ドン!ホロックスみーてぃんぐ!   作:ぴりもに

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今回、前作「SPY×AGITΩ」を読んでいただいた人にはちょっとビックリする要素があります。



ドン33話「さらにまえへ」

 

廃墟になった工業地帯……そこで激しい戦いが繰り広げられていた。

その人物達は……

 

「ブンブンチェンジ!!」

 

車の如き高速移動を生かした戦闘を得意とする赤の戦士ブンレッド、

 

「王鎧武装!!」

 

昆虫の力と鎧を身に纏う青の王トンボオージャー、

 

「キョウリュウチェンジ!!」

 

ダンスを踊り、恐竜の力を使う緑の戦士キョウリュウグリーン、

 

「クロス!チェンジャー!!」

 

バードニックウェーブを受け、大空を舞う黒の戦士ブラックコンドル、

 

「スーパー変化!ドロンチェンジャー!!」

 

代々から受け継がれてきた忍びの力で戦う白の女戦士ニンジャホワイトの5人のスーパー戦隊。

 

「はぁぁぁぁ!どりゃっ!!」

 

キックボクシングと長い戦いで培われたテクニックで戦うフリッド、

 

「オラァッ!!くたばれボケェ!!」

 

獅子の如き猛攻で戦う若き獅子グリム、

 

「セイッ!トォッ!」

 

刀を扱う「ホロックス」の用心棒、風間いろは、

 

「はいはい、こっちこっち!」

 

冷静で皆のお母さんのような存在で「ホロックス」の幹部、鷹嶺ルイ、

 

「こよビーム!こよパーンチ!」

 

高い頭脳と発明で支える「ホロックス」の博士、博衣こより、

 

「ワガハイはとまんねーぞ!!」

 

本来の力を封印されながらも高い力を持った「ホロックス」のリーダー、ラプラス、

 

「そこをどけ……!ダァッ!!」

 

そして、刀のスペシャリスト……元テロリストで現ホロックスの雑用係……鮫山ソウゴの5人の「ホロックス」。

この場にはいないが、ソノイ率いる脳人三人衆も街の方で戦っている。

ブンレッド、トンボオージャー、キョウリュウグリーン、いろは、ラプラス、フリッドの戦闘力が高い面々は工場の外でムラサメトルーパーの大群を相手にする。

 

「凱っ!鶴姫姐さん!こっちだ!」

 

グリム、ブラックコンドル、ニンジャホワイトの3人、

 

「ついてこい、ルイ!こより!」

 

ソウゴ、ルイ、こよりの3人は中に入って二手に分かれて人質を探す。

だが、中にもムラサメトルーパーはあふれていた。

 

「ここにもいるのね……!」

「二人とも……奴らを俺のところに集めろ。」

 

ムラサメトルーパーを前に、ソウゴは刀を鞘に納めた。

 

「俺が一気に蹴散らす……!」

 

そう言うと腰を深く落として居合の体勢に入った。

それを見て、ルイとこよりはこくりと頷いた。

 

「こっちゃこーい!!」

「鬼さんこーちら!!」

 

こよりはどこからか取り出した鉄鍋をお玉で叩き、ルイはその辺に落ちている石を拾って投げ、トルーパー達を挑発する。

それに乗せられたトルーパー達は、2人の方に向かってくる。それを見た2人はソウゴの後ろに逃げた。

 

「ハァァァァ……」

 

ソノセンに作ってもらった刀“アメノハバキリ”は特別製。ニンジャークソードやザングラソードを構成するレアメタルに玉鋼を混ぜて打ったもので、斬れ味は折紙付。さらに超高温にも耐えることができる。刀を納める鞘も特別製。鞘は機械仕掛けになっており、拳銃のトリガーのようなものがついていた。

鞘の底には撃鉄が仕込まれており、トリガーを引けば拳銃と同様に刀が射出され……

 

「ハッ!!」

 

弾丸のように発射された刀を掴み、発射の勢いを乗せた高速の居合い斬りを繰り出し、目の前のムラサメトルーパーを真っ二つに斬り裂いた。

そのまま霞の構えで刀を構え、襲いかかってくるトルーパー達を次々と切り捨てていく。

刀は発射した際の摩擦熱で赤熱化していた。赤熱化したことで溶断することも可能となり、ソウゴの攻撃は防御することのできない必殺の一撃と化した。

 

