目の前で、目を疑う光景が映る。あのドンモモタロウが、最強といっても過言ではないドンモモタロウが背後からやられた……
その光景が目の前にある……
「タロウ……!!」
「ソノ、イ……後を……!頼む……!!」
腹を刺されたドンモモタロウは、ソノイの方を見つめ、まるで最後の別れのように呟いた。すると次の瞬間、ドンモモタロウの姿は粒子となって消え、白髪の青年・ソノレイの手の中に吸い込まれていった。
「タロウ……!!タロウーーーーー!!!」
ソノイの叫びも虚しく、ドンモモタロウは消滅した……ソノイはキッとソノレイを睨みつけた。
「貴様……!いったい……!」
「さっきも言っただろう?ぼくはソノレイ……」
「ソノレイ……?っ!!」
何かを思い出したのか、ソノイは青年を睨みながら身構えた。同時にソノニとソノザも身構える。
すると、ソノレイは無邪気な笑顔を見せた。
「やっぱり覚えてるんだね、ソノイ君、ソノニちゃん、ソノザ君……」
笑顔で呟くソノレイはスッと左腕を上げた。左腕にはソノイ達がつけている物と同じブレスレットがついていた。ソノレイはそれを軽く叩き、ソノイ達と同様、鎧を装着した。
「フゥー……」
その鎧は白銀に輝き、鎧の肩には金色のドクロの意匠があり、背中には純白のマントを背負い、ターバンと月のような装飾がついた仮面をつけている。
ソノレイはどこからか現れた白銀のステッキを軽く振るうと、杖の先を地面でトンッ…と突いた。すると次の瞬間、凄まじい衝撃波が発生し、皆を吹き飛ばした。
『うわっ!?』
「な、なんだこれは……!?」
「あーあ……」
皆が驚いているのをよそに、ソノレイはため息を吐いた。そして、変身している皆をつぶさに見つめた。
「いいなぁ……みんな“色“がついてて……」
「あぁ?意味わかんねぇこと言ってんじゃねぇぞスカポンタヌキ!!」
その時、トンボオージャーが立ち上がり、剣についたトンボの尾のようなレバーを3回下ろした。
《オージャフィニーッシュ!!》
「オラァッ!!」
剣に青いオーラを纏い、気合いの雄叫びとともに剣を振るう。青い刃をソノレイに向かって飛ばした。
「オージャ……じゃあ、あれがいいかな……フンッ!」
ソノレイは身体に力を入れた。すると背中からミミズにも近い触手を生やした。その触手でトンボオージャーの必殺技を弾いた。
「!?」
トンボオージャーは驚き、マスクの下で目を見開いた。その触手に見覚えがあったのだ。かつて敵同士だった相手の……
「そいつは、デズナラクの……!なんでテメェが……!!」
動揺していたその時、
「ズンズンオーバードライブ!!」
《ズンズンフィニーッシュ!!》
ブンレッドが後ろからズンズンショウカブラスターで必殺の一撃を放った。銃口から激しい水流が放たれソノレイに襲い掛かった。
「君には……これかな。」
水流が襲いかかる中、ソノレイはステッキを剣のように持つ。するとステッキがドリル状に回転する白いオーラを纏う。
「怒りのデスロッド」
静かに呟きながら、ステッキを水流に向かって突き出した。ドリル状のオーラが水流を貫き、そのままブンレッドに向かって飛んでいった。
「なっ……!?うわぁぁぁぁぁぁ!!」
ドリルのオーラを食らったブンレッドは吹き飛び、地面に転がった。
「運び屋!!」
「い、今のは……マッドレックスの……!?なんでお前が、アイツの技を……!!」
ソノレイが繰り出した技は、ブンブンジャーと死闘を演じたマッドレックスという好敵手が繰り出した必殺技だった。
それを何故、ソノレイが使えるのか……頭が混乱しそうになる。
「パンドラの箱の中で……ぼくはずっと君達スーパー戦隊のことを見てたよ。」
「パンドラの箱……?」
聞き慣れない単語に首をかしげるソウゴ。すると、ソノレイはまたため息を吐いた。
