ドン!ホロックスみーてぃんぐ!   作:ぴりもに

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ここからシリアス展開入ります。




ドン29話「クロサメとムラサメ」

 

おでんの屋台が近くにある寂れた路地……そこで青い閃光と黒い閃光がぶつかり合う。

ドンクロサメとソノイだった。

 

「ハッ!」

「セイヤッ!」

 

剣と剣がぶつかり合い、火花が散る。2人の実力は互角だった。後は経験と、戦いのセンスが勝敗を分ける。

 

「そこだっ!」

 

ソノイは左手に持った盾の赤い水晶から光線を放った。クロサメはそれをかわし、刀をブーメランのように投げて反撃する。

しかし、ソノイは剣で刀を弾き飛ばし、刀はそのまま地面に突き刺さった。だが、今の一瞬の隙をついて、クロサメは鞘で殴りかかった。

 

「チッ!」

ソノイは剣を振るって鞘を弾く。しかし、クロサメは鞘を地面に突き立て、それを軸にした回し蹴りでソノイを蹴り飛ばす。

 

「うぐっ!?」

 

負けじとソノイは近距離から盾から光線を出そうとするが、放たれる瞬間、クロサメは掌底を繰り出してソノイの左腕を叩く。叩かれたことで盾の向く方向は変わり、光線はクロサメの刀が突き刺さっている方へ飛び、着弾し刀は空中へ飛んだ。

クロサメは空を跳躍して刀を掴み、そのままソノイに向けて振り下ろした。

 

「くっ!」

 

ソノイは咄嗟に剣で防ぐがそのまま押し込まれ、肩の装甲に刃が食い込んだ。

 

「レプリカ計画とはなんだ?教えて困るようなことでもあるのか!?」

「……レプリカ計画は、我々脳人の恥ずべき歴史だ!!それを簡単に、貴様に話すものか!!」

 

ソノイは剣で刀を弾き、さらに盾を前に突き出して光線を発射する。

クロサメはそれをかわし、そこから再度剣戟が繰り広げられる。

 

「あれは……理性のある者がやる所業ではない!」

 

そう言ったソノイの身体はわずかだが震えていた。

だが、その震えが確信に変わった。「レプリカ計画」の全貌は分からないが、自分に関わることに間違いないと確信した。

 

「それならば……なおさら聞かせてもらう!!」

《キバレンジャー!》

 

ギアをブレスに装填しレバーを引いた。キバレンジャーの武器、青龍刀「白虎真剣」が現れ、刀を地面に突き立て代わりに白虎真剣を掴む。

 

「吼新星•乱れやまびこ!!」

 

クロサメは柄頭についた虎の顔をソノイに向けた。すると虎の口が開き、そこからけたたましい騒音が鳴り響いた。

 

「ぐっ!?うあぁぁぁぁぁ!!」

《キングレンジャー!》

 

聞くに堪えない酷い音に、ソノイは思わず耳を塞いだ。

その隙に、クロサメは再度レバーを引き、新たに武器を召喚した。

キングレンジャーが使う杖型の武器「キングスティック」を手に持った。

 

「キングビクトリーフラッシュ!!」

 

「王」の形をした杖の先を展開し、そこから光線を放った。ソノイは咄嗟に盾で防いだが、光線の勢いの方が強く逆に吹き飛ばされ、倒れてしまう。

 

『ソノイ!!』

 

吹き飛ばされたソノイを見て、ソノニとソノザはすぐさま駆けつけようとしたが、ブンレッドによって行く手を阻まれる。

 

「ここを通りたいなら……俺を倒してからだ。」

「くっ……」

 

その間に、ソノイは立ち上がろうとするがそれより先にクロサメが刀の切っ先を向けた。

 

「!!」

「命を奪う気はない。俺はただ、教えてほしいだけだ。自分が自分らしくあるために……俺自身の夢を見つけるためにな。『レプリカ計画』を解き明かすことが……その一歩になるはずなんだ。」

 

クロサメは膝をつくソノイに言葉を投げかけると、変身を解いて刀を地面に置いた。

 

「信用できないなら……俺を脳人の世界とやらに連行すればいい。だが、俺は脱走するがな。」

「………」

 

ソノイは無言になった後、同じく変身を解き立ち上がった。

 

「連行を望みながら脱走宣言とはな……」

「信用してくれた……と思っていいのか?」

 

変身を解いたのを見て、戦う意思はないと判断したソウゴ。

 

「私に膝をつかせた相手は少ない……その強さは本物だ。その強さを信じよう。」

 

ソノイはソノニとソノザの方に目配せし、片手を上げた。

それを見た2人はブンレッドと戦うのをやめた。

 

「話してくれるか?」

「言葉を尽くさせてもらう……まず、ドンムラサメについてだが……」

 