「先へ進むぞ……!」

 

熱を冷ますように刀を軽く振って鞘に戻し、先へ進もうとした。しかし、奥の方からトルーパー達が8人ほど現れ、ソウゴ達に襲いかかってきた。

しかし、ソウゴは再度腰を落として居合の体勢に入り……そのままトルーパー達に向かって駆け出した。

トルーパー達は攻撃してくるが、ソウゴは攻撃をかわしながらトルーパー達の群れを通り過ぎると同時に刀を抜いた。

 

「遅い。」

 

たった一言だけ呟くと、ソウゴは刀を回転させながら鞘に戻した。

すると次の瞬間、トルーパー達の身体がバラバラに切り裂かれて床に落ちた。

 

「お、おお……!」

「い、今、何回斬ったの……!?」

「さぁな……100から先は覚えていない。」

 

100から……ということは、1体につき少なくとも20回は斬り裂いたという計算になる。

常人では真似できないほどの芸当……2人はソウゴの実力にゴクリと唾を飲んだのだった。

 

「素晴らしい……!素晴らしいよ、ウォルターくん……!!」

 

その時、どこからか鮫山の声が聞こえてきた。

 

「鮫山……!姿を見せろ!!」

 

ソウゴは叫んだ。その叫びに呼応したのか、目の前にドットでできた黒い穴が現れた。

その中から声が響いてくる……

 

「君の探し求めているものはこの中だ……」

「こっちよ、お兄ちゃん……」

 

その中から聞こえてきたのは、鮫山の声と、メアリの声だった。

 

「メアリ……!」

 

メアリの声を聞いた瞬間、ソウゴはその中に飛び込もうとした。

しかし、ルイとこよりが肩をつかんで止めてきた。

 

「行っちゃダメ!これ、絶対罠だよ!」

「中にクロヱがいる保証もないし……」

「だが、このまま探していても拉致があかない……俺はいく!お前らはここで待て!俺とクロヱが外へ出る時、引っ張り出せるようにな!!」

 

ソウゴは2人の静止を振り切り、腕を払って穴の中に飛び込んでいった。

 

「ソウきゅん!」

「ソウちゃん!」

 

────────────────────────

 

そのころ、グリム達の方は……

 

「かなたそーーー!!」

「クロヱちゃーーん!!」

「クソッ、二人ともどこにもいねぇじゃねぇか……」

 

グリム、ブラックコンドル、ニンジャホワイトの3人も2人を探していたが、一向に見つからなかった。しかし次の瞬間、どこからか飛んできた銃弾が3人の足元に当たり、火花が舞い散った。

 

『!!』

「よく来たなぁ、落ちこぼれの弟ぉ!!」

 

グリムを罵倒する一声とともに、カトルが姿を現した。

 

「カトル……!それに……」

 

現れたのはカトルだけではなかった。カトルの後ろにはツインテールの女と袈裟姿の男が立っていた。

 

「フランに、ザカ……!」

「キャハハハハハッ!!おひさ〜、クソグリム〜♪」

「相変わらずのボケボケ顔だな。」

 

その2人は、カトルの弟であるザカ。同じく妹のフラン……すなわちグリムの腹違いの兄と姉でもある。

 

「グリム、あれがお前の兄貴か?ろくでもねぇ兄妹がいたんだな。」

「腹違いだけどな……」

「かなたちゃんとクロヱちゃんをどこへやったの!?」

 

ニンジャホワイトは忍者刀を3人に差し向けながら問い詰める。するとカトルはニヤリと笑った。

 

「フラン。」

「はーい♪」

 

フランは手を挙げて返事をするとともに、後ろに隠していたかなたを前へと出した。

 

「グリ兄!」

「かなたそ!」

 

かなたはその場から逃げようとするが、縄で縛られているせいで身動きできなかった。

 

「待ってろ!今助けてやる!」

 

逃げようとするかなたを見て、グリムは叫んだ。しかし3人は突然笑い始めた。

 

「フハハハハハハハ!!『助ける』だと?お前、状況が見えてるのか?」

 

カトルが笑い飛ばすと、フランはニンジャークソードを取り出し、刃をかなたの方に向けた。

 

「!!」

「お前には、もう一度大事なものを失ってもらう……そして、自分には誰も助けられないことを思い知らせてやる!!」

「……」

 

