今回、前作からのゲストが1人登場!
「あ……?鮫山……どっからどう見てもクリスじゃねぇか!」
グリムの言う通り、本物の鮫山ソウゴを名乗っているのは、どこをどう見てもクリスだった。だが、クリスはフッと不敵に笑い始める。
「確かに……君たちの目からはあの男の姿にしか見えんか……」
(クリスの奴……前はあんなに肌が白かったか……?)
クリスの身体をよく見てみると、病的にも思えるほど肌が白くなっていた。生気がなく、まるで死人のようだった。
「まぁ、それもしかたない……なんせ、私はこのクリスの身体を奪ったからな。」
「なんだと……!?」
クリスのその言葉に2人は目を見開いた。するとクリスは大きく口を開けた。その口の中からドットで描かれた黒いモヤが現れ、クリスの身体はその場に倒れた。
「これが私の本体……私の身体は完全にデータ化している。」
「じゃあ、クリスは……?」
「すでに死人だよ。私が殺し、その身体を私が奪った。依代として使うためにね……」
なんという男だろうか……殺すだけでは飽き足らず、その身体を乗っ取って道具として扱っている。
鮫山は倒れたクリスの口の中に戻り、起き上がった。
「だが、この身体もそろそろ限界かもしれん……」
立ち上がった鮫山はクリスの身体をつぶさに見た。クリスの身体は死んでだいぶ経っているのか、ところどころが腐っており、ウジがたかっていた。すると鮫山は2人の方を見てニヤリと笑い始めた。
「どうかね……君達2人の身体……どちらか私にくれないかね。」
「あ?寝言言ってんじゃねーぞ、タコ!」
鮫山の勝手な要望に、グリムは右手の親指を立て、それを地面に向けた。
「そいつら2人も、データなのか……?」
「フフフフ……君が瀕死の時、君の頭を覗いて見つけたのさ。ウォルター・クロフォードという最強の男にトラウマを植え付けた女……そうだろう?メアリ……」
ソウゴの質問に答えながら、鮫山はメアリの方に顔を向ける。するとメアリは静かにコクリと頷いた。
「はい……お兄ちゃんは、私の裏切りに応えていました。」
「メアリ……」
「お兄ちゃん、幸せそうだね。楽しそうにしてるね。」
メアリはニコッと笑いながらソウゴを見つめた。
「私を殺したくせに、無関係の人を使ってもう1人の私を作ったくせに……それなのにこんなところで女の子たちと暮らして、ヒーロー気取り?何様?」
「うっ……」
ソウゴは何も言えなかった。どれだけ取り繕っても、どれだけ罪を償おうとしても、家族を殺したという罪は消えない。
「この野郎……てめぇが洗脳して言わせてんのか!!」
メアリは鮫山に洗脳されているのだと判断したグリムは鮫山を殴るため近づこうとした。しかしそれを遮るようにカトルが前に立った。
「おっと……美しい兄妹の再会だぞ?邪魔をするな。」
「何が再会だよ……データだなんだか知らねぇが、こんなスジの通らねぇマネしやがって……!!」
グリムは怒り心頭だった。死んだ人間を利用することは、その人間の尊厳を踏みにじること。そんな行為をグリムは許すことができなかった。
グリムはギアを取り出し、左腕を突き出した。
「スピリット……!」
「おっと!変身は待ってもらおうか……見ろ。」
鮫山は指を鳴らすと背後に鮫山と同じドットでできた黒いモヤがまた現れた。その中から大量の兵士が出現した。
2人はその兵士の姿を見て目を見開いた。なぜならその兵士の姿はドンムラサメと瓜二つだったからだ。
スーツの色は紫から灰色に変わり、両腕両足はロボットのようなものに、口元にはガスマスクのようなものが増設されている。
「ついに量産化が成功したのさ……名付けて、ムラサメトルーパー。」
「ハッ、何がトルーパーだよ。いくぞ、鮫山!」
「あ、ああ……」
