仮面ライダーレジェンド外伝 ~盗まれた伝説~   作:大島海峡

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8.

 ディエンドの手に、今生まれたもの。

 それは、やや手に余るサイズの、横長の端末だった。ディエンドカラーのフレームの中心、タッチパネル式の画面に、十一個のライダーのクレストが映し出された。

 

〈Eternal,Goda,Nadeshiko,Sorcerer,Kamuro,Lupin,Extremer,Fuma,Blood,Barlckxs,Eden〉

 

 それらを繋ぎ合わせるように指でなぞり、最後に右端のボタンを強く押し込み、

〈Final Kamen Ride〉

 自身のベルトのバックルを腰へとずらし、取り替える。

〈Diend complete 21! トクベツバン!〉

 と殊更に明るい音声と共に、ディエンドライバーが浮かび上がる。

 まるで兜の前立のように、銃口を天へと向けたそれが額に貼り付き、バックルから溢れ出した無数のライダーカードがマントとなって彼の双肩より下りる。

 

「バカな……なんだその姿は!?」

 驚愕の声と共に、オーマジオウもどきと化したダークディケイドがターゲットをディエンドへと切り替える。

 

〈ZeroOne:Kamen Ride Eden〉

 その紋章の一つをタッチすると、額の銃口が光を吹いた。

 さながら機関車の煙のように発せられたそれは地表で形を成し、黒き体と紫のプレートに、血管の刻まれたライダーとなる。

 そしてダークディケイドとディエンドの間に立つと、その手にナノマシンで形成された大剣を握り、無造作に奮ってそれを迎撃した。

 

 平成の王の偽者が、令和の敵に阻まれる。

 のみならず、

 

〈Gaim:Kamen Ride Kamuro〉

 今のディエンドにも劣らぬ、個性的な兜を被った白銀のライダー、(かむろ)が、その一指で呼び出される。

 

〈シルバーオーレ!〉

 一度成した身体がボール……否巨大なリンゴへと変わり、戦場という名のピッチを駆け巡り、残るカッシーン達を掃討していく。

 そして立て直すと同時に再襲してきたダークディケイドに、仮面ライダーとしての姿を取り戻した冠が、錫杖を以てその進撃を妨げた。支えられるのはおそらく一瞬だろうが、その一瞬で十分だった。その合間に作り上げた白銀のリンゴが、今度は彼の足首に集中する。

 ともすれば、ヘルヘイム世界の天下を取れたかもしれない力を由来とした、一撃(シュート)が放たれた。

 無論、それでさえ曲がりなりにも時の魔王の力の一端を帯びた者を討ち切ることは出来ない。数センチ浮かせ、数歩分退かせたに過ぎない。

 だが、そこにさらに、光と力の奔流が叩き込まれた。

 

 それぞれの舞台で、それぞれの役目と野心を貫いたライダーたちの形をとって。

 善悪混在となって参集した種々様々な幻影たちに、ついに支えきれなくなって地に膝を折ったトーカが、

「この、負け犬共がァァァァ……!」

 と王のマスクの奥で歯噛みした。

 

 レジェンドの腰でもまた、今ここに起こった奇跡に呼応する輝きがある。

「レジェンドカメンライザーよ、貴様は未だ完全ではない……が、それでもなお、この燦きに加わりたいか?」

 引き抜いて問いかけるカグヤの言葉に返答をするように、未来の相棒は一枚のカードを浮かび上がらせた。

 それは、ディケイドのライドケミーカード。それが明滅とともに絵柄を塗り替える。ケータッチ21に手脚とディケイドの顔と合わさったイラストのものへと。

 そのうえで、ゆっくりとレジェンドの手に誘い込まれていった。

 

「――良いだろう。足りないゴージャスは、カグヤ様と、が受け持ってやる」

 促されるまま、カグヤはレジェンドカメンライザーにそのカードを込めて、引き金を絞る。

 

「ディケイド……もう一度輝いてみせろっ!」

〈Final Chemy Ride! Le−Le−Le−Legend! Decade Complete Form 21!〉

 晴々しい声と共に、レジェンドの姿をある戦士のものへと変える。

 ディケイド。コンプリートフォームの先たる21。唯一無二の姿を持ち、多彩なライダーたちの攻撃能力を使い分けて千変万化の戦いを披露して、あらゆる敵を駆逐するその真の最強形態。その幻像。

 

 役者は揃った。あとは最後までゴージャスに、締め括るだけだ。

 

〈エターナル! マキシマムドライブ!〉

〈スキャニングチャージ!〉

〈Rocket! Limit Break〉〉

〈YES! ファイナルストライク!〉

〈シルバースカッシュ!〉

〈Ultimate Lupin Strash!〉

〈ハリケーン クリティカルストライク!〉

〈Hazard Finish! Great Dragonic Finish!〉

〈バールクス! タイムブレーク!〉

〈Eden Impact!〉

 

 それぞれの得意とする必殺技が、遠近よりオーマジオウもどきに容赦なく浴びせかけられる。

 

「さぁ、ゴージャスに幕を引こう」

 レジェンドと、ディエンド。レジェンドカメンライザーと、新たに追加されたネオディエンドライバー。

 最後の瞬間に向けて、静かに息と狙いを合わせていく。

 

〈Final Attack Ride Di-Di-Di-Diend!〉

〈Legend Final Attack Ride Decade Co-Co-Co-Complete Form 21!〉

 

 無数のカードがトンネル状に弾道を作る。その二筋の軌道の中心を、マゼンタとシアン。引き絞られて放たれた対極の組み合わせの光線が通り過ぎていく。

 

「う、お……っ!」

〈Final Attack Ride Zi-Zi-Zi-Zi-O!〉

 それでもなお、迎え撃たんとベルトに必殺の一撃を送り入れてトーカが飛んだ。

 

 ――否、跳ばんとした。

 だが、半手遅れた彼の身を、先んじて二筋二色の流星が、直線的に絡み合い、神速の勢いで彼を射抜いた。

 魔王必殺の蹴撃も空しく撃ち出せず、次いで時空を歪曲させてのバリアも、歴史を超越せんばかりの威力の前にわずかの拮抗さえできずに砕かれて、押し戻される。粉塵を巻き上げながら地面へと叩きつけられる。

 

「――こんな……こんな馬鹿げた結末があるか!? まったく意味不明だ!」

 化けの皮が剥がれ落ちたダークディケイド、もといトーカはヒステリックに声を裏返す。その身体の表層には磁気の乱れの如きものが迸り、スパークしている。

 

「まったく分からんぞぉォォッ!?」

 そんな情けない悲鳴を断末魔として、闇のディケイドは火柱をあげて爆散したのだった。

 




(音鳴らん奴おるなぁ……)
(なんか別のライダーの音声鳴る奴おるなぁ……)
(平成の凸凹に組み込まれてるバールクスって芸術点高いな)
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