「なーんかつまんない……もっと楽しませてよ。」
ソノレイはステッキを振りかざすと空中に光の輪を描く。その輪の中から光の玉が飛び出し、大量の人型となってソノレイの前に現れた。
「あ、あれは……!?」
「俺達が今まで倒してきた奴らだ!?」
なんと、ソノレイが呼び出したのはスーパー戦隊が今まで倒してきた怪人達だった。
「ぼくは、パンドラの箱を脱出した後……いろんな世界に彷徨う魂を見つけた……それが、今目の前にいる怪人達さ。ぼくはこいつらの魂を……食べたんだ。」
その言葉とともにソノレイの口が食虫植物のようにガバっと開かれた。ソノレイの口の中には舌や歯はなく、ブラックホールのような黒い空間が広がっていた。
「じ、じゃあ、お前がマッドレックスの技を使ったのは……!」
「うん、ぼくが食べた。ドンモモタロウも……ね。」
その言葉に皆は戦慄した。「倒した」……ではなく、「食べた」と平気で答えたソノレイに恐怖すら覚えていた。
「みんな……ここは退くわよ!!」
その時、鶴姫が大声を上げ煙玉を地面に投げつけた。玉が地面に当たり、周りに煙が立ち上る。
煙が晴れたころ、ソウゴ達の姿はなくなっていた。
「逃げたんだ……チェッ……“色“が欲しかったのに……」
──────────────────────
ソノレイから逃げ出したソウゴ達は、喫茶どんぶらへと逃げ込んだ。
「なんだったんだアイツは……」
「奴はソノレイ……脳人の最終兵器……」
ソノレイの存在に疑問に思う皆に対し、ソノイは小さく呟いた。
「奴が来たということは……封印が解かれてしまったのじゃな……」
それと同時に、どんぶらに客として来ていたソノセンが口を開いた。
そして静かに過去に脳人世界で起きたことを話し始めた。
「ソノレイは我ら脳人が誇る最終兵器として作られた……目的はドン王家を壊滅させること……ドン王家が滅亡した原因はソノレイにある。」
つまり、ドンモモタロウにとってソノレイは実の両親と故郷を滅ぼした張本人ということになる。
「ソノレイの力は圧倒的じゃった……ドン王家の者達など簡単に倒してしまいおった……そうしてドン王家を滅ぼした後……奴は、元老院に反旗を翻しおった。」
「何故?」
「……分からん。ただ、奴はこう言っておった。」
『“色“が、欲しい……』
「ワシらにはその言葉の意味が分からんかった……その後、ソノレイは暴走。脳人世界の建造物や住人を傷つけた……事態を重く見た元老院は、ソノレイの破壊を決めた。」
「……で、どうなった?」
凱がそう尋ねると、ソノセンに代わりソノニが答え始めた。
「結果として、破壊することはできなかった……我ら脳人3人衆……それだけじゃなく、ソノシ、ソノゴ、ソノロクの脳人監視隊……処刑人のソノナ、ソノヤの8人でソノレイに挑んだが……」
「結果はボロ負けだった……」
ソノニに続くようにソノザが呟いた。同時にギリッと歯を食いしばり、拳を強く握った。
「奴と俺達の実力は天と地ほど離れていた……!今思い出しても……身震いしてしまう……!」
ソノザの言う通り、ソノレイの強さは圧倒的だった。トンボオージャー、ブンレッドの攻撃を簡単にいなし、圧倒的な力を見せた……
「結局、ソノレイは封印されることになった……ワシが開発した牢獄“パンドラの箱“にな。」
「パンドラの箱……?」
その名はギリシャ神話に登場する、災いを封じている箱の名前だ。災い……言いえて妙だとソウゴは思った。
ソノセンは続けて語る。
「パンドラの箱は何重にも積み重なった壁で構築されている。壁の一つ一つが電子制御され、強固なロックが施されている。だが、さきほど元老院の使いからの連絡だと……ソノレイは何年もかけて内側からロックを解除したそうじゃ。」