グリムに促され、ソウゴも変身しようと左腕のブレスを出した。しかし次の瞬間、前方にいるムラサメトルーパーが横に少しズレた。
「!?」
「な、なんで……!!」
2人は言葉を失った。ムラサメトルーパーの群れから現れたのは……クロヱとかなただったからだ。
「クロヱ!!」
「かなたそ!!」
2人はクロヱとかなたの名を叫ぶが、彼女達は気を失っているのかトルーパー達に捕まった状態でガクリと項垂れていた。
「てめぇら……かなたそとクロヱちゃんに何しやがった!!?」
「何もしていないさ。ちょっと薬で眠っているだけだ……だが、もし君達が変身すれば……彼女達の命はない。」
ニヤリと笑いながら言い放つ鮫山に、ソウゴとグリムは悔しそうに歯軋りを立てる。さらに鮫山は言い放った。
「まず……ブレスを捨ててもらおう。」
鮫山が言うと同時に、トルーパー達はクロヱとかなたに剣を差し向ける。それを見せられては、2人は従うしかなかった。
2人はブレスを外し、ギアと一緒にその場に捨てた。
「ふん……!」
カトルはそれを見届けると、足を振り上げて思い切りブレスとギアを踏んづけ破壊してしまった。
『………!!!』
「これでお前らはもう変身できない……クハハハハハハハハハ!!」
「これで勝った」とばかりに高笑いを上げるカトル。2人はそれをただ見ることしかできなかった。
するとまた黒いモヤが現れ、トルーパー達とクロヱ、かなたはその中に消えていく。
「ま、待て!!」
「彼女達を返して欲しくば……明日、この場所に来るがいい。」
去り際、鮫山はポケットから一枚の紙を取り出し、2人の前に投げ捨てた。
その紙には場所の住所と地図が記されていた。
「ではお二人とも……ごきげんよう。フハハハハハハハハ!!」
鮫山はカトルとメアリと一緒に黒いモヤの中に消えていった。やがてモヤも消え、その場に残ったのはソウゴとグリムだけとなった。
「かなた……!クソが!!」
「クロヱ……!!『喫茶どんぶら』に戻るぞ……」
────────────────────────
その後、喫茶どんぶらに戻った2人は起きたことを全て皆に報告した。
「クロたんが攫われた!?」
「しかも、二人とも変身ブレス壊されたの!?」
驚く皆を見て、2人は申し訳なさそうに俯いた。
「すまねぇ……俺らのミスだ……」
「落ち込んでる場合じゃねぇぞ。」
俯く2人に対し、ラプラスが声を上げ、椅子から立ち上がった。
「ラプラス……もう、大丈夫なの?」
ホロライブの面接をして以降、ラプラスはずっと覇気がなくなっていたが、今のラプラスはいつも通りに戻ったように見える。
「……正直、今も絶対落ちたんじゃないかって不安になってる。でも、今はクロヱの方が心配だ……仲間のこと助けられなきゃ、世界征服なんかできねぇからな!」
そう言って、ラプラスはニヤリと笑う。どうやら面接の結果の不安よりもクロヱの心配が勝ったようで、その結果いつも通りに戻ったようだ。
いつもの様子に戻ったラプラスを見て、皆は一安心とばかりにため息を吐いた。
「でも、2人が変身できないのが問題ね……ヤンマ、こよりちゃん、あのブレスってまた作れない?グリムの分も……」
鶴姫のその言葉にこよりは首を横に振り、ヤンマは頭を搔いた。
「スカポンタヌキ!今から2人分の変身ブレスを作るなんて無理だ!間に合わねぇ!」
「いくらこよとヤンマきゅんの力を合わせても、1日はかかるよ〜!」
「いや……俺の分はいい。」
その時、グリムは静かに呟いた。その言葉に何人か驚いていたが、グリムはニヤリと笑い始めた。
「実は……こんなこともあろうかと、元の世界から秘密兵器を持ってきたんだ!」
その時グリムの脳裏によぎったのは、アパートの自室の押し入れにしまってある銀色のアタッシュケース……その中にはベルトと、特殊なケータイ電話が入っている。
