうたバトで乱入してきた鎧の男だ!」

「あの時の!?」

 

ソウゴの一声に、クロヱの脳内である映像がよぎる。以前、うたバトという番組の大会に出場した際、クロヱの出番の時にドンムラサメと青い鎧を着たソノイとその仲間2人が乱入してきたことがあるのだ。

そして今、その乱入した張本人が目の前にいる。

 

『ニンジャークソード!』

 

飛んできたニンジャークソードをソウゴはつかんで構えた。

そしてそのままギターのように逆手持ちに。

 

「アバター……!」

「うほっ!?それはニンジャークソード!!」

 

その時、聞き覚えのない老人の声がどこからか聞こえてきた。

声が聞こえた方に顔を向けるとそこには見覚えのない、ボロボロの白衣を着た老人がいた。

 

「お、おおっ……なんとも……懐かしい武器じゃ〜〜〜〜!!」

「うおぉぉぉぉ!!?」

 

老人はニンジャークソードを見るなりソウゴに飛びかかってきた。

ソウゴは普段なら絶対に出さないであろう素っ頓狂な声を出し、老人をよけようとしたが捕まってしまった。

 

「まさかこの世界でこの剣に出会えるとは思わなんだわぁ〜ん♪」

「なんだこのじいさんは……!?離れろ!!」

 

脚にしがみついて頬擦りしてくる老人に、ソウゴは気味悪がって脚をブンブンと振るがいっこうに離れない。

すると、ソノイはその老人を怪訝そうに見ると声を上げた。

 

「ご老人……まさか、ソノセン様!?」

「おおっ、そういうお前はソノイか!いやー、懐かしいのぉ。」

 

なんと、ソノイとソノセンという老人は知り合いのようだった。

 

「なんだ……?このじいさんは知り合いか……?」

「この御方は……ソノセン。我ら脳人世界の技術者だ。私達脳人の装備は、この人が作ったのだ。」

「よろぴくネ♪」

 

ウィンクをしてくるソノセンに、2人は怪しむような目で見つめた……とりあえず話を聞こうと、ソウゴとソノイは一時休戦した。

 

「ハフッ……かーっ!やはり飯はこっちの世界の方が美味いのぉ。」

「ソノセン様……あなたが何故こちらの世界に……」

「元老院に処刑されそうになってのぉ……」

 

酒とおでんを美味しそうに食らうソノセンだったが、ソノイに事情を話すとため息を吐いた。

ソノセンの言葉に、ソノイは目を見開いた。

 

「処刑……!?なぜあなたが……」

「元老院が言うには……『お前が作った装備のせいでドンモモタロウが調子づいた。その責任を取れ』……じゃと。」

 

ドンモモタロウ……ソウゴの脳裏にあの赤い桃太郎のような戦士が浮かんだ。

 

「なに……?まさか、ドンモモタロウの装備を作ったのはアンタなのか!?」

「おおっ、ドンモモタロウだけではないぞ。奴の子分達の装備もぜーんぶワシが作ったんじゃ!」

 

その言葉にソウゴとクロヱは驚いた。それに対しソノセンはガハハと笑っていた。

 

「もうちょい火力を上げて街一つ破壊できるぐらいにしたかったんじゃがの〜!それだけが心残りじゃわい!うひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!」

 

笑うソノセンを見て、ソウゴは「処刑の理由、この性格のせいじゃねーの?」と思ったが、ソウゴの頭の中である仮説が浮かんでいた。

 

「……まさかと思うが、ニンジャークソードとドンムラサメを作ったのは……」

 

ドンムラサメとニンジャークソードを作ったのはソノセン……それがソウゴの仮説だった。ソノセンはニンジャークソードを見た途端に飛びついてきた。故に開発者はこの老人なのではないか、と推理したのだ。

しかし、ソノセンの反応は予想外のものだった。

 

「うんにゃ、違う。」

 

そう言ってソノセンは首を横に振った。

 

「ニンジャークソードとドンムラサメのシステムを作ったのは、鮫山ソウゴという男じゃ。あの男、ワシの技術をパクりおって……」

「ち、ちょっと待て!!今、なんて言った!?」

 

ソウゴは耳を疑った。ソノセンの口から聞き捨てならない単語が出てきたからだ。

 

「鮫山ソウゴと言ったんじゃ。」

 

その言葉にソウゴは言葉を失った。ニンジャークソードとドンムラサメを作ったのは、鮫山ソウゴ……最初とクロヱと会った日……ポケットに入っていた封筒に書かれていた名前……

 

「……鮫山ソウゴは、何者なんだ?」

「ワシと同じ、技術者じゃ。まぁ、鮫山はワシと違って脳人ではなく、人間じゃがな。」

「鮫山ソウゴは……今、どこにいる?」

 

ソウゴは続けて恐る恐るソノセンに尋ねた。すると、ソノセンは答えた。

 

「死んだぞい。」

 

淡々と話すソノセンに、ソウゴは思わず掴みかかった。

 

「嘘だ!!俺のポケットに奴の名前が入った封筒があった!!本物の鮫山ソウゴは、俺のことを知ってるはずなんだ!!」

「よせっ!」

 

掴みかかったソウゴを見て、ソノイは慌てて引き剥がそうとした。だが、ソウゴは止まらずソノセンを問い詰める。

 

「答えろ!奴はどこだ!?」

「だから死んだと言ったじゃろうが……」

「……!」

 

その言葉を信じていいのか、ソウゴには分からなかった。ソノセンは嘘をついている様子はない。

 

「ようやく……ようやく、考えが変わりかけたのに……!」

「え?」

 

