「まったく、つくづく人を不快にさせるねっ……!」
〈Kamen Ride〉
自らの手元に引き戻したディエンドライバーに自らのカードをセットに、海東は「変身!」の掛け声とともに、引き金を絞る。
「変身!」
〈Diend!〉
照射されたプリズムたちが一度その仮面ライダー……ダークディケイドにぶち当てられてから、海東を基点に重なる。
ディエンドとなった海東は、その勢いのままに敵に迫り、そのままインファイトで挑む。
余裕の態度でカッシーンたちを下がらせたトーカは、自らの飛び込んで来たディエンドの初撃をかわし、長い脚でハイキックを繰り出す。
それを肩で受けたディエンドは、転がって一旦退避するとともに、『次弾』を装填する。
〈Attack Ride Blast!〉
天に向かって撃ち放たれた無数の弾丸が、雨となってハンドレッドたちに降り注ぎ、逃げ遅れたカッシーンたちの何体かを穿ち抜く。
だが、その中心に立ったまま、なお悠然とした態度を崩さない。
その手に、新たなる闇のカードを閃かせ、バックルに差し入れる。
〈Kamen Ride DarkKabuto〉
黒きヒヒイロノカネがダークディケイドのスーツを覆い、一本角が下から持ち上がる。
〈Attack Ride Clock up〉
バックルを残して別の闇のライダー、ダークカブトへと姿を変えた彼は、まるで別の時の流れの中を動いているかのように、ディエンドを上回る高機動性で弾雨をかいぐり、突破し、今度は我からで海東の懐に潜り込むや、正拳を腹部に叩き込み、遠くへと吹き飛ばす。
「ぐっ」
〈Kamen Ride LioTroopers!〉
ディエンドは自らの態勢を立て直すべく、また別のライダーを召喚する。
銃口から放たれた光は一つではなく等間隔に三つにまとまり、人型へ。
オレンジ色の没個性的なライダーたち、ライオトルーパーが、短剣アクセレイガンを携え、特攻していく。
〈Kamen Ride……DarkWizard〉
トーカの身体を紫炎の魔法陣が横から通り抜けていく。
その姿が新たなる系統の代物へと変化する。
仮面ライダーウィザードにも似ているが、その宝石質のマスクはアメジストの光を湛えている。
〈Attack Ride Bind〉
その闇の魔法使いは、掌を地面に押し当てる。その接点に描かれた魔法陣から、妖焔を絡ませた鎖が飛び出し、ディエンドの兵隊たちを一挙に絡めとる。
鼻息荒く繰り出した回し蹴りで、彼らをその存在ごと刈り取ると、勢いを余らせた回転の最中に、新たなるカードと取り換える。
〈Kamen Ride DarkGhost〉
〈闇の力!悪いやつら!〉
バックル中央に示された目玉のマークから吐き出されたパーカーゴーストが宙を舞い、それに被さられたトーカの身体は蜃気楼の揺らめきとともにその
仮面ライダーダークゴースト。ライドブッカーを剣撃モードにして迫るそれに、新たなる対抗を撃ち出す。
〈Kamen Ride Kiva!〉
化物には化物を。
召喚と共に、両腕を水平にしたファンガイア族由来の甲冑をまとう戦士――仮面ライダーキバの虚像が、絡むようにダークゴーストへと挑みかかる。
両の拳を鋭く叩き込むキバを片手でいなしながら、彼はカードをさらに重ねがけ。
〈Form Ride Pythagoras Damashii〉
〈三角の定理!俺の言う通り!〉
その身のパーカーが、ノースリーブのギリシャの学者を想わせるものとなる。
剥き出しの黒い二の腕から発射された、三角形の光弾がキバの攻勢を跳ね返し、ディエンドの足下へと押し返した。
「……っ、痛みは一瞬だ!」
〈Final Form Ride K-K-K-Kiva!〉
海東は焦りとともに早口でセリフを回し、キバを自身の腕の中で、キバットバットと巨大な弓が合成された武器へと変形させる。
〈Final Attack Ride K-K-K-Kiva!〉
それを両手で引き絞り、渾身の一射を放った。
紅蓮の光矢は、何者にも跳ね除けられない勢いと速度で以て飛んでいき、着弾とともに爆炎を巻き起こした。
「……やった、か」
マスクの奥で重い息を吐く海東だったが、倒れているはずの敵の姿はどこにもない。カッシーンたちは少しも動揺することなく、外野で整列している。
「――なんだって?」
手応えからして、間違いなくダークディケイドに直撃した。そのはずだ。
動揺を抑えながら巻き上がる黒煙の中、その行方を探るディエンドだったが、
「言っただろう。すでに我々は、究極を超えていると」
――という言葉を背からかけられて、背を凍らせた。
〈Kamen Ride Kuuga Ultimate〉
黒き霞の中で、黄金の輪郭線が稲光る。黒き眼光が海東を射抜き、剛腕がその喉笛を掴み上げる。
「ぐ……あ!」
平素の悪態軽口をその呼吸ごと封じられた彼があげられるのは、苦悶の声のみ。
現れたのは、クウガ。黒き瞳の
「すべての世界は、
高らかな宣言ともに、クウガの紋章が刻まれた最後の一枚を、ディケイドのベルトへと挿し込む。
〈Final Attack Ride……K-K-K-Kuuga!〉
締め上げるその手が、高熱を発する。瞬く間にそれは激しい火焔となって、ディエンドの全身を焼き尽くす。
その装甲は弾け飛び、強制的に変身の解かれた海東は、その衣服や肌を焼き焦がしながら地に伏した。
命は永らえた。否、加減されていた。目当てはあくまで海東の生命ではなく、彼が盗み取った代物だ。それまで破壊しては、元も子もないという判断だろう。
「これが、レジェンドの最後の頼みの綱、というわけか。なんとも容易い」
海東の手からこぼれ落ちたそれ――レジェンドカメンライザーを、ダークディケイドの素体に戻ったトーカは哄笑と共に奪い取った。
「それは違うな」
瞬間、一人の若者の声があがる。
歩き近づくたびに、上質のマントと身に着けた宝石が擦れ合う。無数の輝きが、その来訪を祝福するかのように一帯を華やかに閃いている。
リングを嵌めたその手が海東たちの間に突き出される。
すると、意志でも突然持ったかのようにレジェンドカメンライザーは、黒く染まったディケイドから反発してその手を抜けて、青年の手中へと、本来の持ち主の下へと馳せ参じる。
「なんだと!?」
あれほど勝者の余裕に浸って傲然としていたトーカが、声の調子を崩して荒げる。
「こいつの方こそが、カグヤ様に輝かせてくれと頼むのだ」
理由も仔細も説くことなく、それがごく自然の帰結と断じる。
「貴様、何故ここに……っ?」
動揺を抑えきれない様子で問いかけるトーカに対し、
「同じことを、他の使い走りに言ったはずだ……主役は、遅れて登場するものだと」
誰ぞが現れた時にも言いそうな口上を返し、鳳桜・カグヤ・クォーツは、王者たるその笑みと共に、その姿を顕したのだった。