ソウゴ「俺の過去を知っているであろう男がマスターをしている店、喫茶どんぶらで働くことになった俺だったが……マスターは全然話そうとしない。だが俺は諦めん……いつか絶対に吐かせてやるからな……!」
「おっはよーございまーす!」
元気のいい挨拶とともに、クロヱは今日もホロックスに出社した。
しかし、出社して早々、クロヱは不機嫌そうなラプラスを発見した。
「ラプラスどした〜?辛気臭い顔して。」
不機嫌そうなラプラスに対し、近くで出かける準備をしていたソウゴはため息を吐いた。
クロヱはソウゴに近づき、何があったのか尋ねた。
「ラプラス、何があったの?」
「知らん。本人に聞け……バイト行ってくる。」
しかし、ソウゴは何も答えず、そのまま喫茶どんぶらに向かってしまった。
クロヱは再びラプラスに目を向けると、ラプラスはブツブツと何か呟いていた。
「へあ?なんて?」
「……我輩は……総帥なんだぞ……うがあぁぁぁぁぁぁ!!どいつもこいつも分かってなーーーいっ!!!」
ラプラスは突然立ち上がり、両腕をブンブン振り回しながら叫び始めた。
その様子にクロヱは戸惑ったが、ラプラスはフッと落ち着き始めた。
「いいか新人、よく聞け。我輩が考える世界征服……それは解像度を上げると……こうなる。」
ラプラスはパソコンを操作し、ある画面をクロヱに見せた。
そこには、「
「ほろくさー?」
「ホロックスの構成員、すなわちファンだな。このプロジェクトが成就した暁には……世界はこうなる!」
ラプラスはさらに動画を再生した。その動画は、CGによって作られた、プロジェクトが成功した際のイメージ映像だった。
クロヱが世界中でライブをする映像、ゲーム大会で優勝するいろは、本を出したルイのサイン会、こよりがラジオ出演、ラプラスが「ラプラスランド」を設立……
「楽しそうだろ?世界中の人気者になると、こーなるってわけだ!」
そう言って映像を見せてくれたラプラスはなんとも楽しそうだった。同じくクロヱも目をキラキラと輝かせていた。
しかし、ラプラスはすぐに舌打ちを打った。
「なのに我輩……公園で近所のガキどもに舐められてまーす!やってらんねぇッスわ!」
ラプラスのその一言に、クロヱは呆れ顔になった。同時に、ソウゴがため息をついて出ていった理由がなんとなく理解できた。
「そこでお前だ!」
その時、ラプラスはクロヱを指差した。
「世界征服の第一歩として、我輩の威厳を奴らに叩き込めい!!」
「……え?」
クロヱは思わず声を上げた。
「なんで沙花叉がそんなことしなきゃいけないわけっ!?」
「『あなたのお悩みもお掃除しちゃうぞ!』って言っただろ?」
「うぐっ……!?」
クロヱは思わず口ごもってしまった。結局、クロヱはどうすればラプラスの威厳を見せつけられるか考えることになった……
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「うーん……ねぇ、どうすればいいと思う?」
「威厳ねぇ……」
翌日、結局いい案が浮かばなかったクロヱは、ラプラス以外の皆に相談することにした。
鷹嶺ルイの案
「例えば、仕事をがんばるってのは?最初は舐められても、結果を出せば人はついてくるものよ。」
(ルイ姉、発想がキャリアウーマン!!さすが幹部……)
風真いろはの案
「子ども相手なら物をあげれば懐いてくるでござるよ。風真、パソコン作れるからプレゼントしてみる?」
「パソコン組めるの!?」
(でもそれって買収じゃ……)
博衣こよりの案
「いっそ威厳を出すためにヒゲでも生やしてみる?いいクスリあるよ〜♪」
「あははははははっ!!それ見てみたいかも!!」
鮫山ソウゴの案
「くだらん……舐められてイヤなら、人前に出ないことだな。それか、相手を叩きのめせ。」
(ソウくん物騒!!)
