ドン!ホロックスみーてぃんぐ!   作:ぴりもに

37 / 44
ドン37話「たなからボタンぽち ふたたび」

 

ある晴れた昼下がり……

 

「いらっしゃいませー!」

「ありがとうございまーす!」

 

ソウゴとグリムはいつものように「喫茶どんぶら」で仕事をしていた。

 

「ふぅ……だいぶ客が少なくなってきたな。」

「この時間ならこんなもんだろう。」

 

閉店時間が近づき、2人は一息ついた。その時、ソウゴのスマホに着信が入った。

 

「クロヱか……もしもし。」

『ソウくん、今大丈夫?』

「ああ、ちょうどヒマになったところだ。どうした?」

 

ソウゴは電話に出ながらグリムの方をチラリと流し見、休憩室の方へ向かった。

 

「今日、私がご飯当番なんだけど……何かリクエストある?」

「そうだな……お前の作るものならなんでも……いや、それじゃダメだな。なら、チキン南蛮を食べてみたい。まだ食べたことないんだ。」

「わかった!」

「そ、それと……」

 

その時、ソウゴは何やらまごついたような声を上げた。

 

「その、なんだ……今日、家に……行ってもいいか……?」

 

高鳴る胸を抑えながら、言いたいことを言い切ったソウゴ。対するクロヱは電話の向こうでキョトンとしていたが、すぐにプッと吹き出した。

 

「アハハッ!ソウくんって、甘え下手なんだね。」

「………」

 

ソウゴは顔を真っ赤にして黙り込んだ。

 

「いいよ、待ってるからね♪」

「あ、ああ……ありがとう……」

 

クロヱの返答を聞き、ソウゴは笑って電話を切った。同時に、その場で思わずスキップしたくなるような高揚感を感じた……が、同時に視線も感じた。

後ろを向くと……

 

「へー……」

 

そこにはグリムがにやりと笑いながら立っていた。

 

(み、見られていた……!?)

「ふーん……ほーん……」

「な、なんだ……!?」

「べっつに〜?なーんでもないけど〜」

 

グリムはニヤニヤと笑いながら、休憩室にある椅子に腰掛けた。

 

「まさかアンタとクロヱちゃんがそんな関係だったとはな〜」

「放っておけ……」

「……でもよ」

 

すると、グリムは急に真面目な声を上げた。

 

「あんたは所詮、他の世界の人間……よそ者だ。俺もだけど。」

「……!」

 

グリムの突然の一言にソウゴは目を丸くした。グリムは続けて言った。

 

「元の世界に失うモンがなかったなら、ここに残ってもいいかもしれない。でも、アンタは違うだろ。アンタに会いたがってる人がいる……分かってるよな?」

 

グリムの言っていることももっともだった。

ソウゴには、元の世界に妹がいる。グリムにも妻子と仲間が待っている。いつまでもこの世界に長居するわけにはいかなかった。

 

「俺はこの世界が好きだ。元いた世界よか平和だし、カワイイ女の子多いし。でも、いつかはみんなにお別れを言わなきゃいけねぇ……」

「………」

「俺もかなたにお別れ言わないとな……ちょこ先にも……」

 

いつも一緒にいられるわけではない……いつかは別れを言わなければいけない。

ホロックスの皆といつまでも一緒にいられればどれだけいいか……だが、それを選べば、妹に会えなくなる……

 

「……いつか、ちゃんと決めるさ。」

「そうしとけ。」

 

ソウゴの一言にグリムも一言だけ返答し、休憩室から出ていった。

 

「……わかってるさ。お前に言われなくたって……」

 

ソウゴも静かに呟き、遅れて休憩室から出ていった。

その後、2人はマスターとともに仕事を続け、いよいよ閉店時間に差し迫った。

 

「後は片付けで終わり……ん?」

 

洗って乾いた食器を片付けていたところで、グリムはある物を見つけた。

 

「なんだこれ?……ボタン?」

 

それは赤いボタンだった。黄色い文字で「WARNING!」と書かれていた。

 

「なんのボタンだこれ……?もしかして秘密の部屋があるとか……?」

 

その時、グリムの脳裏にマスターの顔が思い浮かぶ。どんぶらのマスターは謎の多い人物だ。脳人やドンモモタロウのことを知っていたり、ムラサメや鬼のことにも詳しかった。

だが、肝心のマスター自身のことは何も分からない……このボタンを押すことでマスターのことを少しでも分かるなら……

 

「押しちゃうか。」

 

