ともかく、長かった「レプリカ計画編」はこれで完結!
「ハァァァァァァァ!!」
飛んでくる剣の雨を掻い潜りながら、ソウゴは剣が届く範囲まで距離を詰める。
ムラサメカオスはすかさず迎撃しようと両手を振り上げた。しかし次の瞬間、床からソウイチが飛び出してきた。
「!」
「ヤァッ!」
床から飛び出すと同時に剣での一撃を繰り出すソウイチ。攻撃はムラサメカオスの頬を掠め、ソウイチはそのまま空中へ……
「お兄さん!」
ソウイチが合図を出すと、ソウゴも空中へ飛び上がる。すると、ソウゴはソウイチを踏み台にしてさらに空中へ。
「そこだぁぁぁ!!」
ムラサメカオスの背後に回ったソウゴは、そのまま背中に刃を突き立てた。だが次の瞬間、ムラサメカオスの背中の背骨に当たる部分から針のように刃が飛び出した。
(なに!?)
このままでは刃がソウゴの身体に突き刺さる……だが、
《
ソウイチは剣の鍔についたギアを2回回転させ、剣先から飛び出したアンカーをソウゴに巻き付け、自分の方へ引き寄せた。
「すまない……!」
「一気に畳み掛けましょう!」
《
ソウイチはギアを3回回転させ、剣を振った。すると剣から3つの三日月型の刃が放たれ飛んでいく。その後をついて行くように、ソウゴは刀を構えながら突進する。
ソウイチが放った攻撃と合わせて四連撃を浴びせ、畳み掛けるつもりだった。
しかし……
《
ムラサメカオスからも機械音が聞こえてきたかと思うと、2人の周囲を取り囲むように無数の刃が出現した。
『!?』
無数の刃はまずソウイチが放った攻撃をかき消し、そのまま全方向からソウゴに向かって刃が飛んでくる。
「!!」
ソウゴはすかさず刀を鞘に納め、居合の構えを取った。続けてソウイチは背中合わせになるようにソウゴの背後に立った。
飛んでくる刃が間合いに入った瞬間、ソウゴは刀を抜いた。刀の一振りで飛んできた刃を打ち消した。背後のソウイチも剣の一振りで攻撃を打ち消す。
納刀、抜刀を繰り返し、迫ってくる攻撃を次々と相殺していく。ソウイチも同様だった。
「なんという戦闘力だ……ますます私の依代に相応しい……」
「黙れ!」
「ソウイチ……父さんは嬉しいぞ。こんなに強くなっていたとは……」
「ぼくは……あなたの息子なんかじゃない!!」
ムラサメカオスは2人に語りかけるが、2人は聞く耳を持たない。だがムラサメカオスは続けて言葉を続ける。
「そうつれないことを言わないでおくれ。私は息子のお前のことをずっと考えていたんだ……この研究が成功すればお前も園子も……幸せに暮らせる。」
「データとして、でしょう……?そんなの……死んだのと同じだ!!」
ソウイチは叫んだと同時に攻撃を弾き飛ばし、ムラサメカオスに向かって駆け出した。
ムラサメカオスの懐に飛び込み、その剣先を喉元に突きつけた。そのまま前に突き出した……だが、当たるか当たらないかの距離で、ソウイチの手は止まった。
「………!」
「ソウイチ……!」
なぜソウイチの手が止まったのか、ソウゴは瞬時に理解した。人間の肉体を失ったとはいえ、ソウイチも人の子……実の父を手にかけることなどできないのだと理解した。
そんなソウイチを見て、ムラサメカオス……鮫山は……
「……しょうもない……」
実の息子を嘲笑い、拳で思い切り殴り飛ばした。
「ソウイチ!!」
ソウイチは殴られ地面に転がった。ソウゴはすぐさま駆けつけようとしたが、何かに脚を掴まれた。