一通り意見を聞いたクロヱは困り顔で頬を掻いた。
「も、もう少し現実的なのないかな?相手は近くの公園の子どもなんで……」
「公園?公園ならちょっと前、ラプちゃんが名乗りの練習してるの目撃したけど……なにか関係あるのかな?」
「れんしゅう!」
こよりのその話を聞き、クロヱは思わず吹き出してしまい、笑いながら涙を流した。
「アイツ、よっぽどアレが気に入ったな?」
「そりゃそうでござるよ〜!カッコいいからね!」
「なんの話?」
「さあ?」
「そうか、鷹嶺と博衣は知らなかったな。」
ラプラスが考えた掛け声を知らないルイとこよりに対し、ソウゴは二人に説明を始めた。
「へー、Yes my darkかぁ……ラプってカワイイとこあるんだよねぇ。なんかそういうの見てると放っておけないんだよね〜♪」
「!」
その時、ルイの発した言葉にクロヱはハッと目を見開いた。
同時に、いいアイディアを思いついたクロヱは行動を起こすのだった……
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その後、ラプラスは公園を訪れた。象の形をした滑り台の上に仁王立ちするラプラスの眼前には、ランドセルを背負った近所の子ども3人がいた。
「刮目せよ!!」
ラプラスは右手をバッと前に突き出し、叫んだ。すると、3人は拳を上に突き上げ、
『Yes my dark!!』
と叫んだ。
それを見たラプラスは目をキラキラと輝かせた。言ってもらえないと思った掛け声を言ってもらうことができたのだ。
ラプラスは後ろにいるクロヱとソウゴの方を振り向き、ニッと笑って見せた。
「やるじゃないか新人!」
ラプラスは滑り台から降り、二人に駆け寄った。
「まぁね〜、いいってことよ!」
「でもどうやったんだ?」
ラプラスはどうやって子ども達を説得したのか尋ねた。すると、クロヱは何故かニヤニヤと笑い始めた。
「ムッフッフッ……子ども達にぜーんぶ話したから!!」
「……は?」
「ラプラスが例の掛け声気に入ってて、みんなに言ってほしいことも、お友達になってほしいってもぜーんぶ!」
「はぁ〜〜〜〜!!?」
ラプラスは声を上げ、顔を真っ赤にして怒り出した。
「や、やってくれたなぁぁぁぁぁ!!それじゃあ威厳もクソもねぇだろうがー!!」
「元から威厳なんてなかっただろう……プフッ」
「笑うな、雑用ーーー!!」
笑ったソウゴを見てラプラスはキーッと怒り声を上げた。するとその時、どこからか水が飛んできて、ラプラスの顔にかかった。
水を飛ばしてきたのは、子ども達3人だった。
「ほらよ。」
子どもの一人は水鉄砲を一つ、ラプラスに投げ渡した。
「遊ぼうぜ、ラプラス!」
そう言った子ども達の手にも水鉄砲があった。
その発言をラプラスは宣戦布告と捉え、水鉄砲を手に取った。
「いい度胸だ……貴様ら、覚悟はできてんだろうなぁぁぁぁぁ!!!」
ラプラスは雄叫びを上げながら3人に向かって水鉄砲を乱射した。そこから水鉄砲の撃ち合いが始まった。
それを見て、ソウゴは呆れたようにため息を吐いた。
「まったく……人騒がせな奴だ。」
「これ、うまくいったってことでいいでござるか?」
呆れるソウゴの後ろから、聞き覚えのある声が聞こえてきた。振り向くとそこには、他のホロックスのメンバー達の姿があった。
「こよ達が先に遊んであげといて正解だったね!」
「みんないい子でよかったね!」
ルイとこよりの言う通り、他のホロックスの面々は先に子ども達と遊んで仲良くなっていたのだ。それに加えてクロヱの説得もあって今に繋がったということだ。
「最初から素直に遊びたいって言えば伝わったでござるよ。」
「威厳が欲しいっていうか、結局ラプラスがやりたいのってこういうことかもね。」
「友達を作ることがか?理解できん……ん?」
ため息混じりにラプラスを見つめるソウゴは、その時何かに気がついた。遊んでいるラプラス達に、年老いた男が近づいてきたのだ。
「う〜〜〜っ……!うるさいぞこのガキどもぉ!!公園では静かにせんかぁ!!」
「ん?なんだあのジジィ?」
「公園はみんなのものだぞ!」
『そーだそーだ!!』
大声で喚く老人に、ラプラス達は異議の声を上げた。すると、老人はプルプルと震え始め……
「うるさいうるさいうるさーい!!ワシがダメだと言ったら……ダメなんじゃーーー!!」
その時、叫びとともに老人の身体が光に包まれ、警察と猟犬を合わせたような鬼、”警察鬼”へと姿が変わった。
「鬼!」
『ば、化け物だー!?』
老人がいきなり鬼に変わり、子ども達は思わず腰を抜かしてしまった。
《ニンジャークソード!!》
その時、鬼の出現に伴ってニンジャークソードがソウゴの元に飛んできた。
《what's up!?》
「アバターチェンジ!!」
《ドンムラサメ!切り捨てソーリー!!》
ソウゴはドンムラサメへと変身し、剣を構えた。