「すぐにアパートに取りに行ってくる!」
グリムはそう言ってすぐさま喫茶どんぶらを飛び出し、住んでいるアパートに直行した。
「アイツ、変身アイテムもう一個持ってたんだ……」
「後はソウゴ殿でござるな……」
「それに関してだが……俺に考えがある。」
ソウゴは静かに呟くと、茶を啜っているソノセンの方に顔を向けた。
「ソノセンじいさん、刀を作ることはできるか?俺専用の刀が欲しい。」
「ワシを誰だと思っとる?ワシはドンモモタロウやソノイ達の武器を作った、武器のスペシャリストじゃぞ!」
ソノセンは茶を飲み干すとガハハと高らかに笑った。
「アイデアがあるから作ってやるぞい!」
「頼んだ。」
刀の製作をソノセンに依頼し、ソウゴは店の奥にある休憩室……ソウイチがいる場所に足を運んだ。
「ソウイチ。」
「あ……」
ソウゴは部屋に入るとソウイチの前に膝をつき、視線を合わせた。
「……お前の父親が現れた。」
「!!」
その一言にソウイチは震えた。まだ父親への恐怖があるようだった。
「クロヱが……俺の大切な人が攫われた……おまけに、変身ブレスを破壊されてしまった……ソウイチ、お前に頼みがある。俺と一緒に、戦ってくれ!」
ソウゴの考え、それはソウイチと一緒にドンムラサメとなることだった。ソウイチの身体はデータとしてニンジャークソードの中にある。ソウゴがそのニンジャークソードを使えばドンムラサメに変身できる。
変身さえできれば、いざという状況でも打開できるはず……
「頼む……!」
ソウゴはソウイチの前で正座をし……なんと、その場で床に両手をつき、頭を下げて土下座をし始めた。
「お、お兄さん……!?」
「俺は、クロヱを助けたい!俺はもう……大切な人を失いたくない……!もうあんな悲しみを……!もうあんな絶望を味わいたくないっ!」
ここに来るまで、ソウゴは数多くのものを失ってきた。両親、妹、部下……そして今、ソウゴはまた大切なものを失うかもしれない。そんなことはもうごめんだった。
「だから頼む……」
床に頭を擦り付けんばかりに頭を下げるソウゴ。ソウイチはそれに対し、何も答えられずまごついていた。
「あ……う……」
ソウイチの中では、まだ父親に対する恐怖が残っている。
父親を殺せるか、という問題もあるが、それ以上に“自分は父親を恐れず戦えるのか“という問題があった。
それがわかっていたからこそ、ソウイチは反応に困った。
「……わかった。」
その時、ソウゴは土下座をやめて立ち上がった。
「俺が間違っていた……お前はまだ子どもだ。父親が怖いだろう……」
ソウイチの心情を察したのかソウゴは背を向けて立ち去ろうとした。そして、部屋を出る前に最後に言った。
「お前たち家族は十分すぎるほど苦しんだ。お前はもう戦わなくていい。」
ソウゴは自分の考えを猛省した。ソウイチはまだ子ども……子どもに戦うことを強制させるようなことを言った自分を、ソウゴは恥じた。
それだけ言うと、ソウゴは部屋から立ち去った。
「……ぼくは、どうすれば……」
────────────────────────
翌日、ソウゴは仲間とともに鮫山が指定された場所へ訪れた。そこは、すでに廃墟になっている工業地帯だった。
「指定された場所はここだが……」
辺りを見回していると、どこからか声が聞こえてきた。
「フハハハッ!!揃いも揃ってマヌケ面でよく来たなぁ!!」
「この声……カトル!!」
その声はカトルだった。声が聞こえたかと思うと、また黒いドットのモヤが現れ、その中からカトルと大量のムラサメトルーパーが姿を現した。
「あれがムラサメトルーパー……!」
「本当に量産化に成功していたのか……!」
トルーパー達の群れを見て、改めて脳人の3人は驚いていた。