グリムに向かって啖呵を切るカトルに対し、グリムは手に持ったアタッシュケースのロックを外し、その場に置いた。

 

「グリム……なんで俺達が蘇ったと思う?それはなぁ……あのメアリという女と同じだ。俺達が、お前に一番のトラウマを与えた存在だからだ!クハハハ……鮫山様に感謝しないとな……お前に雪辱を果たし、もう一度お前を絶望のどん底に叩き落してやる!!」

「……で?」

 

勝ち誇ったような顔で長々と語るカトルに対し、グリムは大して気にしてなさそうにアタッシュケースからベルトとガラケーを取り出した。

その態度が気に食わないのか、カトルは声を荒げた。

 

「な、なんだその態度は!?状況が見えてるのか!?」

「それはさっき聞いたっての……前と変わんねぇなって思ったけど、訂正するわ。前よりも、ガキっぽくなったな。」

「なっ……!!?」

 

真顔で言い放ったグリムの一言に、カトルは顔を真っ赤にした。

カトルにとってグリムは底辺の存在……そんな男にバカにされるなどあってはならない……と、歪んだ価値観を持ったカトルはそう思っていた。

同じく歪んでいたフランとザカも烈火の如く怒っていた。

 

「ふ、ふ……ふざけるなぁぁぁぁぁぁ!!」

「アンタごときがカトル兄ちゃんをバカにするなぁっ!!」

「ゴミゴミのクズが……!!」

 

怒った3人はそれぞれニンジャークソードを手に構え、

 

『アバターチェンジ!!』

 

剣の唾についたギアを回転させた。3人の身体は光に包まれ姿を変えた。それぞれ、カトルは銅色のムラサメに、フランはピンク色のムラサメ、ザカは黄色のムラサメに姿を変えた。

 

「あいつらもムラサメになれるのか!」

「ニンジャークソードの量産化……成功してたのね!」

 

3人がムラサメに変身したのを見て、ブラックコンドルとニンジャホワイトは驚いていたが、グリムは取り乱すことなく取り出したベルトを腰に巻いた。

 

「そのベルトは……!」

 

ベルトを見て、カトルはマスクの下で目を見開いた。

 

「思い出したか?元の世界で、俺がなんて呼ばれてたか……」

 

グリムはニヤリと笑うと、ガラケーを開いて「5」のキーを3回入力し、続けて「Enter」キーを押した。

 

《standing by...》

 

ガラケーから音声が鳴り響き、閉じて上に突き出す。

 

「変身っ!!」

 

グリムはそう叫び、ガラケーをベルトに装填し、横に倒した。

 

《Complete.》

 

その瞬間、グリムの身体に赤く光るラインが走り、さらに眩い光を発し、グリムの姿を変えた。

黒のスーツに銀色に輝く鎧、赤いラインに黄色の目、サメのヒレのようなツノを持つ戦士となった。

 

「仮面ライダー……ファイズ。それが本当の俺だ。」

「バ、バカな……お前は“カイザ“だったはずだ……!!」

「俺にも色々あんだよ……さて、まずはかなたそを返してもらうぜ。」

 

動揺するカトル達をよそに、ファイズは左腕に黒いリストウォッチをつけ、それについているメモリを取り外し、ベルトについているものと交換する。

 

《Complete.》

 

すると、ファイズの胸の装甲が開き、身体に走る赤いラインが銀色に変わり、目も黄色から赤に変わった。

 

「フラン!その女を殺せ!!」

「うん!」

 

先手を突かれると思ったカトルは、フランに命令を出した。

フランはすぐに剣を振り上げ、かなたを斬り捨てようとした。

 

「!!」

《Start up.》

 

次の瞬間、その場にいた全員の動きが、まるでスローモーションになったように遅くなった……というより、ファイズの動きが速くなったのだ。

腕につけたリストウォッチ「ファイズアクセル」は自身の機動力を10秒間だけ1000倍にまで引き上げる。そのおかげでファイズは周りの動きがスローモーションに見えるほどの機動力を得たのだ。

 

「ハッ!」

 

ファイズはすぐさまフランに近づいて殴り飛ばし、さらにはカトルとザカも殴り、蹴り飛ばした。そしてかなたを抱き上げてブラックコンドルとニンジャホワイトの元に戻った。同時に、10秒のカウントダウンが終わり、ファイズの姿も元に戻った。