グリムはそのボタンを押した。……すると、ガチャン!という音が響き、店内に赤いランプが出てきてサイレン音が鳴り響く。

 

「えっ!?ななな、なに!?」

「何事だ!?」

「ま、まさか……」

 

マスターはいつもは見せない慌てた表情を見せ、グリムの方へ……棚に隠れたボタンを見た。

そしてすぐにグリムの方を見た。

 

「まさか……!押したのか……!?」

「い、いや、ちょっと軽〜く……?」

 

グリムの返答を聞いたマスターは、その場で力が抜けたように座り込んだ。

 

「もうダメだ……おしまいだ……」

「な、なにが……?」

「奴が来る……!」

「奴……だと?」

 

マスターの言葉に2人は首をかしげる。すると、マスターは慌てた様子で2人に近づいた。

 

「す、すぐに逃げるんだ!!」

「えっ、なんで?」

「奴が来るんだ!!ドンキラーキラーキラーが!!」

「ドン……なに?」

 

よく分からない聞き慣れない名前にまたしても2人は首をかしげた。よく分からないまま、2人は店を追い出されてしまった。

 

「気に入らねぇー、なんで追い出されなきゃいけねーんだよ。」

「お前が変なことしたからだろ。」

「だって気になって……」

 

その時だった。どこからかゴゴゴゴ……という音が響いてきた。

 

「何の音だ?」

 

その音はだんだんと2人に近づいてきていた。2人はその音が聞こえる方向……上を向いた。

 

「な、なんだアレ!?」

 

空から現れたのは、なんと人だった。足からジェットを噴射し、

まるでゲーミングPCのようなカラフルな服を着たその男は、意外な人物だった。

 

「お…俺……?」

 

着地したその男は、なんとソウゴに顔がそっくりだった。

 

「……対象、確認……」

 

ソウゴにそっくりなその男は静かに呟きながらソウゴの方を見つめた……と思った次の瞬間、その男は一瞬でソウゴの眼前まで迫った。

 

「!!?」

 

ソウゴは咄嗟に後ろに下がろうとしたが、それよりも速く男はソウゴを殴り飛ばした。殴られたソウゴは3mほど吹き飛び地面に転がった。

 

「ソウゴ……うわっ!?」

 

殴られたソウゴを見て驚いたグリム。しかし次の瞬間、グリムも殴り飛ばされ同じく地面に転がった。

 

「なんだこいつ……!?」

「来いっ!ムラサメ!」

 

ソウゴの叫びとともにニンジャークソードがどこからともなく飛んできた。

グリムも同じくベルトを腰に巻き、ケータイを取り出した。

 

「アバターチェンジ!」

《ドンムラサメ!切り捨てソーリー!》

「変身!」

《complete.》

 

ソウゴはドンムラサメに、グリムはファイズへと変身した。

2人はそれぞれ身構え、相手の出方をうかがった。しかし、男は動かないままだった……

 

(ならば!)

 

ムラサメは剣を構えたまま男に突っ込み、横に一閃する。

その時、ガキンッ!という音が響いた。

 

『!!』

 

2人は思わず息を飲んだ。なぜなら、ムラサメの一撃を男は歯だけで受け止めたからだ。

男はさらに剣を掴み、剣ごとムラサメを持ち上げた。

 

「うおっ!?」

 

そしてそのままムラサメを地面に叩きつけた。一度だけでなく、何度も何度も。

 

「がっ!ぐぁっ!がはっ!」

「この野郎……!」

《complete.》

 

ファイズはファイズアクセルのメモリをベルトに装填し、アクセルフォームへと姿を変えた。

 

《Start up.》

 

ファイズアクセルのスイッチを押し、カウントダウンをスタートさせた。

その瞬間、ファイズ以外のスピードがスローモーションのように遅くなる。その隙にファイズは背後から男に襲いかかろうとした。

しかし、男は突然姿を消した。

 

「なにっ!?がっ!?」

 

なんと、男はファイズと同じスピードで動き、下から懐に潜り込み首をつかんできたのだ。

 

「アクセルと同じスピードだと……!?」

(こいつ、理屈抜きでやべぇ……!!)