ソウゴは小さく呟いた。その声は小さかったため、クロヱは聞き取れなかった。すると、ソウゴは悔しそうな顔をしながらその場から遠ざかった。

 

「えっ、ちょっ、ソウくん!」

 

クロヱは慌てておでんの料金を払い、ソウゴの後を追いかけた。

掴まれたソノセンは起き上がり、誇りを払うように白衣を叩いた。

 

「まったく、最近の若いモンは……」

「ソノセン様……私からも聞きたいことがあります。」

 

ぶつくさと文句を垂れるソノセンに、ソノイは静かに尋ねた。

 

「『レプリカ計画』についてです。私はほんの触りしか知りません。だが、あなたなら知っているはずです。計画の全貌を……」

「……うむ。話した方がいいかもしれんな。まず、『レプリカ計画』の発案者だが……」

 

 

────────────────────────

 

「ソウくん!ソウくんってば、ちょっと待って!!」

 

クロヱが追いかけてくる中、ソウゴはずっと走っていた。人気のない公園に差し掛かったころ、ようやくソウゴの足が止まった。

 

「はぁ……はぁ……やっと止まった……」

「……記憶は失ったままだが、それはそれでいいのかもしれない……」

「え?」

 

静かに呟いたソウゴに、クロヱは思わず聞き返した。すると、ソウゴはもう一度呟き始めた。

 

「俺は……こっちでお前達と暮らしている内に、思ったんだ。記憶を失ったままでいいってな……過去がなくても、楽しい思い出をお前達と歩めばいい……そう思ってきたのに……!」

 

その時、ソウゴはギリッと歯ぎしりを立て、唇を噛んだ。

 

「今になって、俺のことを知ってるはずの本物の鮫山ソウゴが……死んだだと……?クソッ!!」

 

悔しさのあまり、ソウゴは近くにあった滑り台を拳で殴った。

クロヱは思った。きっとソウゴの心はグチャグチャになってしまったのだろうと。自分の過去を知る人物が死んでしまったということは、自分の過去を知る術が一つ減ったということだ。

 

「ソウくん……」

 

苦しんでいるソウゴに、自分は何ができるのかクロヱは考えた。そして考えた末に、クロヱはソウゴに歩み寄り……抱きしめた。

 

「沙花叉……?」

「大丈夫だよ、ソウくん。辛くなっても……沙花叉やみんながいるよ。」

 

クロヱは抱きしめると同時に、ソウゴの背中を撫でた。まるで母親が子どもをあやすように……

その瞬間、ソウゴは目から何かが零れそうになったが、必死に堪えた。

 

「沙花叉……!!」

 

逆にクロヱのことをギュッ抱きしめ返した。

公園には2人しかいない……2人はその空気を、その時間をただひたすら味わっていった。

しかし、その空気を壊すようにどこからか声が響いてきた。

 

「フフフフフフフッ……相変わらず女と縁があるな……」

「!?」

 

声が聞こえた方に顔を向けるが、そこには誰もいない。さらにその声は響いてきた。

 

「だが、お前が愛した人間達はみんな不幸になっていく……holoXとかいう小娘の集まりも……いずれ同じ末路をたどる!」

「姿を見せろ!!」

 

ソウゴは大声を上げた。すると、何もない場所に黒い穴が開き、その中から見たことのない黒い鎧を纏い、鬼のような面をつけた怪人が姿を現した。

 

「貴様は……まさか、ザイガンが言っていた帝王ダイダスか!?」

「そのとおりだ。だが……お前にはこっちの方が見覚えがあるかな?」

 

ダイダスはそう言うと、腰につけたベルトのスイッチを押した。すると、怪人の身体に装着された鎧と顔についている面が剥がれた。

その下に隠れていたのは、スーツを着た優男風の茶髪の男だった。

 

「ッ!!!」

 

その男を見た瞬間、ソウゴは目を見開いた。その男に、見覚えがあった。

同時に、心臓が「ドクン…ドクン…」と脈打った。

すると、男はニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

 

「久しいなぁ……鮫山ソウゴ。いや……」

 

ドクン……ドクン……ドクン……

 

「ウォルター・クロフォード」

 

その瞬間、ソウゴの脳裏に映像が浮かび上がった。

パンダのようなマスクをした男と、ペンギンのようなマスクをした男が、紫色の仮面の戦士になぶり殺しにされる光景だった。

その映像が浮かんできた瞬間、例えようのない怒りが込み上げた。

 

「クリスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!」

 

ソウゴは雄叫びを上げ、荒れ狂う獣のように男に向かって突進していった。

 

『ニンジャークソード!』

 

その雄叫びに呼応するようにニンジャークソードが飛来し、ソウゴはそれを掴んでそのまま男に向かって振り下ろした。

すると男はベルトのスイッチを再度押し、先ほどのダイダスの鎧を装着し、ソウゴの攻撃を防いだ。

 

(殺してやる……殺してやるぞ……!!この男だけは……!!)

「アバターチェンジ!!」

『ドン……ムラサ……!切り…て……ソーリー……!!』

 

いつもキレイに流れる音声に、ノイズが走り出した。同時にソウゴの身体が黒い渦のような物に包まれた。

 

「ううう……うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

雄叫びとともに、ソウゴはドンムラサメへと変身した。しかし、その姿はいつものような紫色の姿ではなく、身体は真っ黒に染まり、そのバイザーは青く染まった。

 

その姿はまるで、ソウゴが夢の中で見た青い目の黒騎士のようだった……

 

 

 

 





クロヱ「じかーいじかい……ムラサメが黒くなっちゃった!?ソウくん……なんだか怖い……こんな時、どうすればいいんだろう……?ドン21話『くろきしサメ』というお話し……」


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