 

「ぐあっ!?」

「ぬぅっ!!」

「キャッ!!」

 

自分達が気づかない内に攻撃されたカトル達は、吹き飛ばされて床に倒れた。同じく自分が気づかない内に助けられていたかなたは、戸惑っていた。

 

「あ、あれ?いつの間に……?」

「大丈夫か?かなたそ。待たせて悪かったな。」

 

かなたを抱き上げたまま、ファイズはかなたに謝罪した……が、すぐにかなたの顔をじっと見つめた。

 

「なに?」

「いや、今気づいたけどよ……かなたそって滅茶苦茶かわいい顔してんのな。」

「は……はっ!?」

 

急にそんなことを言い出したグリムに、かなたは顔を赤くして声を上げた。

しかし、

 

「でもまぁ、胸ちっちぇし、たぶん年下……だよな?年上で胸デカかったらなぁ……」

 

グリムのデリカシーゼロの発言を聞き、赤くなった顔がすぐに冷めた。

 

「……そういうとこ。」

「えっ?」

「そういうとこ!!」

 

怒るかなたに対し、なぜ彼女が怒っているのか分からないグリムは首を傾げた。それを見てブラックコンドルとニンジャホワイトは呆れていた。

 

「こ、の……!!グリムゥゥゥ!!」

 

その時、攻撃されたカトル達は激昂していた。もう親の仇でも討つかのようなレベルだった。

それを見てファイズはかなたを地面に下ろした。

 

「かなたそ、隠れてろ……二人とも、あいつらブチのめすぞ!!」

「言われなくても……!」

「そのつもり!」

 

───────────────────────

 

そのころ、穴の中に飛び込んだソウゴの方は……

 

「ここは……」

 

中に飛び込んだ先に見えたのは、サイケデリックな配色の背景に、四角いブロックでできた階段や床、壁がある謎の空間だった。

 

「ここは私が作ったデータ世界だよ、ウォルターくん。」

 

その時、声が聞こえてきた。それは鮫山の声だった。声が聞こえた方に顔を向けると、そこには少し高い場所で玉座に座っている鮫山の姿があった。

 

「鮫山……!!」

 

そして、その傍らには縄で拘束されているクロヱの姿も……

 

「クロヱッ!!!」

 

ソウゴは彼女の名を叫んだが、返事はなかった。気絶させられているようだった。

 

「クロヱ……!!」

 

ソウゴはすぐさま彼女の元へ駆けつけようとしたが次の瞬間、ブロックでできた床から刃が飛び出してきた。

 

「!!」

 

ソウゴは咄嗟に後ろに飛び退いて刃をよけた。床から出てきた刃はそのまま持ち主とともに地上に現れた。

その正体は、ソウゴ……ウォルターの妹のメアリだった。

 

「メアリ……」

 

再度の妹との再会……だが、メアリは構わず戦おうとしている。

それを見て、鮫山は不敵に笑っている。

 

「さてどうする?妹を殺して愛する女を助けるか?それとも、この女を見殺しにして妹を助けるか……」

「うっ……ううっ……!!」

 

ソウゴは刀を握る手を震わせた。メアリを選ぶか、クロヱを選ぶか……ソウゴは迷った……が、答えは決まっている。

もう二度と過ちを繰り返さないために……

 

「……参る!」

 

ソウゴは妹と戦う決意を固めた……!

次の瞬間、2つの剣が交わった……

 

 

 

 

 

 

 

 




おまけ「裏設定」

鮫山園子の裏設定
・鮫山園子の旧姓は「桃井」。ドンモモタロウ/桃井タロウの育ての親、桃井陣の妹。
・つまり、タロウにとっては叔母にあたるが、タロウ自身はそのことを知らない。
・兄の陣も現在の園子の状態を知らない。

───────────────────────

ソウイチ「じかーいじかい。ぼくはもう迷わない……ぼくは戦う。前に進むことを教えてくれた人達がいたから……ソウゴお兄さん、一緒に戦って!ドン34話『しゅくふくをキミに』……というお話し。」


──────────────────────

前作ではグリムは仮面ライダーカイザでした。なぜ、今作ではファイズなのか……実は前作と今作の間を描く外伝を書こうと思っていまして、その関係でのゲスト参戦です。



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