 

目の前にいるこの男は自分達よりも強い……それも信じられないほどの実力差……

男はファイズを空に投げ飛ばすと、口を大きく開けた。すると口の中からミサイルが発射された。

発射されたミサイルは分裂し10基以上に増え、ファイズに向かっていった。

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ミサイルの集中砲火を受けたファイズはそのまま地面に落下した。

 

「く、くそっ……」

 

ダメージを受けすぎたファイズの変身は解け、グリムは元の姿に戻った。

 

「なめるな……!!」

三鮫(さんシャーク)群鮫(ムラサメ)!》

 

ギアを3回回転させ、剣を振るう。剣から3つの斬撃を飛ばす。

斬撃は男をめがけて飛んでいく……しかし、男は目をカッと見開き、光線を放ち斬撃を打ち消した。

 

「!!」

 

光線はそのままムラサメに向かって飛んできた。ムラサメは咄嗟に剣を盾にし、光線を防ごうとする。

 

「くっ……うううっ……!!」

 

なんとか光線を防いではいるが、光線はまだ勢いが強くムラサメは後ろに下がってしまう。

さらに男は両手の指からも光線を発射した。

 

「ぬあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

合計11発の光線を受けついに耐えきれなくなったムラサメは光線を食らって吹き飛んだ。

そしてファイズと同じく変身が解け、ソウゴは元の姿に戻った。

 

(強すぎる……!)

 

ソウゴも同じく、この男が自分達とは比べ物にならないほど強いことを理解した。

男はトドメを刺そうとソウゴに近づこうとした。両手の光線の光を浮かばせながら……

だが、

 

《45!バーン!》

 

その時、どこからか機械音が聞こえてきた。

 

「ハッ!」

 

そこに現れたのは、マスターが変身したヒーロー「ゼンカイザーブラック」だった。

 

「アンタは……」

「逃げるんだ!君達では……いや、誰にもドンキラーキラーキラーは倒せない……!!」

「こいつがそうなのか……!?」

 

店の中でマスターが口にしていた名前だった。マスターはドンキラーキラーキラーと戦いながら続けて言った。

 

「ドンキラーキラーキラーはドンモモタロウ……ドンブラザーズに関わるものを抹殺するために作られた戦闘アンドロイド!その強さはドンモモタロウを超えている!」

「あいつの強さを……!?」

「マジかよ……」

「だから速く逃げ……うわっ!?」

 

話している間にドンキラーキラーキラーはゼンカイザーを殴り飛ばした。

 

「マスター!」

「マスターの言う通り……逃げるしかねぇ!!」

 

2人はマスターの言う通りその場から逃げ出した。

自分でも情けなく思ったが、自分達では勝てないのも事実で、逃げるしかないと思ったのだ。

 

「はぁ……はぁ……なんとか振り切ったか……」

「で……どうする?逃げるにしても、あいつらのとこじゃ巻き込んじまうだろ。」

 

グリムの言葉に、ソウゴは脳裏にラプラス達の顔が浮かんだ。もしこのまま彼女達のところに戻ったら、彼女達もドンキラーキラーキラーとの戦いに巻き込まれるかもしれない……

 

(ダメだ……あいつらを巻き込めない……特にクロヱは……!)

「俺はこのまま終わらせるつもりはねぇ……あの野郎、一矢報いてやる。」

 

グリムはそう言って、その場にソウゴを残して立ち去っていった。

 

「……俺は、どうする……」

 

───────────────────────

 

「よっ……と。」

 

ソウゴと別れたグリムはレンタカーを借りて採掘場を訪れていた。

車に積んだ荷物を降ろし、ある物を作り始めた。

 

「歴史の漫画で読んだぜ……ヒデヨシって奴は、一夜の内に城を作ったってな……俺も見様見真似で……!」

 

鉄板で作ったバリケードを自分の周囲に置き、鋭利に切った鉄パイプをつけ、その後ろに複数のはしごを置いて階段代わりにし、さらにバリケードと鉄パイプを増設……

ハリボテの城……グリム仕立ての一夜城を作り上げた。

 

「よっしゃ来やがれ!!」

 

グリムはバリケードの中に立て籠もり、大きめのカバンから拳銃を2丁取り出し懐に入れ、さらにカバンからショットガン、他にも小太刀や手榴弾などを取り出していく。

 

「鉛玉全部ぶち込んで……」

 

グリムは自分のところに来るはずのドンキラーキラーキラーを迎え撃つつもりだった。

だがその時、ドスン!という音が背後に響いた。恐る恐る後ろを向くと、そこには……ドンキラーキラーキラーの姿があった。

 

「……最悪、だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

自身の作戦がご破算になったことと、ドンキラーキラーキラーが自身の背後に現れた絶望感からグリムは雄叫びを上げた。

しかし、それでも負けじとショットガンをドンキラーキラーキラーに向けようとしたが、それよりも速くドンキラーキラーキラーはグリムの胸ぐらを……

 