「クロヱを返してもらうぞ……!」
「かなたそもな!!」
ソウゴ達は身構え、変身できる者はアイテムを手にして身構える。その時、カトルは急に笑い始めた。
「クハハハ……やはりマヌケだなぁ!」
「なんだと……?」
「なぜ俺達がお前らをここに呼んだと思う?見ろ!」
カトルはバッと後ろを指差した。その方向には、空中に浮かぶ画面のような巨大な四角の枠が現れていた。その枠から映像が流れている。
映像には、ラプラス達が住む街を襲撃するトルーパー達の姿が映し出されていた。
「そんな……!」
「街が……!!」
「クハハハ!!鮫山ソウゴ様は、全ての人間を……いや、全ての生物をデータ化する!その手始めがお前らの街だ!!」
「そのために人を襲うのかよ……!!」
連中は最初から街を襲うために人質を利用していた……その事実を知り、ソウゴ達は怒りに震えた。
その時、大也が叫んだ。
「すぐにでも街へ戻るぞ!」
「私達が街に行くから、あなた達は2人を!」
続けて鶴姫が叫び、ソウゴはウンと頷いた。大也、ヤンマ、ソウジ、凱、鶴姫の5人が街へ戻り、残ったソウゴ達と脳人三人衆はそのまま人質を助けに行こうとした。
だが、それよりも早くトルーパー達が全員を取り囲んだ。
「!!」
トルーパー達は剣と銃を構え、銃口をソウゴ達に向けた。
「ハハハハ……どうだ、悔しいか?悔しいだろうなぁ、人質も助けられず、街も救えず……お前らは無残に死ぬんだ!!ムラサメトルーパー、こいつらを始末し……!!」
勝ちを確信したカトルは笑いながらトルーパー達に命令を出そうとした……その瞬間、映像の方から「ドガーンッ!!」と爆発が聞こえてきた。
「な、なんだ!?」
カトルは慌てて空中に浮かぶ画面の方を見た。その映像の中には、街を襲うムラサメトルーパーを叩きのめす、見たことのない5色の戦士達がいた。
「な、なんだ奴らは……!?」
その戦士達は身体の真ん中にアルファベットの「
リーダーと思わしき、狼のマスクをかぶった赤の戦士、
『ゴジュウウルフ!!』
ライオンのマスクをかぶった青の戦士、
『ゴジュウレオン!!』
ティラノサウルスのマスクをかぶった黄色の戦士、
『ゴジュウティラノ!!』
鷹のマスクをかぶった緑の戦士、
『ゴジュウイーグル!!』
ユニコーンのマスクをかぶった黒の戦士。
『ゴジュウユニコーン!!』
5人の戦士はそれぞれ名乗りとポーズを決めると、赤い戦士……ゴジュウウルフは人差し指を天に突き立てた。
『つかむぜ、ナンバーワン!!』
ゴジュウウルフがそう言うと、今度は他の4人と一緒に叫んだ。
『ナンバーワン戦隊!ゴジュウジャー!!』
「ナンバーワン戦隊」を名乗る5人を見て、カトルは口をパクパクさせて驚いていた。
「ゴ、ゴジュウジャー……?こ、こんな奴らは知らんぞ!?」
カトルからしてみれば、自分達の作戦に急に謎の集団が邪魔に入ったようなものだ。
そんなとき、
「フハハハハハハハハハハハッ!!」
どこからか高笑いが聞こえてきた。声が聞こえた方に目を向けるとそこには、工場の屋上に男が立っていた。
「あれは……!」
その男に、グリムは見覚えがあった。その男が誰か分かった瞬間、グリムは笑顔を浮かべた。
「貴様……誰だ!?」
「俺の顔、見忘れたか?カトル!ハッ!」
男はカトルを見るなりため息を吐きながら首を横に振り、勢いよく屋上から飛び降り、ソウゴ達の元に着地した。
「あんたは……?」
ソウゴは恐る恐るその男に尋ねたが、男はまたため息を吐いた。
「君も俺のことを忘れてるのか……まぁ、いいか。俺は……ただの通りすがりの教師……」
「フリッドのおっさん!」
自己紹介しようとしたところで、グリムに先に名を言われてフリッドという男は拍子抜けした。