足元に目を向けると、床からムラサメの手が現れ、ソウゴの脚を掴んでいた。
これではソウイチを助けにいけない……ムラサメカオスは倒れたソウイチを踏みつけ、指先の刃を向けてきた。
「なんと情けない息子だ……もっと非情にならないと……私のようにな……死ね!!」
「ソウイチーーー!!」
ムラサメカオスはソウイチにトドメを刺そうと手を振り上げた。助けに行きたくても、助けに行けない……このままではソウイチは……と思った次の瞬間、ガキンッ!!という音が響いた。
「……!!」
「なっ……!?」
「あ、あいつ……!!」
3人は思わず驚いた。目の前に、あの男が現れたのだ。
「ハーッハッハッハッハッハッ!!」
ドン王家の末裔、脳人達の敵、多くのお供を持ち、縁を大切にする最強の男……
『ドンモモタロウ!!』
「そりゃあ!!」
手に持ったザングラソードを振るい、ムラサメカオスを斬り飛ばした。
「ぐうっ!?な、なぜドンモモタロウがここに……!?」
この場に天敵が来ていることに困惑する中、ドンモモタロウは倒れているソウイチに手を差し伸べた。
「起きろ、ムラサメ。お前の力はそんなものではないだろう。」
「……はい!」
ソウイチは差し伸べられた手を取り、立ち上がった。
「ソウイチ!」
脚を掴んでいた手を振り払い、ソウゴは2人の元に合流した。
「お前、なぜここに……」
「悪縁を断ち切る手伝いにきた。」
ドンモモタロウはそう言うと、剣先をムラサメカオスに向けた。さらに、ドンモモタロウはどこからかある物を取り出した。
《オミコシフェニックス!》
それは全身が金色に染められた鳥型のマシンだった。ドンモモタロウが上に投げると、ソウゴの肩に止まった。
「それを使え。お前達自身が……悪縁を断ち切れ!」
ドンモモタロウはそう言って、2人の肩を叩いた。肩を叩かれた2人は互いに顔を見合わせた。
「……いくぞ。決めつけられた運命をぶち壊してやれ!」
「はい……!ぼくは……もう操り人形じゃないことを見せつけてやるんだ!!」
2人は決意を固め、ソウイチはニンジャークソードに変化し、ソウゴはそれを手にとってギアを回転させた。
「アバターチェンジ!!」
《ドンムラサメ!切り捨てソーリー!》
ソウゴはドンムラサメに変身……すると、左腕に取り付け口のついたブレスが現れた。
ムラサメは剣を背中に納め、オミコシフェニックスを右手で掴み、左腕のブレスに装着した。
《パーリィターイム!》
『ゴールドアバターチェンジ!!』
その瞬間、2人の叫び声が轟いた。
父親の呪縛と過去の呪縛を解いて、定められた
《ドンフェスティバルターイム!!》
尻尾の部分を引っ張ると水色の水晶の部分から光が放たれ、金色の光がムラサメを包みこんだ。
ムラサメの胸部、肩に金色の鎧が装着され、背中にも金色に輝くマントと顔に新たに金色のバイザーが装着された。
《完全無敵の鬼退治♪》
『ゴールドンムラサメッ!!!』
金色の戦士、ゴールドンムラサメが誕生した。その風貌はまるで歴戦の戦士の如く威風堂々としていた。
「いくら姿が変わろうと……私に勝てるものか!」
ムラサメカオスはその姿を見ても動じず、先ほどと同じように無数の刃を展開し、ムラサメを取り囲んだ。
しかし、ムラサメは左腕のオミコシフェニックスの翼を展開した。すると翼の先から光の弦が現れ、ムラサメは弓のように構えた。
「ハァー……ッ!