ソノイは早速ドンムラサメについてを説明しようとしたした……だが次の瞬間、

 

《ニンジャークソード!》

 

どこかで聞いたことのある音が鳴り響き、それと同時に1本の剣が飛んできた。

 

「あれは……!?」

 

ソウゴは思わず目を見開いた。

それもそのはず、目の前にいるのは前に自分が変身していたはずの……ドンムラサメだったからだ。

 

「ムラサメ……!?」

 

ニンジャークソードとともに現れたドンムラサメは、立ち上がるなりソウゴの方を睨みつけた。

 

〈戦いなさい……脳人を守りなさい、ムラサメ……〉

「はい、マザー……」

 

少年のような声を出しながら、ムラサメは剣を手に持ち静かに呟きながらソウゴに向かっていった。

 

───────────────────────

 

そのころ……

 

「おまたせー、みんなどうだった?こよはゲームの話で盛り上がっちゃった。」

 

ホロックスの5人は面接を終えて控室で休んでいた。

 

「緊張であんま記憶ないでござるが、手応えはあったでござる……事前にパワポとかで練習した甲斐があったでござるよ。でも……」

 

いろはため息を吐きながらラプラスの方を指差した。そのラプラスは……真っ白になって床に座り込み、背中を壁に預けていた。

 

「一人目の人はな、何を言ってもバカウケだったんだよ……でも二人目の人はクスリともしなくて……しかもクソ偉い人に強めのツッコミ入れたらめっちゃ圧かけられた……」

 

真っ白な状態でボソボソと呟くラプラス。それを見て四人は首をかしげた。

すると、ラプラスはふへっと笑った。

 

「我輩、絶対落ちた。」

 

────────────────────────

 

ホロックス達が面接を終えていた時、クロサメはムラサメと戦いを繰り広げていた。

 

《キングレンジャー!》

「キングビクトリーフラッシュ!」

一鮫(いちシャーク)斬鮫(キリサメ)!》

 

キングスティックから光線を放つが、ムラサメは剣を地面に突き立てて地面の中に潜り込んだ。

そして、クロサメの足元から剣を構えて飛び出した。しかしクロサメは後ろに飛んでよける。

 

《デカブレイク!》

 

クロサメの左腕にスロットルハンドル状のグリップがついたブレスレットが装備され、クロサメはハンドルを捻った。

 

「電撃拳!エレクトロフィスト!!」

 

拳に電撃を纏い地面を殴る。すると電撃が地面を這ってムラサメに向かっていく。

 

二鮫(にシャーク)暴鮫(ハヤサメ)!!》

「ハッ!」

 

ムラサメは後ろにあるゴミ捨て場に飛び退いてよけ、同時に剣についたギアを回した。剣の先から光のアンカーを発射し、クロサメの両腕に巻きつける。

 

「くっ……!」

 

両腕を拘束されては刀を使えない……だが、次の瞬間、

 

「ハァッ!!」

 

掛け声とともに一発の剣戟がアンカーを斬り裂いた。

 

「お前……!」

「……なぜあなたが……」

 

クロサメは思わず目を疑い、ムラサメは静かに疑問の声を上げる。

拘束されたクロサメを助けたのは……ソノイだった。

 

「ソノイ……!」

「もうやめろ、ムラサメ!この男は……鮫山ソウゴは敵じゃない!」

「鮫山……?」

 

その時、ムラサメの身体が一瞬ピクリと動いた。

それに気づいていないのか、ソノイは続けた。

 

「この男は私が認めた相手だ!レプリカ計画のことも、私が話すと決めた!」

「レプリカ、計画……!」

〈ムラサメ?〉

 

その時だった。ムラサメに異変が起きた。

 

「う、う、ううう……うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ムラサメは突然頭を抱えて叫び始めた。その様子にクロサメとソノイ、少し離れたところで見ていた3人も戸惑った。

 

「様子がおかしい!いったいなにが……!?」

「ああああああああああ!!」

 

ムラサメは片手で頭を抱えながら剣をブンブン振るってくる。しかしその剣の振りは乱雑で、まるで子どものようだった。

 

〈やめなさい!ムラサメ!!〉

「あぁっ!!あぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

いつも頭に聞こえてくる“マザー“の声も聞こえない。まるで子どものように暴れるムラサメの攻撃を、二人はかわしていく。

 

「いったいなにがどうなってる!?」

「分からん……だが、このままでは話もできない!まずはヤツを止めるぞ!」

「ああっ!アバターチェンジ!!」

 

ソノイに言葉にソウゴは賛同し、ソウゴはブレスにギアを装填し、3回レバーを引きドンクロサメに変身。同様にソノイもブレスを叩いて鎧騎士姿に変身した。

すると、ブンレッドとソノニ、ソノザも駆けつけ、暴れるムラサメを取り囲んだ。

 