その後、ソノレイは外の世界に出て、こちらに来た……ということだろう。
「……あのソノレイの目的はなんだ?」
「“色“が欲しいって言っていたでござるな……」
「あっ、おい!これ見ろ!」
その時、ラプラスが大声を上げた。
「どうしたの?」
「今、スマホ眺めてたらニュース速報が流れて……」
ラプラスが持つスマホの画面には「速報!街から“色“が消える!?」とタイトルのニュースが流れていた。さらに映し出されている映像には街が映っているが、様子がおかしかった。街のビルや住居には“色“がなかった。全て灰色になっていた……建物に塗られているはずの塗装、看板や自販機の塗装も……しまいにはそこに住んでいる住人まで“色“がなくなっていたのだ。
「これはいったい……!?」
「しかもこれ、街の人達動いてないよね……?」
クロヱの言う通り、“色“が抜かれた住人達はまるで一時停止のように動きが止まっていた。
「ソノレイの仕業だ……!」
ソウゴはふと呟いた。ソノレイの目的はおそらく「“色“を手に入れること」……その意味は不明だが、街や住人から“色“を奪うことが“色“を手に入れるということならば、ソノレイの仕業で間違いない。
「ひどい……!」
「このままソノレイを放置すれば、世界中から色がなくなってしまう……!!」
「おそらく、ソノレイを倒すことができれば……元に戻るはずだ。」
ソノイはそう言いながら立ち上がった。同じくソノニ、ソノザも立ち上がった。
「ここからは私達がやる。これは我々脳人の問題だ……タロウの仇でもある……!!」
その一言に、ソウゴ達は立ち上がった。
「聞き捨てならねぇな、その言葉……」
「世界の危機なのに、僕らが出ないわけにはいかないだろ?」
ヤンマとソウジの言葉に皆はうんと頷いた。それに続くようにソウゴが口を開く。
「ドンモモタロウの仇を取りたいのは、お前だけじゃない。それに……」
ソウゴは固く拳を握りしめ、クロヱ達の方をチラリと見た。
「俺を変えてくれた……大事な世界だ!奴の好きなようにはさせない!!」
ソウゴは決意を新たにし、ソノレイと戦う覚悟を決めた……スーパー戦隊の5人も同じだった。ヒーローとして、スーパー戦隊として非道を許すわけにはいかない。
皆は戦う覚悟を決めたのだった。
「……あ、もしもし。フリッドのおっさん、もう帰ったのか?」
『グリム。まだ帰ってる途中だよ。』
「ちょっと聞きてぇんだけどよ……おっさんが声をかけたのって、あのゴジュウジャーだけか?」
『……フフッ、そんなわけないだろ?途中途中で力を貸してくれそうな人に声をかけたさ。』
「へへっ……そいつを聞きたかった!」
おまけ「BとL」
喫茶どんぶらにて、クロヱはソウゴ……と、大也を見つめていた。
「よぉ、鮫山。」
「おお、届け屋。」
(ソウくんって、大也くんとは結構気さくに話すんだよね……しかも……)
「はははっ、本当かそれは。」
「ああ、ブンドリオがカレーを焦がして……」
休憩に入ったソウゴは大也の隣に座って親しげに話し始めた。それを見てクロヱは……思わずニンマリ笑っていた。
(ソウゴ×大也……アリ!)
クロヱはBLが大好きだった……(公式情報)
すると、そんなクロヱの肩を癒月ちょこが叩いた。
「ちょこ先……」
「……グリム×ソウゴもアリだよ……!」
「!!」
ちょこもまたBL好きだった(公式)
同士を得たクロヱはちょこと固い握手をかわしたのだった。
「……なんか寒気しないか?」
「……だな。」
────────────────────────
クロヱ「じかーいじかい。ソウくん達がソノレイに決戦を挑む!でも、私達は大事なライブがあって絶対に出なきゃいけなくなったの……でも、ソウくん達を放っておいていいのかな……ドン41話『おれたちのイロ』というお話し。」