ムラサメは叫ぶと同時に空に向かって光の矢を放った。矢が空まで届くと、星のような光がキラリと輝いた。すると空から無数の矢が降り注ぎ、ムラサメを取り囲んでいた刃を全て打ち消した。
「な、なに!?」
「
ムラサメは走りながら剣のギアを回転させた。目の前まで近づき、剣を振るってきた……かと思いきや、ムラサメの姿が煙のように消えた。
「!?」
ムラサメカオスは思わず戸惑った。すると、ムラサメは背後から現れた。ムラサメカオスは背中からトゲのように剣を飛び出させ、反撃する。しかし、またもムラサメは姿を消した。
今度は横から姿を現し、一撃を与えた。
「ぐあっ!?おのれ……!」
ムラサメカオスは反撃するも、ムラサメはまた姿を消し、再度死角から現れて一撃を与えてを繰り返していく。
「
懐に入り込んだムラサメは、床に刀身を擦りながら剣を振り上げ一撃を与え、さらに上からもう一発一撃を与え、ムラサメカオスの身体についているマスクを破壊した。
「わ、私のマスクが……!!」
「トドメだ!!」
ムラサメは霞の構えで剣を構え、ギアを何回も回転させる。
「ま、待て、ウォルターくん!!」
「違う……俺は、鮫山ソウゴだ!!」
ムラサメの叫びとともに、背後に巨大な鮫のオーラが出現した。
「
ムラサメの身体が黄金の光に包まれ、鮫のオーラとともに突進する。鮫の牙がムラサメカオスを飲み込むと同時に、ムラサメは高速の剣戟を繰り出し、縦横無尽にムラサメカオスを斬り裂いた。
「バ、バカな……!?ぐおぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「鮫山ソウゴは……この俺だけだっ!!」
背後でムラサメカオスの断末魔とともに爆発が起きた。その爆発を背に、ムラサメは変身を解除し、ソウゴとソウイチに戻った。
「……がんばったな、ソウイチ。」
「………」
ソウイチは何も言わなかった。ソウゴはそのことに追求はしなかった。実の親を倒したのだ……複雑な心境だろう。
すると、ドンモモタロウが声をかけてきた。
「よくやったぞ、
「おとも……」
「こうほ……?」
ドンモモタロウの一言に2人はキョトンと首を傾げた。
「これでお前達とも縁ができた!!」
ドンモモタロウは大声で叫び、肩に抱えていたクロヱをソウゴへと手渡した。慌ててソウゴはクロヱを抱きかかえる。すると、クロヱはゆっくりと目を開いた……
「ソウ……くん……?」
「クロヱ……!!よかった……」
クロヱが目を覚ましたことに安堵したソウゴは深いため息を吐いた。
その時だった。周りの空間がグニャリと歪み、さらに割れたガラスのようにヒビが入り始めた。
「な、なんだ!?」
「すぐに逃げるぞ!」
ソウゴ達はすぐさま逃げようと、入ってきたところから出ようとした。しかし……
「ま、待ってくれ……!」
すぐにでも消えてしまいそうな声が背後から聞こえてきた。顔を向けると、そこには床に倒れる鮫山の姿があった。
憑依しているクリスの身体はもう風前の灯と化していた。息も絶え絶えの状態で、鮫山は縋るように語りかけてくる。
「たす、けて……くれ……」
なんと身勝手なことを言うのか……今まで自分が何をしてきたのか分かってて言っているのか……
ソウゴはチラッとソウイチの方を見た。ソウイチは何も言わず、父親とは目も合わさなかった。
「……後を、お願いします……」
「ああ……」
ソウゴはクロヱを下ろして刀を抜き、倒れる鮫山に近づいた。
「な、何をするつもりだ……!?私は、大いなる科学者だぞ!私の研究で全ての生物をデータ化すれば、滅ぶことなく……」
「黙れ。」
まくしたてようとする鮫山に対し、ソウゴは今までで一番低い声を上げた。
そして、刀をスッ…と振り上げた。
「ま、待て!?私を殺す気か!?もう……人を殺さないと決めたのではなかったのか!?」
「ああ……俺はもう、人を殺さない。」
「な、なら……!」
ソウゴの言葉に鮫山は一瞬安堵したような顔を見せた。しかし、
「お前はもう人間じゃない。」
そう吐き捨て、刀を頭めがけて振り下ろした。ザンッと斬られる音が響き、鮫山はクリスの身体とともに完全に消滅した。
ソウゴは静かに刀を鞘に納め、3人の元に戻った。
「……ソウイチ、終わったよ。」
ソウゴはソウイチに静かに声をかけた。ソウイチは身体が震えていた。涙こそ出ていないが、きっと悲しかったのかもしれない。
「……行こう。」
ソウゴはそう言って、入ったところから元の場所へと脱出した。