「だぁぁぁぁ!!さっきから『キラーキラーキラー』うるせぇわ!!作文で文章の量稼ぐ小学生かっ!!もう『キラー×3』とかにしろよ!!」

 

………ごめんちゃい♪

 

「うぜぇ!!」

 

そして、ドンキラー×3はグリムの胸ぐらを掴んだまま、空中に放り投げた。

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ……!!」

 

───────────────────────

 

そのころ、ソウゴの方は……

 

「なぜかこっちに来てしまった……」

 

ソウゴはドンキラー×3から逃げ続けた。その果てにたどり着いたのは、クロヱが住んでいるマンションの前だった。

 

「なにを考えているんだ……俺は……」

 

巻き込むわけにはいかないと思っていながら、一番巻き込みたくなかった相手の家まで来てしまったソウゴ。

それは、これが最後になってしまうかもしれないという不安からかもしれない……

ソウゴは速くこの場を離れようとマンションから背を向けた。しかし、

 

「あれ?ソウくん?」

 

後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。振り向くと、そこにはクロヱがいた。

 

「ク、クロヱ……いたのか……」

「家に忘れ物したから取りに来たの。ソウくんはどうしたの?」

「それは……」

 

ソウゴは何も言えなかった。とてつもなく強い敵が現れ、自分はもしかしたら殺されるかもしれない……などと言ってしまえば、クロヱは絶対に心配する。だからこそ言えなかった。

 

「いや……近くまで来たから寄っただけだ。」

「ほんとに〜?実は沙花叉に早く会いたかったから……なーんて!」

 

クロヱはソウゴをからかいつつ、腕にしがみついてきた。

ソウゴは何も言えなかった。巻き込みたくないとは思いつつ、クロヱに会いたいという思いもあった。

 

「……そうかもな。」

「えっ?」

「もし、早く死ぬ運命にあったとしたら……死ぬ前にお前に会いたいと思うだろうな。」

 

クロヱは首を傾げた。ソウゴがいきなり何を言っているのか、まったく分からなかったのだ。

すると、ソウゴはクロヱの肩を掴んだ。

 

「ソウくん……?」

「クロヱ……俺はお前を愛してる。」

「えっ、ち、ちょっとこんなとこで……」

 

ソウゴの一言にクロヱは顔を赤くした。クロヱもソウゴのことは好きだったが、顔を合わせて直接言われてしまうとさすがに照れてしまう。

 

「それは、これからも絶対に変わらない……たとえ俺が死んだとしても……」

 

その言葉に、クロヱはソウゴの様子がおかしいことに気づいた。ソウゴの様子はまるで何かに怯えているような、死を覚悟しているような様子だった。

その時、ゴゴゴゴ……という音がどこからか響いてきた。

 

「なに?この音……」

「マズイ……!」

 

その音の正体は2人の前に現れた。ドンキラー×3だ。

ドンキラー×3の姿を見て、クロヱは思わず驚いた。

 

「えっ!?ソウくんと同じ顔!?」

「惑わされるな!顔が同じだけのロボットだ!!」

 

ソウゴはニンジャークソードを手に身構えた。

こうなれば、命に代えてもクロヱを守って死ぬのみ……そう覚悟してソウゴは剣を握りしめる。

ただ一つ心残りなのは、妹のノエルに会えなくなることだ。

 

(……ノエル、ふがいない兄を許してくれ……)

「いくぞ、ムラサメ!!」

 

ソウゴは叫び、戦う覚悟を固めた次の瞬間、またしてもゴゴゴゴ……という音が聞こえてきた。

そして、その音の正体は姿を現した。

 

「えっ……グリムくん!?」

「ど、どうなっている……!?」

 

なんと今度はグリムとそっくりな男が姿を現した。その男もドンキラー×3と同様ゲーミングPCのような派手な色合いの服装を着ていた。

 

「ドンキラーキラーキラーキラーだ。」

 

その時、横から声が聞こえてきた。顔を向けると、そこにはマスターの姿があった。

 

「マスター!」

 

マスターはドンキラー×3に負けたようで、ボロボロの状態になっていた。マスターは続けて語り始めた。

 

「どこかで緊急出動ボタンが押されたんだ……それでドンキラー×4が出動した……」

「なんてことだ……1体でも勝てないのに……!」

 

ただでさえ強すぎるドンキラーがまた1体増えたという事実にソウゴは絶望した……だが次の瞬間、ドンキラー×4はドンキラー×3に襲い掛かった。

 