そしてすぐさまラプラスと子ども達を助けようと駆け出した。しかし、
『アノーニ!!』
ドンムラサメが駆け出すと同時に、まだら模様の怪人、アノーニ達が大量に現れ、ムラサメに攻撃してきた。
「こいつら……!!」
アノーニ達の妨害により、ムラサメはラプラス達に近づけない。目の前のアノーニ達を切り捨てていくが、いかんせん数が多い。こうしている内にも、警察鬼は銃を片手にラプラス達にじわりじわりと近づいていく。
「くそっ、このままじゃ間に合わん……!」
「ワシに逆らう奴は……死罪っ!!」
警察鬼は子ども達に向けて銃口を向けた。
しかし次の瞬間、
「ダークサンダー……ショット!!」
ラプラスは叫び、人差し指から黒い雷のようなエネルギー弾を放った。雷撃弾は命中し、警察鬼は吹き飛んだ。
「ぬおっ!?」
「我輩のファンに……指一本触れるな!!」
ラプラスは明らかに怒りを見せている。やっとできた友達を傷つけようとする輩を許しておけなかったのだろう。
「雑用……やれ。」
「……!了解……」
ラプラスは低い声でムラサメに向かって呟いた。その声を聞き、ムラサメは思わず頷いた。始めて総帥としてのラプラスを垣間見た瞬間だった。
その時、背後からアノーニ達が襲いかかってきた。しかし、
「一閃……でござる!!」
その時いろはが一陣の風の如く刀を抜き、アノーニ達を斬り裂いた。
「こよビーム!!」
さらに、こよりがコヨーテの形をした光線銃で回りのアノーニ達を撃ち抜いた。
「行って、ソウちゃん!」
ルイは鞭を取り出し、アノーニに叩きつけながらムラサメに戦うことを促した。
「こ、こっちは……あわわっ!大丈夫だから!えいっ!!」
戦いに不慣れながらも、クロヱも周りにあるゴミ箱や小石でなんとか応戦していく。
「わかった……!」
《
ムラサメは剣のギアを一回転させ、その体を地面の中に潜り込ませた。
そして警察鬼の足元から飛び出し、一撃を浴びせた。
「ぐぁっ!」
「貴様の相手は俺だ……!ハアッ!!」
ムラサメは続けざまに剣による攻撃を浴びせ続ける。しかし、警察鬼は負けじと銃口を向け、銃弾を乱射した。
しかし、
《what's up!?》
「アバターチェンジ!」
《ガイソーグ!!》
ムラサメはギアを高速回転させ、竜のような紫色の鎧騎士「ガイソーグ」へと姿を変え、左手に持った盾で銃弾を防いだ。
「盾付きか……っ!?」
その時、ムラサメの脳裏に映像が流れ込んできた。
白と鮮やかな緑色の鎧を着て戦う鎧武者……右手には剣を、左手には巨大な盾を持っている。
前もこうして、誰かを守っていたような気がする。
(俺の、記憶なのか……?)
「死罪だーーーっ!!」
考えている間に、警察鬼は襲いかかってきた。
「っ!!ハァッ!!」
ムラサメは我に返り、逆に警察鬼に一太刀を浴びせた。
「トドメだ……!」
ムラサメは鍔に竜の装飾がついた「ガイソーケン」に紫色のオーラを纏わせた。
「エンシェントブレイクエッジ!!」
オーラを纏わせた剣でXを描くように振るい、警察鬼をX字に斬り裂いた。
「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!」
警察鬼は断末魔を上げながら爆発し、元の老人の姿に戻った。老人はそのまま倒れて気絶してしまった……
「ラプラス、無事か……」
『ラプラスすっげーーー!!』
ソウゴは変身を解き、ラプラス達に駆け寄ろうとした……が、それより早く子ども達は歓喜の声を上げてラプラスに詰め寄った。
「さっきのどうやったの!?」
「すげーっ!カッケー!!」
どうやら子ども達は先ほどラプラスが黒い雷を出したのを見て興奮しているようだった。対するラプラスはいきなり詰め寄られて困惑していた。
「子どもってあーいうの好きそうだもんね。」
「残念だったね、ソウきゅん。」
「別に悔しくないが?」
自分もそこそこカッコいい活躍をしたと少しだけ思っていたソウゴはなんとなく寂しく思った。それを慰められたが、ソウゴは強がった。
その時、クロヱが声を上げた。
「ねぇ、提案なんだけど、今後の活動方針これにしない?」
「人を助けることをか?」
「ラプちゃんの友達を増やすことも……ってこともね!」
「ラプ殿自身は舎弟が増えたぐらいにしか思ってないかもでござるが……」
「いいんじゃない?それがホロックスの発展につながるなら……」
クロヱの提案に皆が賛同した。
そしてこの日、ホロックスの活動方針が決まった。
「holox活動方針∶人助けとファンを増やす!!」
それが世界征服の第一歩になるかは……また別の話……
ラプラス「じかーいじかい。何?仮面ラ◯ダーガヴがスタートしただと?だったら我輩達も新番組だっ!新しい作品のタイトルと内容を決めるぞ!!新作の主人公になるのは……」
『私(俺)だッ!!!!!』
ラプラス「ドン8話『いきなりオープニング』……というお話しだ!」