「グリム……せっかくかっこよく決めようとしたのに……」
「へへっ、何がかっこよくだよ。今のセリフ、あの“バーコード野郎“のパクリだろ。」
2人はどうやら顔見知りらしく、親しげに会話をしている。
そんな2人の間に入るように、ルイが尋ねた。
「あの……さっきのゴジュウジャーって人達は……?」
「あ、そうだよ!おっさんが連れてきたのか?」
グリムも思い出したようにフリッドに尋ねると、フリッドはゆっくり答え始めた。
「ああ、ここに来る途中会ったんだ。そしたら意気投合しちゃってな……『手伝ってくれない?』って言ったらついてきてくれたんだ。」
「さすがは教師。説得は大得意ってか?」
「でも、これで街は大丈夫だな!」
フリッドのおかげで街は危機を脱した。そのおかげでソウゴ達は人達救出に専念できる。
しかし、邪魔された方……カトルは烈火の如く怒っていた。
「この……よくも邪魔してくれたなぁぁぁぁぁぁ!!」
カトルの怒号とともに、トルーパーの1体がフリッドに襲いかかった。
「あ、あぶな……!」
「危ない」と言おうとした瞬間、フリッドは後ろを振り返ると同時に左足を思い切り振り上げ、トルーパーの頭を蹴り飛ばす。
強烈な蹴りによってトルーパーの頭は真後ろに回って折れた。
「セイッ!!」
そのまま踵落としを繰り出してトルーパーを地面に叩き伏せ、さらにそのまま足裏で踏み潰した。
「なっ……!?」
「どうした?ムラサメトルーパーって、この程度か?」
『お〜……!!』
生身であるにも関わらずムラサメトルーパーを叩き伏せてみせたフリッドに、ホロックスの4人は驚くともに拍手を送った。
それを見て、カトルはますます怒り出す。
「ふ、ふ……ふざけたマネをォォォォォ!!」
「自分の思い通りにならねぇとキレだす……昔と変わんねぇな、カトル……」
またも怒号を飛ばすカトルに、グリムは睨みつける。
「おっと、そうだ……」
すると、フリッドは何かを思い出し、肩に下げたカバンからある物を取り出した。
「ウォル……ソウゴくん。これを君に渡そうと思ってたんだ。」
「これは……」
フリッドが渡してきたのは、青いコートだった。ソウゴはそのコートに見覚えがあった。
「……君が秘密警察にいた時に羽織っていたコートだよ。ユーリ君が、『もし先輩にあったら渡してくれ』って。」
「……フッ、あのバカが……」
ソウゴはフッと笑うと、今着ているジャケットを脱ぎ捨て、そのコートを羽織り、カトルを睨みつけた。
「!?」
その目に恐怖を抱いたか、カトルはビクッと身体を震わせた。
構わずソウゴは刀を地面に突き立て、叫んだ。
「運び屋、ヤンマ、ソウジ!!いろは、ラプラス、フリッド!!お前達はこの場に残って雑魚共を蹴散らせ!!」
「わかった!」
「おうよ!」
「うん!」
「ござるー!!」
「命令すんな雑用!!」
「まかせておけ!」
その姿はまるで……
「凱、鶴姫!!お前達はグリムと行動しろ!!ルイ、こより!!お前らは俺と来い!!中に入って沙花叉クロヱと天音かなたを探す!!中は広い……人手が必要になる!!」
「へっ、まかせな!」
「わかったわ!」
「おっしゃあ!!」
「ハッハー!!」
「こよの頭脳にお任せー!!」
力とカリスマ性を兼ねそろえた指揮官のようだった。
「ソノイ、ソノニ、ソノザ!!お前達は街へ行け!ゴジュウジャーがいるとはいえ、もしもの場合もある!それに……もしもアイツが来る時、道案内役が必要だ!」
「わかった!いくぞ、ソノニ、ソノザ!」
「ああっ!」
「うんっ!」
名前が変わろうと、時間が経とうとも、その威厳が消えることはない。
皆に命令を下すと、ソウゴは地面に突き立てた刀を抜き、その剣先をカトル達に差し向けた。