「えっ」

 

ソウゴが声を上げたのをよそに、両者は容赦なくお互いを殴り合った。

 

「ドンキラー×3とドンキラー×4は敵同士……その戦いは、どちらかが消滅するまで終わらない……」

 

マスターが語る中、ドンキラー×3とドンキラー×4は両足のジェットで飛び上がり、目から放たれる光線をぶつけ合う。

 

「だが、ドンキラー達の実力は同じ……」

 

両者は互いに攻撃しながら、そのまま大空へ……

 

「決着がつくことはないまま、両者は永遠に戦い続けるだろう……」

 

マスターの言葉通り、ドンキラー×3とドンキラー×4は永遠に戦い続けることになる……宇宙の果てまで飛んでいっても、互いにミサイルや光線を撃ち合いながら……

 

「な……なんだったんだ結局……」

「それは沙花叉も聞きたい……」

「とにかく、もうドンキラー達はやってくることはないだろう……」

 

予想外の幕引きに困惑したが、ソウゴはホッと胸を撫で下ろした。

それを見て、マスターはフッと笑った。

 

「覚悟の決め損だったな。」

「あ……」

 

ソウゴは声を上げた後、顔を赤面させた。

マスターはそのまま何も言わずに立ち去っていった。

 

「……クロヱ」

 

2人きりになり、ソウゴは赤面したままクロヱに声をかけた。

 

「さっき言ったことは忘れろ……自分でも恥ずかしいことを言った自覚はある……」

 

ソウゴはクロヱに向かって真正面から「愛してる」と言ったことを恥ずかしく思っていた。部屋の中ならばまだ良かったものの、誰が見てるかも分からない外で言ってしまったのだ。

恥ずかしくて堪らなくなっていた。

 

「ふーん……」

 

すると、クロヱは下からソウゴの顔を覗き込んできた。

 

「ソウくんもちゃーんと照れることあるんだ〜♪」

「み、見るな……」

 

ソウゴをからかいながらニコニコ笑っているクロヱ、そんなクロヱを愛おしく思いながら恥ずかしそうに目をそらすソウゴ……

2人はしばらくじゃれ合った後、ラプラス達が待つホロックスのアジトへ向かったのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころ、

 

「うーーん……」

 

ドンキラー×3にボコボコにされたグリムは病院に搬送され、入院していた。

 

「俺がこんな様とは……」

「災難だったねー」

 

事情を聞いたかなたは食べ物を持って見舞いに来ていた。

 

「それでもたった1週間で退院できるんだから良かったじゃん。化け物並の回復力。」

「バカ言え!1週間も病院に缶詰で、マズイ飯食わなきゃいけねーんだぞ!?やってらんねー!」

「はいはい、文句言わない。代わりにかなたそが毎日来てあげるから♪」

 

かなたは可愛らしく言うと同時に片目を閉じてウィンクをしてみせた。しかし、対するグリムは渋い顔をしていた。

 

「えー、お前かよ……」

「おぉいっ!!何ガッカリしとんじゃ!!」

「だって、かなたそおっぱいねぇし……」

「あるわ!触って確かめろホラホラァ!!」

 

怒ったかなたはグリムの手を取ると自分の胸に押しつけ始めた。

 

「触らせんな!!アイドルだろうが!!」

「これは女としてのメンツ!!」

「何カッコつけてんだオメーは!?」

 

その後、グリムの人間離れした回復力とドカ食いにより、すぐにグリムは完治し無事退院に至ったのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




おまけ「ギリギリわるくないわため」

時間は少し遡り、カバー本社……ホロライブ4期生、角巻わためは会社での配信を終え、帰り支度をしていた。

「お疲れ様でーす!……あれ?」

帰ろうとしたその時、わためはある物を見つけた。それはボタンだった。「WARNING」と書かれた文字の下に赤いボタンがあった。

「なんだろ、このボタン……」

見るからに怪しいボタンだったが、わためは……

「えいっ♪」

押した。
その時、どこからかゴゴゴゴ……というロケットのような音が会社中に響いた。
しかしすぐにその音は遠くに行ってしまった。

「……?」

一体何が起きたか分からなかったわためだったが、とりあえず……

「わためはわるくないよねぇ?」

……終わり

──────────────────────

ソウゴ「じかーいじかい。この世には至高の食材がある……それを使えば、どんな料理も至高の料理になる……俺はそれを手に入れ、世界最高のタコ焼きを食ってみせる!!ドン38話『しこうのタコやき』というお話し……」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。