図らずも、望まずとも、カグヤの着到によるトーカの不意を衝く形で。
海東はその足下から、這う這うの体で抜け出た。
「何しに来た……? 僕がどうなろうと、君には関係ないだろう」
――元をただせば、海東が火事場泥棒でレジェンドカメンライザーを奪ったことがそもそもの事の発端なのだが。
「恩着せがましいことはやめてくれないか」
それが頭から抜け落ちている海東は、冷ややかに突っぱねる。
自然、彼を庇う立ち位置に身を移し、だが一瞥もくれないまま。
「ディエンド、貴様もまた思い違いをしている。それを正しに来たまでだ」
とカグヤは言った。
「思い違い……?」
よろめきながら起き上がり、海東は眉をひそめた。
カグヤは自らの嵌める指輪を見つめつつ、
「あの絶望という闇の中を通り過ぎた、一筋の光明。
と、静かに噛みしめるように、想いを馳せた。
「だが」
顔を上げながら、カグヤは続ける。
「カグヤ様は仮面ライダーディケイドではなく仮面ライダーレジェンドであり、レジェンドこそが数多の仮面ライダーをゴージャスに彩る」
と。
「たとえ一時、その光が燻むことがあろうとも、カグヤ様と共にあれば、その輝きは蘇る――奴らを倒して、それを証明するとしよう」
レジェンドとは、そういう天命を与えられたライダー。
そう言わんばかりに、若き英雄は晴れ晴れと真っ直ぐ、前だけを向く。
「貴様はどうだ? ディエンド」
そのうえで、カグヤは足下の海東に向けて問いを投げ下ろす。
「その輝きは貴様自身が放つものか? それとも貴様は、ディケイドの輝きを照り返していただけの石くれか?」
海東の、ディエンドの本質を。
殊更に挑発的に。言葉で、態度で。
前へと目を向け進むのか。それとも門矢士の後塵を拝し、その背の幻にしがみつくのか。
「……本当に、気に食わない奴だよ。君は」
未だ回復し切らない咽頭を震わせ、声を絞りながら、海東大樹は身を持ち直す。
背を反らし、銃とカードを手に、彼の隣へと並び立つ。
「――何を茶番を繰り広げているかと思えば」
ダークディケイドは声を低めて嗤った。
「まさか、二人で組めばこの最強のディケイドに勝てるとでも? 何様のつもりだァ!?」
敵からもあらためて問われれば、はっきり言葉にして答えるしかあるまい。
〈Kamen Ride〉
返礼代わりに、カードを手の中でスピンさせたドライバーに装填して。
「僕は、海東大樹。仮面ライダーディエンド――門矢士よりずっと前から、通り過ぎの仮面ライダーだ! 覚えておけっ!」
〈Legendriver!〉
その言葉にどこか満足した様子で目を細め、カグヤもまた、セットした自身のドライバーにカードを滑らせる。
〈Chemy Ride!〉
「そして何様ではなく、カグヤ様こそが仮面ライダーレジェンド。世界に降臨した、新たなる伝説だ。覚えておくが良い」
「変身!」
「変身」
〈Diend!〉
〈Le-Le-Le-Legend!〉
競うように唱えた掛け声とともに、門が開く。銃口よりプリズムが撃ち出される。
彼らの放つ黄金とシアンの閃光が交錯する。
その眩さを前にして浮足立つ敵たちを見据え、レジェンドとディエンド、二人の仮面ライダーは暗黙の内に、その場限りの共闘を誓う。
盗まれた