「聞けっ!!貴様らがどんな卑怯な手を使おうと……俺達は貴様らを倒し、あの2人を取り戻すっ!!!」
「くっ……!」
「いくぞ!!」
『おおおおおおっ!!!』
大切な仲間を救うため、2人の鮫山ソウゴ達の戦いが始まる……
────────────────────────
「ソウイチ、いるか?」
その頃、喫茶どんぶらでは……
「入るぞ。」
ドンムラサメ……ソウイチがいる休憩室にソノセンが入ってきた。
「ソノセンおじいちゃん……」
「お前の母さんが話したいと言っておってな……」
ソノセンはそれだけ言うと、母親、園子が入っているタブレットだけ置いて去っていった。
「あの人達が、戦いに行きました……」
「……」
「ソウイチ、私は……今まであなたに命令ばかりしていましたね。」
園子はソウイチがドンムラサメになってから今までのことを思い出していた。
「私はそれであなたを守っているつもりでした……でも、それは逆にあなたを苦しめているだけだった……もっと、あなたの意見を聞くべきだった……もっと、自由にしてあげるべきだった……」
「お母さん……」
それはまるで懺悔のようにも聞こえてくる。
ソウイチは思った。母はひょっとしたら、息子を父の手から守れなかったことをずっと後悔してるのかもしれない。
ぼくが負い目になっている……そう思った。
「今さらこんなこと言っても遅いかもしれないけど……ソウイチ、あなたはもう自由に生きていい。どこへ行くのも、何をするのも、あなたの自由……」
「………」
「……それだけ言いたかったの。このままタブレットの電源を戻して。そうすれば、私は……」
「永遠に消える」……園子はそう言おうとした。息子の成長のためには、自分は消える必要がある。
だが、ソウイチはそんなことはしなかった。
「……お母さん、ニンジャークソードに戻って。」
「え?」
「ぼくは……あのお兄さんを助けたい。あのお兄さんは……ドンブラザーズのあの人達に似てる。自分の決めた道をまっすぐ進んで、困ってる人を決して見捨てない……ぼくも……そうなりたい。」
ソウイチはそう言うと、テーブルに置いたニンジャークソードを掴み、背中に納刀した。
「だから助けに行く!だからお母さん、力を貸して!」
「ソウイチ……!わかったわ……!」
園子は感動していた。自分の息子がここまで成長していたことを。そして思った。息子が変わったのだから、自分も変わらなければならない。息子の期待に応えるため、自分自身も変わるために……
おまけ「この人どんな人?」
「やぁ、待たせたな!」
(この人が腕から触手出して相手拘束するショタコン教師……なんかパッと見はそう見えないけど……)
皆の前に現れたフリッドという男に、ルイは前にグリムから聞いた印象とはだいぶ違ったため首を傾げていた。
すると、
「グリム〜〜〜♡」
「ぐえっ!?」
フリッドはいきなりグリムを力強く抱きしめてきた。
「久々に顔見た〜〜!20歳になってもかわいい顔してるな〜〜♡昔とさほど変わらずのかわいい少年顔〜〜〜♡」
「相っ変わらず気色悪いおっさんだな……!!顔イケメンじゃなかったら犯罪だぞ……!!」
「あっ、そうだ。この前かわいいショタ見つけてな……『にじさんじ』の鈴木 勝って子なんだけど……この子がめちゃくちゃ可愛くて……あー、添い寝してあげたい……」
「またキモいことを……!!」
フリッドのあまりにも奇妙すぎる行動を見て、ルイは……
(あ、噂通りの人だ。)
と、思ったのだった。
──────────────────────────
クロヱ「じかーいじかい。まさか攫われるなんて思わなかったなぁ……みんな無理しないで……って、ソウくん、その刀何!?グリムくんが別の姿に!?なんでなんでなんで〜〜〜!!?ドン33話『さらにまえへ』というお話し!」