「うううう……ぼくを……いじめるなぁぁぁぁぁぁ!!」

 

雄叫びとともにムラサメは剣を振り回す。しかし軌道が単純なため、かわすのは容易い。

 

「いつものムラサメじゃないぞ……!」

「ああ、いつものムラサメはもっと無機質で……ロボットのようだった。」

「まずは奴の動きを止める……!ズンズンチェンジ!」

《ズン!ズン!ズーン!!》

 

ブンレッドは消化器と銃を合わせた武器「ズンズンショウカブラスター」を取り出し、ポンプを3回スライドし、後部のピンを引いた。

ブンレッドの身体に赤い消防車のような装甲が装備され、ブンレッド119(ワンワンナイン)に姿を変える。

 

「ハッ!」

 

銃から水の弾丸を発射するブンレッド。しかし、ムラサメは乱雑な振りで弾丸を斬り裂いた。その間に、他の四人がそれぞれ武器を振りかざして襲いかかった。

 

「るあぁぁぁぁぁ!!」

『!!』

 

ムラサメは身体を捻って思い切り剣を横に振るう。その一撃に……というより剣を振った際に起こった風圧で四人は後ろに吹き飛ばされた。

 

「パワーが上がってる……」

 

剣の振りが乱雑な分、パワーが上がっていた。一撃をモロに食らってしまえばひとたまりもないだろう。

 

「なら……これだ!」

 

ブンレッドは再度、水の弾丸を発射した。だがムラサメはそれをよけ、ブンレッドに狙いを定めて走り出す。

続けてブンレッドは弾丸を発射するが、いずれもよけられて地面に着弾する。

だが、ブンレッドの狙いはこれだった。狙っていたのは、ムラサメではなく地面だった。

 

「今だ!」

「ああっ!」

《デカブレイク!》

「凍結拳!ブリザードフィスト!!」

 

ブレスロットルのハンドルを捻り、拳に氷のような闘気を纏い、そのまま地面を殴る。すると拳の氷がさきほどのブンレッドの攻撃によって濡れた地面に走り、そのままムラサメに向かっていき足を拘束した。

 

「!?」

 

ブンレッドは最初からムラサメの足を止めるために地面を水で濡らしたのだ。

 

「今だ!」

 

クロサメの一声とともに、ソノニとソノザが駆け出し、すれ違い様に槍と短剣で一撃を与える。

さらに、クロサメとソノイが飛び出し、同時に剣を振るってX字に斬り裂いた。

 

「ぐぅぅぅぅ!!」

 

四人から連続攻撃を食らい、ムラサメは膝をついた。

 

「ようやくおとなしくなったか……」

 

ムラサメがおとなしくなったのを見て、クロサメは刀の切っ先を向けた。

 

「ちょうど良かった……お前は何者なんだ?教えてもらおう……」

「う、ううっ……」

 

ムラサメは目に見えて怯え始めた。しかしその怯え方はどこか変だった。まるで、子どもが親に怒られてしょげ返っているようだ。

 

(やはり、いつもの様子と違う……ムラサメの身になにがあった……?)

 

ソノイがそう思った直後、ムラサメは耳を疑うような一言を口にした……

 

「─────────!!」

 

それを聞いた瞬間、5人は固まった。

 

「えっ……!?」

「い、今なんて……!?」

 

5人が疑問の声を上げたその瞬間、

 

《ムラサメ!!》

 

ニンジャークソードの中から光の玉が飛び出し、女性の声とともに眩い光を放った。

 

「うわっ!?」

《逃げなさいムラサメ!!》

 

その光は数分ほど放たれ、光がなくなった時にはすでにムラサメの姿はなくなっていた。

 

「今の光はいったい……」

「それに、あの声は……?」

「……運び屋、聞いたか?ムラサメが言った言葉……」

「ああ……『助けて、お母さん』……」

 

ムラサメは間違いなく母親に助けを求めていた。ソノイ達が言うには様子がいつもと違うらしい。いったい、何がムラサメを変えたのか……それがレプリカ計画と関係があるのか……ソウゴは一抹の不安を抱え、ソノイ達とともに落ち着ける場所へと移動するのだった……

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ……」

 

なんとか逃げ出したムラサメは、廃墟になった工場に入り、隅で縮こまっていた。そんなムラサメに、優しい女性のような声が語りかけてくる。

 

《大丈夫ですよ。私が……お母さんが傍にいますからね……ムラサメ……ソウイチ……》

「うん……お母さん……」

 

自分を「母」と呼ぶ声に、ホッと落ち着いたようなため息をつき、そのまま横になって蹲った……

 

 

 

 

 

 

 






クロヱ「じかーいじかい。ラプラスってばすっかり落ち込んじゃった……ようやくソウくんが知りたいことが明かされるところなのに!ドン30話『まっくろなけいかく』というお話し。」
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