全てが終わった……クリスとの因縁も、レプリカ計画も、父と子の対決も、妹との別れも……その全てが終わった。
「……終わったんだな。」
元の場所に戻ると、そこにはラプラス達が待っていた。どうやらラプラス達も戦いを終えたようだ。
「クロたん無事だったんだね!よかった〜」
「心配したよ〜!」
「怪我がなくてよかったでござるよ!」
「これでホロックス復活だ!」
ラプラス達4人はクロヱの姿を見るなりすぐさま集まり、それぞれクロヱを抱きしめた。
「みんな……心配かけてごめんね……」
「ううん、いいよ別に。あ、そうだ!クロヱにも朗報!さっき、カバーから電話が来たんだけど……」
すると、ルイはスマホを取り出してニコッと笑った。
「なんと!全員合格だって!!」
「本当に!?」
『や……やったーーーーー!!』
ルイのその言葉に、皆が大声を上げて喜んだ。ソウゴももちろん喜び笑った……が、皆が喜ぶ中、ソウイチに声をかけた。
「……お前は、これからどうするんだ?」
「わかりません……でも、もし迷惑じゃないなら……あなたと一緒に戦ってもいいですか?」
ソウイチの一言に、ソウゴは一瞬驚いたがすぐに笑ってみせた。
「ああ、何をするのもお前の自由だ。」
「はいっ!いいですよね、母さん!」
『ええ、これからはアナタの好きなように生きなさい。』
背負った剣から母親、園子の声が聞こえ、ソウイチは頷き剣の姿に戻った。
「これからもよろしく、ソウゴ兄さん!」
「ああ……こちらこそ、よろしくな。」
これからも一緒に戦うことを誓い、ソウイチはどこかへと飛び立っていった。ソウイチはその後ろ姿を笑って見送った……
────────────────────
その後、ホロックスの合格パーティーは後日することになり、ソウゴと仲間達は解散することになった。
フリッドと街で戦ってくれたゴジュウジャーは元の世界に戻り、ドンモモタロウもどこかへ消えていった。他の戦隊達とグリムも自分達が住んでいる場所へと戻った。
ホロックスの4人も帰ったが、クロヱだけはソウゴと一緒に帰っていた。
「ごめんね、付き添ってもらっちゃって……」
「いいさ。まだ目が覚めたばかりで本調子じゃないだろう。」
2人が話している間に、クロヱが住むマンション、部屋のドアの前にたどり着いた。
「今日はありがとう。ソウくん!ソウくんが来てくれて……嬉しかった!それじゃあ、また明日ね!」
クロヱは笑ってソウゴと別れを告げて部屋に入ろうとした。すると、
「……待ってくれ!」
ソウゴはクロヱの手を掴んだ。
「え……?」
「いや、その……」
ソウゴは胸の鼓動が高鳴るのを感じた。同時に、頬が熱くなる。
「……お前が攫われた時、すごく……心配だった。仲間だからとか、友達だからとかだけじゃない……!それが、なぜだか分かった……」
ソウゴは顔を赤くしながら、クロヱを壁際に追いやって迫った。
「ソウ、くん……?」
ソウゴが迫ってくるのを見て、クロヱも頬が赤くなった。
「俺は……お前が好きだ……!」
ソウゴはついに、クロヱに自分の思いを伝えた。すると、ソウゴはクロヱの顔に自分の顔を近づけ……唇にキスをした。
「ん……!?」
「んっ……」
いきなりキスをされ、クロヱは最初こそ抵抗したが、すぐにおとなしくなりソウゴの背中に手を回した。
やがて2人は互いに口を離し、見つめ合った。
「……どうして、よけなかった?」
「……驚いたけど……なんとなく、ソウくんならいいかなって……」
照れながら言うクロヱに、ソウゴはなんともむず痒い気分になり、俯いた。するとクロヱはソウゴの手を握ってきた。
「ねぇ……こっち来て?」
「あ、ああ……」
クロヱに手を引かれ、ソウゴは部屋の中に入っていった。忘れずにドアを閉め、2人はそのまま夜を過ごしたのだった……
ソウゴ「じかーいじかい。ホロックスは晴れてホロライブの仲間入りを果たした。なんと、すぐに仕事が舞い込んできた。なんと、ゲームの実写映画の出演オファーだった!みんながんばって……え、俺も出るのか!?ドン36話『まちはまちだ』というお話し。」
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ここからしばらくコメディ回が続きます。シリアス続きだったし。
今回、最後にソウゴとクロヱが一線を越えましたが、これはちょっとかなり悩みました。クロヱはみんなのアイドルだし、そのアイドルが男と結ばれるのは……ファンからしたらご法度かなーと思ったのですが……「ええい、やっちまえ」と強行しました。